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鬼姫の始まり

十六話

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ミコト達が倉庫の立ち並ぶ場所から、しばらく進むと、倉庫のような建物ではなく、様々な御店の建ち並ぶ通りに出てきた、回りには肉や魚を売っている店、野菜、果物、何なのかよく分からない御店、動物の骨や、何かの薬瓶の並ぶ店まであった。

時たまスリが表れるが私には、バレバレなので、全て何食わぬ顔でやり過ごした。

スリの奴らは苦い顔で人混みに消えていった。

暫くすると、武装した人通りの大いにところにやって来た、辺りには、出店が並び、まるでお祭りのようだ、少し暗い気がするが、出店以外だとやたらと宿屋や、酒場、独特な臭いのする変な店等があった。

そして、正面に煉瓦作りの巨大な建物があった、旗や看板には剣と盾、そして、杖の、紋章が描かれていた。

「ふふ、ミコトさん、ここがこの街の冒険者ギルドです、ではでは、行きましょう。」

私はキアラの後に続いて冒険者ギルドに入った。

建物内は巨大な受け付けや掲示板、それに酒場があり、武装した人たちが多かった、ミコトが冒険者ギルドに入ると、何人かが視線を向けてくるが、直ぐに興味を失って視線を反らすものや、実力を何となく感じ取って凝視する者もちらほらいた。

「ほら、ミコトさん、受け付けに行きますよ。」

「…分かった」

私はキアラの案内で受付の、一番人の少ない所に並んだ、暫くすると直ぐに順番が来て、受付を見ると、強面の熊見たいな男がいた。

「どうも、アルクさん、今日は私は付き添いです、ほらミコトさん。」
「おお、キアラくんか、久しいな、それで後ろのお嬢さんは?」

「…名前ミコト、冒険者になりたい」

「はい、ではミコトさん、冒険者になるには、銀貨三枚が必要だよ。」

「…後コレ」

「ん?……紹介状かな、二枚なんて珍しいね、おや?……ふむ、分かりました少々お待ちください。」

アルクと呼ばれた熊男は受付から離れて行ってしまった。

「…キアラ、どうすればいい?」
「え~と、待ってればいいと思います。」
「…分かった。」

少し待つとアルクと呼ばれた熊男が戻ってきた。

「それではミコトさん、あと、キアラくんは付き添いで、ギルドマスターがお呼びです。」

「へ?……あ~はい」

「…分かった。」
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