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1981年3月15日(日)ガンダムを観る
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1981年3月15日(日)ガンダムを観る
春休みの初日。
5:30過ぎに家を出て、始発のバスに乗り、澄川駅で地下鉄に乗り継いで街へ。
狸小路の松竹遊楽は既に長蛇の列。
映画「機動戦士ガンダム」公開翌日の初回、
満員の館内の観客は、ざっと見た限りでは、ほぼ全員が男子中高大学生っぽい。
女子の姿は確認できなかった。
安彦良和が物理的に可能な限り描き直した、という噂もあった新作カット、
拍子抜けする程の少なさ。全体の1割あったかどうか。
ストーリーは、報じられていた通り、
最初のクールの重要エピソードをほぼそのまま繋いだ総集編的構成で、
なんというか、知ってる話・知ってる台詞なので、ワンダーはない。
TVシリーズの音楽をそのまま使うのは音質的に問題があるのかもしれないが、
微妙にアレンジやテンポが変えられた音楽に、いまいち乗り切れない。
最後に流れるやしきたかじんの曲は、やはり、あまり世界観に合っていない。
メロディやアレンジに新鮮さもない。999のゴダイゴと大違い。
別に無名の歌手でもいいから、どこか新しい何かを感じられる曲の方が良かった。
この曲を使うくらいなら、新曲使用に拘らずに、
例えばセカンドBGM集の戸田恵子「いまはおやすみ」でも良かったのだが、
いろいろ商売的なしがらみがあったりするのだろうか。
この数年のアニメ映画の主題歌・音楽に関しては、
ヤマトと999はほぼ文句がないレベル。
カリ城は最後にかかる主題歌は正直ちょっと世界観に合わない気がするがBGMは全編的確、
特に冒頭とクラリスの部屋に行くシーンのジャンプの音楽が素晴らしく、
冒頭の音楽とジャンプで一気に<冒険活劇アニメ>の世界に引き込まれた。
なんと言うか、カリ城は、わずかな瑕瑾と言えば言えるのはこの主題歌くらいで、
あとは全編アニメーションならではの面白さ(絵が動く事の面白さ)に満ちた作品だった。
全編新作カットのカリ城に比べるのは酷だが、ガンダムは1本の映画作品としては正直微妙。
カリ城は万人におすすめできるが、今回のガンダムは、
コアなアニメファン、コアなガンダムファン以外にはおすすめはできない。
「スターログ」の愛読者でも、ハードSF寄りの人は認めななさそう。
とは言え、これが最初の一歩。
ここから日本のアニメ新世紀が始まるかもしれないのだ。
この作品がコケたら、再び、子供向けの「テレビまんが」ばかりが作られる、
我々中学生・高校生以上のアニメファンにとっては寒い時代に戻ってしまう可能性がないとは言えない。
今日は時々雨が降る暖かさで、順調に雪解けが進んできている。
青のアディダスのスニーカーで雪が溶けた部分を選んで歩く。
丸井、玉光堂、旭屋書店に寄って、ガンダムのプラモデル、レコード、小説を買う。
ガンプラは、ザク、シャアザク、グフ、ジオングが未制作なのにまた買ってしまった。
本当はこの高校に合格した事に浮かれていないで、
3年後のもっと重要な試験(北大受験?)に向けて、
この春休みから勉強癖をつけるべきなのだろうが、
すっかり気が緩んで、全然、やる気が起きない。
3年後の今頃はどうなっている事やら。
帰りの地下鉄の真正面の席にかわいい女の子が座っていた。
最近流行りの松田聖子っぽい外巻きの髪型、大きすぎない目。
中2の時に好きだった藤井遥香にちょっと似ている地味かわいい系。
その女の子も澄川駅で降りて(もしかして家が近所!?)と期待したが、
バスの待合室には入らなかった。
澄川に住んでいるなら、また見かける事もあるかもしれないが、
澄川には何かの用で来ただけなら、多分二度と見かける事もない。
……こっそり後をつけてみる事を一瞬考えたけど、
