処刑された悪役令嬢、二周目は「ぼっち」を卒業して最強チームを作ります!

みかぼう。

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第1章

第4話 引かれた線

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(エリアナ視点・王都 自室)

 王都へ戻って数日、屋敷の空気は落ち着きを取り戻していた。エリアナは自室の机に向かい、視察で見たことを手帳に整理していた。

 扉が短く叩かれる。父、ルーカスだった。

「お父さま」

 エリアナが立ち上がると、ルーカスは手近な椅子に腰を下ろした。彼は机の上の手帳に一瞥をくれ、それから静かに口を開いた。

「あの町はどうだった」
「活気があって、とても良い場所でした。……食べ物も、おいしかったです」

 エリアナが答えると、ルーカスの口元がわずかに緩んだ。

「うむ。お前が気に入ったならよかった」

 けれど、その視線はすぐに厳しいものへと変わる。

「だがエリアナ。覚えておきなさい。為政者が現場を愛するのは良いことだが、愛しすぎてはならない」

 エリアナは首を傾げた。

「愛しすぎては……いけないのですか?」

「そうだ。情に流されれば、線が引けなくなる。……私たちが守るべきは『個人』ではなく、『全体』だ。一人の不幸を嘆くあまり、全体の安寧を見失うことがあってはならない」

「……いいか、エリアナ。お前がいつかあそこに立つとき、お前と彼らの間には、決して越えてはならない線を引け。それはお前を守るためであり、彼らを迷わせないためでもある」

 ルーカスの言葉を飲み込むのは、エリアナには少し難しかった。あのおいしい煮込みをくれたおじいさん。手を振ってくれた子供たち。彼らとの間に線を引く。それは、あたたかな交流を否定することのように感じられた。

「……はい」

 納得しきれないまま、けれど父の真剣な眼差しに押され、エリアナは頷いた。

 父が去ったあと、エリアナは窓の外を眺めた。王都の街並みは整然としていて、あの町の、どこか雑多で活気のある雰囲気とは違う。

 ――線を引く。

 それが正しいことなのだと、彼女は自分に言い聞かせた。

 けれどその時、彼女はまだ知らなかった。父が教えたその「線」が、後に自分をどれほどの孤独に突き落とすことになるのか。

 夕闇が迫る空は、どこまでも澄んでいた。

 エリアナは机に戻り、手帳に記された「堤防」のスケッチをなぞった。整然と組まれた石積みは、どこまでも頑丈そうに見えた。

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