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第51話ー1 結婚
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――1495年8月12日。
39歳になったカプリコルノ国王フラヴィオ・マストランジェロが、カンクロ国女王ベルナデッタ・アンナローロと結婚。
同時にカンクロ国王に即位し、カプリコルノ・カンクロ両国の国王となった。
(ついに…ついに、この日が来たのです……!)
場所はカンクロ国の宮廷内にあるロート殿。
先ほど祝福に集まったカプリコルノ・カンクロ・レオーネ・サジッターリオ・ヴィルジネ・アクアーリオの合計6ヵ国の王侯貴族の手前、ド派手な花婿・花嫁衣裳を着て厳かに結婚式が行われ、続けてフラヴィオの即位の儀の時間がやって来た。
時刻は午前10時。カプリコルノ国の方はまだ夜中の3時。
フラヴィオが女官に花婿衣装よりもキンキンキラキラの絢爛豪華な衣装を着せられ、12本の旈(玉飾り)が垂れ下がっている国王の礼帽――冕を被せられる。
その姿を見つめるベルの身体が、声が、歓喜に震えていく。
「ああ、皆様…! ついに、この日がっ……ああ、皆様、この日が!」
「はいはい」
と、カプリコルノ一同が呆れた笑顔で相槌を打つ。
「欲を言えばフラヴィオ様の世界征服でしたが、それは叶わずとも見事こうしてフラヴィオ様が世界一の大国の主として君臨されるときが来たのです……! そう、ベルナデッタの野望が叶うときが来たのでございます!」
とベルが、大人たちに抱っこやおんぶをされて熟睡している子供たちを、「起きなさい」と急いで揺すっていく。
先月20歳の誕生日を迎えた一番上の兄――王太子オルランドにおんぶされていたサルヴァトーレが、寝惚け眼で父フラヴィオを見るなり「わあ」と覚醒した。
「父上まぶしーっ!」
「そーかそーか、トーレ。父上は世界一格好良いか」
王子たちは小声で「言ってませんけど」と突っ込んだが、ベルはフラヴィオに同意して頷きながら、瞼にハンカチを当てている。
「本当に素敵でございます、フラヴィオ様っ…! 素晴らしゅうございます、フラヴィオ様っ…! ベルナデッタは生まれて来て良かったのですっ……!」
フラヴィオがおかしそうに笑った。
「あまり泣かないでくれ、アモーレ。自分の葬式を見ているような気分になる」
ベルの「スィー」の返事を確認した後、フラヴィオがベルの女官のカーネ・ロッソ――リエンに顔を向けた。
「そなたの主はあの世で怒っているだろうな」
「まあネ」と返したリエンが、「でも」と続ける。
「昨日ベルナデッタ女王陛下がご主人様のお墓の前で機嫌取っておいたシ、カプリコルノ陛下がベルナデッタ女王陛下から王権を奪ったとかじゃなくテ、この先もベルナデッタ『女王陛下』のままの分、マシだと思うヨ」
「そうだな。あいつはベルがカンクロ女王になることを望んだからな。そなたも本音を言えば、嫌じゃないのか?」
とフラヴィオが問うと、リエンがまだ泣いてるベルを見つめた。
涙は涙でも、幸せの涙だと分かるそれを見て、「ううン」と微笑する。
「ご主人様の好きだった女王陛下が――エミが幸せになることハ、リエンにとっても幸だヨ」
とリエンがベルに近寄って行くと、互いに手を伸ばして抱擁し合った。
「本当におめでとう、エミ。幸せになってネ」
「スィー。ありがとうございます、リエンさん。また、これからもよろしくお願い致します」
カンクロ国の内閣大学士の首輔マー・ルイが、こほんと咳払いをして「では」とフラヴィオを見た。
「そろそろ準備はよろしいですか、カプリコルノ陛下――もとい、カプリコルノ・カンクロ両国国王フラヴィオ・マストランジェロ陛下?」
「うむ。えーと、外に出て行ったら階段の手前で両手を広げれば良いんだったか? あれ? 階段は下りてからだったか?」
「階段下りちゃったら国民から見えないネ。階段の手前で立ち止まって、ふんぞり返って、両手をバッてするネ!」
とリエンが言うと、フラヴィオが「分かった」と承知した。
マー・ルイとリエンがロート殿の両扉を開くと、階段下の広場が見えた。
