ポエム集

木森木林(きもりきりん)

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天狗

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段々畑の貧しい村
汗流し働けど
村びとたちの涙は枯れない

村を荒らしていた鬼を
追い払った強い天狗
村びとたちは喜んで
天狗の住処を作ったの

だけどチカラをカサにきて
村びとたちを脅す天狗
村びとたちは恐れて
酒とオンナを貢いだ

初め鬼を追い払った恩として、仕方がないだろうと、こんなことが始まった。そんな村の状況が何年も続き、天狗の当然の権利のようになってしまっていた。いつしか天狗の白羽がたった家のムスメと沢山の酒が天狗に送られるようになっていた。ムスメを送り出す家のものは涙にくれ、そうでなかった家では可哀想だが村のためだと黙りこくってしまうのでした。そして酒代を稼ぐために一生懸命働くのでした。そんなある年、また一軒の家に白羽の矢がたったのです。

突然 恋人を天狗に
とられそうになった若者
若者はイノチをかけて
天狗と戦う

その日暮らしで天狗の
酒代に苦しむ村びとは
誰もが悲しみに耐えて
きたのだと引き止めた

若者は村びとたちが憎らしかった。そして、こんなシキタリを残してきた社会を怨んだ。それにもまして今まで自分とは関係ないこととして問題を避けてきた自分自身が憎かった。そして自分が、いかにヒドイ仕打ちをムスメたちにしてきたか思い知るのでした。

一人戦う若者に
カラス天狗を行かせる天狗
村びとたちは田畑が
荒らされると怒った

段々畑の貧しい村
汗流し働けど
村びとたちの涙は枯れない





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