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第22話-1 恋人
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フラヴィオの唇が重なろうか寸前、ベルが狼狽した様子で顔を背けた。
「お、お待ちください、フラヴィオ様っ……!」
頬を紅潮させ、瞳を潤ませ、女の顔になっていても、それは心からの願いだと分かる。
「私は、宰相なのですっ……!」
声が震えている。
無理もなかった。
(余の妻になりたいと言うのだ、ベル)
そうさせた刹那、きっとベルを、自身は尚のこと宰相失格だと自己嫌悪に陥らせてしまうかもしれないのだから。
そう思うと、申し訳ない。
しかし、ベルがそう望んでくれているという――このフラヴィオの後妻になりたいのだという、本人すら気付かなかった心奥に秘められていた願望が露わになった今、まず自制は利きそうにない。
そんな女の顔をされたら、尚のことだ。
「それ以前に、私はフラヴィオ様の妻に相応しくないのですっ……!」
耳にタコが出来る。
胸が痛み、苦しくなって、声が尚のこと奥へと詰まっていく。
それをベルは、きっと気付いていない。
その口からフラヴィオの妻になりたいのだと言ってくれるだけで、ふっと心が楽になり、すぐに声が戻って来るように思うのに。
だからと言って、もどかしいことに、それを伝えることも出来ない。
声が出ないからとか、そういうことじゃない。
ベルが今、宰相として必死にそうせねばと思っている通り、フラヴィオが後妻に選ばなければならないのはベルでない可能性が高いのだ。
後にベルを傷付けることになるかもしれないと思うのに、願いは止まらなかった。
(言ってくれ、ベル……頼む)
これまでベルに愛されてきたフラヴィオは、男としてというよりは、『主』としてだった。
それはこれからも変わることはないだろうが、男としても――夫としても愛して欲しい。
求めて欲しい。
(余の妻になりたいと、言ってくれ……)
その小さな顎を掴んで、些か強引になってしまいながら口付ける。
再びベルが、狼狽して唇を離した。
「お待ちください、フラヴィオ様――」
待ってくれないらしい。
すぐに唇が塞がれた。
今日の昼間も味わった胸が痛くなるキスで、尚のこと宰相失格になる覚悟を強いられているようだった。
隠されていた自身の厚かましい願望を押し殺し、抹消してしまいたいところなのに、それをフラヴィオは許してはくれない。
ベラドンナが『バーチョがいちばん想いを伝えやすい』と言っていたが、本当にそうだった。
唇を通して、本能に素直になれと命じられているのを感じる。
(私は、フラヴィオ様の妻に相応しくないのです)
心底そう思って涙が出て来ても、その舌が唇を割って容赦なく侵入してくる。
口の中で逃げ惑っていた舌が、捕らえられてしまう。
甘いわけがないのに、甘い味がする。
溶けるわけがないのに、溶けていく。
唇で舌を吸われたときには、身体の力も一緒に吸われていった。
(助けて……)
誰よりもフラヴィオの妻として相応しかったヴィットーリアに匹敵できるものなど、フラヴィオに対する愛ひとつだけなのに。
それだけで充分だとか、比べなくて良いとかフェデリコは言っていたが、どう頑張ったって比べてしまう。
それが出来るほど能天気で幸せな人生など送って来なかった。
悍ましい過去を持っているのだ。
ベルにとって神のような存在のフラヴィオを、穢してしまうとさえ思う。
だから嫌なのに、怖いのに、困ったことに、ここで久々の腰抜けだ。
逃げたいのに、もう逃げられない。
フラヴィオに魔法を掛けられたのだ。
間違いない。
だって唇を離し、おとなしくなったベルを見下ろしているその顔の口元が、してやったと言わんばかりに笑んでいる。