そこには、カプリコルノ国の全人口にあたる8万人を上回る数のカンクロ国民が整列して立っている。
それはカンクロ国の全人口1億2000万人のごく一部で、祝福にやって来たものの入りきらなかった国民は宮廷の外に並んでいるとのことだった。
「わあぁぁぁ…! すごい、人がいっぱい……!」
と驚いて目を丸くしたサルヴァトーレを、ベルが抱っこする。
同じ高さに並んだ栗色の頭と金色の頭は、サルヴァトーレが3つになった2ヶ月前からフラヴィオによってお揃いの髪型にされている。
「さぁトーレ、そして皆様、しかと目に焼き付けるのです。我らがフラヴィオ・マストランジェロ陛下が、世界一の大国の主に君臨するその瞬間を……!」
改めてベルに「泣くなよ」と言ったフラヴィオが、ロート殿から出て厳粛な空間へと入っていく。
「さっすがフラビー。これだけの民衆の手前でもまったく怯まないな。ただ歩いてるだけなんだろうけどふんぞり返って見えるし、偉大な国王って感じだよ」
と言ったハナの傍ら、頷いたベルの栗色の瞳に早くも涙が溜まっていく。
ちょっとぼやけて見える大きな背中が階段の前で立ち止まり、高貴な金の頭が左から右へとゆっくりと動いて、下にいる民衆の顔々を見渡していく。
「ふふ」とその笑い声が聞こえた。
「さぁ、アモーレ……とくと見るが良い!」
とフラヴィオが両腕を堂々と広げると、ベルの目にまるで翼の生えた獅子のように映った。
整列していた国民が一斉に跪いていき、サルヴァトーレを始めとする子供たちが「わぁっ!」と驚きの声を上げる。
そして泣くなと言われたベルは、声を上げて号泣する。
「素晴らしゅうございます、フラヴィオ様! 天下無双でございます、フラヴィオ様! お母さん、ベルナデッタを産んでくれてありがとう!」
フラヴィオが「まったく」と呆れたように言って笑った。
腕を下げようとしたら、「まだです!」と階段下からフェデリコの声が聞こえた。
どうやらイーゼルとキャンバスを用意して待っていたようで、手早く木炭でフラヴィオの姿を残していく。
「え、このままかフェーデ?」
「スィー、兄上。塗るのは後回しで、今は下描きだけですからすぐに終わります」
その言葉通り、芸術の天才が数分で見たままを描き終えると、フラヴィオはようやく腕を下げてロート殿へと戻っていった。
興奮した様子で碧眼を煌めかせているサルヴァトーレを左腕に抱っこし、号泣しているベルを右腕で抱き締める。
「泣くなと言ったのに、号泣か?」
「申し訳ございません。でもっ…でもっ……!」
とベルがフラヴィオに抱き付いて尚のこと号泣すると、ハナがおかしそうに、でも嬉しそうに笑った。
「そりゃ嬉しくて涙止まらないよな、ベル。野望が叶ったんだもんな、凄いや。でもあたいは、そのことより嬉しいことがあるかも」
ベルが「え?」とハナを見ると、それはこう答えた。
「ベルが――『ベルナデッタ・アンナローロ』が、『ベルナデッタ・マストランジェロ』になったことだ。あと、トーレも」
ベルが「スィー」とはにかんだ笑顔を見せると、その唇にフラヴィオがバーチョした。
サルヴァトーレがフラヴィオの襟元を掴んで「トーレも」とおねだりするので、その頬にもバーチョする。
2人を抱き締めたフラヴィオの顔に幸福の微笑が浮かんでいく。
「さて、カプリコルノでも結婚式といくか。カンクロ式のハデハデ花嫁衣裳も良いが、やっぱり花嫁衣裳は真っ白が良い。あとこっちの結婚式を見たことがないせいか、いまいち結婚した気分にならん」
「まだ向こうは真っ暗だぞ、フラビー」
「そうだった、向こうでの結婚式は向こうの午前9時だった。それまではこっちで宴会だったな、よし行こう」
と、今度は同じ宮廷内にある宴会専用会場――コンヴィート殿へと、6ヵ国の王侯貴族がぞろぞろと歩いて向かって行き、宴の開始。
二度目の結婚式が行われるカプリコルノの午前9時は、こちらの午後4時。
主役の二人と一部は、参列者たちよりも1時間早い午後3時にカプリコルノ国の宮廷オルキデーア城へと飛んでいく。
「来た来た、おかえり! さぁ、こっちだよベル!」
と家政婦長ピエトラが、ベルの花嫁衣裳や化粧道具を用意してある3階の居間から顔を出し、急いた様子で手招きする。
