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私はあの日、成人した感謝を伝えてこの日が来たことの報告を森の賢者にし、その後で族長たる国王の住まう城へと招待されていたので行った。
城では同じく成人を迎えた数人と一緒に祝いの宴が催され、成人して戦士となった誓いを立てた証として銀製の飾り用の刃の無い短剣を国王から贈られる。
銀はエルフにとって最大の守りを示すものであり、純潔の印である。
純潔を失えばエルフはエルフでなくなり、この短剣の輝きもそれと共に失われて朽ちてゆく。
これはその戒めとしての役割も持って国王より贈られることになっているのだろう…。
そして自分の家へと帰ると、両親に「おめでとう」という言葉と共に迎えられ、夕飯の時には父にお祝いに何か欲しい物とかは無いかと尋ねられた。
成人したお祝いに何でも一つ、可愛い娘のお願いを叶えてくれるという話なのだ。
「何でもいいぞ~。ほら、言ってみなさい!」
願いが叶うならば、私は一度人間の街と言うものに行ってみたかった。
だがそんな事を両親の前で言っても危険だからと反対されるのがオチだ……。
でも、どうしても好奇心から行きたくて仕方がなかった私は、何かしらの森から出る口実を作ろうとそこでしばし考えた。
「う~ん……。何でもいいんだよねぇ? パパ。」
「そうだぞ~! 遠慮しないで言ってみなさい。」
父は満面の笑みで私に問いかけ、父の横に居た母も私と父のやり取りを見ながら優しい笑顔でフフフッと笑っていた。
「……それならねぇ…、森の外にあるっていう『海』というものを見に行きたいの。だから森から数日出る事を許して欲しいな。」
「……海………だと……………。」
「ええ。」
父は娘の思いがけない発案に驚いて固まっていた。
「森の外は危険なんだぞ! 野蛮な人間だっているし…。それに…、それに……。」
「大丈夫よ、パパ。成人して森の賢者様から加護も頂いたのよ。それに学校の剣術大会ではいつもベスト5に入っているのは知っているでしょ? ねぇ、噂に聞く海ってどんなものか見てみたいのよ。だからお願い!」
父は最初は反対し、長らく渋っていたが私の説得によって4日後には許しを出してくれた。
「ありがとう、パパ。大好きよ!」
私はやっと得られた許可にすごく嬉しくなり、父に抱き付いて飛び跳ねていた。
「許可は出したがなるべく早く帰れよ。行く前に森の外へ出る準備はしっかりして行けよ。」
父は出発する直前まで色々と口うるさく言っていたが、これで人間の街に行けるという喜びに浮かれていた私の耳には聞こえていなかった。
それから2日後、表向きは『歩いて2日ほどの所にある海を見に行く』という出掛ける準備を済ませ、両親と近所に住む友達に見送られて私は森を出た。
道中エルフとバレない様にと母に着せられた全身を隠すほど丈の長い外套をフードまで被り、森から一番近い人間の街を目指した。
幼き頃に出会った人間と少し話をしていたので大体の場所は分かっており、そう困りはしなかった。
「確か道沿いに1日歩いて、途中にある目印の赤いマイルストーンを右に曲がってそこを少し行った所に人間の街があるのよね。方向も海へ行くのと同じだし、バッチリ覚えているから大丈夫ね。」
私は少し長い道のりも意気揚々と人間の街まで歩き、門をくぐって中へと入った。
「うわ~ぁ。すご~い!」
門は開かれており、誰もが自由に出入りすることができたので問題はなかった。
だが私が街を見て驚いている様子を見て周りにいる人間の数人はクスクスと笑っていた。
「アイツ、余程の田舎からこの街に来たんだぜ。『うわ~ぁ。すご~い!』だって。」
「そこの山の中からでも来たんだろ。」
私には聞こえない様にか小さな声で私を指差して嘲り笑っていた。
しかしやっと念願かなって来れた人間の街の大きさに感嘆していた私は、そんな声も右から左へと耳を通過していた。
