6 / 12
6.喧嘩するカップル
しおりを挟む
今日、ナイジェルは王宮での業務が終わったら、夜ディナーをすることにして、薔薇の綺麗な公園で、コーデリアと待ち合わせをした。
だか、コーデリアが一向に公園に来ない。
結婚してからは、何かとやらかしがちなコーデリアのために、ナイジェルは影を彼女に内緒でつけている。
内緒にしているのは、やらかしてしまうことをコーデリアが気にしているのを知っているからだ。
一緒にいない時に、コーデリアにどんなことが起きているのか、あらかじめ知っていたら、心配も減って、僕も安心できる。
ナイジェルは、さらに公園で待ち続けるが、一向にコーデリアは来ない。
なので、コーデリア担当の影を呼び出した。
「コーデリアは何をしている?」
「実は、コーデリア様は王都で評判のクッキー店に並んでおります。」
「はっ?」
どうしてそうなる?
コーデリアはいつも想定外のことをする。
何故、僕と約束しているのに、コーデリアは店に並んでいるんだ?
まぁ、それが、僕のコーデリアか。
「実は、コーデリア様は早めにこちらについて、薔薇を楽しんでいました。
でも、こちらで喧嘩別れをしたカップルがおりまして。
どうやら、今日は結婚十周年のお祝いの日だったそうで、当然、女性の方は男性が想い出のクッキーを買って来ると思っていたのに、買って来なかった。
妻が、夫がクッキーを買い忘れたのは、愛がないからだと怒って帰ったのです。
なので、コーデリア様は、しょんぼりした男性に付き添って、クッキー店に並んでいます。
コーデリア様は男性を慰めつつも、もう一度、どうすればその女性と仲直りできるかについて、話しあっています。
めちゃくちゃ真剣に。」
影は、真面目な顔をしようとしても、面白くなって、笑っている。
彼は、長年影として働いて来ており、このたび、コーデリアの影に抜擢された。
いざ彼女について働いてみると、コーデリアは何をしでかすかわからないので、いつも想定外な展開になるのを目の当たりにしている。
影にとって、基本的に隠れて警護することは、ほぼ単調なことの繰り返しで、仕事と割り切ってやっていた。
しかし、コーデリアについてから、退屈とは無縁なのだ。
それを、ナイジェルも楽しんでいるのは、わかっているので、報告すら笑える。
「そう言うことか。
正直、十年目のカップルの喧嘩はどうでもいいけど、そこを素通りできないのが、コーデリアだよ。
じゃ、僕はレストランの食事をお持ち帰りにして、先に邸に帰っているから、後はよろしく。」
ナイジェルは、鼻歌を歌いながら、邸に向う馬車に乗り込んだ。
あー、またやってしまった。
コーデリアは、頭を抱える。
ナイジェルと約束しているのに、喧嘩別れ寸前のカップルを見過ごすことができず、仲直りの方法を話し合うちに、大分遅くなってしまった。
ナイジェルに今度こそ嫌われてしまったら、どうしよう。
急いで公園に戻るが、もうナイジェルはおらず、私を空の馬車だけが待っていた。
しょんぼりとしながら、コーデリアは邸に帰る。
邸に着くと、食堂でナイジェルが待っていると執事カミルに言われ、コーデリアは慌てて駆け込み、ひたすら謝る。
「ごめんなさい、ナイジェル。
待ち合わせに間に合わなくて。」
コーデリアは俯き、泣きそうな顔になっている。
そんなコーデリアに、ナイジェルは、
「これ、お持ち帰りにしたんだ。
何があったか、食事しながら聞こうか。」
コーデリアは、チラチラとナイジェルの表情を確認するが、ナイジェルは怒っているようすはなく、平然とした顔に見える。
「怒ってないの?」
「僕は最初から君が失敗しがちなのは知っているから、大丈夫だよ。
話してごらん。」
