無実の令嬢と魔法使いは、今日も地味に骨折を治す

月山 歩

文字の大きさ
28 / 39

28.レオナルドの底力

しおりを挟む
 空が白み出す頃、レオナルドは目を覚ました。
 魔力は少ないままだが、休んだせいで、体力は回復したせいらしい。

 最初に目に飛び込んだ来たのは、キャロライナとダニエルが恋人のように腕を組んで、手を繋いで、もたれ合うように二人が体を密着させて、眠っている姿だった。

 その向こうには、魔獣が取り囲んでいるが、今はそんなことどうでもいい。

 クソっ、体の中から怒りで、普段なら使うことのないところからの魔力が溢れて来るのがわかる。

 ダニエルが三人を包んでいる結界の外側にさらにもう一回り大きい結界を張ると、キャロライナとダニエルの結界を無理矢理こじ開けて、二人を引き離した。

 二人はぼんやりしながら、起きる。

「あれっ、おはよう、レオ。
 もう大丈夫なの?」

「おかげさんで、やる気に満ちてるよ。」

 レオナルドは肩の傷を自分で治癒させると、レオナルドの周りには、火花が散るほどの魔力で溢れた。

「良かった。
 ダニエルありがとう。」

 キャロライナはダニエルにほほ笑む。

「レオナルド様、ご無事で何よりです。」

「世話になったな、ダニエル。
 転移するよ。」

 そう言って、キャロライナと手を繋いで、三人で、ローレンス邸の庭先に着く。

 レオナルドは結界を外し、

「じゃ、ダニエルは一人で戻れるな。
 リーに報告してくれ。」

「えっ、僕もういらない感じですか?
 わかりました。
 じゃあ、キイナまたねー。」

「キャロだ。」

「ふふ、いいじゃない。
 好きな呼び方で。
 またねー、ダニエル。」

 ダニエルは王宮へ転移して行った。

「キャロ、話がある。」

「私もよ。
 私、怒っているんだから。

 レオが私を思って、一人だけ転移させてくれたのはわかるけど、私はどんな時だって、最後まで、レオと一緒にいたいの。

 足手まといなのはわかってる。
 繋ぐのは、手じゃなくてもいい。

 私が動けなくなるその時まで、レオを掴んでいたいの。
 その時力尽きても、それでいい。

 最後に見るのが、レオならそれでいいの。
 その時、レオといれたら、人生に後悔なんてない。
 だから、一人にしないで。」

 そう言うとキャロライナは泣き出し、レオナルドはキャロライナを抱きしめた。

 その時にはもうレオナルドは、キャロライナに言いたかった些細な嫉妬の言葉はもう消えていた。

 何故なら、自分もそうだったから。

 最後に見る景色はキャロライナで、目覚めて見る景色もキャロライナであってほしい。

 他の男とくっついているのを見るのは、体から火花が散るほど嫌だった。

「ごめん、俺が悪い。
 キャロ、君を愛してるんだ。
 結婚しよう。」

「うん、私達もうそれしかないよね。
だって、二人は、どんな時も一緒にいたいとしか思わないのだから。」

 二人が見つめ合って、抱き合っていると、周りから拍手の音が聞こえた。

 びっくりして周りを見回すと、そこはローレンス邸の庭先で、転移すると、いつも邸からやって来るトラバスとその他の邸の者が、ほぼ全員かと言うほど集まっている。

「何で、こんなに集まって来たんだ?」

「あっ、私、一度転移して戻って来た時、レオが大変って言ったかも。
 そして、王宮に行ったまま、音信不通だったわ。

 だから、二人が転移して帰って来たら、みんな心配して、邸から出て来たんだわ。

 ごめん、それは私が悪い。」

 二人は見つめ合って、笑った。



               
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

婚約者の命令により魔法で醜くなっていた私は、婚約破棄を言い渡されたので魔法を解きました

天宮有
恋愛
「貴様のような醜い者とは婚約を破棄する!」  婚約者バハムスにそんなことを言われて、侯爵令嬢の私ルーミエは唖然としていた。  婚約が決まった際に、バハムスは「お前の見た目は弱々しい。なんとかしろ」と私に言っていた。  私は独自に作成した魔法により太ることで解決したのに、その後バハムスは婚約破棄を言い渡してくる。  もう太る魔法を使い続ける必要はないと考えた私は――魔法を解くことにしていた。

