転生王子の常識は非常識らしいです!

四六くま

文字の大きさ
11 / 14
第一章 転生者、ルーク・グランバート

8 あなたはだぁれ(題名変更)

しおりを挟む
人々の間にどよめきが走った。
多分、この国では僕の髪の色を見たら一発で僕だとわかるはずだ。

「ルーク、王子···!」
「嘘!どうしてここに?」
「知らねえけどよ、王子ってのは普通護られるもんだろ?」
「あんなに強いの!?」
「やはり、百年に一人の逸材だ!」
「か、カッコイイ♡」
「かわゆす~♡」
「ウチの子にしたいな」

周囲が騒がしくなった。
当然の事だと思う。これだけ人がいれば目撃者に困らないだろう。
そんな事思いつつ得意げな顔していると、いきなりみんなが膝をつき頭を下げた。

あ、あれ?
想像だとこのまま「ルーク様ぁ!いけいけー!」って感じになると思ってたのに。

ふと視線をずらすと、遠くの方にキーン先生達がいた。周りの皆が低くなったから目が合った。
一瞬、先生は呆れ顔をしたが、事情を察した様な顔で僕の方まで来た。

「ルーク様、後で覚悟しておいてくださいね」
ニッコリと笑った顔には恐怖しか感じなかった。

僕は伏せている国民に向かう。
「皆さん、顔を上げてください」
ぞろぞろと人の頭が起き上がってきた。
僕はそれを確認すると、自分を落ち着かせるように軽く咳払いした。
「急に来てしまい、誠に申し訳ありませんでした。此の度はお忍び、ということになっておりますので、どうかそう畏まらないでください。あと、しばしばこちらに来る予定なので、その時にも普通の子のように扱い、関わっていただけると幸いです。」
僕はペコリと頭を下げると、人々は何の躊躇いもなく庶民に頭を下げた王子の姿に驚いていた。
えーと?この空気どうしよう···。

「····おう少年!またウチの肉買いに来いよ!そんときゃまけてやる!」
その声は、
「屋台のおじさん····」

「そうだぞー!うちの店にも来いよー」
「かっいいぞー」
「かわいいゾ♡」
つぎつぎに僕に声を掛けてくれる町の人達に僕はつい嬉しくなって泣きそうになった。
もしかすると恐れられるかもしれない。
もしかすると誰も僕を『ルーク・グランバート』としてではなく『王子』としてしか見てくれないかもしれない、という不安があった。
しかしこうして、僕は町の人と共に生活できるようになれた。
僕は、僕は━━━━
「ありがとう」

「あのー、ルーク様?アイツらなんですが」
あ。すっかり忘れてた。

既に一人を除く全員が王兵に連行されていた。
少女を苛めていた男に向き直ると、顔色は完全に青を通り越して白くなっていた。

「な、王子だ、と?じ、冗談じゃねえ!」
「知らなかったとはいえ、王家の人間に手を出し、あろう事か死ねとは。貴方達の私を含む人々にした非道な行為は万死に値します。覚悟は宜しいですか?」
あえて笑顔で語りかけると、男はヘナヘナと地面に座り込んでしまった。

勝負あり!

「ルーク様。こやつらは王兵彼らに任せるとして、今後どうなさいますか?さすがに観光は続けられないかと」
あー、確かにそうだなあ。
おっと、その前に。

「君、大丈夫でしたか?」
少女に優しく語りかけると、慌ててお辞儀をして何度もありがとうございました、とお礼を言ってきた。
いえいえ、と謙遜すると横の人を示して、
「お礼なら彼━━━獣人の彼に言ってあげて」
軽く微笑むと、そのローブの人は明らかに動揺を見せた。何故分かったのか、とでもいうように。
「町中で獣人とか暗殺者でもない限りよっぽど『目隠しの衣』なんて着ないよ。まして、戦う時に邪魔になるにも関わらず、ね?」

その獣人は観念したように溜息をつき、フードを取った。
フードの下から現れたのは、

「····イケメン」

━━な狼の獣人だった。

黒に近い濃い茶色の毛皮に包まれ、フサフサした耳、キリッとした眼光。そして、フードを取ったことで今まで分からなかった大きくモフモフした尻尾。
多分、獣人界でも五本の指に入る程のイケメンっぷりだよ、この狼。
獣人の要素を女子高生のプリクラ並みに盛ったな。盛りまくったな、確信犯め。

「あの···」
少女が控え目に声を掛けてきた。
「あの、私はシャルルといいます。えと、狼、さん?じゃなくて、その、」
「ギル」
「え?」
「俺の名前はギルだ」
名前が分かってシャルルは顔を綻ばせた。
「じゃあ、ギルさん。先程は助けていただき、本当にありがとうございました。あと━━━この子も」
その腕の中にはあの時の白い猫がいた。今ではすっかり懐いている、というよりぐっすり寝ている。
いつからねてたんだろうか。
まさか戦闘中からじゃないよね?

「その白猫は俺の召喚獣のユキだ。能力として、簡単な氷魔法が使えるいいだぞ」
自分の名前を呼ぶギルの声に耳をピクピクさせると、起き上がってスタッと地面に降りた。
《ニャーはユキなのニャー。よろしくニャー》

「「「かーわーいーいーー♡♡」」」
見事に三人の声が重なった。僕とシャルル、あと一人は、ってあれ?

「キーン先生···」
見た目に似合わずかわいいもの好きなんだね···。
自分が猫耳なの忘れてるでしょ、きっと。



「コホン。話が逸れましたね。ときにギルさん、ちょっと御相談が」
「?···はい。」
「宜しければギ━━━」

『シャァルルゥゥーーーーーっ!』

え?今度は誰?

向こうから全速力で走ってくる少年は···
「お兄ちゃん!?」
え、お兄さんいたの?

「シャル(はぁはぁ)ルゥ、(ぜえはぁ)聞いたぞ(ぜぇぜぇ)、大丈夫だったか?(はぁ)お兄ちゃんいなくてごめんな」
「うん、大丈夫だったよ!それにしても遅いよ!ずっと待ってたのに」
「ああ、悪かった」

もう!と笑い合う兄妹の姿。
仲が良いのはイイことだ。


「(ボソッ)お兄ちゃんゴメン。完全に忘れてた」


仲が良いのはイイことだ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!

カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。 前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。 全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!

没落領地の転生令嬢ですが、領地を立て直していたら序列一位の騎士に婿入りされました

藤原遊
ファンタジー
魔力不足、財政難、人手不足。 逃げ場のない没落領地を託された転生令嬢は、 “立て直す”以外の選択肢を持たなかった。 領地経営、改革、そして予想外の縁。 没落から始まる再建の先で、彼女が選ぶ未来とは──。 ※完結まで予約投稿しました。安心してお読みください。

SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~

草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。 レアらしくて、成長が異常に早いよ。 せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。 出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

処理中です...