「余はどこに行けば良いのだ?」
ピエトラが同階にある男子用の衣裳部屋を指差した。
「陛下は花婿衣装に着替えるだけで、ほぼ準備が終わりますからね」
ということで、ベルは一足早く共に帰国してきたハナやヴァレンティーナ、ルフィーナと一緒に居間へと向かい、フラヴィオは男子用の衣裳部屋へと入っていく。
衣裳部屋の中に入ると、3人の使用人がフラヴィオの花婿衣装を手に待っていた。
カンクロ国のド派手な花婿衣装と比べると控えめだが、宝島の国王に相応しい華やかで煌びやかなそれに着替えていく。
着替え終わったら金の髪を整えて、10分で結婚式の準備完了。
フラヴィオは男子用の衣裳部屋を後にすると、4階へと駆け上がっていった。
自身の部屋の中から大切にしまっておいた『鍵』を持って来て、また3階へと降りて行く。
「失礼する」
とフラヴィオが入っていったのは、今度は『女子用』の衣裳部屋。
衣装の他にもたくさんある宝石箱の中から、見覚えのある小さな宝石箱を探し出す。
それを見つけると、鍵を差し込んで蓋を開けた。
その中には、リボンでひとつに結んだ2つの金の指輪がある。
4年前にフラヴィオとベルが2人で仕舞った、2人の結婚指輪だ。
(これを再びする日が来たのだな)
胸の詰まりを感じながら2つの指輪を握り締め、衣裳部屋を飛び出す。
居間の扉を、「アモーレ」と呼びかけながら叩いた。
「準備は終わったか? 早く真っ白な花嫁衣裳姿が見たくて溜まらぬ」
「まだです」
と、ルフィーナの声が返って来た。
「陛下はどこかでお茶でもしていてください」
そんな気分でもなかったフラヴィオが廊下で待っていたら、少しして中からルフィーナが出て来た。
「もう、助けてください。決まらないんですけど……」
とげんなりした様子で、何やらフラヴィオに助けを求める。
「わたしはベルさんがカプリコルノ王妃になればいいって思うのに、ベルさんはわたしに王妃を続けろって言うんです」
「なんだ、まだ揉めていたのか」
ベルとルフィーナ、今後どちらがカプリコルノ国の王妃になるかの論争は、フラヴィオとベルの結婚式の日付が決まった先月から始まっていた。
「ベルさんは女王だから、王妃の肩書きはいらないんですって。そりゃ、女王と王妃、どちらも同じ身分のようで、女王の方が格上だから分からなくも無いですけど……。陛下はベルさんとわたし、どっちに賛成ですか?」
フラヴィオが「ベルだ」と言うと、ルフィーナが「ええ?」と驚いた。
「どうしてです? ベルさんが正室の方がいいでしょう?」
「別に、正室でも側室でも余にとってはどっちでも同じ妻なのだ。ベルはそれを分かっているし、余にはベルの気持ちが分かる。ベルがそなたに王妃を続けて欲しいと言うのは、カプリコルノを救ってくれたそなたに敬意を表してのことだ。それに、アレックスとシルビーのこともある。余はそう思っていなくても、世間の目から見たら正室の子と側室の子じゃ身分が代わるからな。ベルがこっちで側室になったところでカンクロ女王には代わりなく、トーレは王太子のままだが、そなたが側室になったらアレックスとシルビーの身分も下がって見られるのだぞ。ちなみにそなたの兄アラブもだ」
「あ……そっか、なるほど」
と納得したルフィーナが、すぐに「でも」と少し不満そうに口を尖らせる。
「コニッリョが『仲間』になるのはもう少し時間が掛かりますが、もうすっかり人間は敵じゃないって分かってもらえたんです。つまりわたしはメッゾサングエ王妃としての大半の役目を終えたわけですから、後は側室として気楽に過ごしたいんですよ。分かってください」
「と言われてもな、そなたに対して余もベルもそんな気にはなれぬのだ。カプリコルノ国を救ってくれたそなたを降格させるのは、おかしなことなのだから」
ルフィーナが「だけど」とさらに口を尖らせる。
「お二人がカンクロ国の国王と女王なら、カプリコルノでもそんな感じにした方が良くないですか? 傍から見るとややこしいですし」
「まぁな。でも別に、酒池肉林王の側室や妾に女王がいたところで世間は驚愕せんから良いんじゃないか?」
