我々はなんて残念なんでしょう!

黒綾奈由

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序章

入学式は一難去ってまた一難

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(眠い)
 自分で思ったもののこの場の誰もが同じことを考えているであろう。そう考えながら寧音御玲しずねみれ欠伸あくびをした。
 現在、彼女は体育館にいる。
 そしてその体育館には、約千三百人が突っ立っている。
「えー、この度は我が私立柘榴ざくろ学園がくえんにご入学おめでとうございます。それでは新入生代表挨拶。皆神祐也みなかみゆうやくん。田中…(ここなんて読むの?)」
「(二つ書いてありますね………ここは上のサタンでいいんじゃないですか? 下の漢字のやつも、佐端でサタンって読みますから。)」
「……おっと、失礼しました。えー、田中サタンくん。真神まがみレオくん。今呼ばれた順番で挨拶をお願いします。」
(え? 聞き間違えかな? 今、名字が田中で名前がサタンの人いた? ………気のせいだよね)
 校長が名前を呼ぶと、三人の男子生徒がステージの上に上がった。
 一人目は、刈安色かりやすいろの髪に黄色の目をした賢そうで可愛らしい人だった。
『えー、皆さんこんにちは。……堅苦しい挨拶は抜きにしたいと思います。端的に言うと、僕はこの学校をより良くするために、僕が生徒会長になるべきだと思いました! 生徒会長の依水よりみずさんはもう卒業しましたし、今年の生徒会長候補や生徒会員候補はゼロだと聞きました。そこで! そこでですよ、この頭も良くて見た目も可愛い僕が生徒会長になれば、数人は人が入ってくるんじゃないかと僕は考えています! なのでおふざけで選挙に入ったやつは………かかってこいやァァァァァァ!』
(クセ強っ!?)
 野心に発言する言葉を任せたらこうなるらしい。
 皆神祐也の挨拶? は終わり。赤髪の男子生徒、田中サタンがステージの上に上がった。
『………………フ、フハハハハハハ! 我が名はサタン=バロムハデルシオン! 我が右目に封印されし暗黒竜の力レヴィルブラックドラゴをとくと味わうがいいw
「ちょっといい加減にしてもらえるかな?」
『あっ、すみません。……………代表で挨拶させていただけることになりました。田中佐端です。この学校の新入生とを代表して言わせてもらいます。本日は晴天でお日柄もよく、絶好の入学式日和のようで、皆さんは夢と期待に溢れていることでしょう。四月九日、我々新入生はこの学校に入学できたことを幸せに思います。新入生代表、田中佐端』
(中二病キャラであるのに案外弱くて、それでいて礼儀正しいし。あの人キャラ固まってないっぽいな)
 見かけや名前によらず、礼儀正しくことを済ませることができた田中サタンは、ステージを降りていった。
 いよいよ最後の三人目になった。
 三人目の人は、………何ていうか…………一言でいうと見た目がうざい。橙色の髪に紫色の目をしたチャラめの男だった。
『…………………あっ。………ふぅ。…………えー、本日は晴天でお日柄もよく。あっ! まずは自己紹介からか。』
(ん? んんん? テンパってないかこの人? 新入生代表挨拶で自分の自己紹介いらんやろ)
『こんにちは! スポットライトも声援も選挙の勝利も俺のもの! 牛丼は、大盛り、特盛、メガ盛り、並盛! 一にファミチキ二にファミチキ、三四は牛丼五にファミチキ! 俺には竜王の殺息ドラゴンブレスも、布瑠部由良由良八握剣異戒神将魔虚羅《ふるべゆらゆらやつかのつるぎいかいしんしょうまこら》も効かない! 俺の名前は、真神レオ!』
「はーい。もういいです。さっさとステージから降りてください」
『え? ちょっとまってくださいよ! 俺まだ決め台詞の【よろしくお願いします。あなたのことは二秒ぐらいは忘れませんってな!】をいってn
「だまりなさい」
(そんな言葉を言われたら、誰も友達できねえだろ)
 一難去ってまた一難とはまさにこのことだろうと彼女は思った。だが、彼女はもうすぐ人間ではなくなる……………

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