戦場の鬼姫、異世界無双物語

鬼姫の始まり

二十八話

ミコトは冒険者ギルドへの道を歩きながら街の様子を観察していた。

時間帯のおかげか、そこまで人通りが多くはなかった。
だが街の真ん中を港まで一直線の大通りはどこも大混雑だった。
道には様々な出店が増えていく。
それに朝食を取る冒険者や商人達が忙しなかった。

また露店を開いている商人も多く、武具や何か解らないものや、冒険者のためだとわかる物から、どお使うのか見当もつかない怪しい道具まで、様々なものがたくさん並んでいた。

「…」
まだ日が昇ってからそんなに時間はたってないのにすごい賑わいだ。

ミコトはそこらの露店や出店を冷やかしながら歩いていくと、段々と武器を持っている冒険者が多くいる通りを抜けていき、冒険者ギルドに向かって歩いていく。


ようやく冒険者ギルドが見えてきた、人混みを避けながら来たので、少し時間がかかった。

ギルドの前はそれなりに広々とした、広場に成っているがそれでも多くの冒険者の集団や荷物のつまれた馬車などがあった。

「…うわ…」
ミコトは冒険者の集団と入れ違いにギルドの中にはいる。
外にあれだけの冒険者がいるのに中は、まだまだ人が多いようだ。

受け付けにはたくさんの冒険者が並んでいるのが見える、ミコトはそのまま横を素通りして、ギルドの酒場側に移動した。

先程も出店で食べたのに、何故か臭いに釣られていった。

「…美味しそう」
ミコトは空いている席についてメニューを見る、美味しそうな料理が無駄に綺麗な絵があり、どれも美味しそうだ。

ただ、どんな物かは大体わかったが、とりあえず肉が食べたかったので、何となく自分の髪の毛の中に紛れ込んでいる、毛の塊を見てから、鶏肉のステーキを大盛りで頼んだ。

しばらく待っていると、料理が運ばれてくる。

「ご注文の品です……では、ごゆっくり。」
「…ありがと」
何故か周りの冒険者やウェイトレスに、心配そうな顔をされてしまった。
ミコトは少し困惑したが運ばれてきた料理の大きさで納得した。
ミコトが頼んだ料理は、鶏肉のステーキではあるが、大きさがミコトの顔よりも大きかった。

「…いただきます」
ミコトは手を合わせて食前の挨拶をすると、一気に食べ出した。

しばらくは心配そうに周りの冒険者やウェイトレスが見ていたが、次第に困惑していった。
ミコトは巨大な鶏肉のステーキを食べきってしまったのだ。

周りの冒険者達やウェイトレスは自分よりも小柄な少女がとんでもない大食間だと無理やり自分を納得させていた。
それほどまでにビックリする光景だからだ。

「………腹八分目？」

ミコトのその一言で周りの冒険者達やウェイトレスが瞬時にミコトを凝視した。

「……ごちそうさま」
ミコトはまたメニューを開いた。
周りの冒険者達やウェイトレスは、そのまま「え！」と言った顔をしていた。