(それで良いのだ)
心の声が、聞こえた気がした。
フラヴィオが寝間着を脱ぎ捨てる。
日頃からその入浴や着替えを手伝い、その身体は見慣れているはずなのに、急に直視することが出来なくなって目を逸らしてしまう。
ヴィットーリアもそうだったが、フラヴィオも芸術品のような身体をしている。
10kg以上痩せはしたが、あくまでも『力の王』で、骨格に恵まれ、脂肪が無く、その代わり何もしなくても付くらしい筋肉の線がくっきり浮き、直線的な身体に異性ならではの美しさを感じる。
また、これは17歳のベルにも言えることだが、若い王子たちなどには見られない色気があった。
もうとっくに波打っている心臓が、尚のこと激しくなっていく。
それは戻って来たフラヴィオの手に、白のワンピース型の寝間着を肩からずり下ろされ、下着もろとも脱がされたときには爆発しそうになった。
「み、見ないで下さいっ……」
こっちもこっちで毎日のように身体を見られているが、つい胸元を腕で隠してしまう。
(なんだ、今さら)
その突っ込みも聞こえた。
フラヴィオは気にするなと言うが、ベルにとってはやっぱり切実な悩みだった。
だって、フラヴィオの理想とする女の身体がヴィットーリアだったことを、言われなくても知っていた。
ヴィットーリアの乳房は、起きていても寝ていても立派な山が屹立していた。
それに対し、ベルは以前よりは成長して、起きていれば丘くらいにはなれたものの、寝ると均されてしまい、胴体の上に相変わらず見渡す限りの広大な平地が出現するのだ。
その見晴らしの良さと来たら、笑えない。
自分の小さな手にも心にも寂しい乳房が、フラヴィオの大きな手も心も満足させられるわけがない。
申し訳なさと恥ずかしさで、とてもではないが見せられない。
――って思ってるのに、お構いなしに腕を外される。
「いっ、嫌ですっ……!」
心からの言葉だ、本音だ、本心だ。
それはフラヴィオにも伝わったが、聞いてやる気はなかった。
どこも隠すことは許さない。
(余がこれから全て、愛でるのだ)
そして抹消したいだろうその願望を、耐え切れなくなって漏らせばいい。
その華奢な脚のあいだに片膝を挟むと、ベルが「あっ」と動揺した。
内股になって必死に脚を閉じようとするが、閉じられるわけがない。
というか、開かさせるために膝を挟んだのだから、開かせてもらう。
「――やっ…止めてくださいっ……!」
フラヴィオがその膝を割り広げ、間に入ってほとんど脚を閉じられなくすると、真上から見下ろしているその顔がたちまち羞恥に染まっていった。
毎日のように見ている小さな身体を、少しのあいだ眺める。
今は声が出ず、褒めてやれないことが悔やまれた。
ベルが自身の身体を恥じているのは知っているが、そんな必要はない。
最初は皮を一枚着ただけの骸骨のようだった身体は、ここ約2年間で充分に女っぽくなった。
やはり華奢なことに変わりはないが、ちゃんと曲線を描いて女の身体をしている。
自覚が無いのだろうが、白い肌はきめ細かくて美しく、ヴィットーリアの珠の肌にだって劣らない。
大体、愛している時点で愛おしく、今目の前にどんな身体があったとしても、ベルのものだというのなら愛したかった。
さらに言えば、ベルはこんな繊細で愛らしい顔立ちを持っていなかったとしても、愛さずにはいられない女だった。
そして最愛の女神を失った現在、この7番目の天使に寄り添っていてもらわないと生きて行けそうにない。
主としてだけではなく、男としても、夫としても愛して欲しい。
求めて欲しい。
早く。
(さぁ、言うのだ……ベル)
フラヴィオにもう一度バーチョされた後、その唇を耳に感じた。
その途端、そこが火傷したかのように熱くなると同時に、ベルの背筋をゾクゾクしたものが通って行った。
首や鎖骨にされても熱くなって、今度は身体が小さく震えた。
