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18.結婚
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「君に会いたいという人が来てるよ。」
その言葉に、メイベルはお茶を飲んでいた手を止めた。
今二人は、ディオン様の王都の邸に住んでいる。
長い事件の終息を迎え、ようやく王宮から離れることが許されたのだ。
「お父様!」
クライゼル公爵邸の荘厳さに戸惑いを見せながら、ライト伯爵である父が執務室に案内されて来た。
「メイベル、生きていて本当に良かった。
ずっと探していたんだよ。」
その言葉に涙が込み上げる。
「ごめんなさい。
ダリア達に再び狙われるのも怖いし、証拠もないから信じてもらえるかわからなかった。
それで姿を消す道を選んだの。」
疲れ切ったようすのお父様の両手を包み、秘密にしていたことを心から謝る。
やはり彼だけは私を案じて、探してくれていた。
「いや、私の方こそダリアとネミアスがそんなことをしていたなんて気付かずに、お前につらい思いをさせてすまなかった。
あの日、お前がネミアスと出かけた後、ダリアが邸に戻って来たのを見たと言うものだから、邸から失踪したとずっと思っていたんだよ。
まさか、崖から突き落とされて森の中にいただなんて、全く思いもしなかった。
クライゼル公爵様に助けていただけなければ、どうなっていたことか。」
「ええ、ディオン様には大変お世話なったの。」
「ありがとうございます。
クライゼル公爵様。」
お父様はディオン様に深々と頭を下げ続ける。
「お礼はもう結構ですよ。
もうすぐ僕の父になっていただきますから。」
「それは本当なんだね、メイベル?
お前が望んだことに間違いないね?」
「もちろんよ、お父様。」
その瞬間、お父様の目に安堵が浮かぶ。
「そうか、安心したよ。
クライゼル公爵様から連絡があった時、腰を抜かすかと思うほど驚いたんだ。」
「ごめんなさい、お父様。」
「いや、これ以上嬉しいことはないよ。
早くお前に会いたかったけれど、ダリアのしでかしたことの後始末があってね。
クライゼル公爵様に声をかけてもらっても、なかなかお前と会う時間を作れなかった。」
そう話すお父様の髪は真っ白になっていた。
ダリアは知らなかったとは言え、王妃の手先となり、トムに危害を加える手助けして拘束されるなど、到底気の弱いお父様が受け止めきれることではないと、わかっている。
「お父様も大変でしたね。」
私が格下のネミアスと婚約するのを承諾したのだって、お父様を思ってのことだった。
伯爵家と言えども、それほど裕福ではなく、権力闘争が激しい中を上手に立ち回れる人ではないのだ。
だから私がネミアスを支えて、お父様の負担を少しでも減らそうと思っていた。
それがこんなことになるなんて、人生とはわからないものだ。
「私のことはいいんだ。
自分の娘のことだから、自業自得だと思ってる。
でもお前は、幸せになるんだよ。」
お父様はそう言ってくれるけれど、最高位のクライゼル公爵家とのお付き合いが始まるなんて、彼にとってはそれはそれで気苦労が絶えず、皺が増える一方だと思う。
だとしても私は、ディオン様と結ばれたい。
「ありがとう、お父様。」
「やっと二人きりになれたね。」
お父様が帰った後、ディオン様の声が低く響き、私を見つめる瞳はどこまでも甘い。
彼が私と一時も離れたくないと強くお父様に訴えかけ、婚約中の私を連れ帰ろうと思っていたお父様は、身分差ゆえに断ることができず、渋々一人で帰って行ったのだ。
「ここはとても静かね。」
邸から見える庭園は驚くほど広く、伯爵家で育った私はいつも圧倒される。
月明かりに照らされた白い薔薇が、爽やかな香りを放つ。
「もうここは自分の家だと思ってくつろいで。」
「ふふ、ありがとう。」
そう微笑むと、彼はゆっくりと立ち上がり、私の手を取った。
長くしなやかな指が絡み、まるでこの世界に私たち二人しかいないように見つめ合う。
「君の笑顔が、やっと僕のものになった。」
