酒池肉林王と7番目の天使

日向かなた

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第42話ー1 出産

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 年が明けて1492年。

 ここ最近すっかり政に精を出し、ワン・ジンが毎日朝昼晩と必ず3回朝廷に出るようになって2ヶ月目――2月。

 昼の仕事が終わったところで、共に朝廷に出ていた母――王太后からこんなことを言われた。

「いい加減に白状なさい、ジンジン」

 日に日に苛立ちを隠せなくなっていく母の顔。

 ワン・ジンは平然を装って「何がです」と返した。

「とぼけないで。あなた、あの女――カプリコルノの宰相をどこかに匿っているでしょう? カプリコルノ第二王子の戴冠式の日、あなたはあの女を見つけられなかったと言ったけど、またアクアーリオまで行って国王に問い質してみれば、あの女が失踪してカプリコルノ国王たちが必死に探してるって言うじゃない。最近そこら中に湧くレオーネの密偵だって、大方あの女を探しているんでしょう。あなたが連れ去って来て、どこかに匿っているから。以前はいつも一緒だったリエンがいないことを考えると、リエンはあの女の見張り……いいえ、世話係かしら? 王妃のね」

「何の話だか俺にはさっぱり。もうどうでもいいんですよ、あの女のことは。俺は政で忙しいんです」

「そう、その政だって、妙におかしいわジンジン。最近、国民の笑顔、国民の笑顔って口癖みたいに言うし、眉間のシワは何処に落として来ちゃったのよ」

「別に好きで眉間に置いていたわけじゃないんですけどね」

 とたった今話に出ていたソレが、「それより」の言葉と共にワン・ジンの眉間に現れる。

「母上こそいい加減にしてくださいよ。人間の女を殺すのを禁じますと、何百回言えば分かりますか」

「無理言わないで。昨日のあの母娘、私を見て嫌な顔をしながらヒソヒソと陰口を叩いたのよ? 堂々と正面切って言われるより苛々するわ」

「言いたいことは分かりますが、いくら何でも殺すほどのことじゃないでしょう。あと、朝廷でちょっと苛立ったくらいで官僚・官吏の首を飛ばすのは止めてください」

「さっきはちょっとじゃなかったわ。国庫が苦しいっていうのに、官僚たちの蓄財ぶりときたら! 土地を大量に隠し持ってた民衆もいたし、人間は本当に腹が立つ!」

「まぁ、俺も官僚の奴らに関しては正直殴り飛ばしそうになりましたが、これからは国庫への上納金を今までの蚊の涙ほどからトンビの涙ほどにしましたから、国庫はすぐ安定するでしょう」

「もっと取りなさいよ! あと、何減税してるのよ!」

「これで良いんですよ」

「国民の笑顔のためには?」

「ええ、そうです」

 と言うなりテレトラスポルトしようとしたワン・ジンだったが、「待ちなさい」と母に引っ張られて断念する。

「まだ何か?」

 と溜め息交じりに振り返ったら、母の真顔があった。

「あの女をまたこの目で見なくても、あの女に訊かずとも、私には分かることがあるわ。それはね、あの女はあなたを愛していないということよ」

「離してください」

「あなたはまた愚かなことに、あの女にまた騙され、手の平で転がされているの」

「聞こえませんでしたか」

「私を――母を信じなさい。父上が亡くなった今、あなたを本当に愛しているのは私と、あとリエンで、あの女は違う。あの女が愛しているのは、あくまでもカプリコルノ国王――」