エルフの私にとって人間の食べ物は殆ど食べれる物が無い事は既に知っていたし、人間の使うお金という物も持っていなかったので買い物もできない為に最初から長居する予定もなく、3~4時間程街の中を見て回って観光したらそのまま真っ直ぐ森へと帰るという計画にしていた。
「あんまり長く居てもすることも無いだろうしね、それにここに来る為の嘘とはいえ、全く海を見ないで帰ると適当な話をした所で『海』を知っている人とパパやママが話をしちゃったらバレそうだから、一応そっちにもちょっとは行って見ておかないといけないしな~。」
そう考えて私は決めた時間以内で隅から隅まで観光し尽くそうと、森では絶対に見られない物だらけで形作られた周りの景色をキョロキョロして色々と見ながら歩いた。
「お嬢ちゃん、何処へ行くんだい? ママのお使いかな~ぁ?」
2時間近く歩きまわり、人間の街に居る事にも慣れた頃に突然、道の脇から目の前に出てきた若めの男に声をかけられた。
「こ、これでも私……っ!」
そこでハッとして口篭り、年齢をそのまま言う事を躊躇った。
幼い日の記憶から優しい人間だっている事を知っていたが、何かしらのトラブルにならない様にとエルフであることは隠そうと思っていた。
30歳の成人したばかりの私の見た目は人間にすると15~16歳ぐらいに見え、エルフはその一生の殆どの時間をこの若い見た目で過ごす。
そして人間と違って何歳になってもエルフは胸が豊かにならないので、更に下の12~13歳にも見えることがあるらしいのだ。
「私……15歳なのよ! 成人してるんだから『お嬢ちゃん』なんて言わないで!」
怪しまれないよう、私は人間から見られた見た目にも合わせて人間の成人年齢である15歳と偽った。
「ほ~ぅ……。15歳のくせに胸も無いんだな。まぁ俺はそういう女も嫌いじゃあないがな~。ウッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッ!」
その男に外套の隙間から見えていた体をジロジロと見られ、凹凸を確かめる様に胸を触られてバカにする様に笑われた。
「ちょ、ちょっと! 何するのよ!」
私はその手を払いのけて胸を隠す仕草をし、この突然話しかけてきた男の言動に嫌悪感を覚えて立ち去ろうとした。
その時、この男が居る道とは逆の方へ行こうとクルッと後ろを向くと、外套がヒラリと捲れて腰に下げていた銀製の短剣が日の光に反射されてキラリと光った。
それを目ざとく見つけた男は素早く私の腰から銀製の短剣を奪い、先程この男が出てきた細い路地の方へと逃げる様に入っていった。
「えっ……あっ…! 返してよ! それ私の大事な物なのよ!!」
「良い物もってんじゃ~ん。こんな金目の物、お子様にはもったいないよ~。」
私はその男を追いかけて路地へと入り、人間2人がやっとギリギリすれ違える位の細い道を走った。
その男は暫く行くと逃げる途中でこちらへ振り返って立ち止まり、私に向けてこれ見よがしに銀製の短剣を上に掲げ、楽しそうに振って見せびらかした。
「へへ~ん。取り返せるものなら取り返してみろってんだ。」
私は今しかないと、飛び付いてでも取り返そうと思いっきりジャンプした。
そして上手く銀製の短剣を持っている方の男の腕に飛び付いた瞬間、着地に少しバランスを崩してしまって外套のフードが脱げてしまった。
「…っ! お、お前……エルフだったのか…!!」
フードが脱げて露わになってしまったエルフの特徴である尖って長い耳を見て男は驚き、目が点になっていたがすぐにその口はニタリと下卑た笑いを浮かべだし、絶対に逃がすものかという強い意志を感じられる程腕に強く力を入れて私の体を締め上げ、羽交い締めにして捕まえた。
「は、離してよ!!」
「うるせぇっ!」
「ヒッ………!」
男の怒声の迫力に身がすくみ、その恐怖によって喉を押さえつけられたかの様に声が詰まってしまい、まともに出せなくなった。
私たちの言い争いの声が聞こえたからなのか、路地の奥からこの男の仲間らしき男が2人近付いてきた。
「どうしたんだよ、アラン。」
私を捕まえているアランと呼ばれた男はその体勢のまま振り返り、近付いてきた男2人に私を見せた。