そう囁いたあと、彼は私の額に唇を落とした。
その優しいしぐさに胸の奥が熱くなる。
「ねえ、ディオン様。」
「なんだい?」
「私、本当にここにいていいの?」
彼は少しだけ目を細めて、微笑んだ。
「君がいなければ、この邸に意味はない。
最近では森の邸が僕のいるべき場所だと思っていたくらいだ。
君がいるあそこに行きたいと、そればかり思ってた。」
「ふふ、そう言ってもらえて嬉しいわ。」
頬を撫でる彼の手は暖かくて、私はその胸に身を預ける。
「愛しているわ、ディオン様。」
「僕も。
…この先、何があっても、離さない。」
そう言って、彼は私を抱きしめ、静かに唇を重ねた。
今日は、私とディオン様の結婚式。
私がトムの元世話係であり、ディオン様が王の忠臣であるため、二人の功績を讃え、特別に王宮の礼拝堂が開放された。
特別席にはトムが鎮座し、見守るように参加してくれている。
その横にはユージーンが立ち、周囲に目を光らせる。
ディオン様は純白のタキシードに身を包み、祭壇の前で私を待っていた。
その姿を見た瞬間、胸の奥が熱くなり、目に涙が滲む。
数々の困難を越え、ようやく辿り着いた未来が、いま目の前にある。
「ようこそ、僕の妻。」
そう囁くように言った彼が手を差し伸べる。
その手を取った瞬間、彼の指が私の指に絡み、心の奥まで繋がれた気がした。
「ずっとこの日を夢見ていました。」
「僕もだよ。
君がいなければ、心は満たされない。」
誓いの言葉を交わし、神父様の声が静かに響く。
「二人は永遠に愛し合うことを神に誓いますか?」
「はい。」
二人の声が重なり、参列者たちが拍手を送る中、彼は私をそっと抱き寄せ、耳元で囁いた。
「もう二度と離さない。
君が僕の世界そのものだから。」
「ふふ…私も、あなた以外の未来なんていらない。」
唇が重なり、花びらが風に舞う。
それはまるで、祝福の雨のようだった。
結婚式が終わると、ディオン様と私は森の邸に二人で向かった。
夜の庭園を眺めながら、星空の下、静かに手を取り合う。
「もう君は公爵夫人だね。」
「ええ。
王都の邸に戻ったらディオン様に相応しいと思ってもらえるように頑張るつもりよ。」
「その気持ちは嬉しいけれど、一番大切なのは僕達が愛し合っていることさ。
だから、無理しないで。
邸には手伝う者が大勢いるし、皆が君に頼られるのを待っているんだ。
だから、彼らに協力を仰げばいいだけさ。
君はトムの世話係をした時も、僕に脅されてここに来たのに、トムのために最大限、尽くしてくれた。
それが嬉しい反面、寂しいとも思っていた。
僕を優先してほしいってね。
隣に君がいる。
僕が求めるのはそれだけなんだ。」
「二人でいることを一番に優先する。
素敵ね、私もそれがいい。」
「でも心配だよ。
二人の子供ができたら君は、またその子を第一にしてしまう。
だからしばらくは、二人で過ごしたい。」
「ふふ、ディオン様は相変わらずね。
わかったわ。
どんな時も、あなたを中心に考えるわ。」
ディオン様が私の左手を取り、指に軽く口づけを落とした。
その唇の温もりが、永遠の約束のように残る。
星が瞬き、静かな夜が二人を包み込む。
数年後、あの夜に交わした約束は一時的に破られる。
二人の間にできた双子の世話に、私の思いが向いてしまったからだ。
「どうしても、あの森の邸に行くのかい?」
「ええ、森は男の子二人を自由に遊ばせるのにうってつけだわ。」
五歳になった双子は、いつも邸を走り回り、私や世話係達を疲れさせる。
でもこの年の子は本来、公爵家の躾だけでなく、自由に遊ばせることも必要なのだ。
「数日間、大声で笑ったり叫んだり、王都の邸ではできないことをさせて、発散させるだけよ。
それにトムのように、自然についても学んでほしいの。」
「わかるけど、僕はメイベルがいないと寂しくて、おかしくなりそうだよ。」
「ふふ、すぐに戻るわ。
愛してる。」
私は顔をしかめているディオン様を抱きしめると、背伸びして頬へキスをした。
「ずるい、僕がそうされたら、もう何も言えないからって。」
途端に彼は顔を綻ばせ、私を腕の中に閉じ込める。