「そりゃ酒池肉林王の側室・妾には、性別が女性または人型のメスであれば、たとえ100歳でも生後3秒でも人妻でも宇宙から来た何かでも大して驚かれないでしょうけど、でも……」
と渋るルフィーナに、フラヴィオが「頼む」と食い下がる。
「王妃の肩書きだけでも受け取ってくれ、ルフィーナ。カプリコルノ国民想いのそなたは、カプリコルノ王妃に相応しいのだから」
ルフィーナが苦笑した。
「わたし、未だに国民からまったく愛されない王妃ですよ」
「アレックスとシルビーに関してもそうだが、それは今だけだ。そのうち皆、そなたら親子には感謝しか無くなる。だから今は辛いときもあるかもしれないが、余とベルの気持ちを受け取ってくれると嬉しい」
ルフィーナが溜め息交じりに「分かりました」と諦めた様子で返した。
「では、これからも引き続き王妃のわたしをよろしくお願いします」
とフラヴィオに軽くお辞儀をした後、居間の中を覗き込む。
「ベルさん、わたしの負けですー」
ベルの含み笑いが聞こえた。
「これからもよろしくお願い致します、ルフィーナ王妃陛下」
待ち切れないフラヴィオが、廊下から声を大きくして「まだか?」と問うと、今度はヴァレンティーナの声が返って来た。
「あと少しよ、父上。今、ベルのお化粧中」
「そうか、分かった。ベルの花嫁衣裳は『試着』のときのものを少し変えたのだろう?」
「そうよ、父上。あのとき『試着』したものを、少し大人っぽく、女王陛下っぽくしてみたの」
「そうか、楽しみだ」
とフラヴィオがわくわくとしながら待つこと15分。
居間の扉が開き、ハナが顔を覗かせた。
「おっ、準備が終わったのだな?」
「終わったけどさ、ベルの衣装や化粧を乱さないって約束してくれよフラビー?」
「分かったのだ」
と承知したフラヴィオが、居間へと通される。
それは白のブーケを持って、居間の中央に立っていた。
「――アモーレ……」
4年前の『試着』をしたあのときのように、細い腰からふわっと広がった純白のスカート。
その可愛らしい印象に似合う純白のフリルは控えめになって、代わりにふんだんに使われた繊細で優雅な純白のレースが、絹のような肌を華やかに包み込んでいる。
長い純白のヴェールを被った小さな顔が、「フラヴィオ様」と幸福の微笑を浮かべれば、あのときにも見た本物の天使が、ちょっと大人びて今再びフラヴィオの目前に降臨した。
「美しいな、アモーレ」
あのときのように胸がいっぱいになって、鼻の奥がつんと痛みを上げる。
鼻を啜ったフラヴィオの顔を覗き込んだハナが、微笑ましそうに笑った。
「良かったな、フラビー。今度は『試着』じゃなくて『本番』だぞ」
「うむ。この日をずっとずっと待っていたのだ」
と感無量のフラヴィオが、ベルの衣装を乱してしまわぬよう、そっとその小さな肩抱く。
そこでピエトラが「さて」と、ベルの頭に装着しているベーロを指で摘まんだ。
「この『仕上げ』がまだですよ、陛下。どうしようかね? 基本、これは母親の役目だけど」
「では、ピエトラ様がお願い致します。一番お母さんみたいなので」
とベルが言うと、ピエトラが「そうだね」と微笑した。
「『プリームラ式』の結婚式では、教会に向かう花嫁を悪魔に見つからないようにするためとか、そんな意味でこのベーロを被せるけど……何もかも自由で気軽な『オルキデーア式』の結婚式だしね。私でもいいね」
ベルが少し屈んで頭を出すと、ピエトラがまるで本当の母のように優しく「幸せになるんだよ」と囁きながら、ベルの顔にベーロを被せた。
「これで準備完了ね。さっきまだカンクロ国にいた皆はもうこっちに来てるの?」
とヴァレンティーナがハナに問うと、それは黒猫の耳を済ませながら「うん」と頷く。
「皆1階の客間にいるっぽいな。んじゃ、皆で結婚式場――南の海に移動するか」
「スィー」と答えたベルが、続け様に「でも」と言った。
「フラヴィオ様と私は、先にマストランジェロ王家の霊廟へ送ってください――」
39歳になったカプリコルノ国王フラヴィオ・マストランジェロが、カンクロ国女王ベルナデッタ・アンナローロと結婚。
同時にカンクロ国王に即位し、カプリコルノ・カンクロ両国の国王となった。
(ついに…ついに、この日が来たのです……!)