「おっ! 美人で有名なエルフじゃないか! どうしたんだ~、それ。」
「そうなんだよ~。偶然そこの道を歩いていたのを捕まえてね…。」
アランはその辺で虫でも捕まえたかの様に軽い感じで私を拉致した事を離すと、仲間の男の1人が私を見てやけにハイテンションで喜んで私の腰をサワサワと撫でた。
「ィヤッ………!」
やっと出た抵抗の声も小さく、虚しくもそれは男たちの欲情を煽っているだけだった。
「『イヤッ。』だって、か~わい! 俺一度エルフと姦ってみたかったんだよな~。ヤリィ!」
「お前、ツルペタが好みなのかよ~? こんな何もない板なんてつまんなくないか~? 俺はちょっと動く度に揺れるボインちゃんのが断然好みだぜ~! ヒッヒッヒッヒッヒッ…。」
「こういうのは子供と姦ってるみたいで…、なんか禁忌を犯してる感じがしてたまらないのが娼館に居る女と姦るのとは違ってそれはそれで良いんだよ。それにエルフだと、人間の女と違って何かすっごい気持ち良いって聞いたことがあるぜ~!」
「本当かよ~? それなら俺も、多少我慢してやっても良いかもしれないな。」
男3人はウキウキと嬉しそうに私の行く末を話だし、涎をジュルリと垂らしながら気味の悪い怪しい笑みを浮かべていた。
私はこの不気味な男3人に囲まれ、その笑顔に背筋がゾッとして恐怖のあまりに顔が引きつり、体が硬直してしまっていた。
そして何かで口を押えられて気絶させられ、気が付いた時には私は両手を縛られ、どこかの薄暗くて周りがハッキリとは見えないが冷たい石の床に転がされていた事から地下室らしき場所へと運ばれていた。
「ウヒヒヒヒヒヒヒ…。お目覚めかい? エルフちゃん。ここなら誰にも邪魔されずに楽しむことができるぜ~!」
「意識のない女を襲ってもつまらないし、お前も一緒に楽しみたいだろうからってわざわざ目が覚めるのを優しい俺様たちは待ってやってたんだぞ~。ありがたく思えよな~。」
そう言うと2人がかりで床に抑えつけられた私の体から残りの1人が服をやおら掴み、ビリビリと引き裂いて私を裸に剥いた後、私の首筋をベロリと舐めて気持ちの悪い目つきで私を見た。
「男3人にも囲まれてちゃ逃げられないって分かっているだろ~。観念して一緒に楽しもうぜ~。エルフちゃんよ~ぉ。これからと~っても楽しい、気持ち良い事をしまくるんだからよぉ。」
「あ~! それ、服破くの楽しそうでいいな~。」
「1番手の特権よぉ! さっきコインで順を番決めただろ~。」
「ク~ゥ………。」
男3人は楽しそうに盛り上がり、私を辱める順番で後になったらしき男の1人が悔しがっていた。
私の服を引き裂いていた男は私の足の間に割って入り、どこからか持ってきたヌルヌルとした液体を私の下半身にドバドバとぶっかけ、自分の男性自身をそこに思いっきりズブリと突っ込んできた。
「ギ…ギ……ギヤァァァァァァー!! い、痛いっ! 止めてーーー!!」
私は痛さのあまりに叫び声をあげてボロボロと泣き出したが、その口を横に居た男の大きな手によってムギューっと左右から頬を指で潰して摘まむ様に片手で掴まれて黙らされた。
「暇だからダメなんだよな~。余っているそのお口は俺のを咥えてちょっと黙っとけよ。歯なんか立てるなよ~。くれぐれも噛むんじゃないぞ。そんなことしたら痛い目にあわせてやるからな~。」
そう言って横に居る男が自分の男性自身を無理矢理私の口にも突っ込んできて、叫ぶことさえも何も抵抗ができなくさせられた。
「うほっ! こりゃなかなか…ナカが締まって気持ち良いな。」
「口もなかなか気持ち良いぞ~。ぎこちないのが処女って感じがしてたまんねー!」
「早くイケよ~。俺だけあぶれちまってるんだぜ~?」
1人余っている男は逃げない様に私の体を掴みながら、ソワソワと2人を急かしていた。
「まぁ待て、時間はあるんだ。ゆっくりと楽しもうぜ~!」
「タダなんだしよ~。それに娼館の慣れてる金の事しか頭にない女どもとは違って好き勝手に姦りまくれるんだからさ~、長く楽しめそうだぜ~。」
