囚われの姫ですが、残念ながら魔王にも勇者にも相手にされません…

3ツ月 葵(ミツヅキ アオイ)

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第12話(ルート2)

「もう一度言う! ――僕はヴュステ王国が第三王子、テオドール。テオドール・ヴァレンシュタイン! 人類の宝とも言える美しき姫を攫った魔王よ。成敗いたす!」

 ヴュステ王国!?
 聞き覚えがある様な無い様な……どこだったかも思い出せない国名に私は頭を捻った。

「あんなものが宝だと? クックックックッ! 笑わせる。我の方が数千万倍美しいというのに……。」

 そう言って魔王はポーズをとってフフンっと鼻で笑ってみせていた。
 さすがナルシストと言ったところか、こんな時でも決めポーズを欠かさない魔王に私は少し感心した。

「なんだと!? 闇の支配者である穢れたお前が、あの女神の化身とも言える姫に敵うものか!」

 魔王は自分の美しさを否定され、それによって明らかに怒りを増しているのが分かった。

「も、もう一度言ってみろ……。」

 余程こたえていたのか、魔王の声は若干裏返っていた。

「あぁ、何度も出言ってやる! 姫こそが美しい! お前はク〇ッタレだ!」

「よ~く~も~~! よくもよくもよくもよくも――我を本気で怒らせたことを後悔するがいい!!」

 怒りという感情に支配され、余裕をなくした魔王は炎でも吐き出さんばかりの真っ赤な顔になっていた。
 これはヤバいんじゃないかと、私はハラハラしながら見ていた。

 テオドールと名乗った男の子はなかなかできる人の様で、構えて両手で持っていたレイピアで魔王からの攻撃に何度も応戦していた。

 だからもしかしたら……とも始めは思っていたけど、時間が経つにつれて身に付けている鎧や兜に攻撃魔法がギリギリ掠めるぐらい肉迫していった。
 これでは彼もダメかもしれない――私は肩を落とした。

「クッ……お前なんかに―――っ!」

 テオドールは片膝を付き、息も上がってきていてだいぶ消耗しているみたいだ。

「他愛も無い……。人間に――しかもお子様に、我が後れを取るものか。」

「僕は子供じゃないっ! 15歳のれっきとした大人だ!!」

 ――えっ?

 15歳と聞き、私は思わず大声で叫びそうになった。
 どう見ても私よりも身長は低そうなのに……同じ年だということに驚愕した。

 国ごとに成人年齢が異なるとはいえ、だいたいどこの国でも15か16で成人なので確かに年齢だけみれば大人ではあろうが………。

「そんな成りで大人とは……到底思えんなっ! だが人間ごとき、我にとっては些細な事よ。」

 魔王は右手を上空に掲げる様にして挙げた。

「どうせ、そなたはここで死ぬのだからな――。今までここに来た他の王子ら同様、この魔王によって。」

 掲げた手の平の上には、大きな暗黒の丸い塊が嫌な音をたてて渦を巻いていた。
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