止めて欲しい平地の探索は、よりによって一番長い。
「早急にご帰宅いただきたく存じます!」
(嫌だ)
恥ずかしさが募る。
お陰で、尚のこと身体が機敏に反応してしまう。
唇が下がって、腰に口付けられても震えて、気付けば身体が爪先まで火照っていた。
これから起こることに抵抗する気持ちは相変わらずなのに、魔法に掛かったままの身体がそれをしようとしてくれない。
フラヴィオが内太腿に頬擦りして、口付ける。
最後に脚のあいだにその顔が来たとき、あまりの羞恥に、栗色の瞳に涙が込み上げた。
「嫌です、フラヴィオ様っ……!」
その少し鋭い碧眼と目が合い、鼓動が一瞬、強く波打つ。
(駄目だ)
その言葉が聞こえた刹那、ベルが慌てて両手で口を塞いだ。
下半身が蕩けるような感覚。
耐えがたい羞恥。
漏らさずにはいられない声を、必死に押し隠す。
部屋に響き渡る濡れた音。
見据えて来る碧眼。
激しく波打つ鼓動。
稲妻のような刺激が全身を駆け巡り、少しのあいだ痙攣して動けなくなったときには恐怖を覚えた。
それがどういうことなのか知らず、2度目を迎えたときに錯乱し、3度目で泣き出した。
唯一分かったのは、とにかくひたすら恥ずかしいことになっているということで、4度目で隣の枕を取って、顔も耳も塞いだ。
でもそれは、すぐにフラヴィオに投げ捨てられてしまった。
だったらせめても、また口を手で塞ごうとしたが、許されることはなかった。
両手をレットに押し付けられながら、真上にあるその顔を見る。
もどかしそうで、苦しそうな表情があった。
(ベル)
呼ばれたのが分かった。
(早く、言うのだ)
脚のあいだに、熱いフラヴィオの体温を感じる。
(余を、求めるのだ)
ああ、どうしよう。
もう逃がしてもらえないことも、そうでなくとも膝が震えて逃げようにも逃げられないことも、分かっているが。
でもそれでも、覚悟はまだ出来ていなかったのに。
「お、お待ちくださ――」
ベルの言葉を遮るように、フラヴィオが身体の中に押し入って来た。
男を受け入れることなど、奴隷だった10年のあいだにきっと何千回も経験している。
それでも痛みが走って、顔が歪んだ。
でも、そんなことは、一瞬でどうでも良くなった――
「――…あっ……」
声が震える。
また、初めての経験だった。
奴隷時代に味わったものは、吐き気を催す不快感と屈辱で、こんなことは一度だって起こらなかったのだ。
「フラヴィオ様っ……」
身体が熱い。
心が熱い。
胸が苦しい。
突如、堰を切ったように溢れ出した、愛しさで。
「フラヴィオ様っ……!」
ああ、どうしよう。
(私は、宰相)
ならば、求めてはいけない。
フラヴィオの後妻に選ぶべきは、このベルではないのだから。
(私は、フラヴィオ様の妻に相応しくない)
ならば、望んではいけない。
厚顔無恥にも程がある。
それなのに、あろうことに、ベルが痛みで顔を歪めたと分かり、一旦止めようとしてくれたフラヴィオを、「嫌です」と言って制止していた。
その上、
「止めないでくださいっ……!」
と、おねだりしてしまったベルを、フラヴィオが少し驚いて見た。
ベルの方にも自身の口から出た言葉に、驚きと恥じる気持ちはあったが、それ以上にこうして欲しくて仕方なかった。
「ぎゅって、してください……!」
フラヴィオの胸がぎゅっとされた。
それまで、フラヴィオの顔に浮かんでいた苦痛がすっと消える。
そして安堵の微笑が浮かび、碧眼が悦びに揺れ動いた。
(余を求めてくれるのか、ベル……)
それまで押さえつけていたベルの手を離し、おねだり通りに火照った小さな身体をぎゅっと抱き締める。
甘えるようにしがみ付かれたら、尚のこと胸が強く締め付けられた。
求められるがままに、入れるところまで入っていく。
再び強い痙攣を起こし、恥ずかしそうにフラヴィオの肩に顔を埋め、必死な様子で声を堪えるベルが愛らしく、愛おしくて、溜まらない。
