男色医師2

虎 正規

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恐怖のチョコメン

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 2月14日バレンタインデー。
 校舎裏にて。
 「どうしたの?黒河先生。こんなところに呼び出したりして」
 女性教師が一人、やってきた。
 そう、そこにはすでに黒河がいた。
 「今日はバレンタインだろ?はいこれ」
 黒河がそう言って女教師にリボンをつけたハート型の箱を手渡した。
 「これって・・・チョコ?」
 「そう」
 「そんな・・・女性から男性に渡すものでしょ?」
 「逆チョコってあるじゃないか、告白は男からするものだし女性ばかりがあげる立場ってのもお気の毒で不公平だからさ」
 「あ、ありがとう・・・!」
 思わぬサプライズに感激して目を涙で潤ませつつ女先生は駆け去った。
 しばらくして入れ違いにほかの女教師が来た。
 「あのー、黒河先生?こんなとこに呼び出して何の用?」

 キーンコーンカーンコーン。
 やがて授業。
 「えー、それでは・・・」
 あの女教師が授業をしている。
 グルッ。
 「?」
 腹が鳴った。
 「教科書を開いて・・・」
 グルルッ。
 腹痛がする。
 「へ、変ねえ・・・」
 ゴロッ。
 (おなか下しちゃったかしら・・・?)
 ギュルッ、グルッ。ゴロロ・・・。
 (や、やだ・・・)
 思わず腹を抑える。
 「先生、おなかの調子悪いんですか?」
 勘がいい生徒が言った。
 「ち、違うわよお・・・!」
 とりあえず主張しつつも腹をさする。
 (ど、どうしましょう。なんか理由をつけてトイレに行かなきゃ・・・)
 「そ、そうだわ。コンパス忘れちゃったあ」
 と言って教室を出ようとした。
 「先生、そこにあります」
 生徒に指摘され、
 「あ、そ、そうだったわね・・・」
 仕方なく教壇に戻る。
 (ど、どうしようかしら。えーと・・・)
 「そ、そうだわ。分度器を・・・」
 「そこにあります」
 「あ、そ、そうだったわね」
 グルルッ、ギュルッ。ゴロゴロゴロ!
 (も、もうダメ・・・)
 たまらずクラスを飛び出す。
 「はて・・・、どうしたんだろう?」
 生徒たちは唖然とした。

 彼女はそのまま教員用トイレに一直線。
 「!」
 が、そこで見たのは女子トイレに並んだ長蛇の列だった。
 「う、うーっ!」
 「やばーっ」
 「お、お尻が噴火しそっ!」
 「漏らさないわ、漏らさないわよ!」
 「授業は?」
 「自習にしてきたわ」
 「で、出るう~っ!」
 「あんまり出る出る言わないで!出ちゃうじゃない!」
 「お願い、早く出てえっ!」
 先頭にいる女教師が両拳骨で個室の戸をどんどんたたいている。

 黒河が校内を歩んでいた。
 バン!
 クラスの戸が開いて次々と女性教員が飛び出しては悲鳴をあげながらトイレの方向に駆けていく。
 「ひーっ!」
 「トイレトイレ!」
 「ふふふ、女性教師たちよ。下剤入りチョコの味はいかがだったかな?」
 そう、黒河の病院時代からの習慣である。
 「義理チョコならぬ下痢チョコだ」
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