「しかも俺らとは種族が違うから、どんなに姦ってもガキもできないって聞くぜ~。ガキの心配もなく姦りまくれるんだから、このままこいつを一生牢にでも閉じ込めて奴隷にしちまおうぜ~!」
「俺らが飽きたら体を売らせて金を稼がせりゃいいしな! エルフは珍しいからかなり高く売れるだろうし、3人とも楽して暮らせるぜ~。」
「良いな、それ! 喰い荒らしてやるァー! ヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッ……。」
そうして何時間経ったのかも分からない程、3人の男が入れ代わり立ち代わりをしながら私に凌辱の限りをし尽くし、何度も何度も強姦していた。
地下室の中は長い時間やった行為によって身体から立ち上った湯気や吐息が部屋中の空気をサウナの様に湿り気を帯びさせ、それが男たちの吐き出した大量の白い体液の匂いをきつく強調させて纏わり付き、部屋いっぱいにムワンムワンと充満させて咽る様だった。
それである程度3人で楽しむと地下室の柱に私を後ろ手に縄で縛りつけ、私が抵抗しないのが分かってからは2人が私を凌辱している間に交代ごうたいで1人が食事や仮眠をとって休んでいた。
あれから何十時間が経っただろうか………。
私の体は男たちの白い体液でまみれ、口からも下からもゴポッと音を立ててそれは溢れていた。
途中、どんなに水だけでもくれと訴えても、「これを飲んどきゃ事足りる。」と言って男たちの白い体液を無理矢理飲まされるだけだったので喉も渇き、体のあちこちが痛くてすっかりと疲労困憊していた。
ここに連れ込まれた時間帯と男たちの食事や仮眠のサイクルを考えるとおそらく三日三晩程が過ぎた頃、気を抜いたのか姦り過ぎて疲れたのか……、休憩していた男はいつの間にか2人となり…、ついには全員が寝てしまっていた。
やっと何十時間も続いた凌辱から解放された私はこれを好機とばかりに今しかないと考え、逃げようと後ろ手に繋がれた縄を一生懸命外そうとした。
するとここに来た時から縛られたままだった縄は散々姦った行為の振動から既に少し緩んでいたのか外そうともがけばもがく程緩み、数分で縄がスルリと外れた。
それからは一目散にその地下室のドアを開けて外へ逃げ、建物の外に出ても自分が街の何処に居るのかすら分からなかったが街の外へ、人間の居る場所から出ようとひたすら走った。
辺りはすっかりと静まり返った深夜だった…。
途中で一度、酔っ払いに絡まれはしたがグデングデンだったこともあり、すぐに逃げることができた。
そうして走って走って門の所へと出たが、深夜なので当たり前だが閉まっていた。
門番をしている兵士が居たが裸同然の格好だし、開けてもらう様にお願いするのも怖くて逃げ出した。
私はどこかに出入り口がないかと門から横に続く塀沿いに歩いていると、だいぶ門から離れている所にあるボロ家の集合する貧民地帯の近くに誰にも見つからないように隠すように抜け穴が塀に空けてあった。
私はキョロキョロと周囲を確認すると、そこから無事に外に出る事ができた。
そこからはエルフの国がある森へ向けてただひたすらに走って人間の街から逃げた。
街が小さく見えるほどある程度離れると、一度振り返って後ろを確認した。
誰も追ってくる者はおらず、そこでようやく少し安堵した……。
少し疲れた私はそこからは追っ手の来ない安心感からトボトボと歩きだした。
やがて街ももう見えなくなって遠くに離れ、暫く歩いていくと全身を隠すほどの草や木々に覆われた茂みがあり、奥には小川がサラサラと流れている場所まで着いた。
「今日はここで休もう。」
疲れ切った私は小川の水で喉を潤し、水浴びができる程の深さは無かったのでパシャパシャと小川の水を掛け、身体中に付いた穢れた白い体液を少しでも流した。
その後で周りを警戒しつつも限界であった身体を少しだけでも休ませようと、万が一そばを人間が通ったとしても誰にも見えなくて気が付かれないだろう茂みの中へと腰を下ろして寝っ転がった。
空を見上げると満天の星空がキラキラと光っていた。
「今日は新月か………。」