場所はカンクロ国の宮廷内にあるロート殿。
先ほど祝福に集まったカプリコルノ・カンクロ・レオーネ・サジッターリオ・ヴィルジネ・アクアーリオの合計6ヵ国の王侯貴族の手前、ド派手な花婿・花嫁衣裳を着て厳かに結婚式が行われ、続けてフラヴィオの即位の儀の時間がやって来た。
時刻は午前10時。カプリコルノ国の方はまだ夜中の3時。
フラヴィオが女官に花婿衣装よりもキンキンキラキラの絢爛豪華な衣装を着せられ、12本の旈(玉飾り)が垂れ下がっている国王の礼帽――冕を被せられる。
その姿を見つめるベルの身体が、声が、歓喜に震えていく。
「ああ、皆様…! ついに、この日がっ……ああ、皆様、この日が!」
「はいはい」
と、カプリコルノ一同が呆れた笑顔で相槌を打つ。
「欲を言えばフラヴィオ様の世界征服でしたが、それは叶わずとも見事こうしてフラヴィオ様が世界一の大国の主として君臨されるときが来たのです……! そう、ベルナデッタの野望が叶うときが来たのでございます!」
とベルが、大人たちに抱っこやおんぶをされて熟睡している子供たちを、「起きなさい」と急いで揺すっていく。
先月20歳の誕生日を迎えた一番上の兄――王太子オルランドにおんぶされていたサルヴァトーレが、寝惚け眼で父フラヴィオを見るなり「わあ」と覚醒した。
「父上まぶしーっ!」
「そーかそーか、トーレ。父上は世界一格好良いか」
王子たちは小声で「言ってませんけど」と突っ込んだが、ベルはフラヴィオに同意して頷きながら、瞼にハンカチを当てている。
「本当に素敵でございます、フラヴィオ様っ…! 素晴らしゅうございます、フラヴィオ様っ…! ベルナデッタは生まれて来て良かったのですっ……!」
フラヴィオがおかしそうに笑った。
「あまり泣かないでくれ、アモーレ。自分の葬式を見ているような気分になる」
ベルの「スィー」の返事を確認した後、フラヴィオがベルの女官のカーネ・ロッソ――リエンに顔を向けた。
「そなたの主はあの世で怒っているだろうな」
「まあネ」と返したリエンが、「でも」と続ける。
「昨日ベルナデッタ女王陛下がご主人様のお墓の前で機嫌取っておいたシ、カプリコルノ陛下がベルナデッタ女王陛下から王権を奪ったとかじゃなくテ、この先もベルナデッタ『女王陛下』のままの分、マシだと思うヨ」
「そうだな。あいつはベルがカンクロ女王になることを望んだからな。そなたも本音を言えば、嫌じゃないのか?」
とフラヴィオが問うと、リエンがまだ泣いてるベルを見つめた。
涙は涙でも、幸せの涙だと分かるそれを見て、「ううン」と微笑する。
「ご主人様の好きだった女王陛下が――エミが幸せになることハ、リエンにとっても幸だヨ」
とリエンがベルに近寄って行くと、互いに手を伸ばして抱擁し合った。
「本当におめでとう、エミ。幸せになってネ」
「スィー。ありがとうございます、リエンさん。また、これからもよろしくお願い致します」
カンクロ国の内閣大学士の首輔マー・ルイが、こほんと咳払いをして「では」とフラヴィオを見た。
「そろそろ準備はよろしいですか、カプリコルノ陛下――もとい、カプリコルノ・カンクロ両国国王フラヴィオ・マストランジェロ陛下?」
「うむ。えーと、外に出て行ったら階段の手前で両手を広げれば良いんだったか? あれ? 階段は下りてからだったか?」
「階段下りちゃったら国民から見えないネ。階段の手前で立ち止まって、ふんぞり返って、両手をバッてするネ!」
とリエンが言うと、フラヴィオが「分かった」と承知した。
マー・ルイとリエンがロート殿の両扉を開くと、階段下の広場が見えた。
そこには、カプリコルノ国の全人口にあたる8万人を上回る数のカンクロ国民が整列して立っている。
それはカンクロ国の全人口1億2000万人のごく一部で、祝福にやって来たものの入りきらなかった国民は宮廷の外に並んでいるとのことだった。
「わあぁぁぁ…! すごい、人がいっぱい……!」
と驚いて目を丸くしたサルヴァトーレを、ベルが抱っこする。