契約妻に「愛さない」と言い放った冷酷騎士、一分後に彼女の健気さが性癖に刺さって理性が崩壊した件

水月
恋愛
冷酷騎士様の「愛さない」は一分も持たなかった件の旦那様視点短編となります。 「君を愛するつもりはない」 結婚初夜、帝国最強の冷酷騎士ヴォルフラム・ツヴァルト公爵はそう言い放った。 出来損ないと蔑まれ、姉の代わりの生贄として政略結婚に差し出されたリーリア・ミラベルにとって、それはむしろ救いだった。 愛を期待されないのなら、失望させることもない。 契約妻として静かに役目を果たそうとしたリーリアは、緩んだ軍服のボタンを自らの銀髪と微弱な強化魔法で直す。 ただ「役に立ちたい」という一心だった。 ――その瞬間。 冷酷騎士の情緒が崩壊した。 「君は、自分の価値を分かっていない」 開始一分で愛さない宣言は撤回。 無自覚に自己評価が低い妻に、激重独占欲を発症した最強騎士が爆誕する。

王太子様お願いです。今はただの毒草オタク、過去の私は忘れて下さい

シンさん
恋愛
ミリオン侯爵の娘エリザベスには秘密がある。それは本当の侯爵令嬢ではないという事。 お花や薬草を売って生活していた、貧困階級の私を子供のいない侯爵が養子に迎えてくれた。 ずっと毒草と共に目立たず生きていくはずが、王太子の婚約者候補に…。 雑草メンタルの毒草オタク侯爵令嬢と 王太子の恋愛ストーリー ☆ストーリーに必要な部分で、残酷に感じる方もいるかと思います。ご注意下さい。 ☆毒草名は作者が勝手につけたものです。 表紙 Bee様に描いていただきました

伯爵は年下の妻に振り回される 記憶喪失の奥様は今日も元気に旦那様の心を抉る

新高
恋愛
※第15回恋愛小説大賞で奨励賞をいただきました!ありがとうございます! ※※2023/10/16書籍化しますーー!!!!!応援してくださったみなさま、ありがとうございます!! 契約結婚三年目の若き伯爵夫人であるフェリシアはある日記憶喪失となってしまう。失った記憶はちょうどこの三年分。記憶は失ったものの、性格は逆に明るく快活ーーぶっちゃけ大雑把になり、軽率に契約結婚相手の伯爵の心を抉りつつ、流石に申し訳ないとお詫びの品を探し出せばそれがとんだ騒ぎとなり、結果的に契約が取れて仲睦まじい夫婦となるまでの、そんな二人のドタバタ劇。 ※本編完結しました。コネタを随時更新していきます。 ※R要素の話には「※」マークを付けています。 ※勢いとテンション高めのコメディーなのでふわっとした感じで読んでいただけたら嬉しいです。 ※他サイト様でも公開しています

幽閉された王子と愛する侍女

月山 歩
恋愛
私の愛する王子様が、王の暗殺の容疑をかけられて離宮に幽閉された。私は彼が心配で、王国の方針に逆らい、侍女の立場を捨て、彼の世話をしに駆けつける。嫌疑が晴れたら、私はもう王宮には、戻れない。それを知った王子は。

婚約破棄された侯爵令嬢ですが、帝国の次席秘書官になりました ――王の隣ではなく、判断を誤らせない場所へ

ふわふわ
恋愛
王太子の婚約者として王宮に仕える侯爵令嬢ゼクレテァ。 彼女は華やかな場に立つことはなく、ただ静かに、しかし確実に政務と外交を支えていた。 ――その役割が、突然奪われるまでは。 公の場で告げられた一方的な婚約破棄。 理由はただひとつ、「愛している相手がいるから」。 ゼクレテァは感情を見せることなく、その決定を受け入れる。 だが彼女が王宮を去った後、王国には小さな歪みが生じ始めた。 些細な行き違い、遅れる判断、噛み合わない政策。 それらはやがて、国家全体を揺るがす事態へと発展していく。 一方、行き場を失ったゼクレテァの前に、思いもよらぬ「選択肢」が差し出される。 求められたのは、身分でも立場でもない。 彼女自身の能力だった。 婚約破棄から始まる、 静かで冷静な逆転劇。 王の隣に立つことを拒んだ令嬢は、 やがて「世界を動かす場所」へと歩み出す――。 -