その優しい声がけに、コーデリアは安堵して、ナイジェルに出来事を説明した。
大まかなことはもう先に知っているナイジェルであったが、コーデリアがその時どう思って、行動していたかは、本人にしかわからない。
もし、僕が普通の令嬢と結婚していたら、お茶会での愚痴か、褒めるしかない刺繍を見せられたり、ありきたりな毎日なのだろう。
でも、コーデリアといる限り僕は、想定外のコーデリアの話に飽きることはないだろう。
コーデリアはいるだけで、可愛くて、面白いのだから。
僕は笑顔で、毎日コーデリアの話を聞くのだった。
だか、コーデリアが一向に公園に来ない。
結婚してからは、何かとやらかしがちなコーデリアのために、ナイジェルは影を彼女に内緒でつけている。
内緒にしているのは、やらかしてしまうことをコーデリアが気にしているのを知っているからだ。
一緒にいない時に、コーデリアにどんなことが起きているのか、あらかじめ知っていたら、心配も減って、僕も安心できる。
ナイジェルは、さらに公園で待ち続けるが、一向にコーデリアは来ない。
なので、コーデリア担当の影を呼び出した。
「コーデリアは何をしている?」
「実は、コーデリア様は王都で評判のクッキー店に並んでおります。」
「はっ?」
どうしてそうなる?
コーデリアはいつも想定外のことをする。
何故、僕と約束しているのに、コーデリアは店に並んでいるんだ?
まぁ、それが、僕のコーデリアか。
「実は、コーデリア様は早めにこちらについて、薔薇を楽しんでいました。
でも、こちらで喧嘩別れをしたカップルがおりまして。
どうやら、今日は結婚十周年のお祝いの日だったそうで、当然、女性の方は男性が想い出のクッキーを買って来ると思っていたのに、買って来なかった。
妻が、夫がクッキーを買い忘れたのは、愛がないからだと怒って帰ったのです。
なので、コーデリア様は、しょんぼりした男性に付き添って、クッキー店に並んでいます。
コーデリア様は男性を慰めつつも、もう一度、どうすればその女性と仲直りできるかについて、話しあっています。
めちゃくちゃ真剣に。」
影は、真面目な顔をしようとしても、面白くなって、笑っている。
彼は、長年影として働いて来ており、このたび、コーデリアの影に抜擢された。
いざ彼女について働いてみると、コーデリアは何をしでかすかわからないので、いつも想定外な展開になるのを目の当たりにしている。
影にとって、基本的に隠れて警護することは、ほぼ単調なことの繰り返しで、仕事と割り切ってやっていた。
しかし、コーデリアについてから、退屈とは無縁なのだ。
それを、ナイジェルも楽しんでいるのは、わかっているので、報告すら笑える。
「そう言うことか。
正直、十年目のカップルの喧嘩はどうでもいいけど、そこを素通りできないのが、コーデリアだよ。
じゃ、僕はレストランの食事をお持ち帰りにして、先に邸に帰っているから、後はよろしく。」
ナイジェルは、鼻歌を歌いながら、邸に向う馬車に乗り込んだ。
あー、またやってしまった。
コーデリアは、頭を抱える。
ナイジェルと約束しているのに、喧嘩別れ寸前のカップルを見過ごすことができず、仲直りの方法を話し合うちに、大分遅くなってしまった。
ナイジェルに今度こそ嫌われてしまったら、どうしよう。
急いで公園に戻るが、もうナイジェルはおらず、私を空の馬車だけが待っていた。
しょんぼりとしながら、コーデリアは邸に帰る。
邸に着くと、食堂でナイジェルが待っていると執事カミルに言われ、コーデリアは慌てて駆け込み、ひたすら謝る。
「ごめんなさい、ナイジェル。
待ち合わせに間に合わなくて。」
コーデリアは俯き、泣きそうな顔になっている。
