5 / 11
5.生活を取り戻す
しおりを挟む
ニコラスが家に来てくれて、ご飯を食べた日を境に、シアナの体調はしだいに回復していった。
聖女の役割を果たしている時、患者の病いの状態が深刻で、聖力を大量に奪われることがたまにあり、そうなると、しばらく私の体調が悪くなる。
だからといって、薬草を採取する仕事を休んでいては、お金が足りず、家代を払えないし、食事を食べることもできない。
だから、少しでも調子が良い時は、何としても働かなくてはならない。
それに、月の半分は月の力が弱く、聖女の役割を担うことがない。
その期間は、聖女の力を使わないため、体への負担がなくなる。
せめてその間は、体調が良いから、今のうちに薬草採取へ行って、金銭を稼ごう。
「シアナ、久しぶり。
ちょっと元気になって来たな。」
ニコラスは、心配そうに私の顔を覗き込む。
「うん、ニコラス、心配かけてごめんね。
それに、この前は食事も持ってきてくれてありがとう。
今はもう大丈夫よ。
さすがに休んでばがりで働かないと、お金がなくなってきて、生活がきつくなって来たの。
だから、薬草摂取を頑張るわ。」
「おう。
そしたらできるだけ短時間で、量は多くだな。」
「無理を言って、ごめんね。」
「いいよ。
一緒に頑張ろうぜ。」
次に薬草採取の護衛をニコラスに依頼した時、ニコラスは、何故か私の体調が悪くなる理由について、追及して来なかった。
そのことに安堵した私はずるい。
でも、体調不良の理由や聖女になることについて何も語らないまま、できるだけ長くニコラスと一緒にいたいと思ってしまう。
二人は手を繋いで、所々日差しが差し込む森の中を歩く。
時々牙をむいた魔獣と遭遇するが、ニコラスがすぐにそれを剣で倒していく。
「ありがとう、ニコラスは本当に強いのね。
頼りにしているわ。
ニコラスがいるから、森の奥に行かなければ手に入らない薬草が、たくさん採れたわ。
どれも貴重なものばかりだから、本当に助かる。
ありがとう。」
「ああ、任せておけ。」
それから、二人はたくさんの薬草を摂取して、帰路についた。
「今日は俺の家に泊まっていく?」
ニコラスがさりげなく聞いてきた。
「ううん、帰る。」
「やっぱりか。
そこは変わらないんだな。
でも、俺の作ったご飯を食べたら、もっと元気が出るぞ。」
「うん、ごめん。」
「まあ、いいよ。
俺はシアナのことが好きだから、そのことだけは覚えておいて。
俺の家に来るのはその内だね。
あのさぁ、ところで、質問があるんだけど、シアナは最近教会に行ったことある?」
「えっ、ないよ。」
シアナは背中に冷たい汗が流れて、ニコラスの顔を見られない。
「俺の仲間が、教会の近くでシアナを見かけたって言ってるんだけど?」
ニコラスはシアナの反応を伺うように顔を覗き込んだ。
「知らない。」
「そうか、それならいいんだ。」
そう言って、ニコラスは少し考えているようだが、深く追及することなく帰って行った。
もしかして、私が教会に行ってるのをニコラスは知ってるの?
それだけでなく、ニコラスは私が聖女だと気づいているの?
でも、知っているとしたら、さすがに私に何か言って来るはずだわ。
今日のニコラスはいつも通りだった。
だから、聖女のことがバレる心配をしなくても大丈夫よ。
きっとニコラスは気づいていない。
まだ、彼から離れなくても大丈夫。
今はまだ。
そう自分に言い聞かせる。
聖女の役割を果たしている時、患者の病いの状態が深刻で、聖力を大量に奪われることがたまにあり、そうなると、しばらく私の体調が悪くなる。
だからといって、薬草を採取する仕事を休んでいては、お金が足りず、家代を払えないし、食事を食べることもできない。
だから、少しでも調子が良い時は、何としても働かなくてはならない。
それに、月の半分は月の力が弱く、聖女の役割を担うことがない。
その期間は、聖女の力を使わないため、体への負担がなくなる。
せめてその間は、体調が良いから、今のうちに薬草採取へ行って、金銭を稼ごう。
「シアナ、久しぶり。
ちょっと元気になって来たな。」
ニコラスは、心配そうに私の顔を覗き込む。
「うん、ニコラス、心配かけてごめんね。
それに、この前は食事も持ってきてくれてありがとう。
今はもう大丈夫よ。
さすがに休んでばがりで働かないと、お金がなくなってきて、生活がきつくなって来たの。
だから、薬草摂取を頑張るわ。」
「おう。
そしたらできるだけ短時間で、量は多くだな。」
「無理を言って、ごめんね。」
「いいよ。
一緒に頑張ろうぜ。」
次に薬草採取の護衛をニコラスに依頼した時、ニコラスは、何故か私の体調が悪くなる理由について、追及して来なかった。
そのことに安堵した私はずるい。
でも、体調不良の理由や聖女になることについて何も語らないまま、できるだけ長くニコラスと一緒にいたいと思ってしまう。
二人は手を繋いで、所々日差しが差し込む森の中を歩く。
時々牙をむいた魔獣と遭遇するが、ニコラスがすぐにそれを剣で倒していく。
「ありがとう、ニコラスは本当に強いのね。
頼りにしているわ。
ニコラスがいるから、森の奥に行かなければ手に入らない薬草が、たくさん採れたわ。
どれも貴重なものばかりだから、本当に助かる。
ありがとう。」
「ああ、任せておけ。」
それから、二人はたくさんの薬草を摂取して、帰路についた。
「今日は俺の家に泊まっていく?」
ニコラスがさりげなく聞いてきた。
「ううん、帰る。」
「やっぱりか。
そこは変わらないんだな。
でも、俺の作ったご飯を食べたら、もっと元気が出るぞ。」
「うん、ごめん。」
「まあ、いいよ。
俺はシアナのことが好きだから、そのことだけは覚えておいて。
俺の家に来るのはその内だね。
あのさぁ、ところで、質問があるんだけど、シアナは最近教会に行ったことある?」
「えっ、ないよ。」
シアナは背中に冷たい汗が流れて、ニコラスの顔を見られない。
「俺の仲間が、教会の近くでシアナを見かけたって言ってるんだけど?」
ニコラスはシアナの反応を伺うように顔を覗き込んだ。
「知らない。」
「そうか、それならいいんだ。」
そう言って、ニコラスは少し考えているようだが、深く追及することなく帰って行った。
もしかして、私が教会に行ってるのをニコラスは知ってるの?