王子様とずっと一緒にいる方法

秋月真鳥
恋愛
五歳のわたくし、フィーネは姉と共に王宮へ。 そこで出会ったのは、襲われていた六歳の王太子殿下。 「フィーネ・エルネスト、助太刀します! お覚悟ー!」 身長を超える大剣で暗殺者を一掃したら、王子様の学友になっちゃった! 「フィーネ嬢、わたしと過ごしませんか?」 「王子様と一緒にいられるの!?」 毎日お茶して、一緒にお勉強して。 姉の恋の応援もして。 王子様は優しくて賢くて、まるで絵本の王子様みたい。 でも、王子様はいつか誰かと結婚してしまう。 そうしたら、わたくしは王子様のそばにいられなくなっちゃうの……? 「ずっとわたしと一緒にいる方法があると言ったら、フィーネ嬢はどうしますか?」 え? ずっと一緒にいられる方法があるの!? ――これは、五歳で出会った二人が、時間をかけて育む初恋の物語。 彼女はまだ「恋」を知らない。けれど、彼はもう決めている――。 ※貧乏子爵家の天真爛漫少女×策略王子の、ほのぼのラブコメです。 ※ノベルアップ+、小説家になろうでも掲載しています。

【完結】突然の変わり身「俺に惚れるな」と、言っていたのは誰ですか⁉ ~脱走令嬢は、素性を隠した俺様令息に捕獲される~

瑞貴◆後悔してる/手違いの妻2巻発売!
恋愛
 世間から見れば、普通に暮らしている伯爵家令嬢ルイーズ。  けれど実際は、愛人の子ルイーズは継母に蔑まれた毎日を送っている。  継母から、されるがままの仕打ち。彼女は育ててもらった恩義もあり、反抗できずにいる。  継母は疎ましいルイーズを娼館へ売るのを心待ちにしているが、それをルイーズに伝えてしまう。  18歳になれば自分は娼館へ売られる。彼女はそうなる前に伯爵家から逃げるつもりだ。  しかし、継母の狙いとは裏腹に、ルイーズは子爵家のモーガンと婚約。  モーガンの本性をルイーズは知らない。  婚約者の狙いでルイーズは、騎士候補生の訓練に参加する。そこで、ルイーズと侯爵家嫡男のエドワードは出会うことになる。  全ての始まりはここから。  この2人、出会う前から互いに因縁があり、会えば常に喧嘩を繰り広げる。 「どうしてエドワードは、わたしと練習するのよ。文句ばっかり言うなら、誰か別の人とやればいいでしょう! もしかして、わたしのことが好きなの?」 「馬鹿っ! 取り柄のないやつを、俺が好きになるわけがないだろう‼ お前、俺のことが分かっているのか? 煩わしいからお前の方が、俺に惚れるなよ」  エドワードは侯爵家嫡男の顔の他に、至上者としての職位がある。それは国の最重要人物たちしか知らないこと。  その2人に、ある出来事で入れ替わりが起きる。それによって互いの距離がグッと縮まる。  一緒にいると互いに居心地が良く、何の気兼ねも要らない2人。  2人で過ごす時間は、あまりにも楽しい…。  それでもエドワードは、ルイーズへの気持ちを自覚しない。  あるきっかけで体が戻る。  常々、陛下から王女との結婚を持ち掛けられているエドワード。  彼の気持ちはルイーズに向かないままで、自分の結婚相手ではないと判断している。  そんななか、ルイーズがいなくなった…。  青ざめるエドワード。もう会えない…。焦ったエドワードは彼女を探しに行く。  エドワードが、ルイーズを見つけ声を掛けるが、彼女の反応は随分とそっけない。  このときのルイーズは、エドワードに打ち明けたくない事情を抱えていた。 「わたし、親戚の家へ行く用事があるので、あの馬車に乗らないと…。エドワード様お世話になりました」 「待てっ! どこにも行くな。ルイーズは俺のそばからいなくなるな」  吹っ切れたエドワード。自分はルイーズが好きだと気付く。  さらに、切れたエドワードは、ルイーズと共に舞踏会で大騒動を起こす!  出会うはずのない2人の、変わり身の恋物語。 ※常用漢字外はひらがな表記やルビを付けています。  読めるのに、どうしてルビ? という漢字があるかもしれませんが、ご了承ください。

処理中です...