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第3章

閑話(ランチェスター家Side)

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「…ふぅ…」

「あなた、大丈夫?どうでしたの?」

「…陛下には、無事ご理解いただけた」


アデリーナは手を叩いて喜んだ。
アンドリューもホッと胸を撫で下ろす。


「2人が行って早々、飛龍が出たらしいが…イシスが中心となって討伐した。
城は無傷、負傷者もなしだという話だから…陛下も…見間違いかと穴が開くほど書状を眺めてたよ」

「イシスは凄いな…カイラに教えてやろう」

「正直、婚姻を拒否する云々などは…小さな話になったな。フェルナンドを責めて、イシスの気分を損ねたら終わりだ…陛下もそれくらいのことは分かっているだろう。

2人は両想いの熱々カップルだと伝えておいたからな!ガハハ!」


アデリーナがまた手を叩いて喜ぶ。


「イシスを連れて行くってフェルが言い出した時はビックリしたけど、正解だったのね」


全員で当時を思い出し、深く頷いた。


「イシスがフェルナンドを守ると言ったのも、本当でしたね。父上はイシスの高い能力をご存知だったから、お許しになったのですか?」

「うむ。まぁ、聞いただけではそれをどう実践で活かすのかは…よく分からなかったがな。フェルナンドは、自分はイシスの足元にも及ばない…とは言っていたぞ」

「確かにそう言っていたわ。日ごろ、イシスは能力をほとんど使わないんですってよ」


そう言いながら、アデリーナは1枚の手紙を机の上にバーン!と置いた。
 

「そして!問題は、このフェルからの手紙よ!」

「どんな内容か…気になるな」

「開けてみますか」


アンドリューがサクッと開封してしまう。


「ちょっ、アンディ!私の楽しみをっ」

「それより、早く読まんか!」



──────────



    ♢

父上、母上、兄上、義姉上

皆様、お元気でしょうか?
私はイシスとこちらで仲良くしています。

ガーラント辺境伯令嬢との婚姻をお断りしたことは、もうご存知かと思います。

ご令嬢と婚姻を結んだローウェン殿が、ガーラント辺境伯の後継者となられました。
私とイシスのためにも、ローウェン殿には頑張っていただきたいと心から思っています。

ローウェン殿はルイスナー男爵家の次男、騎士という立場であったため、後ろ盾がありません。
こちらでは私がローウェン殿を支えていきますが、そちらで何かあれば…ランチェスター侯爵家が味方になってくださるとうれしく思います。

それから、この辺境の地で飛龍の襲来が多いことについて、イシスは気になっているみたいです。
何か分かればすぐにお知らせします。

それでは、皆様お元気で。
義姉上、お身体を大切になさってください。

追伸
イシスとすぐに婚約できるように、準備だけでもお願いします。
勿論、逃す気は全くありません。

    ♢



──────────



「やだ、思ったより普通…」

「面白味のない…あいつ、文才なかった?」

「後ろ盾か…まぁ…よかろう」



「仲良くっていう…そのイチャイチャしてるのかどうかが、知りたいものじゃない?!」

「飛龍の襲来が異常に多いことは確かだ。イシスはちゃんと調べるつもりなんだろう」

「婚約…とりあえず、フォークレア子爵家には、イシスはうちの嫁になる予定だと伝えておくか?…いやいや…さすがにもう気付いてるだろう?」




──────────




「カイラ、イシスが飛龍倒したって!」

「えぇっ!!」

「フェルナンドは、辺境伯令嬢との結婚を断ったらしい」

「それはよかったわ!」

「お腹のベビーは大丈夫かい?」

「そう思うなら、あまり驚かさないで。ビックリして生まれたらどうなさるの」

「…ごめん…」


4ヶ月後、元気な男児が誕生した。






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