「今度はあなたが待っていて。
私はあなたの元へ戻るし、いつでもあなたが一番よ。」
完
その言葉に、メイベルはお茶を飲んでいた手を止めた。
今二人は、ディオン様の王都の邸に住んでいる。
長い事件の終息を迎え、ようやく王宮から離れることが許されたのだ。
「お父様!」
クライゼル公爵邸の荘厳さに戸惑いを見せながら、ライト伯爵である父が執務室に案内されて来た。
「メイベル、生きていて本当に良かった。
ずっと探していたんだよ。」
その言葉に涙が込み上げる。
「ごめんなさい。
ダリア達に再び狙われるのも怖いし、証拠もないから信じてもらえるかわからなかった。
それで姿を消す道を選んだの。」
疲れ切ったようすのお父様の両手を包み、秘密にしていたことを心から謝る。
やはり彼だけは私を案じて、探してくれていた。
「いや、私の方こそダリアとネミアスがそんなことをしていたなんて気付かずに、お前につらい思いをさせてすまなかった。
あの日、お前がネミアスと出かけた後、ダリアが邸に戻って来たのを見たと言うものだから、邸から失踪したとずっと思っていたんだよ。
まさか、崖から突き落とされて森の中にいただなんて、全く思いもしなかった。
クライゼル公爵様に助けていただけなければ、どうなっていたことか。」
「ええ、ディオン様には大変お世話なったの。」
「ありがとうございます。
クライゼル公爵様。」
お父様はディオン様に深々と頭を下げ続ける。
「お礼はもう結構ですよ。
もうすぐ僕の父になっていただきますから。」
「それは本当なんだね、メイベル?
お前が望んだことに間違いないね?」
「もちろんよ、お父様。」
その瞬間、お父様の目に安堵が浮かぶ。
「そうか、安心したよ。
クライゼル公爵様から連絡があった時、腰を抜かすかと思うほど驚いたんだ。」
「ごめんなさい、お父様。」
「いや、これ以上嬉しいことはないよ。
早くお前に会いたかったけれど、ダリアのしでかしたことの後始末があってね。
クライゼル公爵様に声をかけてもらっても、なかなかお前と会う時間を作れなかった。」
そう話すお父様の髪は真っ白になっていた。
ダリアは知らなかったとは言え、王妃の手先となり、トムに危害を加える手助けして拘束されるなど、到底気の弱いお父様が受け止めきれることではないと、わかっている。
「お父様も大変でしたね。」
私が格下のネミアスと婚約するのを承諾したのだって、お父様を思ってのことだった。
伯爵家と言えども、それほど裕福ではなく、権力闘争が激しい中を上手に立ち回れる人ではないのだ。
だから私がネミアスを支えて、お父様の負担を少しでも減らそうと思っていた。
それがこんなことになるなんて、人生とはわからないものだ。
「私のことはいいんだ。
自分の娘のことだから、自業自得だと思ってる。
でもお前は、幸せになるんだよ。」
お父様はそう言ってくれるけれど、最高位のクライゼル公爵家とのお付き合いが始まるなんて、彼にとってはそれはそれで気苦労が絶えず、皺が増える一方だと思う。
だとしても私は、ディオン様と結ばれたい。
「ありがとう、お父様。」
「やっと二人きりになれたね。」
お父様が帰った後、ディオン様の声が低く響き、私を見つめる瞳はどこまでも甘い。
彼が私と一時も離れたくないと強くお父様に訴えかけ、婚約中の私を連れ帰ろうと思っていたお父様は、身分差ゆえに断ることができず、渋々一人で帰って行ったのだ。
「ここはとても静かね。」
邸から見える庭園は驚くほど広く、伯爵家で育った私はいつも圧倒される。
月明かりに照らされた白い薔薇が、爽やかな香りを放つ。
「もうここは自分の家だと思ってくつろいで。」
「ふふ、ありがとう。」
そう微笑むと、彼はゆっくりと立ち上がり、私の手を取った。
長くしなやかな指が絡み、まるでこの世界に私たち二人しかいないように見つめ合う。
「君の笑顔が、やっと僕のものになった。」
そう囁いたあと、彼は私の額に唇を落とした。
その優しいしぐさに胸の奥が熱くなる。
「ねえ、ディオン様。」
「なんだい?」
「私、本当にここにいていいの?」
彼は少しだけ目を細めて、微笑んだ。