鼓膜に響いている激しい鼓動は、ベルのものなのか、自身のものなのか。
交じり合って、もう分からない。
今こうしてベルが、こんなにもこのフラヴィオを男として求めてくれたなら、後はもうその口に言わせるだけだった。
(言うのだ、ベル……余の妻になりたいと)
本当はそうさせてはいけない。
ベルを自己嫌悪で苦しめてしまう。
でも聞きたい。
望まれたい。
許されないことだとしても、このフラヴィオの後妻として迎えたいのは、本当はこの女だけなのだから。
その隠し切れない強い想いが、思わず態度となって出てしまう。
「――あっ……!」
とベルの顔が少し歪んだ。
あまり激しく動かれると、やっぱり痛い。
でも、やっぱりどうでも良い。
本能のままに動くフラヴィオを、止めなかった。
むしろ、フラヴィオにしがみ付いている腕に、勝手に力がこもってしまう。
止めないでと、訴えてしまっている。
この男が愛しくて、離せない。
何もかも、どうでも良くなってしまいそうな幸せ魔法に掛けられる。
(ああ、どうしよう)
己は宰相だ。
(どうしよう)
己はフラヴィオの妻に相応しくない。
(どうしよう)
求めてはいけない。
(どうしよう)
望んではいけない。
(どうしよう)
どうすればいい。
そのとき――
「ベル」
耳元、ふと愛しい男の声が聴こえた。
愛しくて狂いそうになっているあまり、ついに幻聴が起きた。
「ベル」
――違う、本物だ。
ベルのものよりずっと低いけれど、優しくて、明るい。
フラヴィオの声だ。
「――…フラヴィオ様っ……!」
鼻の奥がつんと痛くなって、涙が溢れ出す。
周りから見れば、たかだか3ヶ月半と思うかもしれないが、ベルは一日千秋の想いだった。
この声に再び名を呼んでもらえることを、今か今かと待っていた。
「もっと呼んでください、フラヴィオ様っ……!」
その顔に、ベルの愛する優しくて明るい微笑が浮かぶ。
「ああ……ベル」
ベル、ベル、ベル……――
耳元で心地良く響く、愛しい声。
吹きかかる、熱い吐息。
やがて自身の中のフラヴィオが硬さを増したら、刺激と愛しさも増した。
溜まらなくなって、より強くしがみ付いたときに、聴こえた。
「ベル、愛している」
――もう、駄目かもしれない。
(助けて)
己は宰相。
(助けて)
己はフラヴィオの妻に相応しくない。
(助けて、助けて……)
求めてはいけない、望んではいけない。
(助けて、助けて、助けて……!)
フラヴィオがぐっと強く入り込んできたと思った刹那、何度目か分からなくなった痙攣が激しく起きた。
そして身体の中で熱いものが弾けたら、味わったことのない幸せの最上級魔法に掛けられた。
もう、駄目だ。
まだ抱き締めて離さないでいてくれるこの男の腕の中、追い打ちを掛けるように優しく口付けられ、愛していると囁かれる。
こんな魔法、解けるわけがない。
もう、駄目なのだ。
己は宰相失格で、厚顔無恥な女に成り下がっていくのだ。
(ああ、助けて……ハナ――)
出た。
「なぁベル、こっち来たついでに交換日記取りに――って」
瞬時に茹でダコと化した、ハナとベル。
その絶叫が、同時に宮廷に鳴り響いていった。
「ごめんごめんごめんごめん!」
と面食らった様子で、戸口からベルの机へとテレトラスポルトし、交換日記を取ったハナ。
もう一度レットの2人を一瞥してから、その場から消えていった。
ベルが脱いでいる以上、男だったらぶっ飛ばしていたフラヴィオが、「ハナか」と安堵の顔になった後に、腕の中のベルに目を落とす。
さっきまでとは違う意味で顔を赤くし、すっかり我に返ってしまったその様子を見て、口が尖ってしまう。
ベルが毒に掛かっていたときといい、ハナは友人の危機を察する能力でもあるのだろうか。
「なぁ、ベル? 余に言いたいことはあったりしないのか?」
こほん、と咳払いをしたベルが、すまし顔で返してきた。
「おやすみなさいませ」
「むぅ」
聞きたい言葉は、もう少し先らしい。
「お、お待ちください、フラヴィオ様っ……!」
頬を紅潮させ、瞳を潤ませ、女の顔になっていても、それは心からの願いだと分かる。
「私は、宰相なのですっ……!」
声が震えている。
無理もなかった。
(余の妻になりたいと言うのだ、ベル)
そうさせた刹那、きっとベルを、自身は尚のこと宰相失格だと自己嫌悪に陥らせてしまうかもしれないのだから。
そう思うと、申し訳ない。
しかし、ベルがそう望んでくれているという――このフラヴィオの後妻になりたいのだという、本人すら気付かなかった心奥に秘められていた願望が露わになった今、まず自制は利きそうにない。
そんな女の顔をされたら、尚のことだ。
「それ以前に、私はフラヴィオ様の妻に相応しくないのですっ……!」
耳にタコが出来る。
胸が痛み、苦しくなって、声が尚のこと奥へと詰まっていく。
それをベルは、きっと気付いていない。
その口からフラヴィオの妻になりたいのだと言ってくれるだけで、ふっと心が楽になり、すぐに声が戻って来るように思うのに。
だからと言って、もどかしいことに、それを伝えることも出来ない。
声が出ないからとか、そういうことじゃない。
ベルが今、宰相として必死にそうせねばと思っている通り、フラヴィオが後妻に選ばなければならないのはベルでない可能性が高いのだ。
後にベルを傷付けることになるかもしれないと思うのに、願いは止まらなかった。
(言ってくれ、ベル……頼む)
これまでベルに愛されてきたフラヴィオは、男としてというよりは、『主』としてだった。
それはこれからも変わることはないだろうが、男としても――夫としても愛して欲しい。
求めて欲しい。
(余の妻になりたいと、言ってくれ……)
その小さな顎を掴んで、些か強引になってしまいながら口付ける。
再びベルが、狼狽して唇を離した。
「お待ちください、フラヴィオ様――」
待ってくれないらしい。
すぐに唇が塞がれた。
今日の昼間も味わった胸が痛くなるキスで、尚のこと宰相失格になる覚悟を強いられているようだった。
隠されていた自身の厚かましい願望を押し殺し、抹消してしまいたいところなのに、それをフラヴィオは許してはくれない。
ベラドンナが『バーチョがいちばん想いを伝えやすい』と言っていたが、本当にそうだった。
唇を通して、本能に素直になれと命じられているのを感じる。
(私は、フラヴィオ様の妻に相応しくないのです)
心底そう思って涙が出て来ても、その舌が唇を割って容赦なく侵入してくる。
口の中で逃げ惑っていた舌が、捕らえられてしまう。
甘いわけがないのに、甘い味がする。
溶けるわけがないのに、溶けていく。
唇で舌を吸われたときには、身体の力も一緒に吸われていった。
(助けて……)
誰よりもフラヴィオの妻として相応しかったヴィットーリアに匹敵できるものなど、フラヴィオに対する愛ひとつだけなのに。
それだけで充分だとか、比べなくて良いとかフェデリコは言っていたが、どう頑張ったって比べてしまう。
それが出来るほど能天気で幸せな人生など送って来なかった。
悍ましい過去を持っているのだ。
ベルにとって神のような存在のフラヴィオを、穢してしまうとさえ思う。
だから嫌なのに、怖いのに、困ったことに、ここで久々の腰抜けだ。
逃げたいのに、もう逃げられない。
フラヴィオに魔法を掛けられたのだ。
間違いない。
だって唇を離し、おとなしくなったベルを見下ろしているその顔の口元が、してやったと言わんばかりに笑んでいる。
(それで良いのだ)
心の声が、聞こえた気がした。
フラヴィオが寝間着を脱ぎ捨てる。
日頃からその入浴や着替えを手伝い、その身体は見慣れているはずなのに、急に直視することが出来なくなって目を逸らしてしまう。
ヴィットーリアもそうだったが、フラヴィオも芸術品のような身体をしている。
10kg以上痩せはしたが、あくまでも『力の王』で、骨格に恵まれ、脂肪が無く、その代わり何もしなくても付くらしい筋肉の線がくっきり浮き、直線的な身体に異性ならではの美しさを感じる。
また、これは17歳のベルにも言えることだが、若い王子たちなどには見られない色気があった。
もうとっくに波打っている心臓が、尚のこと激しくなっていく。
それは戻って来たフラヴィオの手に、白のワンピース型の寝間着を肩からずり下ろされ、下着もろとも脱がされたときには爆発しそうになった。
「み、見ないで下さいっ……」
こっちもこっちで毎日のように身体を見られているが、つい胸元を腕で隠してしまう。
(なんだ、今さら)
その突っ込みも聞こえた。
フラヴィオは気にするなと言うが、ベルにとってはやっぱり切実な悩みだった。
だって、フラヴィオの理想とする女の身体がヴィットーリアだったことを、言われなくても知っていた。
ヴィットーリアの乳房は、起きていても寝ていても立派な山が屹立していた。
それに対し、ベルは以前よりは成長して、起きていれば丘くらいにはなれたものの、寝ると均されてしまい、胴体の上に相変わらず見渡す限りの広大な平地が出現するのだ。
その見晴らしの良さと来たら、笑えない。
自分の小さな手にも心にも寂しい乳房が、フラヴィオの大きな手も心も満足させられるわけがない。
申し訳なさと恥ずかしさで、とてもではないが見せられない。
――って思ってるのに、お構いなしに腕を外される。
「いっ、嫌ですっ……!」
心からの言葉だ、本音だ、本心だ。
それはフラヴィオにも伝わったが、聞いてやる気はなかった。
どこも隠すことは許さない。
(余がこれから全て、愛でるのだ)
そして抹消したいだろうその願望を、耐え切れなくなって漏らせばいい。
その華奢な脚のあいだに片膝を挟むと、ベルが「あっ」と動揺した。
内股になって必死に脚を閉じようとするが、閉じられるわけがない。
というか、開かさせるために膝を挟んだのだから、開かせてもらう。
「――やっ…止めてくださいっ……!」
フラヴィオがその膝を割り広げ、間に入ってほとんど脚を閉じられなくすると、真上から見下ろしているその顔がたちまち羞恥に染まっていった。
毎日のように見ている小さな身体を、少しのあいだ眺める。
今は声が出ず、褒めてやれないことが悔やまれた。
ベルが自身の身体を恥じているのは知っているが、そんな必要はない。
最初は皮を一枚着ただけの骸骨のようだった身体は、ここ約2年間で充分に女っぽくなった。
やはり華奢なことに変わりはないが、ちゃんと曲線を描いて女の身体をしている。
自覚が無いのだろうが、白い肌はきめ細かくて美しく、ヴィットーリアの珠の肌にだって劣らない。
大体、愛している時点で愛おしく、今目の前にどんな身体があったとしても、ベルのものだというのなら愛したかった。
さらに言えば、ベルはこんな繊細で愛らしい顔立ちを持っていなかったとしても、愛さずにはいられない女だった。
そして最愛の女神を失った現在、この7番目の天使に寄り添っていてもらわないと生きて行けそうにない。
主としてだけではなく、男としても、夫としても愛して欲しい。
求めて欲しい。
早く。
(さぁ、言うのだ……ベル)
フラヴィオにもう一度バーチョされた後、その唇を耳に感じた。
その途端、そこが火傷したかのように熱くなると同時に、ベルの背筋をゾクゾクしたものが通って行った。
首や鎖骨にされても熱くなって、今度は身体が小さく震えた。
止めて欲しい平地の探索は、よりによって一番長い。
「早急にご帰宅いただきたく存じます!」
(嫌だ)
恥ずかしさが募る。
お陰で、尚のこと身体が機敏に反応してしまう。
唇が下がって、腰に口付けられても震えて、気付けば身体が爪先まで火照っていた。