それだけでなく、ニコラスは私が聖女だと気づいているの?
でも、知っているとしたら、さすがに私に何か言って来るはずだわ。
今日のニコラスはいつも通りだった。
だから、聖女のことがバレる心配をしなくても大丈夫よ。
きっとニコラスは気づいていない。
まだ、彼から離れなくても大丈夫。
今はまだ。
そう自分に言い聞かせる。
24
あなたにおすすめの小説
妹なんだから助けて? お断りします
たくわん
恋愛
美しく聡明な令嬢エリーゼ。だが、母の死後に迎えられた継母マルグリットによって、彼女の人生は一変する。実母が残した財産は継母に奪われ、華やかなドレスは義姉たちに着られ、エリーゼ自身は使用人同然の扱いを受ける。そんなある日――。
私を追い出したければどうぞご自由に
睡蓮
恋愛
伯爵としての立場を有しているグルームは、自身の婚約者として同じく貴族令嬢であるメレーナの事を迎え入れた。しかし、グルームはその関係を築いていながらソフィアという女性に夢中になってしまい、メレーナに適当な理由を突き付けてその婚約を破棄してしまう。自分は貴族の中でも高い地位を持っているため、誰も自分に逆らうことはできない。これで自分の計画通りになったと言うグルームであったが、メレーナの後ろには貴族会の統括であるカサルがおり、二人は実の親子のような深い絆で結ばれているという事に気づかなかった。本気を出したカサルの前にグルームは一方的に立場を失っていくこととなり、婚約破棄を後悔した時にはすべてが手遅れなのだった…。
氷の王弟殿下から婚約破棄を突き付けられました。理由は聖女と結婚するからだそうです。
吉川一巳
恋愛
ビビは婚約者である氷の王弟イライアスが大嫌いだった。なぜなら彼は会う度にビビの化粧や服装にケチをつけてくるからだ。しかし、こんな婚約耐えられないと思っていたところ、国を揺るがす大事件が起こり、イライアスから神の国から召喚される聖女と結婚しなくてはいけなくなったから破談にしたいという申し出を受ける。内心大喜びでその話を受け入れ、そのままの勢いでビビは神官となるのだが、招かれた聖女には問題があって……。小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
不機嫌な侯爵様に、その献身は届かない
翠月るるな
恋愛
サルコベリア侯爵夫人は、夫の言動に違和感を覚え始める。
始めは夜会での振る舞いからだった。
それがさらに明らかになっていく。
機嫌が悪ければ、それを周りに隠さず察して動いてもらおうとし、愚痴を言ったら同調してもらおうとするのは、まるで子どものよう。
おまけに自分より格下だと思えば強気に出る。
そんな夫から、とある仕事を押し付けられたところ──?
[完]聖女の真実と偽りの冠
さち姫
恋愛
私、レティシア・エルメロワは聖女としての癒しの力を発揮した。
神託を聞き、国の為に聖女として、そして国の王太子の婚約者として、努力してきた。
けれど、義妹のアリシアが癒しの力を発揮した事で、少しずつ私の周りが変わっていく。
そうして、わたしは神ではなく、黒魔術を使う、偽りの聖女として追放された。
そうしてアリシアが、聖女となり、王太子の婚約者となった。
けれど、アリシアは癒しの力はあっても、神託は聞けない。
アリシア。
私はあなた方嫌いではな。
けれど、
神は偽りを知っているわ。
聖女に負けた侯爵令嬢 (よくある婚約解消もののおはなし)
蒼あかり
恋愛
ティアナは女王主催の茶会で、婚約者である王子クリストファーから婚約解消を告げられる。そして、彼の隣には聖女であるローズの姿が。
聖女として国民に、そしてクリストファーから愛されるローズ。クリストファーとともに並ぶ聖女ローズは美しく眩しいほどだ。そんな二人を見せつけられ、いつしかティアナの中に諦めにも似た思いが込み上げる。
愛する人のために王子妃として支える覚悟を持ってきたのに、それが叶わぬのならその立場を辞したいと願うのに、それが叶う事はない。
いつしか公爵家のアシュトンをも巻き込み、泥沼の様相に……。
ラストは賛否両論あると思います。納得できない方もいらっしゃると思います。
それでも最後まで読んでいただけるとありがたいです。
心より感謝いたします。愛を込めて、ありがとうございました。
だいたい全部、聖女のせい。
荒瀬ヤヒロ
恋愛
「どうして、こんなことに……」
異世界よりやってきた聖女と出会い、王太子は変わってしまった。
いや、王太子の側近の令息達まで、変わってしまったのだ。
すでに彼らには、婚約者である令嬢達の声も届かない。
これはとある王国に降り立った聖女との出会いで見る影もなく変わってしまった男達に苦しめられる少女達の、嘆きの物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる