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第一章 転生者、ルーク・グランバート
10 ALS
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狼の獣人ギルが仲間に加わった。
テレレレッテレー
これでようやくひと段落着いたかな。
まあ、目的地にはまだ着いてないけど。
僕達が歩いている道は、周りに畑や田んぼが広がっていて、とてものどかで静かなみちだった。僕は知らないけど大正・昭和の頃はこんな感じだったのかな。
「皆さん、あれが僕達の家です」
クロロの指し示す先にある家は、まるで····
村人Aの家っ!!
木造で一階建ての家の周りには菜園やちょっとした畑があり、家の壁には勇者が漁りそうな樽が三樽置いてあった。
もしこの家に生まれ変わってたらそれはそれで楽しいセカンドライフを送れるだろうと思う。
正直に言うと、当たり前だが今の僕の家よりはボロい。
ただ、家を持っていなかったギルにとってはすごい魅力的らしい。ギルは今までずっと洞窟の中や樹の下、岩陰などを転々と移り住んでいたという。
この世界には、そんな生活している者が沢山いるらしい。
その事実を聞くと僕はどうしても前世の日本は平和だったんだと気付かされる。
ギルみたいに優しい人が苦しい生活を送っている世界なんて·········
「ああ、俺もこんな家に住んでみたかった」
「ふふっ、ありがとうございます」
シャルルは嬉しそうに微笑んだ。
「?ルーク様、どうかされましたか。お顔が優れませんが」
「っ!先生、···いえ、なんでもないです。すいません」
いけないいけない。つい難しい顔をしてしまった。
「では、中に案内します」
クロロが家のドアを開ける。
「お母さーん、ただいまー。遅くなってごめんなさい」
パタパタと音をたてて家の奥から二十代後半から三十代前半位と思われる茶髪でおっとりした雰囲気の女性がやって来た。なかなかの美人だと思う。この世界は綺麗な人が多い気がするなぁ···。でも、その足下はふらついて、動きがぎこちなかった。
「おかえりなさい。遅かったけど、どうしたの?」
「ただいまっ、お母さん!あのね、家にねお客さんがねっ、それがね、その····」
あはは、シャルルは説明が苦手らしい。
事情の知っている僕でも意味がよく解らなかった。
よくよく考えたら、ここにいる三人はまだ子供だった。
もちろん、僕に関しては見た目だけなので、(中身は)大人の自分が説明しよう。
「いいよ、僕が説明するから」
「あら?貴方達は····そこにいるのはキーン様ですか?」
「はい、左様でございます。貴方がシャルル様とクロロ様のお母様ですね。この度はお時間とご迷惑をおかけした事をお詫び申し上げに参りました」
「····えぇ!何があったのですか!?」
まあ、今の言い方だと、そりゃそうなるよね。あれ、キーン先生も説明が苦手なのかな?
あ······そういえば、魔法の練習の時も文章が拙かったような····。
「では、ここからは僕がご説明します。体調が優れないとの事でしたので、よろしければ座ってお話致しましょうか」
キーン先生に任せるのは止めた。
僕は町で起こったことを、かくかくしかじかと説明した。
途中で何回か失神しかけてたが(おもに戦闘シーン)最後にはギルに、「我が子を救っていただきありがとうございます」と深々と頭をさげた。親としては子どもの無事は何よりも大事だろう。
あ、ギルがすごい照れてる。慣れてないんだろうなぁ。
「いえ、気にしないでください」なんて言ってるけど顔を手で覆ってる時点で照れてるの丸わかりだし。そもそも尻尾がすごい揺れてるからね。かわいいなぁ。
「自己紹介がまだでしたね。私はこの子達の母のベルといいます」
そして、今の町の様子などをベルさんに教え、あることを思い出した。
「そういえば、貴方は体調が優れないと伺っております。今働けない状況で大変だと思われますが、回復する目度は?」
「それが···」
ベルさんは顔を曇らせ子供達をちらっと見た。
「このあいだ町の医者に無理をいって来て診てもらったんです。その時には━━━━━━もう長くない、と······」
小さな家の中に小さな女の子のすすり泣く声が響いている。
「ごめんねシャルル。そんなに泣かないで。いっぱい遊んであげられなくてごめんね」
「おがっ、····ひぐっ····しゃん·····しああいで·····!」
「大丈夫よ。そんなにすぐに死んでたまるもんですか!」
「れも·····」
家族との絆のリボンは太ければ太いほど、別れる時のダメージは大きい。
その光景を眺めているだけでもここまで胸が苦しくなるなんて。
しかし、さすがはお兄ちゃん、と言ったところか。必死に泣きたいのを堪えているのがよくわかる。
「ルーク様····」
後ろからギルが声をかける。
「どうしたの?」
「ちょっとお話しが···」
とりあえず庭に出てきた。
「ルーク様は、光属性の魔法が使える、とキーン様がおっしゃってましたが、それは本当ですか」
ああ、道中で話してたことかな。
「うん、本当だよ」
「ならば、もしかするとベルさんが助けられる方法が見つかるかもしれませんが····」
ええっ!それ本当に!?
「ですが、それに関してはルーク様のイメージ力にかかってます!」
あー、そういうパターンね。
どうやら、ギルは昔に似たような症状が出た仲間がいるらしい。
その人も獣人なのだが、大柄な体が痩せて筋肉がだんだん減っていき、最後には口を動かす事も出来ずに死んでしまったという。
「ベルさんは、今はまだ立ち上がる力があるとはいえ、その足は痙攣していました。かなり無理をしているはずです。」
痙攣····筋力低下·······どこかで聞いたような···。
僕は前世の記憶から必死に絞り出す。
筋力、低下·····。
痙攣····口を動かせずに·····。
ん? 口を動かせずに??
それって、まさか!?