同じ高さに並んだ栗色の頭と金色の頭は、サルヴァトーレが3つになった2ヶ月前からフラヴィオによってお揃いの髪型にされている。
「さぁトーレ、そして皆様、しかと目に焼き付けるのです。我らがフラヴィオ・マストランジェロ陛下が、世界一の大国の主に君臨するその瞬間を……!」
改めてベルに「泣くなよ」と言ったフラヴィオが、ロート殿から出て厳粛な空間へと入っていく。
「さっすがフラビー。これだけの民衆の手前でもまったく怯まないな。ただ歩いてるだけなんだろうけどふんぞり返って見えるし、偉大な国王って感じだよ」
と言ったハナの傍ら、頷いたベルの栗色の瞳に早くも涙が溜まっていく。
ちょっとぼやけて見える大きな背中が階段の前で立ち止まり、高貴な金の頭が左から右へとゆっくりと動いて、下にいる民衆の顔々を見渡していく。
「ふふ」とその笑い声が聞こえた。
「さぁ、アモーレ……とくと見るが良い!」
とフラヴィオが両腕を堂々と広げると、ベルの目にまるで翼の生えた獅子のように映った。
整列していた国民が一斉に跪いていき、サルヴァトーレを始めとする子供たちが「わぁっ!」と驚きの声を上げる。
そして泣くなと言われたベルは、声を上げて号泣する。
「素晴らしゅうございます、フラヴィオ様! 天下無双でございます、フラヴィオ様! お母さん、ベルナデッタを産んでくれてありがとう!」
フラヴィオが「まったく」と呆れたように言って笑った。
腕を下げようとしたら、「まだです!」と階段下からフェデリコの声が聞こえた。
どうやらイーゼルとキャンバスを用意して待っていたようで、手早く木炭でフラヴィオの姿を残していく。
「え、このままかフェーデ?」
「スィー、兄上。塗るのは後回しで、今は下描きだけですからすぐに終わります」
その言葉通り、芸術の天才が数分で見たままを描き終えると、フラヴィオはようやく腕を下げてロート殿へと戻っていった。
興奮した様子で碧眼を煌めかせているサルヴァトーレを左腕に抱っこし、号泣しているベルを右腕で抱き締める。
「泣くなと言ったのに、号泣か?」
「申し訳ございません。でもっ…でもっ……!」
とベルがフラヴィオに抱き付いて尚のこと号泣すると、ハナがおかしそうに、でも嬉しそうに笑った。
「そりゃ嬉しくて涙止まらないよな、ベル。野望が叶ったんだもんな、凄いや。でもあたいは、そのことより嬉しいことがあるかも」
ベルが「え?」とハナを見ると、それはこう答えた。
「ベルが――『ベルナデッタ・アンナローロ』が、『ベルナデッタ・マストランジェロ』になったことだ。あと、トーレも」
ベルが「スィー」とはにかんだ笑顔を見せると、その唇にフラヴィオがバーチョした。
サルヴァトーレがフラヴィオの襟元を掴んで「トーレも」とおねだりするので、その頬にもバーチョする。
2人を抱き締めたフラヴィオの顔に幸福の微笑が浮かんでいく。
「さて、カプリコルノでも結婚式といくか。カンクロ式のハデハデ花嫁衣裳も良いが、やっぱり花嫁衣裳は真っ白が良い。あとこっちの結婚式を見たことがないせいか、いまいち結婚した気分にならん」
「まだ向こうは真っ暗だぞ、フラビー」
「そうだった、向こうでの結婚式は向こうの午前9時だった。それまではこっちで宴会だったな、よし行こう」
と、今度は同じ宮廷内にある宴会専用会場――コンヴィート殿へと、6ヵ国の王侯貴族がぞろぞろと歩いて向かって行き、宴の開始。
二度目の結婚式が行われるカプリコルノの午前9時は、こちらの午後4時。
主役の二人と一部は、参列者たちよりも1時間早い午後3時にカプリコルノ国の宮廷オルキデーア城へと飛んでいく。
「来た来た、おかえり! さぁ、こっちだよベル!」
と家政婦長ピエトラが、ベルの花嫁衣裳や化粧道具を用意してある3階の居間から顔を出し、急いた様子で手招きする。
「余はどこに行けば良いのだ?」
ピエトラが同階にある男子用の衣裳部屋を指差した。
「陛下は花婿衣装に着替えるだけで、ほぼ準備が終わりますからね」