そんなコーデリアに、ナイジェルは、
「これ、お持ち帰りにしたんだ。
何があったか、食事しながら聞こうか。」
コーデリアは、チラチラとナイジェルの表情を確認するが、ナイジェルは怒っているようすはなく、平然とした顔に見える。
「怒ってないの?」
「僕は最初から君が失敗しがちなのは知っているから、大丈夫だよ。
話してごらん。」
その優しい声がけに、コーデリアは安堵して、ナイジェルに出来事を説明した。
大まかなことはもう先に知っているナイジェルであったが、コーデリアがその時どう思って、行動していたかは、本人にしかわからない。
もし、僕が普通の令嬢と結婚していたら、お茶会での愚痴か、褒めるしかない刺繍を見せられたり、ありきたりな毎日なのだろう。
でも、コーデリアといる限り僕は、想定外のコーデリアの話に飽きることはないだろう。
コーデリアはいるだけで、可愛くて、面白いのだから。
僕は笑顔で、毎日コーデリアの話を聞くのだった。
74
あなたにおすすめの小説
狼隊長さんは、私のやわはだのトリコになりました。
汐瀬うに
恋愛
目が覚めたら、そこは獣人たちの国だった。
元看護師の百合は、この世界では珍しい“ヒト”として、狐の婆さんが仕切る風呂屋で働くことになる。
与えられた仕事は、獣人のお客を湯に通し、その体を洗ってもてなすこと。
本来ならこの先にあるはずの行為まで求められてもおかしくないのに、百合の素肌で背中を撫でられた獣人たちは、皆ふわふわの毛皮を揺らして眠りに落ちてしまうのだった。
人間の肌は、獣人にとって子犬の毛並みのようなもの――そう気づいた時には、百合は「眠りを売る“やわはだ嬢”」として静かな人気者になっていた。
そんな百合の元へある日、一つの依頼が舞い込む。
「眠れない狼隊長を、あんたの手で眠らせてやってほしい」
戦場の静けさに怯え、目を閉じれば仲間の最期がよみがえる狼隊長ライガ。
誰よりも強くあろうとする男の震えに触れた百合は、自分もまた失った人を忘れられずにいることを思い出す。
やわらかな人肌と、眠れない心。
静けさを怖がるふたりが、湯気の向こうで少しずつ寄り添っていく、獣人×ヒトの異世界恋愛譚。
[こちらは以前あげていた「やわはだの、お風呂やさん」の改稿ver.になります]
白狼王の贄姫のはずが黒狼王子の番となって愛されることになりました
鳥花風星
恋愛
白狼王の生贄としてささげられた人間族の第二王女ライラは、白狼王から「生贄はいらない、第三王子のものになれ」と言われる。
第三王子レリウスは、手はボロボロでやせ細ったライラを見て王女ではなく偽物だと疑うが、ライラは正真正銘第二王女で、側妃の娘ということで正妃とその子供たちから酷い扱いを受けていたのだった。真相を知ったレリウスはライラを自分の屋敷に住まわせる。
いつも笑顔を絶やさず周囲の人間と馴染もうと努力するライラをレリウスもいつの間にか大切に思うようになるが、ライラが番かもしれないと分かるとなぜか黙り込んでしまう。
自分が人間だからレリウスは嫌なのだろうと思ったライラは、身を引く決心をして……。
両片思いからのハッピーエンドです。
下賜されまして ~戦場の餓鬼と呼ばれた軍人との甘い日々~
星森
恋愛
王宮から突然嫁がされた18歳の少女・ソフィアは、冷たい風の吹く屋敷へと降り立つ。迎えたのは、無愛想で人嫌いな騎士爵グラッド・エルグレイム。金貨の袋を渡され「好きにしろ」と言われた彼女は、侍女も使用人もいない屋敷で孤独な生活を始める。
王宮での優雅な日々とは一転、自分の髪を切り、服を整え、料理を学びながら、ソフィアは少しずつ「夫人」としての自立を模索していく。だが、辻馬車での盗難事件や料理の失敗、そして過労による倒れ込みなど、試練は次々と彼女を襲う。