「離せって言ってるでしょう!」

 と怒号して、母を突き飛ばす。

「俺は国王です! 母上だからと言って、これ以上俺の命令に背くようなら許すことは出来ません! 分かりましたね!」

「ジンジン……」

 母の傷付いた顔から目を逸らすと、ワン・ジンは今度こそテレトラスポルトした。

 場所は、副都イビスコにある邸宅の中庭。

 南に行くと門と厨房があり、北に行くとベルと暮らす正房という建物がある。

 東西にも建物があるが、どちらもベルの衣裳部屋や物置になっている。

 正房に入るなり「エミ」と呼びかけるが、何の反応もなし。

 愛犬を呼んでみても無反応となると、出掛けているようだった。

「大学士堂か」

 安堵の溜め息を吐く。

 もうそろそろここも、国中の町と村を探し回っている様子の母に見つかってしまうような気がして。

 かと言って、どこの町や村に逃げても一緒だと分かる故に、引っ越す気にもなれない。

「結局、空気になってる内閣大学士たちの職場――大学士堂が一番安全なんだよな」

 そこへテレトラスポルトした。





 ――ベルはワン・ジンが朝廷に出ているあいだ、必ずリエンのテレトラスポルトで大学士堂にやって来ていた。

 副都イビスコの邸宅に籠っているよりも、ずっと気が楽になる。

 内閣大学士たちと今後の策を練っているあいだは、お腹の子のことを気にしなくて良い故に。

 大学士たちはベルが来る度に香を炊くので、その都度リエンが外に逃げ出して1時間ほど門番を務める。

 ワン・ジンの愛犬であるリエンが離れているこの1時間――1日合計3時間――が重要な時間だった。

「あの陛下が、ちゃんと減税してくれたとはなぁ」

 とシー・カクが意外そうに言うと、ゴ・カクがさも分かっていたという風に「そうだろうて」と言った。

「ま、陛下は国民のためというよりは、王妃陛下を喜ばせようとしてのことだろう。どっちにしろ、良い方向へ向かっているぞよ」

「おうおう、きっと今頃民衆が喜んでるぜい。減税が決まったのはついさっきのことだが、オレの愛犬たちが早速言いふらしに行ったからな」

 と、満足気に笑んだのは、気付けばほぼ毎日遊びに来ている熊将軍――ダイ・ケイ。必ず愛犬を1匹連れていて、それもリエン同様に香の匂いに耐えられないので外で待機している。

 友人である内閣首輔マー・ルイを見て続ける。

「ここはそろそろ、王妃陛下の評判も民衆に広めておくべきじゃねぇかい? 実はカプリコルノから来た天女のような王妃陛下がいて、陛下を善良に導いてるらしいぜってな。オレが愛犬たちと一緒に、カンクロ中にパパーッと広めてくるぜ?」

 サン・カクが「でも」と不安げに口を開いた。

「王太后陛下の耳にも入りますよね、それ? まずいのでは?」

「王太后陛下にはとっては今さらかと」

 とマー・ルイが言うと、ベルが「そうですね」と同意した。

「ですから私は、王太后陛下のことよりもレオーネ国の密偵の耳にも入ることの方が……」

「良い機会です、宰相閣下」

 と、シー・カク。

「これでカプリコルノ陛下もとりあえずのところ安心されるかと」

「たしかに、そうですが……」

 と気乗りしていない様子のベルを見て、大学士たちが顔を見合わせた。

「カプリコルノ陛下のお目に触れるかもしれないと思うと怖いですか、宰相閣下」

「はい……マー中堂。私は今、とても悍ましい姿でいるのですから」

「そういう風に思ってはいけません」

「分かるのです。フラヴィオ様にこの姿を晒し、フラヴィオ様に現実を知られてしまったとき、とても深く傷付けてしまうということが」

「そうかもしれませんが、あなたがそうやってご自身を責めるのもおかしなことです。悍ましいだなんて、そんな……!」

「しかし……」

 と呟いて俯いたベルを見ながら、マー・ルイが続ける。

「カプリコルノ遠征で大敗を喫したとき、大半の民衆が恨んだのは先王陛下です。しかし、カプリコルノが悪いのだと敵視している者も少なからずいることですし、ここは宰相閣下の評判を上げておきましょう。いずれカプリコルノ陛下に玉璽を渡すことにはなりますが、私たちはとりあえず宰相閣下を女王陛下にする方向で考えていますし」

「そんな、私が女王など……」

「ご謙遜を。とてもお似合いですよ」

 サン、シー、ゴ・カクの3人が「そうそう」と同意すると、ダイ・ケイが「うっし」と言って戸口へと向かっていった。

「決まりだな。カンクロ中に王妃陛下の評判広めてくらぁ」

 動揺したベルは、ダイ・ケイを止めようと「あの」と手を伸ばした。

 その体勢のまま、ふと「え?」と自身の腹部に目を落とす。

(今……お腹蹴った?)

 現在、妊娠約5ヶ月といったところ。

 まるで小魚に突かれたような、とても小さなものだ。

 でも、たしかに初めて感じた胎動だった。

 分かっていたが、改めて実感が湧く。

(私のお腹の中に、本当に赤ちゃんがいる)

 そう思ったら、なんとも言えない複雑な感情で満たされた。

 瞬く間に栗色の瞳に涙が溜まり、大学士たちが慣れた様子でベルの下へ布を持っていく。

(これがフラヴィオ様の子だったら、どんなに愛おしかったことでしょう)

 サン、シー、ゴ・カクたちに涙を拭かれるベルを見ながら、ベルの「あの」の声で振り返っていたダイ・ケイが、戸口から戻って来てマー・ルイに耳打ちした。

「なぁ、今日リンリー先生は?」

「そろそろ来るはずなのですが」

 それから数分後に、リンリー先生こと町医者であるマー・ルイの妻(42歳)が大学士堂へとやって来た。

 性格の穏やかさが顔によく出た美人で、玉座のような椅子に腰掛けているベルの傍らに膝を突いた。

 落ち着いた優しい声で、「どうしましたか?」と問い掛ける。

「大丈夫です、リンリー先生。何でもありません」

「何でも話してください、宰相閣下」

「さっき…さっき、初めてお腹の子が動いたのが分かったのですっ……」

 とベルがしゃくり上げながら言うと、「そうですか」とリンリーがベルの腹部に優しく手を当てた。

「お腹を蹴られたら、ぜひ答えてあげてください。話し掛けたり、指でつつき返したり。音楽を聴かせるのも良いでしょう。この時期から耳が聞こえてくると言われているのですよ」