これから起こることに抵抗する気持ちは相変わらずなのに、魔法に掛かったままの身体がそれをしようとしてくれない。
フラヴィオが内太腿に頬擦りして、口付ける。
最後に脚のあいだにその顔が来たとき、あまりの羞恥に、栗色の瞳に涙が込み上げた。
「嫌です、フラヴィオ様っ……!」
その少し鋭い碧眼と目が合い、鼓動が一瞬、強く波打つ。
(駄目だ)
その言葉が聞こえた刹那、ベルが慌てて両手で口を塞いだ。
下半身が蕩けるような感覚。
耐えがたい羞恥。
漏らさずにはいられない声を、必死に押し隠す。
部屋に響き渡る濡れた音。
見据えて来る碧眼。
激しく波打つ鼓動。
稲妻のような刺激が全身を駆け巡り、少しのあいだ痙攣して動けなくなったときには恐怖を覚えた。
それがどういうことなのか知らず、2度目を迎えたときに錯乱し、3度目で泣き出した。
唯一分かったのは、とにかくひたすら恥ずかしいことになっているということで、4度目で隣の枕を取って、顔も耳も塞いだ。
でもそれは、すぐにフラヴィオに投げ捨てられてしまった。
だったらせめても、また口を手で塞ごうとしたが、許されることはなかった。
両手をレットに押し付けられながら、真上にあるその顔を見る。
もどかしそうで、苦しそうな表情があった。
(ベル)
呼ばれたのが分かった。
(早く、言うのだ)
脚のあいだに、熱いフラヴィオの体温を感じる。
(余を、求めるのだ)
ああ、どうしよう。
もう逃がしてもらえないことも、そうでなくとも膝が震えて逃げようにも逃げられないことも、分かっているが。
でもそれでも、覚悟はまだ出来ていなかったのに。
「お、お待ちくださ――」
ベルの言葉を遮るように、フラヴィオが身体の中に押し入って来た。
男を受け入れることなど、奴隷だった10年のあいだにきっと何千回も経験している。
それでも痛みが走って、顔が歪んだ。
でも、そんなことは、一瞬でどうでも良くなった――
「――…あっ……」
声が震える。
また、初めての経験だった。
奴隷時代に味わったものは、吐き気を催す不快感と屈辱で、こんなことは一度だって起こらなかったのだ。
「フラヴィオ様っ……」
身体が熱い。
心が熱い。
胸が苦しい。
突如、堰を切ったように溢れ出した、愛しさで。
「フラヴィオ様っ……!」
ああ、どうしよう。
(私は、宰相)
ならば、求めてはいけない。
フラヴィオの後妻に選ぶべきは、このベルではないのだから。
(私は、フラヴィオ様の妻に相応しくない)
ならば、望んではいけない。
厚顔無恥にも程がある。
それなのに、あろうことに、ベルが痛みで顔を歪めたと分かり、一旦止めようとしてくれたフラヴィオを、「嫌です」と言って制止していた。
その上、
「止めないでくださいっ……!」
と、おねだりしてしまったベルを、フラヴィオが少し驚いて見た。
ベルの方にも自身の口から出た言葉に、驚きと恥じる気持ちはあったが、それ以上にこうして欲しくて仕方なかった。
「ぎゅって、してください……!」
フラヴィオの胸がぎゅっとされた。
それまで、フラヴィオの顔に浮かんでいた苦痛がすっと消える。
そして安堵の微笑が浮かび、碧眼が悦びに揺れ動いた。
(余を求めてくれるのか、ベル……)
それまで押さえつけていたベルの手を離し、おねだり通りに火照った小さな身体をぎゅっと抱き締める。
甘えるようにしがみ付かれたら、尚のこと胸が強く締め付けられた。
求められるがままに、入れるところまで入っていく。
再び強い痙攣を起こし、恥ずかしそうにフラヴィオの肩に顔を埋め、必死な様子で声を堪えるベルが愛らしく、愛おしくて、溜まらない。
鼓膜に響いている激しい鼓動は、ベルのものなのか、自身のものなのか。
交じり合って、もう分からない。
今こうしてベルが、こんなにもこのフラヴィオを男として求めてくれたなら、後はもうその口に言わせるだけだった。