「筋萎縮性側索硬化症(ALS)!?」
「ルーク様!全くピンと来てません!!」
テレレレッテレー
これでようやくひと段落着いたかな。
まあ、目的地にはまだ着いてないけど。
僕達が歩いている道は、周りに畑や田んぼが広がっていて、とてものどかで静かなみちだった。僕は知らないけど大正・昭和の頃はこんな感じだったのかな。
「皆さん、あれが僕達の家です」
クロロの指し示す先にある家は、まるで····
村人Aの家っ!!
木造で一階建ての家の周りには菜園やちょっとした畑があり、家の壁には勇者が漁りそうな樽が三樽置いてあった。
もしこの家に生まれ変わってたらそれはそれで楽しいセカンドライフを送れるだろうと思う。
正直に言うと、当たり前だが今の僕の家よりはボロい。
ただ、家を持っていなかったギルにとってはすごい魅力的らしい。ギルは今までずっと洞窟の中や樹の下、岩陰などを転々と移り住んでいたという。
この世界には、そんな生活している者が沢山いるらしい。
その事実を聞くと僕はどうしても前世の日本は平和だったんだと気付かされる。
ギルみたいに優しい人が苦しい生活を送っている世界なんて·········
「ああ、俺もこんな家に住んでみたかった」
「ふふっ、ありがとうございます」
シャルルは嬉しそうに微笑んだ。
「?ルーク様、どうかされましたか。お顔が優れませんが」
「っ!先生、···いえ、なんでもないです。すいません」
いけないいけない。つい難しい顔をしてしまった。
「では、中に案内します」
クロロが家のドアを開ける。
「お母さーん、ただいまー。遅くなってごめんなさい」
パタパタと音をたてて家の奥から二十代後半から三十代前半位と思われる茶髪でおっとりした雰囲気の女性がやって来た。なかなかの美人だと思う。この世界は綺麗な人が多い気がするなぁ···。でも、その足下はふらついて、動きがぎこちなかった。
「おかえりなさい。遅かったけど、どうしたの?」
「ただいまっ、お母さん!あのね、家にねお客さんがねっ、それがね、その····」
あはは、シャルルは説明が苦手らしい。
事情の知っている僕でも意味がよく解らなかった。
よくよく考えたら、ここにいる三人はまだ子供だった。
もちろん、僕に関しては見た目だけなので、(中身は)大人の自分が説明しよう。
「いいよ、僕が説明するから」
「あら?貴方達は····そこにいるのはキーン様ですか?」
「はい、左様でございます。貴方がシャルル様とクロロ様のお母様ですね。この度はお時間とご迷惑をおかけした事をお詫び申し上げに参りました」
「····えぇ!何があったのですか!?」
まあ、今の言い方だと、そりゃそうなるよね。あれ、キーン先生も説明が苦手なのかな?
あ······そういえば、魔法の練習の時も文章が拙かったような····。
「では、ここからは僕がご説明します。体調が優れないとの事でしたので、よろしければ座ってお話致しましょうか」
キーン先生に任せるのは止めた。
僕は町で起こったことを、かくかくしかじかと説明した。
途中で何回か失神しかけてたが(おもに戦闘シーン)最後にはギルに、「我が子を救っていただきありがとうございます」と深々と頭をさげた。親としては子どもの無事は何よりも大事だろう。
あ、ギルがすごい照れてる。慣れてないんだろうなぁ。
「いえ、気にしないでください」なんて言ってるけど顔を手で覆ってる時点で照れてるの丸わかりだし。そもそも尻尾がすごい揺れてるからね。かわいいなぁ。
「自己紹介がまだでしたね。私はこの子達の母のベルといいます」
そして、今の町の様子などをベルさんに教え、あることを思い出した。
「そういえば、貴方は体調が優れないと伺っております。今働けない状況で大変だと思われますが、回復する目度は?」
「それが···」
ベルさんは顔を曇らせ子供達をちらっと見た。
「このあいだ町の医者に無理をいって来て診てもらったんです。その時には━━━━━━もう長くない、と······」
小さな家の中に小さな女の子のすすり泣く声が響いている。
「ごめんねシャルル。そんなに泣かないで。いっぱい遊んであげられなくてごめんね」
「おがっ、····ひぐっ····しゃん·····しああいで·····!」
「大丈夫よ。そんなにすぐに死んでたまるもんですか!」
「れも·····」
家族との絆のリボンは太ければ太いほど、別れる時のダメージは大きい。
その光景を眺めているだけでもここまで胸が苦しくなるなんて。
しかし、さすがはお兄ちゃん、と言ったところか。必死に泣きたいのを堪えているのがよくわかる。
「ルーク様····」
後ろからギルが声をかける。
「どうしたの?」
「ちょっとお話しが···」
とりあえず庭に出てきた。
「ルーク様は、光属性の魔法が使える、とキーン様がおっしゃってましたが、それは本当ですか」
ああ、道中で話してたことかな。
「うん、本当だよ」
「ならば、もしかするとベルさんが助けられる方法が見つかるかもしれませんが····」
ええっ!それ本当に!?
「ですが、それに関してはルーク様のイメージ力にかかってます!」
あー、そういうパターンね。
どうやら、ギルは昔に似たような症状が出た仲間がいるらしい。
その人も獣人なのだが、大柄な体が痩せて筋肉がだんだん減っていき、最後には口を動かす事も出来ずに死んでしまったという。
「ベルさんは、今はまだ立ち上がる力があるとはいえ、その足は痙攣していました。かなり無理をしているはずです。」
痙攣····筋力低下·······どこかで聞いたような···。
僕は前世の記憶から必死に絞り出す。
筋力、低下·····。
痙攣····口を動かせずに·····。
ん? 口を動かせずに??
それって、まさか!?
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