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サブヒロインと勇者はデートをする 勇者side
傷の治療を受けた翌日。
王宮へ向かった俺は、国王陛下から“頼み事”をされた。
――西の魔王討伐後、それまで魔王に怯えておとなしかった龍が活性化を始め、民に被害が出ている。討伐してほしい、とのことだった。
西の魔王を倒したせいで均衡が崩れたのなら、責任の一端は俺にある。依頼を受けるのに迷いはなかった。
問題は、出立までにどこまで傷が回復するかだったが――。
(……全然痛くないな)
昨日、ユウフェが一番治りの悪かった傷を丁寧に手当てしてくれたおかげだ。突っ張りも痛みも完全にひいている。
(龍か…西の魔王を恐れていたと言うことは、西の魔王よりは弱いのか?見た目は龍の方が強そうだと思ったけど)
肩をグルグルしながら、状態を確かめていると、王宮を出たところに俺の乗って来た馬車が止まっており、その前には腰まであるシトリンの髪を片側に編み込んでいる令嬢の綺麗な横顔が目に入った。
「ユウフェ?」
「勇者様!!」
俺の姿を見つけて、パァっと嬉しそうな表情を浮かべている。
(何でこんなにいちいち可愛いんだろう…)
「なんで此処に?」
「勇者様とお出掛けしたかったのです!勇者様とは今晩、食事会のお約束して居るので、それまで待つべきとは考えたのですが…。
でも、夜お食事をするだけで無くて、昼間に。勇者様とデートと言うものをしたかったのです」
「いつも居る侍女さんとか。執事さんとかは…」
辺りをキョロキョロ見渡す勇者に、ユウフェは答えた。
「私の乗って来た馬車に乗って勇者様のお屋敷に戻ってもらいました。
此処は王宮の前ですし、何より私が外を一人で出歩く事は珍しい事ではないんですよ?とっくに公爵家では公認されてますのでご安心ください!」
「いや全然安心できないよ。貴族のご令嬢なんだからもっと危機感を……」
「ですが、見てください。私お出掛けする時はこの様に、民と同じ格好で紛れ込んで居るのです。
それに、私色んな村を渡り歩いて旅もした事があるんですよ?流石に旅は護衛を3人連れてゆきましたけれど!」
えへへっと得意げに笑っているユウフェ。確かに民に馴染む様な格好はしているが、やはり美人でスタイルもよいし、小綺麗なのでお金持ちの娘である雰囲気は出てしまっている。
(でも公爵が許してるなら大丈夫な範囲でなんだろうし、今からは俺もいるし、取り敢えず可愛いから良いか。)と心で思い直した勇者は、小さく息ついた後に、御者を視線で促して馬車の戸を開けてもらった。
「どこに行きたいの?」
自然と手を差し出して、ユウフェが馬車に乗るエスコートをしてしまうのは、元平民で貴族に仕えていた性質故の条件反射だった。
その勇者の手に、ユウフェは嬉しそうに目を輝かせてから、そっと己の手を重ねる。
「……あ、暖かい」
ぽつりと小声で言うと、勇者は目が合ったのに一瞬でそらした。
ユウフェはその後、添えた手を見て機嫌良さそうに笑みを浮かべて馬車へ乗り込むその姿に、(何が嬉しいんだろう…)と思いながらも勇者も少し照れて頬が朱らむのを誤魔化すために鼻下をこする。
「勇者様が行こうとしていた場所です。
明後日には龍の討伐にお出掛けなさるのでしょう?
