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第三節
ミコトバの乳(11)
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私はマッチを擦り、二つのランタンに火を着ける。
辺りを明るく照らす。
その明かりは温かな橙色で、ほっとする私が居た。
炎が揺めき、周囲もゆらゆらと明るくする。
私は二つのランタンを噴水の縁に置いた。
「まあ、そのうち、警察や自衛隊が来て助けてくれるだろうよ」
老父は言うと、背もたれに寄り掛かる。
老父の言葉に返す人は居ない。
沈黙が続く。
「神は善良な者をお守りくださる」
老婆はそう言うと、分厚い本のページを一枚めくる。
「神か、今まで信じた事が無かったけど、どんな姿なんだろうな」
老父の独り言が冷えた空気に広がり消えていく。
突然、老婆が立ち上がった。
皆の視線が老婆に向く。
老婆は小さな歩幅で歩き出す。
その両手には分厚い本を抱えている。
老婆の歩く先にお手洗いがある。
お手洗いの扉を開き、老婆は入っていった。
「なんだよ、何かのお告げかと思ったら、ただのトイレかよ」
老婆が居なくなった店内では、体の緊張がほどけるのを感じた。
娘はぴょんと立ち上がると、通路に出た。
ちらりちらりと私の表情を見ながら一歩一歩足を動かす。
抜き足差し足で、歩く。
その先には、妻が居る。
私は娘に一つ小さく頷いた。
それを見た娘は、たたたたっと妻へと駆け寄った。
妻は娘を膝に乗せる。
娘の頬が緩み、笑みがほころぶ。
妻も優しい表情を作り、愛でている。
それを篠生が、じとっと見ていた。
その目は、妻と娘の体の輪郭を這うように見続ける。
私はその目にねちっこい不快を覚えた。
田堂の母は息子の頭を撫で、老夫婦は何やら話している。
私は、静かに立ち上がった。
妻は私を心配そうに見上げる。
「何でもないよ。すぐに戻る」
私は今も悪魔を信じる事は出来なかった。
私は配達員の居る場所へ足を進める。
確かに一人亡くなり、ニュースでは悪魔が闊歩していた。
それは間違いない。
しかし、実際に目の前で悪魔の姿を見ていない。
悪魔がどのような姿をしているのか。
そして、悪魔が地上にやってきた理由は何だろうか。
町を破壊する理由は何だろうか。
疑問だけが膨れ上がり、老婆の発言の真偽をはっきりさせたかった。
私は、配達員さんに近づいた。
配達員は拘束されて、横になっている。
配達員は、近づいた私に怯えていた。
動かない体を何とか這わして、私から遠ざかる。
「すみません、辛い思いをさせてしまい。本当は今すぐにでもこのロープを解きたい」
私はそう言いながら、片膝を立てて座った。
遠ざかっていく配達員は壁にぶつかった。
これ以上、遠ざかる事は出来ない。
「お、お前達は狂ってる」
配達員は怯え震えた声で言い放つ。
配達員の瞳は揺れ動き、私に焦点が定まらない。
辺りを明るく照らす。
その明かりは温かな橙色で、ほっとする私が居た。
炎が揺めき、周囲もゆらゆらと明るくする。
私は二つのランタンを噴水の縁に置いた。
「まあ、そのうち、警察や自衛隊が来て助けてくれるだろうよ」
老父は言うと、背もたれに寄り掛かる。
老父の言葉に返す人は居ない。
沈黙が続く。
「神は善良な者をお守りくださる」
老婆はそう言うと、分厚い本のページを一枚めくる。
「神か、今まで信じた事が無かったけど、どんな姿なんだろうな」
老父の独り言が冷えた空気に広がり消えていく。
突然、老婆が立ち上がった。
皆の視線が老婆に向く。
老婆は小さな歩幅で歩き出す。
その両手には分厚い本を抱えている。
老婆の歩く先にお手洗いがある。
お手洗いの扉を開き、老婆は入っていった。
「なんだよ、何かのお告げかと思ったら、ただのトイレかよ」
老婆が居なくなった店内では、体の緊張がほどけるのを感じた。
娘はぴょんと立ち上がると、通路に出た。
ちらりちらりと私の表情を見ながら一歩一歩足を動かす。
抜き足差し足で、歩く。
その先には、妻が居る。
私は娘に一つ小さく頷いた。
それを見た娘は、たたたたっと妻へと駆け寄った。
妻は娘を膝に乗せる。
娘の頬が緩み、笑みがほころぶ。
妻も優しい表情を作り、愛でている。
それを篠生が、じとっと見ていた。
その目は、妻と娘の体の輪郭を這うように見続ける。
私はその目にねちっこい不快を覚えた。
田堂の母は息子の頭を撫で、老夫婦は何やら話している。
私は、静かに立ち上がった。
妻は私を心配そうに見上げる。
「何でもないよ。すぐに戻る」
私は今も悪魔を信じる事は出来なかった。
私は配達員の居る場所へ足を進める。
確かに一人亡くなり、ニュースでは悪魔が闊歩していた。
それは間違いない。
しかし、実際に目の前で悪魔の姿を見ていない。
悪魔がどのような姿をしているのか。
そして、悪魔が地上にやってきた理由は何だろうか。
町を破壊する理由は何だろうか。
疑問だけが膨れ上がり、老婆の発言の真偽をはっきりさせたかった。
私は、配達員さんに近づいた。
配達員は拘束されて、横になっている。
配達員は、近づいた私に怯えていた。
動かない体を何とか這わして、私から遠ざかる。
「すみません、辛い思いをさせてしまい。本当は今すぐにでもこのロープを解きたい」
私はそう言いながら、片膝を立てて座った。
遠ざかっていく配達員は壁にぶつかった。
これ以上、遠ざかる事は出来ない。
「お、お前達は狂ってる」
配達員は怯え震えた声で言い放つ。
配達員の瞳は揺れ動き、私に焦点が定まらない。
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