(言うのだ、ベル……余の妻になりたいと)
本当はそうさせてはいけない。
ベルを自己嫌悪で苦しめてしまう。
でも聞きたい。
望まれたい。
許されないことだとしても、このフラヴィオの後妻として迎えたいのは、本当はこの女だけなのだから。
その隠し切れない強い想いが、思わず態度となって出てしまう。
「――あっ……!」
とベルの顔が少し歪んだ。
あまり激しく動かれると、やっぱり痛い。
でも、やっぱりどうでも良い。
本能のままに動くフラヴィオを、止めなかった。
むしろ、フラヴィオにしがみ付いている腕に、勝手に力がこもってしまう。
止めないでと、訴えてしまっている。
この男が愛しくて、離せない。
何もかも、どうでも良くなってしまいそうな幸せ魔法に掛けられる。
(ああ、どうしよう)
己は宰相だ。
(どうしよう)
己はフラヴィオの妻に相応しくない。
(どうしよう)
求めてはいけない。
(どうしよう)
望んではいけない。
(どうしよう)
どうすればいい。
そのとき――
「ベル」
耳元、ふと愛しい男の声が聴こえた。
愛しくて狂いそうになっているあまり、ついに幻聴が起きた。
「ベル」
――違う、本物だ。
ベルのものよりずっと低いけれど、優しくて、明るい。
フラヴィオの声だ。
「――…フラヴィオ様っ……!」
鼻の奥がつんと痛くなって、涙が溢れ出す。
周りから見れば、たかだか3ヶ月半と思うかもしれないが、ベルは一日千秋の想いだった。
この声に再び名を呼んでもらえることを、今か今かと待っていた。
「もっと呼んでください、フラヴィオ様っ……!」
その顔に、ベルの愛する優しくて明るい微笑が浮かぶ。
「ああ……ベル」
ベル、ベル、ベル……――
耳元で心地良く響く、愛しい声。
吹きかかる、熱い吐息。
やがて自身の中のフラヴィオが硬さを増したら、刺激と愛しさも増した。
溜まらなくなって、より強くしがみ付いたときに、聴こえた。
「ベル、愛している」
――もう、駄目かもしれない。
(助けて)
己は宰相。
(助けて)
己はフラヴィオの妻に相応しくない。
(助けて、助けて……)
求めてはいけない、望んではいけない。
(助けて、助けて、助けて……!)
フラヴィオがぐっと強く入り込んできたと思った刹那、何度目か分からなくなった痙攣が激しく起きた。
そして身体の中で熱いものが弾けたら、味わったことのない幸せの最上級魔法に掛けられた。
もう、駄目だ。
まだ抱き締めて離さないでいてくれるこの男の腕の中、追い打ちを掛けるように優しく口付けられ、愛していると囁かれる。
こんな魔法、解けるわけがない。
もう、駄目なのだ。
己は宰相失格で、厚顔無恥な女に成り下がっていくのだ。
(ああ、助けて……ハナ――)
出た。
「なぁベル、こっち来たついでに交換日記取りに――って」
瞬時に茹でダコと化した、ハナとベル。
その絶叫が、同時に宮廷に鳴り響いていった。
「ごめんごめんごめんごめん!」
と面食らった様子で、戸口からベルの机へとテレトラスポルトし、交換日記を取ったハナ。
もう一度レットの2人を一瞥してから、その場から消えていった。
ベルが脱いでいる以上、男だったらぶっ飛ばしていたフラヴィオが、「ハナか」と安堵の顔になった後に、腕の中のベルに目を落とす。
さっきまでとは違う意味で顔を赤くし、すっかり我に返ってしまったその様子を見て、口が尖ってしまう。
ベルが毒に掛かっていたときといい、ハナは友人の危機を察する能力でもあるのだろうか。
「なぁ、ベル? 余に言いたいことはあったりしないのか?」
こほん、と咳払いをしたベルが、すまし顔で返してきた。
「おやすみなさいませ」
「むぅ」
聞きたい言葉は、もう少し先らしい。
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