「君がいなければ、この邸に意味はない。
最近では森の邸が僕のいるべき場所だと思っていたくらいだ。
君がいるあそこに行きたいと、そればかり思ってた。」
「ふふ、そう言ってもらえて嬉しいわ。」
頬を撫でる彼の手は暖かくて、私はその胸に身を預ける。
「愛しているわ、ディオン様。」
「僕も。
…この先、何があっても、離さない。」
そう言って、彼は私を抱きしめ、静かに唇を重ねた。
今日は、私とディオン様の結婚式。
私がトムの元世話係であり、ディオン様が王の忠臣であるため、二人の功績を讃え、特別に王宮の礼拝堂が開放された。
特別席にはトムが鎮座し、見守るように参加してくれている。
その横にはユージーンが立ち、周囲に目を光らせる。
ディオン様は純白のタキシードに身を包み、祭壇の前で私を待っていた。
その姿を見た瞬間、胸の奥が熱くなり、目に涙が滲む。
数々の困難を越え、ようやく辿り着いた未来が、いま目の前にある。
「ようこそ、僕の妻。」
そう囁くように言った彼が手を差し伸べる。
その手を取った瞬間、彼の指が私の指に絡み、心の奥まで繋がれた気がした。
「ずっとこの日を夢見ていました。」
「僕もだよ。
君がいなければ、心は満たされない。」
誓いの言葉を交わし、神父様の声が静かに響く。
「二人は永遠に愛し合うことを神に誓いますか?」
「はい。」
二人の声が重なり、参列者たちが拍手を送る中、彼は私をそっと抱き寄せ、耳元で囁いた。
「もう二度と離さない。
君が僕の世界そのものだから。」
「ふふ…私も、あなた以外の未来なんていらない。」
唇が重なり、花びらが風に舞う。
それはまるで、祝福の雨のようだった。
結婚式が終わると、ディオン様と私は森の邸に二人で向かった。
夜の庭園を眺めながら、星空の下、静かに手を取り合う。
「もう君は公爵夫人だね。」
「ええ。
王都の邸に戻ったらディオン様に相応しいと思ってもらえるように頑張るつもりよ。」
「その気持ちは嬉しいけれど、一番大切なのは僕達が愛し合っていることさ。
だから、無理しないで。
邸には手伝う者が大勢いるし、皆が君に頼られるのを待っているんだ。
だから、彼らに協力を仰げばいいだけさ。
君はトムの世話係をした時も、僕に脅されてここに来たのに、トムのために最大限、尽くしてくれた。
それが嬉しい反面、寂しいとも思っていた。
僕を優先してほしいってね。
隣に君がいる。
僕が求めるのはそれだけなんだ。」
「二人でいることを一番に優先する。
素敵ね、私もそれがいい。」
「でも心配だよ。
二人の子供ができたら君は、またその子を第一にしてしまう。
だからしばらくは、二人で過ごしたい。」
「ふふ、ディオン様は相変わらずね。
わかったわ。
どんな時も、あなたを中心に考えるわ。」
ディオン様が私の左手を取り、指に軽く口づけを落とした。
その唇の温もりが、永遠の約束のように残る。
星が瞬き、静かな夜が二人を包み込む。
数年後、あの夜に交わした約束は一時的に破られる。
二人の間にできた双子の世話に、私の思いが向いてしまったからだ。
「どうしても、あの森の邸に行くのかい?」
「ええ、森は男の子二人を自由に遊ばせるのにうってつけだわ。」
五歳になった双子は、いつも邸を走り回り、私や世話係達を疲れさせる。
でもこの年の子は本来、公爵家の躾だけでなく、自由に遊ばせることも必要なのだ。
「数日間、大声で笑ったり叫んだり、王都の邸ではできないことをさせて、発散させるだけよ。
それにトムのように、自然についても学んでほしいの。」
「わかるけど、僕はメイベルがいないと寂しくて、おかしくなりそうだよ。」
「ふふ、すぐに戻るわ。
愛してる。」
私は顔をしかめているディオン様を抱きしめると、背伸びして頬へキスをした。
「ずるい、僕がそうされたら、もう何も言えないからって。」
途端に彼は顔を綻ばせ、私を腕の中に閉じ込める。
「今度はあなたが待っていて。
私はあなたの元へ戻るし、いつでもあなたが一番よ。」
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