そんな中、無口なグラッドの態度にも少しずつ変化が現れ始める。謝罪とも言えない金貨の袋、静かな気遣い、そして彼女の倒れた姿に見せた焦り。距離のあった二人の間に、わずかな波紋が広がっていく。
これは、王宮の寵姫から孤独な夫人へと変わる少女が、自らの手で居場所を築いていく物語。冷たい屋敷に灯る、静かな希望の光。
⚠️本作はAIとの共同製作です。
【完結】傷物令嬢は近衛騎士団長に同情されて……溺愛されすぎです。
朝日みらい
恋愛
王太子殿下との婚約から洩れてしまった伯爵令嬢のセーリーヌ。
宮廷の大広間で突然現れた賊に襲われた彼女は、殿下をかばって大けがを負ってしまう。
彼女に同情した近衛騎士団長のアドニス侯爵は熱心にお見舞いをしてくれるのだが、その熱意がセーリーヌの折れそうな心まで癒していく。
加えて、セーリーヌを振ったはずの王太子殿下が、親密な二人に絡んできて、ややこしい展開になり……。
果たして、セーリーヌとアドニス侯爵の関係はどうなるのでしょう?
離婚を望む悪女は、冷酷夫の執愛から逃げられない
柴田はつみ
恋愛
目が覚めた瞬間、そこは自分が読み終えたばかりの恋愛小説の世界だった——しかも転生したのは、後に夫カルロスに殺される悪女・アイリス。
バッドエンドを避けるため、アイリスは結婚早々に離婚を申し出る。だが、冷たく突き放すカルロスの真意は読めず、街では彼と寄り添う美貌の令嬢カミラの姿が頻繁に目撃され、噂は瞬く間に広まる。
カミラは男心を弄ぶ意地悪な女。わざと二人の関係を深い仲であるかのように吹聴し、アイリスの心をかき乱す。
そんな中、幼馴染クリスが現れ、アイリスを庇い続ける。だがその優しさは、カルロスの嫉妬と誤解を一層深めていき……。
愛しているのに素直になれない夫と、彼を信じられない妻。三角関係が燃え上がる中、アイリスは自分の運命を書き換えるため、最後の選択を迫られる。
【完結】没落令嬢の結婚前夜
白雨 音
恋愛
伯爵令嬢アンジェリーヌは、裕福な家で愛されて育ったが、
十八歳のある日、突如、不幸に見舞われた。
馬車事故で家族を失い、その上、財産の全てを叔父家族に奪われ、
叔父の決めた相手と結婚させられる事になってしまったのだ。
相手は顔に恐ろしい傷を持つ辺境伯___
不幸を嘆くも、生きる為には仕方が無いと諦める。
だが、結婚式の前夜、従兄に襲われそうになり、誤ってテラスから落ちてしまう。
目が覚めると、そこは見知らぬ場所で、見知らぬ少年が覗き込んでいた___
異世界恋愛:短編(全8話)
《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆
私を愛してくれない婚約者の日記を読んでしまいました〜実は溺愛されていたようです〜
侑子
恋愛
成人間近の伯爵令嬢、セレナには悩みがあった。
デビュタントの日に一目惚れした公爵令息のカインと、家同士の取り決めですぐに婚約でき、喜んでいたのもつかの間。
「こんなふうに婚約することになり残念に思っている」と、婚約初日に言われてしまい、それから三年経った今も全く彼と上手くいっていないのだ。
色々と努力を重ねてみるも、会話は事務的なことばかりで、会うのは決まって月に一度だけ。
目も合わせてくれないし、誘いはことごとく断られてしまう。
有能な騎士であるたくましい彼には、十歳も年下で体も小さめな自分は恋愛対象にならないのかもしれないと落ち込む日々だが、ある日当主に招待された彼の公爵邸で、不思議な本を発見して……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる