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第31話ー4
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大変なことになった。
「な、何を仰っているのですか、フラヴィオ様?」
「うん? 何がだ、アモーレ?」
「フラヴィオ様は、カプリコルノ国王フラヴィオ・マストランジェロ陛下でございましょう?」
「ははは、嬉しい冗談を言ってくれるのだアモーレ」
失敗した最上級闇魔法オブリーオ――記憶喪失魔法は、よりによってフラヴィオ自身が何者であるかを忘却させてしまったようだった。
「まさかアモーレ、実は庶民の男では嫌なのかっ…? しかも貴族すっ飛ばして国王にならなきゃ、余を愛してくれないのかっ……?」
「そうではありません、私はフラヴィオ様が何であれ愛しています。それより、おかしなことにお気付きになりませんか? 庶民は自らのことを『余』なんて言いません」
「え? でも余は、もう大分前からこれで……あれ? なんでこうなったのだ?」
大衝撃を受けている一同の中、マサムネが強烈などつきをフラヴィオの胸元に入れる。
「目ぇ覚ませ、どあほうがっ! おまえ、カプリコルノ国を守る『力の王』やろ!」
「ちからのおー?」
「ハァー!?」
と声を裏返したマサムネがもう一発どつこうかとき、あまりの自体に眩暈を覚えたフェデリコがふらついた。
その身体が倒れようか寸前、「フェーデ!」とフラヴィオが支える。
「おい大丈夫かっ…!? どうしたのだっ……!?」
「どうしたって、どうしたのですか兄上……嘘でしょう? 冗談でしょう?」
「何がだ」
「兄上が国王でないのなら、私は何だと仰るのですか」
「フェーデは優秀だから、成り上がりオルキデーア軍元帥になったではないか」
「な、成り上が…? そりゃ、元帥と大将は世襲よりも実力を重視すべき階級ではありますが、私のこの力は『王家』マストランジェロ一族の男ならではのものであり、また『王弟』だから貴族からグダグダ文句言われないのであり――」
「『王家』? 『王弟』? おまえ変わったなー。いつからそんな勘違い男になったのだ」
「な…なんですって……?」
と、再び眩暈に襲われたフェデリコ。いよいよ立っているのが難しくなり、「閣下!」とアドルフォにも支えられながら、今度はこう問う。
「では、お訊きしますが? 兄上が国王でないのなら、兄上は何だと仰るのです?」
フラヴィオが「うーん?」と首を傾げる。
「ほら、見なさい。何も浮かばないでしょう、当たり前です。兄上は1456年8月12日に王家マストランジェロの王太子として生まれ、1474年12月12日に父上――先王リッカルド・マストランジェロ陛下が亡くなると同時に18歳で即位し、『力の王』と謳われるその強さで敵からカプリコルノ国を守り、担い――」
「商人なのだ!」
「は?」
「余は、アモーレと共に商人になる! なんでって、アモーレの愛するものが余と『金』だからだ! そうだ、余は酒池肉林商人なり!」
「……………………」
ついにフェデリコが白目を剥こうかその瞬間、辺りに哄笑が鳴り響いた。
一同が真っ青な顔で振り返ると、そこにさっき居なくなったばかりのタナカと、髭を生やしたマサムネ――レオーネ国王がいた。
哄笑しているのはタナカと同様、普段寡黙なレオーネ国王で、腹を抱えて笑っている。
「大丈夫じゃ、おまえたち。そう心配せんでも、フラヴィオはちゃんと戻る。ワシも昔、タナカのオブリーオの練習に付き合って同じようになったんじゃ」
「あのっ…あの、レオーネ陛下っ……!」
と小刻みに震えているベルが、レオーネ国王の下へと駆けて行った。
「フ…フラヴィオ様は、いつお戻りになりますかっ……? あの、フラヴィオ様は――」
「大丈夫じゃよ、ベル」
と、レオーネ国王がベルの頭を撫でながら、またおかしそうに笑う。
「そのうちちゃんと戻るから」
「そ、そのうちとは?」
「それはフラヴィオ次第じゃのう。ワシは3週間だったか?」
とレオーネ国王がタナカを見ると、それは溜め息交じりに「まるまる一月です」と答えた。
「一月だなんて、そんな……」
「大丈夫、大丈夫」と、レオーネ国王がベルの頭を撫で回す。
「フラヴィオがああ言うてる以上、ベルは付き合ってやるが良い。他の皆もじゃ。もう一度言うが、フラヴィオは大丈夫じゃ。心配するでない。良いな?」
顔を見合わせた一同が困惑しながらも承知すると、タナカがレオーネ国王を連れて宮廷の中へとテレトラスポルトした。
目前には、もう一匹のレオーネ国王付きのガット――ガット・ティグラートのササキがいる。実年齢45歳の雄だが、こちらも純モストロ故に老化し辛く、まだ20代に見える。
「どやった?」
とササキがニヤニヤとしながら問うと、レオーネ国王がまた哄笑した。
「フラヴィオは商人になるんだそうじゃ」
「ぶわはははは!」とササキも哄笑する。マサムネと同じ訛り口調のこっちは、日頃から多弁だった。
「それ、いくら高級なもん売っても小銭稼ぎになるか、赤字のオチやで! 貧乏商人や、貧乏商人!」
「ああ、フラヴィオに一番向いとらん職が商人だと思うんじゃがのう」
「つーか、『力の王』以外に向いとる職が思い浮かばんわ。陛下は昔、温泉宿の主人やってんなぁ?」
「そうそう。ワシはとにかく国民に気遣われて、逆に風呂に浸かってばかりいて手足がふやふやになるわ、のぼせるわで、困った困った」
とレオーネ国王とササキはまた笑うが、タナカからは苦笑が漏れる。
「当たり前でござる。相手は『陛下』ですぞ。困った困ったは民衆の方、まず気を遣わずにはおれますまい。カプリコルノ陛下が帰国したら、国民は大騒ぎでござる」
「何、大丈夫じゃ。ワシと違って、フラヴィオと民衆の距離はまるで友人同士のように近い。でも一応驚かせぬよう、ワシが一筆認めておいてやるとしよう」
「で、それを今すぐにカプリコルノの留守番組に届けてやれば問題ないやろ。どれ、ワテがテレトラスポルトで届けたる」
と、ササキが筆と紙を用意する。
「大はしゃぎしているカプリコルノ陛下が目に浮かぶでござる」
とタナカは溜め息を吐くが、2人はやはり笑う。
少し経つと、筆を置いたレオーネ国王が「よし」と言って、カプリコルノの留守番組宛の手紙をササキに渡した。
「一時的に責務から解放され、庶民を存分に楽しんで来るが良い、『力の王』よ――」
――レオーネ国へ花見へ行っていた一同が、夜桜もしっかり楽しんでからカプリコルノへと帰国すると、まだ夕方の4時だった。
いつものテレトラスポルト場所――北の海には、本日国王とその補佐3人の代理として朝廷に出た王太子夫妻の他、アラブと家政婦長ピエトラの出迎えがあった。
「おかえりなさいませ、酒池肉林『商人』様」
と、声を揃えた4人。
何故そのことをと思った帰国組だったが、王太子オルランドが懐からレオーネ国王からの手紙をちらつかせたのを見て理解した。
「親愛なる酒池肉林商人様には、私からあちらの邸宅を贈らせて頂きました」
と、オルランドが指したのは、以前フラヴィオがアドルフォ・ベラドンナ夫妻のために立てた別邸。
2人はもう宮廷の方に住んでいるが、宮廷内のどこかで夫婦喧嘩があったときに使われたり、季節違いの衣裳を置いていたりと、なんだかんだ便利に使っている。
「本日から、あちらの邸宅が酒池肉林商人様および酒池肉林商人様のアモーレのご自宅です」
「Oh……」とフラヴィオの碧眼が煌めく。
「愛の巣なのだっ……!」
ピエトラが少しその場を離れながら、ベルを手招きした。ベルが近寄っていくと、手に持っていた布袋を渡して小声になる。
「とりあえずコレを売って、陛下の商人ごっこに付き合っておやり」
「コレは?」
「オルキデーア石の『クズ石』だ。町の姫通りで売るのが良いだろう」
それを聞いたベルは安堵する。
フラヴィオはまるで商人に向いていなく、上級オルキデーア石だったら大惨事間違いなしだが、クズ石ならば痒い程度の打撃で済む。
「別邸の中も整えておいたから陛下を頼んだよ。それから、今日のところはまだ町に行かないように。民衆の『準備』は、まだ整っていないかもしれないからね」
「民衆には何と伝えてあるのですか?」
「「陛下が『庶民ごっこ』したいらしいからヨロシク」。それだけで充分だ、陛下愛が溢れるうちの国民は。皆、大張り切りさ」
それには少し、ベルは複雑な気持ちだった。民衆はきっと、フラヴィオを喜ばせたり、困らないようにしてくれるのだろうと思う。
でもレオーネ国王が、フラヴィオがいつ戻るかは本人次第と言っていたし、あまりにそれが楽しいと戻らなくなってしまうように思えた。
「それから、政の方も気にしなくていいから。オルランド殿下とアヤメ殿下が、良い機会だからって、みっちり予行練習したいとのご意向でね」
「お二方は本日の朝廷にも出席されたのですよね? 大丈夫でしたか?」
「まぁ正直、官僚に押されっぱなしだったみたいで、午前は落ち込んでいたけど……明日からは閣下たちもいるんだから大丈夫さ。あんたは何も気にしなくて良いから。陛下をしっかり頼んだよ」
フラヴィオが明るい声で「アモーレ!」と呼んだ。
「早く帰るのだ、愛の巣に!」
ベルが笑顔を作って「スィー」と承知すると、アラブが「では」と邸宅の前へとテレトラスポルトで送ってくれた。
いきなり突っ込みたくなる。
庶民の家のはずなのだが、貴族の家よりも豪邸だし、周りを衛兵が取り囲み、厳重な警備が敷かれていた。
さらに――
「この辺には定期的に魔法屋の無料移動販売が通りますので、何か困ったことがあったら気軽にお声掛けください」
移動する際にはテレトラスポルトをしてもらえ、怪我をすれば治癒魔法を掛けてもらえる。
それだけでなく、部屋が寒ければ暖かくしてもらえ、火を使うならば付けてもらえ、風呂に入るときには湯を作ってもらえ、冷蔵箱の氷は常にカチカチということだった。
正直、現在のカプリコルノ国の庶民は当然のこと、貴族の邸宅だってこんな設備があるところは無い。
庶民の生まれと言う割には、酒池肉林商人の頭はどうなっているのか、なんの疑問も持っていないらしい。
アラブが「では」と去ったあと、喜々として玄関の扉を開けた。
「さ、アモーレ」
ベルは「ありがとうございます」と言うと、新居に入っていった。
まだ肌寒いこの季節の室内に、暖かい微風が流れており、空調管理はばっちりだ。
豪華な絨毯に家具、調度品。
高級な食器類に、カトラリー。
冷え冷えの冷蔵箱と、ご馳走を作れる量の高級食材や酒類。
宮廷の厨房にある全種類のハーブや香辛料、大量の干しブドウ(ベル用)。
普通に派手な高級生地の衣装や、装飾品。
浴室に入ってみれば、浴槽に湯張り完了。しかも魔法の湯で冷め辛く、いつでもポカポカ。
寝室に入ってみれば、ふかふかの2人用ベッド。何を気遣ってくれたのか他の部屋よりも暖かく、たとえ裸になっても平気そうだ。
「庶民ってなんだっけ……」
ベルの口から、そんな呟きが思わず漏れる。
それにしても――
「2人きりだな」
後方から、ベルの心の声が代弁された。
いつものひとつ屋根の下には――宮廷には――朝昼に軍事訓練にやって来る将兵たちを除いても、使用人やら楽士やらも一緒に暮らしているので、200人超えの家族だ。
それが今日からいつまでかは分からないが、外には衛兵がいるとはいえ、ひとつ屋根の下にフラヴィオと2人きりなのだ。
そう思ったら何だか、動悸がした。
少し緊張してしまって、そっと、恐る恐る振り返る。
「照れ臭いな」
という言葉の割りには露骨で素直な、嬉々とした満面の笑みがある。
窓から差し込む夕陽に照らされ、茜色に染まったその金の髪もまた美しい。
「ふふふ」と笑って、新しい玩具を与えられた子供のようにはしゃぎ、ベルを抱き上げる。
すぐに「おっと」と言った。
「花見ですっかり身体が冷えているな。まずは風呂に入ろう」
と浴室に入り、自身の衣類もベルの衣類も一瞬でポイと投げ捨て、あたたかい浴槽の中に浸かる。
ベルがタオルでフラヴィオの身体を擦ろうとしたら、それをフラヴィオが取った。
「先に余がアモーレのお身体を洗うのだ」
と、ベルの肌を優しく撫でるように擦っていく。
こんなことは間違っても国王の仕事ではなく、少し狼狽してしまうが、謝るところでもないのも分かる。
フラヴィオがしたくてしていて、その碧眼は爛々と煌めいている。
なので「ありがとうございます」と返しておいた。
「フラヴィオ様?」
「うん?」
「明日のご予定は?」
「余はまず、いつも通り早朝6時にひとっ走りして、その後筋肉強化鍛錬をしてくるのだ。体力が落ちてはいけないからな」
と、『力の王』の務めともいえるその辺のことは、覚えているらしい。
「で、8時前に戻って来るから、アモーレの手作り朝餉を食べたいのだ」
「畏まりました」
「それで2人で商売に……あれ? 商品がないのだ」
「オルキデーア石のクズ石を頂きましたので、それをオルキデーア町の姫通りで売りましょう。尚、食材市場や飯通り、セレーナさんのパン屋は早朝6時前から開きますが、姫通りはせいぜい9時・10時からですから、急がなくても大丈夫です。魔法屋さんにテレトラスポルトをお願い出来ますし」
「ふむ。では、朝餉のドルチェも頂けそうだな。ああ、朝餉のドルチェの後に食べるドルチェのことな? 同じドルチェでも、余はこっちの方が甘くて好きなのだ」
「え?」と返してから数秒して理解したベルが、頬を染めて口を尖らせる。
「だ…駄目ですっ……!」
「明日から安全日ではないか」
「そ、そうですが、そうではなく、宰相たるもの朝っぱらからそんな不真面目なことではいけないのですっ……!」
「大丈夫だ、城に『辞表』を出しておくから。そなたはもう『商人』なのだ」
そういうわけにはいかないと、抵抗しようとしたベルだったが、思い直して口を閉ざした。
フラヴィオは大丈夫だと、ちゃんと戻ると、レオーネ国王が言っていた。今はそれを信じることにする。
「――あれっ? アモーレの胸元に以前より揉みごたえが……!」
「えっ? たしかに、そう言われてみれば…! ああ、なんと…なんということでしょう……!」
「ああぁ、ちょ…罪作りなのだアモーレっ……!」
と浴槽の縁に座らせられ、胸元を揉みしだかれ、吸い付かれながら、感動に包まれるベル。
夢中になっているフラヴィオを見、湯の中の小さな爪先がご機嫌そうに揺れる。
いつもは浴室に使用人がいるし、いつ入って来てもおかしくないので焦っているところだが、今日からそんな必要もない。
2人きりなのだから。
そう思ったら、胸元にあるフラヴィオの金の頭を抱き締めて愛撫を求めた。
レオーネ国王にも言われたことだし、フラヴィオがこうなっている以上はちゃんと付き合おう。
だって、悪くない。
フラヴィオが『庶民』だと言い張っているあいだは、政のことなど何も考え無くて良い。
まるで――
(『普通』の夫婦になったみたい)
「ふふふ」と含み笑いが出る。
幸せの予感がした。
「な、何を仰っているのですか、フラヴィオ様?」
「うん? 何がだ、アモーレ?」
「フラヴィオ様は、カプリコルノ国王フラヴィオ・マストランジェロ陛下でございましょう?」
「ははは、嬉しい冗談を言ってくれるのだアモーレ」
失敗した最上級闇魔法オブリーオ――記憶喪失魔法は、よりによってフラヴィオ自身が何者であるかを忘却させてしまったようだった。
「まさかアモーレ、実は庶民の男では嫌なのかっ…? しかも貴族すっ飛ばして国王にならなきゃ、余を愛してくれないのかっ……?」
「そうではありません、私はフラヴィオ様が何であれ愛しています。それより、おかしなことにお気付きになりませんか? 庶民は自らのことを『余』なんて言いません」
「え? でも余は、もう大分前からこれで……あれ? なんでこうなったのだ?」
大衝撃を受けている一同の中、マサムネが強烈などつきをフラヴィオの胸元に入れる。
「目ぇ覚ませ、どあほうがっ! おまえ、カプリコルノ国を守る『力の王』やろ!」
「ちからのおー?」
「ハァー!?」
と声を裏返したマサムネがもう一発どつこうかとき、あまりの自体に眩暈を覚えたフェデリコがふらついた。
その身体が倒れようか寸前、「フェーデ!」とフラヴィオが支える。
「おい大丈夫かっ…!? どうしたのだっ……!?」
「どうしたって、どうしたのですか兄上……嘘でしょう? 冗談でしょう?」
「何がだ」
「兄上が国王でないのなら、私は何だと仰るのですか」
「フェーデは優秀だから、成り上がりオルキデーア軍元帥になったではないか」
「な、成り上が…? そりゃ、元帥と大将は世襲よりも実力を重視すべき階級ではありますが、私のこの力は『王家』マストランジェロ一族の男ならではのものであり、また『王弟』だから貴族からグダグダ文句言われないのであり――」
「『王家』? 『王弟』? おまえ変わったなー。いつからそんな勘違い男になったのだ」
「な…なんですって……?」
と、再び眩暈に襲われたフェデリコ。いよいよ立っているのが難しくなり、「閣下!」とアドルフォにも支えられながら、今度はこう問う。
「では、お訊きしますが? 兄上が国王でないのなら、兄上は何だと仰るのです?」
フラヴィオが「うーん?」と首を傾げる。
「ほら、見なさい。何も浮かばないでしょう、当たり前です。兄上は1456年8月12日に王家マストランジェロの王太子として生まれ、1474年12月12日に父上――先王リッカルド・マストランジェロ陛下が亡くなると同時に18歳で即位し、『力の王』と謳われるその強さで敵からカプリコルノ国を守り、担い――」
「商人なのだ!」
「は?」
「余は、アモーレと共に商人になる! なんでって、アモーレの愛するものが余と『金』だからだ! そうだ、余は酒池肉林商人なり!」
「……………………」
ついにフェデリコが白目を剥こうかその瞬間、辺りに哄笑が鳴り響いた。
一同が真っ青な顔で振り返ると、そこにさっき居なくなったばかりのタナカと、髭を生やしたマサムネ――レオーネ国王がいた。
哄笑しているのはタナカと同様、普段寡黙なレオーネ国王で、腹を抱えて笑っている。
「大丈夫じゃ、おまえたち。そう心配せんでも、フラヴィオはちゃんと戻る。ワシも昔、タナカのオブリーオの練習に付き合って同じようになったんじゃ」
「あのっ…あの、レオーネ陛下っ……!」
と小刻みに震えているベルが、レオーネ国王の下へと駆けて行った。
「フ…フラヴィオ様は、いつお戻りになりますかっ……? あの、フラヴィオ様は――」
「大丈夫じゃよ、ベル」
と、レオーネ国王がベルの頭を撫でながら、またおかしそうに笑う。
「そのうちちゃんと戻るから」
「そ、そのうちとは?」
「それはフラヴィオ次第じゃのう。ワシは3週間だったか?」
とレオーネ国王がタナカを見ると、それは溜め息交じりに「まるまる一月です」と答えた。
「一月だなんて、そんな……」
「大丈夫、大丈夫」と、レオーネ国王がベルの頭を撫で回す。
「フラヴィオがああ言うてる以上、ベルは付き合ってやるが良い。他の皆もじゃ。もう一度言うが、フラヴィオは大丈夫じゃ。心配するでない。良いな?」
顔を見合わせた一同が困惑しながらも承知すると、タナカがレオーネ国王を連れて宮廷の中へとテレトラスポルトした。
目前には、もう一匹のレオーネ国王付きのガット――ガット・ティグラートのササキがいる。実年齢45歳の雄だが、こちらも純モストロ故に老化し辛く、まだ20代に見える。
「どやった?」
とササキがニヤニヤとしながら問うと、レオーネ国王がまた哄笑した。
「フラヴィオは商人になるんだそうじゃ」
「ぶわはははは!」とササキも哄笑する。マサムネと同じ訛り口調のこっちは、日頃から多弁だった。
「それ、いくら高級なもん売っても小銭稼ぎになるか、赤字のオチやで! 貧乏商人や、貧乏商人!」
「ああ、フラヴィオに一番向いとらん職が商人だと思うんじゃがのう」
「つーか、『力の王』以外に向いとる職が思い浮かばんわ。陛下は昔、温泉宿の主人やってんなぁ?」
「そうそう。ワシはとにかく国民に気遣われて、逆に風呂に浸かってばかりいて手足がふやふやになるわ、のぼせるわで、困った困った」
とレオーネ国王とササキはまた笑うが、タナカからは苦笑が漏れる。
「当たり前でござる。相手は『陛下』ですぞ。困った困ったは民衆の方、まず気を遣わずにはおれますまい。カプリコルノ陛下が帰国したら、国民は大騒ぎでござる」
「何、大丈夫じゃ。ワシと違って、フラヴィオと民衆の距離はまるで友人同士のように近い。でも一応驚かせぬよう、ワシが一筆認めておいてやるとしよう」
「で、それを今すぐにカプリコルノの留守番組に届けてやれば問題ないやろ。どれ、ワテがテレトラスポルトで届けたる」
と、ササキが筆と紙を用意する。
「大はしゃぎしているカプリコルノ陛下が目に浮かぶでござる」
とタナカは溜め息を吐くが、2人はやはり笑う。
少し経つと、筆を置いたレオーネ国王が「よし」と言って、カプリコルノの留守番組宛の手紙をササキに渡した。
「一時的に責務から解放され、庶民を存分に楽しんで来るが良い、『力の王』よ――」
――レオーネ国へ花見へ行っていた一同が、夜桜もしっかり楽しんでからカプリコルノへと帰国すると、まだ夕方の4時だった。
いつものテレトラスポルト場所――北の海には、本日国王とその補佐3人の代理として朝廷に出た王太子夫妻の他、アラブと家政婦長ピエトラの出迎えがあった。
「おかえりなさいませ、酒池肉林『商人』様」
と、声を揃えた4人。
何故そのことをと思った帰国組だったが、王太子オルランドが懐からレオーネ国王からの手紙をちらつかせたのを見て理解した。
「親愛なる酒池肉林商人様には、私からあちらの邸宅を贈らせて頂きました」
と、オルランドが指したのは、以前フラヴィオがアドルフォ・ベラドンナ夫妻のために立てた別邸。
2人はもう宮廷の方に住んでいるが、宮廷内のどこかで夫婦喧嘩があったときに使われたり、季節違いの衣裳を置いていたりと、なんだかんだ便利に使っている。
「本日から、あちらの邸宅が酒池肉林商人様および酒池肉林商人様のアモーレのご自宅です」
「Oh……」とフラヴィオの碧眼が煌めく。
「愛の巣なのだっ……!」
ピエトラが少しその場を離れながら、ベルを手招きした。ベルが近寄っていくと、手に持っていた布袋を渡して小声になる。
「とりあえずコレを売って、陛下の商人ごっこに付き合っておやり」
「コレは?」
「オルキデーア石の『クズ石』だ。町の姫通りで売るのが良いだろう」
それを聞いたベルは安堵する。
フラヴィオはまるで商人に向いていなく、上級オルキデーア石だったら大惨事間違いなしだが、クズ石ならば痒い程度の打撃で済む。
「別邸の中も整えておいたから陛下を頼んだよ。それから、今日のところはまだ町に行かないように。民衆の『準備』は、まだ整っていないかもしれないからね」
「民衆には何と伝えてあるのですか?」
「「陛下が『庶民ごっこ』したいらしいからヨロシク」。それだけで充分だ、陛下愛が溢れるうちの国民は。皆、大張り切りさ」
それには少し、ベルは複雑な気持ちだった。民衆はきっと、フラヴィオを喜ばせたり、困らないようにしてくれるのだろうと思う。
でもレオーネ国王が、フラヴィオがいつ戻るかは本人次第と言っていたし、あまりにそれが楽しいと戻らなくなってしまうように思えた。
「それから、政の方も気にしなくていいから。オルランド殿下とアヤメ殿下が、良い機会だからって、みっちり予行練習したいとのご意向でね」
「お二方は本日の朝廷にも出席されたのですよね? 大丈夫でしたか?」
「まぁ正直、官僚に押されっぱなしだったみたいで、午前は落ち込んでいたけど……明日からは閣下たちもいるんだから大丈夫さ。あんたは何も気にしなくて良いから。陛下をしっかり頼んだよ」
フラヴィオが明るい声で「アモーレ!」と呼んだ。
「早く帰るのだ、愛の巣に!」
ベルが笑顔を作って「スィー」と承知すると、アラブが「では」と邸宅の前へとテレトラスポルトで送ってくれた。
いきなり突っ込みたくなる。
庶民の家のはずなのだが、貴族の家よりも豪邸だし、周りを衛兵が取り囲み、厳重な警備が敷かれていた。
さらに――
「この辺には定期的に魔法屋の無料移動販売が通りますので、何か困ったことがあったら気軽にお声掛けください」
移動する際にはテレトラスポルトをしてもらえ、怪我をすれば治癒魔法を掛けてもらえる。
それだけでなく、部屋が寒ければ暖かくしてもらえ、火を使うならば付けてもらえ、風呂に入るときには湯を作ってもらえ、冷蔵箱の氷は常にカチカチということだった。
正直、現在のカプリコルノ国の庶民は当然のこと、貴族の邸宅だってこんな設備があるところは無い。
庶民の生まれと言う割には、酒池肉林商人の頭はどうなっているのか、なんの疑問も持っていないらしい。
アラブが「では」と去ったあと、喜々として玄関の扉を開けた。
「さ、アモーレ」
ベルは「ありがとうございます」と言うと、新居に入っていった。
まだ肌寒いこの季節の室内に、暖かい微風が流れており、空調管理はばっちりだ。
豪華な絨毯に家具、調度品。
高級な食器類に、カトラリー。
冷え冷えの冷蔵箱と、ご馳走を作れる量の高級食材や酒類。
宮廷の厨房にある全種類のハーブや香辛料、大量の干しブドウ(ベル用)。
普通に派手な高級生地の衣装や、装飾品。
浴室に入ってみれば、浴槽に湯張り完了。しかも魔法の湯で冷め辛く、いつでもポカポカ。
寝室に入ってみれば、ふかふかの2人用ベッド。何を気遣ってくれたのか他の部屋よりも暖かく、たとえ裸になっても平気そうだ。
「庶民ってなんだっけ……」
ベルの口から、そんな呟きが思わず漏れる。
それにしても――
「2人きりだな」
後方から、ベルの心の声が代弁された。
いつものひとつ屋根の下には――宮廷には――朝昼に軍事訓練にやって来る将兵たちを除いても、使用人やら楽士やらも一緒に暮らしているので、200人超えの家族だ。
それが今日からいつまでかは分からないが、外には衛兵がいるとはいえ、ひとつ屋根の下にフラヴィオと2人きりなのだ。
そう思ったら何だか、動悸がした。
少し緊張してしまって、そっと、恐る恐る振り返る。
「照れ臭いな」
という言葉の割りには露骨で素直な、嬉々とした満面の笑みがある。
窓から差し込む夕陽に照らされ、茜色に染まったその金の髪もまた美しい。
「ふふふ」と笑って、新しい玩具を与えられた子供のようにはしゃぎ、ベルを抱き上げる。
すぐに「おっと」と言った。
「花見ですっかり身体が冷えているな。まずは風呂に入ろう」
と浴室に入り、自身の衣類もベルの衣類も一瞬でポイと投げ捨て、あたたかい浴槽の中に浸かる。
ベルがタオルでフラヴィオの身体を擦ろうとしたら、それをフラヴィオが取った。
「先に余がアモーレのお身体を洗うのだ」
と、ベルの肌を優しく撫でるように擦っていく。
こんなことは間違っても国王の仕事ではなく、少し狼狽してしまうが、謝るところでもないのも分かる。
フラヴィオがしたくてしていて、その碧眼は爛々と煌めいている。
なので「ありがとうございます」と返しておいた。
「フラヴィオ様?」
「うん?」
「明日のご予定は?」
「余はまず、いつも通り早朝6時にひとっ走りして、その後筋肉強化鍛錬をしてくるのだ。体力が落ちてはいけないからな」
と、『力の王』の務めともいえるその辺のことは、覚えているらしい。
「で、8時前に戻って来るから、アモーレの手作り朝餉を食べたいのだ」
「畏まりました」
「それで2人で商売に……あれ? 商品がないのだ」
「オルキデーア石のクズ石を頂きましたので、それをオルキデーア町の姫通りで売りましょう。尚、食材市場や飯通り、セレーナさんのパン屋は早朝6時前から開きますが、姫通りはせいぜい9時・10時からですから、急がなくても大丈夫です。魔法屋さんにテレトラスポルトをお願い出来ますし」
「ふむ。では、朝餉のドルチェも頂けそうだな。ああ、朝餉のドルチェの後に食べるドルチェのことな? 同じドルチェでも、余はこっちの方が甘くて好きなのだ」
「え?」と返してから数秒して理解したベルが、頬を染めて口を尖らせる。
「だ…駄目ですっ……!」
「明日から安全日ではないか」
「そ、そうですが、そうではなく、宰相たるもの朝っぱらからそんな不真面目なことではいけないのですっ……!」
「大丈夫だ、城に『辞表』を出しておくから。そなたはもう『商人』なのだ」
そういうわけにはいかないと、抵抗しようとしたベルだったが、思い直して口を閉ざした。
フラヴィオは大丈夫だと、ちゃんと戻ると、レオーネ国王が言っていた。今はそれを信じることにする。
「――あれっ? アモーレの胸元に以前より揉みごたえが……!」
「えっ? たしかに、そう言われてみれば…! ああ、なんと…なんということでしょう……!」
「ああぁ、ちょ…罪作りなのだアモーレっ……!」
と浴槽の縁に座らせられ、胸元を揉みしだかれ、吸い付かれながら、感動に包まれるベル。
夢中になっているフラヴィオを見、湯の中の小さな爪先がご機嫌そうに揺れる。
いつもは浴室に使用人がいるし、いつ入って来てもおかしくないので焦っているところだが、今日からそんな必要もない。
2人きりなのだから。
そう思ったら、胸元にあるフラヴィオの金の頭を抱き締めて愛撫を求めた。
レオーネ国王にも言われたことだし、フラヴィオがこうなっている以上はちゃんと付き合おう。
だって、悪くない。
フラヴィオが『庶民』だと言い張っているあいだは、政のことなど何も考え無くて良い。
まるで――
(『普通』の夫婦になったみたい)
「ふふふ」と含み笑いが出る。
幸せの予感がした。
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