「リンリー先生、私はこの子を愛せないのですっ……!」

「そんなことを言ってはなりません、宰相閣下。お腹の子には何の罪もなく、父親が誰であろうと、あなたはこの子の母親なのですよ」

 再び戸口に向かって行ったダイ・ケイが、マー・ルイを手招きして外に出る。

 そこにはリエンと、自身の愛犬(メス・12歳)がいる。2匹で魔法泥ダンゴを作っていて遊んでいたようだった。

 マー・ルイも外に出て来ると、ダイ・ケイはしかと扉を閉めてから小さく口を開いた。

「いや、遅ぇだろ」

「何がです?」

「宰相閣下は6月下旬あたりに出産だったよな?」

「お腹の子が純粋な人間だったらの話ですが」

「だからよ、ついさっき腹を初めて蹴ったって、どう考えても人間並の遅さだろ。だって俺の知り合いに限られるが、メッゾサングエを産んだ女たちは、腹に出来てから遅くても3ヶ月でボコボコ蹴ってるの分かったって言うぜ?」

「それハッ……」

 とリエンが声を上ずらせた。

「仕方ないヨッ…! だっテ、三分の一しかカーネの血が入ってないメッゾサングエなんだもン。成長も遅いヨッ……!」

「でも純血カーネって、すっげー小さく産まれるよな。500gとか」

「そ、そうだけどたった3ヶ月で500gネッ…! 人間よりずっと成長早いヨッ……!」

「だから宰相閣下の腹の子は成長遅すぎるだろ?」

「だ、だからそれは人間の血が濃いからデッ……!」

「リエンちゃん、そろそろ本当のこと言いな。腹の子から魔力なんて、ちっとも感じてねぇんだろ?」

「か、感じるヨ!」

「いーや、嘘だ」

 と言い争いを始める2人のあいだに、マー・ルイが「まあまあ」と割って入る。

「どっちにしろ、魔力・成長にバラつきのあるメッゾサングエは産まれてみなきゃ分からないんですよ」

「産まれる前に分かるだろ。いやまぁ、人間でも早く産まれちまったってのもたまに聞くが? でも、メッゾサングエである以上、人間よりは必ず早く産まれるだろ?」

 リエンの栗色の瞳が大きく揺れ動いたとき、大学士堂の扉が開いた。

 中からリンリーが出て来て、そっと扉を閉める。

「それはたしかに、ダイ・ケイ将軍。私は半々のメッゾサングエのお産にしか立ち会ったことがありませんが、人間のように10ヵ月もお腹にいたメッゾサングエはいません。長くても8ヶ月でした」

「わ、分からないよ、三分の一の場合ハッ……!」

「そうですけどね、リエンさん。念のため、人間よりも少し早く産まれさせた方がよろしいのでは?」

 とリンリーが問うと、リエンが「えっ」と声高になった。

「そんなこト、出来るノッ……?」

「そういう薬草があるのですよ。頭痛や嘔吐といった副作用が出る場合もあるので、本当は出産予定日よりも遅れてしまった場合にだけ使うものですが。3週間ほど早くなるくらいならそんなに問題はありませんし、宰相閣下はとても華奢で骨盤が小さいところも少し心配ですから、逆に良いかもしれません。何より、人間並にお腹に入っていて陛下に不審がられるよりは良いでしょう。どうやら宰相閣下のお命に関わるようですから」

「う…うン……」

 とリエンが頷いた傍ら、ダイ・ケイが尚のこと声を潜めた。

「リンリー先生、その薬使うことになった場合、宰相閣下には言うのか? 言ったら、腹の子はカプリコルノ陛下の子だって分かるよな?」

 リンリーがマー・ルイと顔を見合わせた。

 目で相談した後、マー・ルイの方が答える。

「言わない方が良いでしょう。さっきも言いましたが、産まれてみないと分からないのです。それでワン・ジン陛下の子だった場合、宰相閣下を酷く落胆させてしまいますから」

「だな、言わねぇ方がまだマシってもんか」

 とダイ・ケイが、「で?」とリエンを見る。

「産まれた子がカプリコルノ陛下の子だったら、どうするつもりだ?」

 熊将軍の鋭い眼光に見下ろされながら、リエンが俯いて閉口する。

 その場に静寂が流れてから間もなく、ワン・ジンが付近にテレトラスポルトで現れた。


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