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2 可愛いのはお前だ
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あれからノウリは目を覚ましている時間が多くなった。
森に出かけている以外の時間、エリトはずっとノウリの世話をしている。
傷の手当てをし、床擦れが出来ないように身体の向きを変えたりと忙しい。始めは警戒していたノウリも、近頃は身体を預けてくれるようになった。
「ノウリ、寒くない? ガーランデ国はいっつも寒いからね。ふわふわな毛皮を持っていても、きっと寒いでしょ?」
暖炉の前にノウリを移動させ、エリトは毛布でその身体を包む。隣に腰を降ろすと、じんわりとした温かさに眠気が襲ってきた。
エリトがふわ、と欠伸を零すと、ノウリが頭を擦りつけて来る。
自ら触れてくれることなど、今までになかった。エリトは嬉しさで、顔いっぱいに笑顔を溢れさせる。
「ノウリ、何てかわいいんだ! もっと甘えていいんだよ?」
エリトはノウリに沿うように横たわると、その頭をよしよしと撫でた。心なしか驚いているような表情のノウリを見て、エリトは鈴が鳴るように笑う。
「かわいい! ノウリは本当にかわいいね。……いっぱい怪我して、怖かったね。ここには怖いものはないからね。僕が絶対守ってあげる!」
「……」
「こう見えても僕、結構強いんだよ。魔獣にだって負けないんだから。だからノウリは、安心して僕に甘えていいんだ」
ノウリの身体を抱きしめても、特に嫌がる素振りはない。しかし身体が強張っているように思えて、エリトの胸が痛んだ。
(もしかして、魔獣にやられたんじゃなくて……虐待? だから怖がっているのかな?)
絶対に守ろうと、その時エリトは思った。エリトにとって家族は、離れて暮らす母しかいない。ノウリが家族になってくれたら、これ以上嬉しいことは無い。
「家族になろう。ノウリ」
エリトはそう呟いて、瞳を閉じた。ノウリとくっついている部分から、温かさが伝わってくる。エリトはほっと息を吐いて、ノウリをぎゅっと抱きしめた。
________
「ノウリ見て見て! レゴーラ鳥だ! とっても美味しい魔獣だよ!」
暖かい日の昼、エリトはノウリを庭まで連れ出した。まだ歩くことが出来ないノウリに、外の景色を見せてやりたかったのだ。
心なしかノウリの瞳は穏やかで、エリトは心から嬉しかった。
上空を飛ぶ巨大なレゴーラ鳥は、そのまま食べても美味しいし、栄養価も高い。まだスープしか飲めないノウリに、エリトはたくさん栄養を取ってほしかった。
「待ってて! 狩ってくる」
「!! ワウ!」
「!!」
吠えたノウリを振り返って、エリトは手で口を覆った。今まで唸り声しか発しなかったノウリが、元気に吠えたのだ。
エリトは感動のあまりノウリに駆け寄り、頭をぐりぐりと擦りつけた。
「ノウリ! 吠えた! 偉いねぇ、ノウリ!!」
「……ワウ……」
「ふふ、もしかして心配してる? レゴーラは確かに強いけど、先制攻撃を仕掛ければ何とかなるはず!」
「ウ……ワウ……」
心配そうに鳴くノウリを毛布で包み、エリトはにっこりと笑う。ノウリの鼻先に自身の鼻をくっつけ、エリトは楽しそうに口を開いた。
「安心して待ってて! 夜は美味しいスープにしよう!」
「……わぅ……」
ノウリから身体を離すと、エリトは家へ戻った。
森に出かけている以外の時間、エリトはずっとノウリの世話をしている。
傷の手当てをし、床擦れが出来ないように身体の向きを変えたりと忙しい。始めは警戒していたノウリも、近頃は身体を預けてくれるようになった。
「ノウリ、寒くない? ガーランデ国はいっつも寒いからね。ふわふわな毛皮を持っていても、きっと寒いでしょ?」
暖炉の前にノウリを移動させ、エリトは毛布でその身体を包む。隣に腰を降ろすと、じんわりとした温かさに眠気が襲ってきた。
エリトがふわ、と欠伸を零すと、ノウリが頭を擦りつけて来る。
自ら触れてくれることなど、今までになかった。エリトは嬉しさで、顔いっぱいに笑顔を溢れさせる。
「ノウリ、何てかわいいんだ! もっと甘えていいんだよ?」
エリトはノウリに沿うように横たわると、その頭をよしよしと撫でた。心なしか驚いているような表情のノウリを見て、エリトは鈴が鳴るように笑う。
「かわいい! ノウリは本当にかわいいね。……いっぱい怪我して、怖かったね。ここには怖いものはないからね。僕が絶対守ってあげる!」
「……」
「こう見えても僕、結構強いんだよ。魔獣にだって負けないんだから。だからノウリは、安心して僕に甘えていいんだ」
ノウリの身体を抱きしめても、特に嫌がる素振りはない。しかし身体が強張っているように思えて、エリトの胸が痛んだ。
(もしかして、魔獣にやられたんじゃなくて……虐待? だから怖がっているのかな?)
絶対に守ろうと、その時エリトは思った。エリトにとって家族は、離れて暮らす母しかいない。ノウリが家族になってくれたら、これ以上嬉しいことは無い。
「家族になろう。ノウリ」
エリトはそう呟いて、瞳を閉じた。ノウリとくっついている部分から、温かさが伝わってくる。エリトはほっと息を吐いて、ノウリをぎゅっと抱きしめた。
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「ノウリ見て見て! レゴーラ鳥だ! とっても美味しい魔獣だよ!」
暖かい日の昼、エリトはノウリを庭まで連れ出した。まだ歩くことが出来ないノウリに、外の景色を見せてやりたかったのだ。
心なしかノウリの瞳は穏やかで、エリトは心から嬉しかった。
上空を飛ぶ巨大なレゴーラ鳥は、そのまま食べても美味しいし、栄養価も高い。まだスープしか飲めないノウリに、エリトはたくさん栄養を取ってほしかった。
「待ってて! 狩ってくる」
「!! ワウ!」
「!!」
吠えたノウリを振り返って、エリトは手で口を覆った。今まで唸り声しか発しなかったノウリが、元気に吠えたのだ。
エリトは感動のあまりノウリに駆け寄り、頭をぐりぐりと擦りつけた。
「ノウリ! 吠えた! 偉いねぇ、ノウリ!!」
「……ワウ……」
「ふふ、もしかして心配してる? レゴーラは確かに強いけど、先制攻撃を仕掛ければ何とかなるはず!」
「ウ……ワウ……」
心配そうに鳴くノウリを毛布で包み、エリトはにっこりと笑う。ノウリの鼻先に自身の鼻をくっつけ、エリトは楽しそうに口を開いた。
「安心して待ってて! 夜は美味しいスープにしよう!」
「……わぅ……」
ノウリから身体を離すと、エリトは家へ戻った。
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