ガンダムを観た日にそれをするのは、なんとなく不純な気がしてやめた。
(1981/03/15了)
春休みの初日。
5:30過ぎに家を出て、始発のバスに乗り、澄川駅で地下鉄に乗り継いで街へ。
狸小路の松竹遊楽は既に長蛇の列。
映画「機動戦士ガンダム」公開翌日の初回、
満員の館内の観客は、ざっと見た限りでは、ほぼ全員が男子中高大学生っぽい。
女子の姿は確認できなかった。
安彦良和が物理的に可能な限り描き直した、という噂もあった新作カット、
拍子抜けする程の少なさ。全体の1割あったかどうか。
ストーリーは、報じられていた通り、
最初のクールの重要エピソードをほぼそのまま繋いだ総集編的構成で、
なんというか、知ってる話・知ってる台詞なので、ワンダーはない。
TVシリーズの音楽をそのまま使うのは音質的に問題があるのかもしれないが、
微妙にアレンジやテンポが変えられた音楽に、いまいち乗り切れない。
最後に流れるやしきたかじんの曲は、やはり、あまり世界観に合っていない。
メロディやアレンジに新鮮さもない。999のゴダイゴと大違い。
別に無名の歌手でもいいから、どこか新しい何かを感じられる曲の方が良かった。
この曲を使うくらいなら、新曲使用に拘らずに、
例えばセカンドBGM集の戸田恵子「いまはおやすみ」でも良かったのだが、
いろいろ商売的なしがらみがあったりするのだろうか。
この数年のアニメ映画の主題歌・音楽に関しては、
ヤマトと999はほぼ文句がないレベル。
カリ城は最後にかかる主題歌は正直ちょっと世界観に合わない気がするがBGMは全編的確、
特に冒頭とクラリスの部屋に行くシーンのジャンプの音楽が素晴らしく、
冒頭の音楽とジャンプで一気に<冒険活劇アニメ>の世界に引き込まれた。
なんと言うか、カリ城は、わずかな瑕瑾と言えば言えるのはこの主題歌くらいで、
あとは全編アニメーションならではの面白さ(絵が動く事の面白さ)に満ちた作品だった。
全編新作カットのカリ城に比べるのは酷だが、ガンダムは1本の映画作品としては正直微妙。
カリ城は万人におすすめできるが、今回のガンダムは、
コアなアニメファン、コアなガンダムファン以外にはおすすめはできない。
「スターログ」の愛読者でも、ハードSF寄りの人は認めななさそう。
とは言え、これが最初の一歩。
ここから日本のアニメ新世紀が始まるかもしれないのだ。
この作品がコケたら、再び、子供向けの「テレビまんが」ばかりが作られる、
我々中学生・高校生以上のアニメファンにとっては寒い時代に戻ってしまう可能性がないとは言えない。
今日は時々雨が降る暖かさで、順調に雪解けが進んできている。
青のアディダスのスニーカーで雪が溶けた部分を選んで歩く。
丸井、玉光堂、旭屋書店に寄って、ガンダムのプラモデル、レコード、小説を買う。
ガンプラは、ザク、シャアザク、グフ、ジオングが未制作なのにまた買ってしまった。
本当はこの高校に合格した事に浮かれていないで、
3年後のもっと重要な試験(北大受験?)に向けて、
この春休みから勉強癖をつけるべきなのだろうが、
すっかり気が緩んで、全然、やる気が起きない。
3年後の今頃はどうなっている事やら。
帰りの地下鉄の真正面の席にかわいい女の子が座っていた。
最近流行りの松田聖子っぽい外巻きの髪型、大きすぎない目。
中2の時に好きだった藤井遥香にちょっと似ている地味かわいい系。
その女の子も澄川駅で降りて(もしかして家が近所!?)と期待したが、
バスの待合室には入らなかった。
澄川に住んでいるなら、また見かける事もあるかもしれないが、
澄川には何かの用で来ただけなら、多分二度と見かける事もない。
……こっそり後をつけてみる事を一瞬考えたけど、
ガンダムを観た日にそれをするのは、なんとなく不純な気がしてやめた。
(1981/03/15了)
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