ということで、ベルは一足早く共に帰国してきたハナやヴァレンティーナ、ルフィーナと一緒に居間へと向かい、フラヴィオは男子用の衣裳部屋へと入っていく。
衣裳部屋の中に入ると、3人の使用人がフラヴィオの花婿衣装を手に待っていた。
カンクロ国のド派手な花婿衣装と比べると控えめだが、宝島の国王に相応しい華やかで煌びやかなそれに着替えていく。
着替え終わったら金の髪を整えて、10分で結婚式の準備完了。
フラヴィオは男子用の衣裳部屋を後にすると、4階へと駆け上がっていった。
自身の部屋の中から大切にしまっておいた『鍵』を持って来て、また3階へと降りて行く。
「失礼する」
とフラヴィオが入っていったのは、今度は『女子用』の衣裳部屋。
衣装の他にもたくさんある宝石箱の中から、見覚えのある小さな宝石箱を探し出す。
それを見つけると、鍵を差し込んで蓋を開けた。
その中には、リボンでひとつに結んだ2つの金の指輪がある。
4年前にフラヴィオとベルが2人で仕舞った、2人の結婚指輪だ。
(これを再びする日が来たのだな)
胸の詰まりを感じながら2つの指輪を握り締め、衣裳部屋を飛び出す。
居間の扉を、「アモーレ」と呼びかけながら叩いた。
「準備は終わったか? 早く真っ白な花嫁衣裳姿が見たくて溜まらぬ」
「まだです」
と、ルフィーナの声が返って来た。
「陛下はどこかでお茶でもしていてください」
そんな気分でもなかったフラヴィオが廊下で待っていたら、少しして中からルフィーナが出て来た。
「もう、助けてください。決まらないんですけど……」
とげんなりした様子で、何やらフラヴィオに助けを求める。
「わたしはベルさんがカプリコルノ王妃になればいいって思うのに、ベルさんはわたしに王妃を続けろって言うんです」
「なんだ、まだ揉めていたのか」
ベルとルフィーナ、今後どちらがカプリコルノ国の王妃になるかの論争は、フラヴィオとベルの結婚式の日付が決まった先月から始まっていた。
「ベルさんは女王だから、王妃の肩書きはいらないんですって。そりゃ、女王と王妃、どちらも同じ身分のようで、女王の方が格上だから分からなくも無いですけど……。陛下はベルさんとわたし、どっちに賛成ですか?」
フラヴィオが「ベルだ」と言うと、ルフィーナが「ええ?」と驚いた。
「どうしてです? ベルさんが正室の方がいいでしょう?」
「別に、正室でも側室でも余にとってはどっちでも同じ妻なのだ。ベルはそれを分かっているし、余にはベルの気持ちが分かる。ベルがそなたに王妃を続けて欲しいと言うのは、カプリコルノを救ってくれたそなたに敬意を表してのことだ。それに、アレックスとシルビーのこともある。余はそう思っていなくても、世間の目から見たら正室の子と側室の子じゃ身分が代わるからな。ベルがこっちで側室になったところでカンクロ女王には代わりなく、トーレは王太子のままだが、そなたが側室になったらアレックスとシルビーの身分も下がって見られるのだぞ。ちなみにそなたの兄アラブもだ」
「あ……そっか、なるほど」
と納得したルフィーナが、すぐに「でも」と少し不満そうに口を尖らせる。
「コニッリョが『仲間』になるのはもう少し時間が掛かりますが、もうすっかり人間は敵じゃないって分かってもらえたんです。つまりわたしはメッゾサングエ王妃としての大半の役目を終えたわけですから、後は側室として気楽に過ごしたいんですよ。分かってください」
「と言われてもな、そなたに対して余もベルもそんな気にはなれぬのだ。カプリコルノ国を救ってくれたそなたを降格させるのは、おかしなことなのだから」
ルフィーナが「だけど」とさらに口を尖らせる。
「お二人がカンクロ国の国王と女王なら、カプリコルノでもそんな感じにした方が良くないですか? 傍から見るとややこしいですし」
「まぁな。でも別に、酒池肉林王の側室や妾に女王がいたところで世間は驚愕せんから良いんじゃないか?」
「そりゃ酒池肉林王の側室・妾には、性別が女性または人型のメスであれば、たとえ100歳でも生後3秒でも人妻でも宇宙から来た何かでも大して驚かれないでしょうけど、でも……」