恐怖から少しばかり解放されたとはいえまだ国にも帰れていないので完全に安心はできず、やっと休めたのは1~2時間程度であった。
城では同じく成人を迎えた数人と一緒に祝いの宴が催され、成人して戦士となった誓いを立てた証として銀製の飾り用の刃の無い短剣を国王から贈られる。
銀はエルフにとって最大の守りを示すものであり、純潔の印である。
純潔を失えばエルフはエルフでなくなり、この短剣の輝きもそれと共に失われて朽ちてゆく。
これはその戒めとしての役割も持って国王より贈られることになっているのだろう…。
そして自分の家へと帰ると、両親に「おめでとう」という言葉と共に迎えられ、夕飯の時には父にお祝いに何か欲しい物とかは無いかと尋ねられた。
成人したお祝いに何でも一つ、可愛い娘のお願いを叶えてくれるという話なのだ。
「何でもいいぞ~。ほら、言ってみなさい!」
願いが叶うならば、私は一度人間の街と言うものに行ってみたかった。
だがそんな事を両親の前で言っても危険だからと反対されるのがオチだ……。
でも、どうしても好奇心から行きたくて仕方がなかった私は、何かしらの森から出る口実を作ろうとそこでしばし考えた。
「う~ん……。何でもいいんだよねぇ? パパ。」
「そうだぞ~! 遠慮しないで言ってみなさい。」
父は満面の笑みで私に問いかけ、父の横に居た母も私と父のやり取りを見ながら優しい笑顔でフフフッと笑っていた。
「……それならねぇ…、森の外にあるっていう『海』というものを見に行きたいの。だから森から数日出る事を許して欲しいな。」
「……海………だと……………。」
「ええ。」
父は娘の思いがけない発案に驚いて固まっていた。
「森の外は危険なんだぞ! 野蛮な人間だっているし…。それに…、それに……。」
「大丈夫よ、パパ。成人して森の賢者様から加護も頂いたのよ。それに学校の剣術大会ではいつもベスト5に入っているのは知っているでしょ? ねぇ、噂に聞く海ってどんなものか見てみたいのよ。だからお願い!」
父は最初は反対し、長らく渋っていたが私の説得によって4日後には許しを出してくれた。
「ありがとう、パパ。大好きよ!」
私はやっと得られた許可にすごく嬉しくなり、父に抱き付いて飛び跳ねていた。
「許可は出したがなるべく早く帰れよ。行く前に森の外へ出る準備はしっかりして行けよ。」
父は出発する直前まで色々と口うるさく言っていたが、これで人間の街に行けるという喜びに浮かれていた私の耳には聞こえていなかった。
それから2日後、表向きは『歩いて2日ほどの所にある海を見に行く』という出掛ける準備を済ませ、両親と近所に住む友達に見送られて私は森を出た。
道中エルフとバレない様にと母に着せられた全身を隠すほど丈の長い外套をフードまで被り、森から一番近い人間の街を目指した。
幼き頃に出会った人間と少し話をしていたので大体の場所は分かっており、そう困りはしなかった。
「確か道沿いに1日歩いて、途中にある目印の赤いマイルストーンを右に曲がってそこを少し行った所に人間の街があるのよね。方向も海へ行くのと同じだし、バッチリ覚えているから大丈夫ね。」
私は少し長い道のりも意気揚々と人間の街まで歩き、門をくぐって中へと入った。
「うわ~ぁ。すご~い!」
門は開かれており、誰もが自由に出入りすることができたので問題はなかった。
だが私が街を見て驚いている様子を見て周りにいる人間の数人はクスクスと笑っていた。
「アイツ、余程の田舎からこの街に来たんだぜ。『うわ~ぁ。すご~い!』だって。」
「そこの山の中からでも来たんだろ。」
私には聞こえない様にか小さな声で私を指差して嘲り笑っていた。
しかしやっと念願かなって来れた人間の街の大きさに感嘆していた私は、そんな声も右から左へと耳を通過していた。
エルフの私にとって人間の食べ物は殆ど食べれる物が無い事は既に知っていたし、人間の使うお金という物も持っていなかったので買い物もできない為に最初から長居する予定もなく、3~4時間程街の中を見て回って観光したらそのまま真っ直ぐ森へと帰るという計画にしていた。
