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鬼姫の始まり

九話

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カン カン カン カン 

カン カン カン カン

船の外から港に着いた合図の鐘の音が聞こえてきた。
「…?」
船が港に着いたようだ。ミコトは急いで甲板に行った。

「ガハハハハ!無事に着いたぞ!」
「着いたぞ!」
「「「着いたぞ~!」」」

甲板では船長と船員達が何人かで大声を上げていた、その中に何故かリチャードも混ざっていたが。

「お!ミコト嬢ちゃん出てきたか、これを受け取ってくれ。」
アルフレッド船長は、ミコトに重そうな袋を渡した。

「…これ?」
袋の中身は金貨や銀貨が入っていた。

「ガハハハハ!、ミコト嬢ちゃんは、まだ冒険者じゃないだろ?、だからと言って船と命を救われて報酬無しは俺の名が廃るってもんよ、それにあのボス、キラーシャークはそれなりの魔獣でな素材は高く売れるからな、てかよく倒せたな!ガハハハハ!、てなわけで受け取ってくれや。」

「…ありがとう」

「おう!まぁ、なんだかんだ世話に成ったしな、あ…そうだ、ミコト嬢ちゃんよ、リチャードの坊主達と一緒に冒険者ギルドに行って冒険者に成っちまいなよ、紹介状渡すからよ、ガハハハハ!ちょっと待ってな。」

そう言うとアルフレッド船長は、船長室に行ってしまった。
しばらくすると手紙のようなものをもって出てきた。
「じゃあ、これな。」
そう言うと手紙のようなものをミコトに渡した。

「ガハハハハ!、また倉庫で密航者達と飲もうぜ!」

船長の言うとおり、ミコトは二日ほど前、倉庫で船長と一緒に密航者達と酒盛りをした、まぁ鬼人族だからなのか、酒にはめっぽう強かったが。

「「「今何て言った!」」」
「うを!お前達どうした」
「船長またやったのか!密航者はどこにやった!。」
船員達がアルフレッド船長に食って掛かった。
「ガハハハハ!、そんなもんもうとっくに港に上がってるじゃないか!ガハハハハ!」
「「「……またか」」」
「またやったな」「ヤベー」「怒られる」「会頭に叱られるな」「またか」
口々に船員たちが船長をつつくが船長はとくに気にしないらしい。
それどころか常習犯のようだ、ミコトも船長に誘われて酒盛りをした、それだけに溜め息を吐きたくなった。
「ガハハハハ!、ちゃんと土産も持たしたから、奴らはその内、全うな仕事につくだろうよ、ガハハハハ!」
「「「はーダメだこりゃ」」」
船長の言ったとおり、密航者達は皆気のいい者達だった、とミコトは思った。
多分だかアルフレッド船長が、船に乗れない人達を乗せてあげていたんだと思う。

「ガハハハハ!」

何とも言えないが。
まぁ何気に船員の中にも船長と一緒に、密航者達と酒盛りをした人たちも要るが、これは言わぬが花だろう。
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