と渋るルフィーナに、フラヴィオが「頼む」と食い下がる。
「王妃の肩書きだけでも受け取ってくれ、ルフィーナ。カプリコルノ国民想いのそなたは、カプリコルノ王妃に相応しいのだから」
ルフィーナが苦笑した。
「わたし、未だに国民からまったく愛されない王妃ですよ」
「アレックスとシルビーに関してもそうだが、それは今だけだ。そのうち皆、そなたら親子には感謝しか無くなる。だから今は辛いときもあるかもしれないが、余とベルの気持ちを受け取ってくれると嬉しい」
ルフィーナが溜め息交じりに「分かりました」と諦めた様子で返した。
「では、これからも引き続き王妃のわたしをよろしくお願いします」
とフラヴィオに軽くお辞儀をした後、居間の中を覗き込む。
「ベルさん、わたしの負けですー」
ベルの含み笑いが聞こえた。
「これからもよろしくお願い致します、ルフィーナ王妃陛下」
待ち切れないフラヴィオが、廊下から声を大きくして「まだか?」と問うと、今度はヴァレンティーナの声が返って来た。
「あと少しよ、父上。今、ベルのお化粧中」
「そうか、分かった。ベルの花嫁衣裳は『試着』のときのものを少し変えたのだろう?」
「そうよ、父上。あのとき『試着』したものを、少し大人っぽく、女王陛下っぽくしてみたの」
「そうか、楽しみだ」
とフラヴィオがわくわくとしながら待つこと15分。
居間の扉が開き、ハナが顔を覗かせた。
「おっ、準備が終わったのだな?」
「終わったけどさ、ベルの衣装や化粧を乱さないって約束してくれよフラビー?」
「分かったのだ」
と承知したフラヴィオが、居間へと通される。
それは白のブーケを持って、居間の中央に立っていた。
「――アモーレ……」
4年前の『試着』をしたあのときのように、細い腰からふわっと広がった純白のスカート。
その可愛らしい印象に似合う純白のフリルは控えめになって、代わりにふんだんに使われた繊細で優雅な純白のレースが、絹のような肌を華やかに包み込んでいる。
長い純白のヴェールを被った小さな顔が、「フラヴィオ様」と幸福の微笑を浮かべれば、あのときにも見た本物の天使が、ちょっと大人びて今再びフラヴィオの目前に降臨した。
「美しいな、アモーレ」
あのときのように胸がいっぱいになって、鼻の奥がつんと痛みを上げる。
鼻を啜ったフラヴィオの顔を覗き込んだハナが、微笑ましそうに笑った。
「良かったな、フラビー。今度は『試着』じゃなくて『本番』だぞ」
「うむ。この日をずっとずっと待っていたのだ」
と感無量のフラヴィオが、ベルの衣装を乱してしまわぬよう、そっとその小さな肩抱く。
そこでピエトラが「さて」と、ベルの頭に装着しているベーロを指で摘まんだ。
「この『仕上げ』がまだですよ、陛下。どうしようかね? 基本、これは母親の役目だけど」
「では、ピエトラ様がお願い致します。一番お母さんみたいなので」
とベルが言うと、ピエトラが「そうだね」と微笑した。
「『プリームラ式』の結婚式では、教会に向かう花嫁を悪魔に見つからないようにするためとか、そんな意味でこのベーロを被せるけど……何もかも自由で気軽な『オルキデーア式』の結婚式だしね。私でもいいね」
ベルが少し屈んで頭を出すと、ピエトラがまるで本当の母のように優しく「幸せになるんだよ」と囁きながら、ベルの顔にベーロを被せた。
「これで準備完了ね。さっきまだカンクロ国にいた皆はもうこっちに来てるの?」
とヴァレンティーナがハナに問うと、それは黒猫の耳を済ませながら「うん」と頷く。
「皆1階の客間にいるっぽいな。んじゃ、皆で結婚式場――南の海に移動するか」
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「フラヴィオ様と私は、先にマストランジェロ王家の霊廟へ送ってください――」
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