武具の調達や地図、ポーション等々買い揃えるものが沢山あるはずです!」
「デートがしたかったんだろ?それじゃあユウフェはつまらないんじゃないかな?」
「何を仰いますか!勇者様を万全な状態で送り出すのにつまらない事などございません。
ポーションを含めた回復薬や、旅に必要なもの、保存食等々はまだ初期値の勇者様よりも私の方が存じています。
一緒に選ばせてください!!」
フンスッと、鼻息荒くまくし立てる姿に、ちょっと笑いながらも、こうして婚約者がどうしても行きたいと言うちょっと変わったデートをする事になった。
王宮へ向かった俺は、国王陛下から“頼み事”をされた。
――西の魔王討伐後、それまで魔王に怯えておとなしかった龍が活性化を始め、民に被害が出ている。討伐してほしい、とのことだった。
西の魔王を倒したせいで均衡が崩れたのなら、責任の一端は俺にある。依頼を受けるのに迷いはなかった。
問題は、出立までにどこまで傷が回復するかだったが――。
(……全然痛くないな)
昨日、ユウフェが一番治りの悪かった傷を丁寧に手当てしてくれたおかげだ。突っ張りも痛みも完全にひいている。
(龍か…西の魔王を恐れていたと言うことは、西の魔王よりは弱いのか?見た目は龍の方が強そうだと思ったけど)
肩をグルグルしながら、状態を確かめていると、王宮を出たところに俺の乗って来た馬車が止まっており、その前には腰まであるシトリンの髪を片側に編み込んでいる令嬢の綺麗な横顔が目に入った。
「ユウフェ?」
「勇者様!!」
俺の姿を見つけて、パァっと嬉しそうな表情を浮かべている。
(何でこんなにいちいち可愛いんだろう…)
「なんで此処に?」
「勇者様とお出掛けしたかったのです!勇者様とは今晩、食事会のお約束して居るので、それまで待つべきとは考えたのですが…。
でも、夜お食事をするだけで無くて、昼間に。勇者様とデートと言うものをしたかったのです」
「いつも居る侍女さんとか。執事さんとかは…」
辺りをキョロキョロ見渡す勇者に、ユウフェは答えた。
「私の乗って来た馬車に乗って勇者様のお屋敷に戻ってもらいました。
此処は王宮の前ですし、何より私が外を一人で出歩く事は珍しい事ではないんですよ?とっくに公爵家では公認されてますのでご安心ください!」
「いや全然安心できないよ。貴族のご令嬢なんだからもっと危機感を……」
「ですが、見てください。私お出掛けする時はこの様に、民と同じ格好で紛れ込んで居るのです。
それに、私色んな村を渡り歩いて旅もした事があるんですよ?流石に旅は護衛を3人連れてゆきましたけれど!」
えへへっと得意げに笑っているユウフェ。確かに民に馴染む様な格好はしているが、やはり美人でスタイルもよいし、小綺麗なのでお金持ちの娘である雰囲気は出てしまっている。
(でも公爵が許してるなら大丈夫な範囲でなんだろうし、今からは俺もいるし、取り敢えず可愛いから良いか。)と心で思い直した勇者は、小さく息ついた後に、御者を視線で促して馬車の戸を開けてもらった。
「どこに行きたいの?」
自然と手を差し出して、ユウフェが馬車に乗るエスコートをしてしまうのは、元平民で貴族に仕えていた性質故の条件反射だった。
その勇者の手に、ユウフェは嬉しそうに目を輝かせてから、そっと己の手を重ねる。
「……あ、暖かい」
ぽつりと小声で言うと、勇者は目が合ったのに一瞬でそらした。
ユウフェはその後、添えた手を見て機嫌良さそうに笑みを浮かべて馬車へ乗り込むその姿に、(何が嬉しいんだろう…)と思いながらも勇者も少し照れて頬が朱らむのを誤魔化すために鼻下をこする。
「勇者様が行こうとしていた場所です。
明後日には龍の討伐にお出掛けなさるのでしょう?
武具の調達や地図、ポーション等々買い揃えるものが沢山あるはずです!」
「デートがしたかったんだろ?それじゃあユウフェはつまらないんじゃないかな?」
「何を仰いますか!勇者様を万全な状態で送り出すのにつまらない事などございません。
ポーションを含めた回復薬や、旅に必要なもの、保存食等々はまだ初期値の勇者様よりも私の方が存じています。
一緒に選ばせてください!!」
フンスッと、鼻息荒くまくし立てる姿に、ちょっと笑いながらも、こうして婚約者がどうしても行きたいと言うちょっと変わったデートをする事になった。
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