ただ、愛を貪った

夕時 蒼衣

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クズとボロきれ②

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 彼女は僕のうっ憤をを晴らしてくれる。彼女は僕を受け入れてくれる。愛してくれる。こんなどうしようもない俺を。そんな優しい、彼女の甘さに俺は漬け込んだ。甘い蜜を吸う。三葉には壊れ物を扱うようにそっと優しくなでる。その一方で、綾香には割れ物を粉々になるまで叩き壊すように扱う。俺は紳士的で破壊的だ。
 私はもう、どちらの自分が本当の自分なのか分からなくなっていた。三葉と一緒にいる時、私はたしかに疲れていた。骨の髄まで絞り取られ、養分をなくし枯れ果てていた。それでも、私は彼女を愛していないわけではない。むしろ、私は彼女を本当に大切にしていた。彼女のためなら、何でもできた。彼女の手を取り、どこまでも、まっすぐ歩ける自信があった。決してこれは、同情なんてそんな生ぬるいものではない。彼女にとって、蒼汰は生きる希望である。それと同時に私にとっても、生きる希望である。私たちは夫婦として、同じ希望も持ち、同じ道を目指している。私たちは運命共同体なのだ。その間に誰かが入り込む隙間など、存在はしない。たとえ、それが綾香だとしても。
 もちろん、綾香を俺は愛している。ただ、三葉と綾香とでは愛しているの種類が違った。綾香はたしかに家族ではなかった。でも、決して、愛人なんかという関係でもない。俺にとって彼女は必要不可欠なそんざいなのだ。彼女は俺の、一番大切にしている玩具のような存在だ。綾香が毎日、外に持ち出して遊んでいる玩具だとしたら、三葉は宝箱にきれいに保管されている宝石だ。
 僕はどちらも愛している。そんなに狂っていても、どんなに愛に溺れていようと僕は二人を愛している。違った視点で、違った愛し方で。
 綾香にしかできない、愛し方で。三葉にしかできない愛し方で。僕は二人の女性を愛す。
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