「あんまり長く居てもすることも無いだろうしね、それにここに来る為の嘘とはいえ、全く海を見ないで帰ると適当な話をした所で『海』を知っている人とパパやママが話をしちゃったらバレそうだから、一応そっちにもちょっとは行って見ておかないといけないしな~。」
そう考えて私は決めた時間以内で隅から隅まで観光し尽くそうと、森では絶対に見られない物だらけで形作られた周りの景色をキョロキョロして色々と見ながら歩いた。
「お嬢ちゃん、何処へ行くんだい? ママのお使いかな~ぁ?」
2時間近く歩きまわり、人間の街に居る事にも慣れた頃に突然、道の脇から目の前に出てきた若めの男に声をかけられた。
「こ、これでも私……っ!」
そこでハッとして口篭り、年齢をそのまま言う事を躊躇った。
幼い日の記憶から優しい人間だっている事を知っていたが、何かしらのトラブルにならない様にとエルフであることは隠そうと思っていた。
30歳の成人したばかりの私の見た目は人間にすると15~16歳ぐらいに見え、エルフはその一生の殆どの時間をこの若い見た目で過ごす。
そして人間と違って何歳になってもエルフは胸が豊かにならないので、更に下の12~13歳にも見えることがあるらしいのだ。
「私……15歳なのよ! 成人してるんだから『お嬢ちゃん』なんて言わないで!」
怪しまれないよう、私は人間から見られた見た目にも合わせて人間の成人年齢である15歳と偽った。
「ほ~ぅ……。15歳のくせに胸も無いんだな。まぁ俺はそういう女も嫌いじゃあないがな~。ウッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッ!」
その男に外套の隙間から見えていた体をジロジロと見られ、凹凸を確かめる様に胸を触られてバカにする様に笑われた。
「ちょ、ちょっと! 何するのよ!」
私はその手を払いのけて胸を隠す仕草をし、この突然話しかけてきた男の言動に嫌悪感を覚えて立ち去ろうとした。
その時、この男が居る道とは逆の方へ行こうとクルッと後ろを向くと、外套がヒラリと捲れて腰に下げていた銀製の短剣が日の光に反射されてキラリと光った。
それを目ざとく見つけた男は素早く私の腰から銀製の短剣を奪い、先程この男が出てきた細い路地の方へと逃げる様に入っていった。
「えっ……あっ…! 返してよ! それ私の大事な物なのよ!!」
「良い物もってんじゃ~ん。こんな金目の物、お子様にはもったいないよ~。」
私はその男を追いかけて路地へと入り、人間2人がやっとギリギリすれ違える位の細い道を走った。
その男は暫く行くと逃げる途中でこちらへ振り返って立ち止まり、私に向けてこれ見よがしに銀製の短剣を上に掲げ、楽しそうに振って見せびらかした。
「へへ~ん。取り返せるものなら取り返してみろってんだ。」
私は今しかないと、飛び付いてでも取り返そうと思いっきりジャンプした。
そして上手く銀製の短剣を持っている方の男の腕に飛び付いた瞬間、着地に少しバランスを崩してしまって外套のフードが脱げてしまった。
「…っ! お、お前……エルフだったのか…!!」
フードが脱げて露わになってしまったエルフの特徴である尖って長い耳を見て男は驚き、目が点になっていたがすぐにその口はニタリと下卑た笑いを浮かべだし、絶対に逃がすものかという強い意志を感じられる程腕に強く力を入れて私の体を締め上げ、羽交い締めにして捕まえた。
「は、離してよ!!」
「うるせぇっ!」
「ヒッ………!」
男の怒声の迫力に身がすくみ、その恐怖によって喉を押さえつけられたかの様に声が詰まってしまい、まともに出せなくなった。
私たちの言い争いの声が聞こえたからなのか、路地の奥からこの男の仲間らしき男が2人近付いてきた。
「どうしたんだよ、アラン。」
私を捕まえているアランと呼ばれた男はその体勢のまま振り返り、近付いてきた男2人に私を見せた。
「おっ! 美人で有名なエルフじゃないか! どうしたんだ~、それ。」
「そうなんだよ~。偶然そこの道を歩いていたのを捕まえてね…。」
アランはその辺で虫でも捕まえたかの様に軽い感じで私を拉致した事を離すと、仲間の男の1人が私を見てやけにハイテンションで喜んで私の腰をサワサワと撫でた。
「ィヤッ………!」
やっと出た抵抗の声も小さく、虚しくもそれは男たちの欲情を煽っているだけだった。
「『イヤッ。』だって、か~わい! 俺一度エルフと姦ってみたかったんだよな~。ヤリィ!」
「お前、ツルペタが好みなのかよ~? こんな何もない板なんてつまんなくないか~? 俺はちょっと動く度に揺れるボインちゃんのが断然好みだぜ~! ヒッヒッヒッヒッヒッ…。」
「こういうのは子供と姦ってるみたいで…、なんか禁忌を犯してる感じがしてたまらないのが娼館に居る女と姦るのとは違ってそれはそれで良いんだよ。それにエルフだと、人間の女と違って何かすっごい気持ち良いって聞いたことがあるぜ~!」
「本当かよ~? それなら俺も、多少我慢してやっても良いかもしれないな。」
男3人はウキウキと嬉しそうに私の行く末を話だし、涎をジュルリと垂らしながら気味の悪い怪しい笑みを浮かべていた。
私はこの不気味な男3人に囲まれ、その笑顔に背筋がゾッとして恐怖のあまりに顔が引きつり、体が硬直してしまっていた。
そして何かで口を押えられて気絶させられ、気が付いた時には私は両手を縛られ、どこかの薄暗くて周りがハッキリとは見えないが冷たい石の床に転がされていた事から地下室らしき場所へと運ばれていた。
「ウヒヒヒヒヒヒヒ…。お目覚めかい? エルフちゃん。ここなら誰にも邪魔されずに楽しむことができるぜ~!」
「意識のない女を襲ってもつまらないし、お前も一緒に楽しみたいだろうからってわざわざ目が覚めるのを優しい俺様たちは待ってやってたんだぞ~。ありがたく思えよな~。」
そう言うと2人がかりで床に抑えつけられた私の体から残りの1人が服をやおら掴み、ビリビリと引き裂いて私を裸に剥いた後、私の首筋をベロリと舐めて気持ちの悪い目つきで私を見た。
「男3人にも囲まれてちゃ逃げられないって分かっているだろ~。観念して一緒に楽しもうぜ~。エルフちゃんよ~ぉ。これからと~っても楽しい、気持ち良い事をしまくるんだからよぉ。」
「あ~! それ、服破くの楽しそうでいいな~。」
「1番手の特権よぉ! さっきコインで順を番決めただろ~。」
「ク~ゥ………。」
男3人は楽しそうに盛り上がり、私を辱める順番で後になったらしき男の1人が悔しがっていた。
私の服を引き裂いていた男は私の足の間に割って入り、どこからか持ってきたヌルヌルとした液体を私の下半身にドバドバとぶっかけ、自分の男性自身をそこに思いっきりズブリと突っ込んできた。
「ギ…ギ……ギヤァァァァァァー!! い、痛いっ! 止めてーーー!!」
私は痛さのあまりに叫び声をあげてボロボロと泣き出したが、その口を横に居た男の大きな手によってムギューっと左右から頬を指で潰して摘まむ様に片手で掴まれて黙らされた。
「暇だからダメなんだよな~。余っているそのお口は俺のを咥えてちょっと黙っとけよ。歯なんか立てるなよ~。くれぐれも噛むんじゃないぞ。そんなことしたら痛い目にあわせてやるからな~。」
そう言って横に居る男が自分の男性自身を無理矢理私の口にも突っ込んできて、叫ぶことさえも何も抵抗ができなくさせられた。
「うほっ! こりゃなかなか…ナカが締まって気持ち良いな。」
「口もなかなか気持ち良いぞ~。ぎこちないのが処女って感じがしてたまんねー!」
「早くイケよ~。俺だけあぶれちまってるんだぜ~?」
1人余っている男は逃げない様に私の体を掴みながら、ソワソワと2人を急かしていた。
「まぁ待て、時間はあるんだ。ゆっくりと楽しもうぜ~!」
「タダなんだしよ~。それに娼館の慣れてる金の事しか頭にない女どもとは違って好き勝手に姦りまくれるんだからさ~、長く楽しめそうだぜ~。」
「しかも俺らとは種族が違うから、どんなに姦ってもガキもできないって聞くぜ~。ガキの心配もなく姦りまくれるんだから、このままこいつを一生牢にでも閉じ込めて奴隷にしちまおうぜ~!」
「俺らが飽きたら体を売らせて金を稼がせりゃいいしな! エルフは珍しいからかなり高く売れるだろうし、3人とも楽して暮らせるぜ~。」
「良いな、それ! 喰い荒らしてやるァー! ヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッ……。」
そうして何時間経ったのかも分からない程、3人の男が入れ代わり立ち代わりをしながら私に凌辱の限りをし尽くし、何度も何度も強姦していた。
地下室の中は長い時間やった行為によって身体から立ち上った湯気や吐息が部屋中の空気をサウナの様に湿り気を帯びさせ、それが男たちの吐き出した大量の白い体液の匂いをきつく強調させて纏わり付き、部屋いっぱいにムワンムワンと充満させて咽る様だった。
それである程度3人で楽しむと地下室の柱に私を後ろ手に縄で縛りつけ、私が抵抗しないのが分かってからは2人が私を凌辱している間に交代ごうたいで1人が食事や仮眠をとって休んでいた。
あれから何十時間が経っただろうか………。
私の体は男たちの白い体液でまみれ、口からも下からもゴポッと音を立ててそれは溢れていた。
途中、どんなに水だけでもくれと訴えても、「これを飲んどきゃ事足りる。」と言って男たちの白い体液を無理矢理飲まされるだけだったので喉も渇き、体のあちこちが痛くてすっかりと疲労困憊していた。
ここに連れ込まれた時間帯と男たちの食事や仮眠のサイクルを考えるとおそらく三日三晩程が過ぎた頃、気を抜いたのか姦り過ぎて疲れたのか……、休憩していた男はいつの間にか2人となり…、ついには全員が寝てしまっていた。
やっと何十時間も続いた凌辱から解放された私はこれを好機とばかりに今しかないと考え、逃げようと後ろ手に繋がれた縄を一生懸命外そうとした。
するとここに来た時から縛られたままだった縄は散々姦った行為の振動から既に少し緩んでいたのか外そうともがけばもがく程緩み、数分で縄がスルリと外れた。
それからは一目散にその地下室のドアを開けて外へ逃げ、建物の外に出ても自分が街の何処に居るのかすら分からなかったが街の外へ、人間の居る場所から出ようとひたすら走った。
辺りはすっかりと静まり返った深夜だった…。
途中で一度、酔っ払いに絡まれはしたがグデングデンだったこともあり、すぐに逃げることができた。
そうして走って走って門の所へと出たが、深夜なので当たり前だが閉まっていた。
門番をしている兵士が居たが裸同然の格好だし、開けてもらう様にお願いするのも怖くて逃げ出した。
私はどこかに出入り口がないかと門から横に続く塀沿いに歩いていると、だいぶ門から離れている所にあるボロ家の集合する貧民地帯の近くに誰にも見つからないように隠すように抜け穴が塀に空けてあった。
私はキョロキョロと周囲を確認すると、そこから無事に外に出る事ができた。
そこからはエルフの国がある森へ向けてただひたすらに走って人間の街から逃げた。
街が小さく見えるほどある程度離れると、一度振り返って後ろを確認した。
誰も追ってくる者はおらず、そこでようやく少し安堵した……。
少し疲れた私はそこからは追っ手の来ない安心感からトボトボと歩きだした。
やがて街ももう見えなくなって遠くに離れ、暫く歩いていくと全身を隠すほどの草や木々に覆われた茂みがあり、奥には小川がサラサラと流れている場所まで着いた。
「今日はここで休もう。」
疲れ切った私は小川の水で喉を潤し、水浴びができる程の深さは無かったのでパシャパシャと小川の水を掛け、身体中に付いた穢れた白い体液を少しでも流した。
その後で周りを警戒しつつも限界であった身体を少しだけでも休ませようと、万が一そばを人間が通ったとしても誰にも見えなくて気が付かれないだろう茂みの中へと腰を下ろして寝っ転がった。
空を見上げると満天の星空がキラキラと光っていた。
「今日は新月か………。」
恐怖から少しばかり解放されたとはいえまだ国にも帰れていないので完全に安心はできず、やっと休めたのは1~2時間程度であった。
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