プラモ召喚! ~勝手に点数を付けるなんてあんまりだ!~

3ツ月 葵(ミツヅキ アオイ)

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プラモ召喚

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 俺の名前は里中アキト、二十六歳。
 所謂『ヲタク』と呼ばれる種族ではあるが性格は明るく、友達は多い方だ。
 彼女は……今はいない。

 いや、勘違いしないでくれよ?
 興味がゼロって程でもないが、今はいらないかな~と思っての事で。
 これは虚勢ではなく本当に。

 実を言うと生活費も切り詰め、給料の殆どを趣味に費やしているからで……。
 金も、時間も――無い。


「彼女なんてできたら趣味、続けれないだろうしな~ぁ。この趣味に理解のある彼女なんて、そうそう居るはずは――」


 思わずそんな独り言が出てしまう程に俺は趣味に没頭しているというわけだ。
 小学生の頃からだから、かれこれ――十五年?
 その趣味と言うのが何を隠そう、プラモデル作りである。

 いかにも『ヲタク』な趣味だと思っただろ?
 反論はしない。
 部屋の中は完成したのを飾っていたり、まだ箱に入ったままのが積まれていたり……。
 かなりゴチャゴチャしているので興味が無ければおよそゴミ溜めにしか見えないだろうね。


「よしっ! これで――完成! ぅん~ん、見事なフォルム!! 色彩!!」


 カラーリングまで終えて今日も心が満たされる。
 俺が作るのは主に、宇宙で戦闘している某アニメに出てくるロボット系だ。
 勿論、これは組み立てればそれなりに見える色には予めなってはいるが――物足らず。
 

「このプラスチック感剥き出しな所から金属っぽく見えるように色を足せば――もう本物より本物!」


 俺は完成したプラモデルをウットリと見つめ、座ったままクルリと回れ右をした。
 そこには――。


「さぁ~て、お・た・の・し・み・の!」


 常設の背景セットがロボットが立つべき場所を開けて今か今かと待っていた。
 最初は作るだけだったプラモデルも、大人になるとこうして背景セットまで作り上げて撮影会をするように。


「これぞ、一人暮らしの醍醐味! 特権!」


 部屋に出しっぱなしの背景セットが3種類。
 塗装の際、プラモデルをわざとボロボロに見えるように加工したりだとかして臨場感を出し、ライティングにもこだわってバトルシーンを再現してカメラでパシャリ!
 だが――――。


「んぇ?」


 突然プラモデルを巻き込むようにし、何故だか背景セットの中で黒く蠢く小さな竜巻が発生していた。
 ここに存在するはずのない黒い砂塵は出来上がったばかりのプラモデルをあっという間に吞み込んで覆い隠し、俺が目を白黒させている隙に――消えた。


「――――は!?」


 あるはずのない謎現象に俺は夢であってくれとギュッと目を瞑って頭を左右に振り、再び目を開けるが消えたまま。
 そして背景セット中央のさっきまでプラモデルがあったはずの場所を触り、下や裏まで覗き見てあちこち触って何度も探した。
 まさに茫然自失。


「無い……な、い……」


 と、プラモデルが消えてから数分後のこと。
 あったはずの場所からチャリンという金属音が鳴った、
 立ったりしゃがんだりしながら背景セットの周囲をグルグルと回って探していた俺は、条件反射的にサッとそこに目がいく。


「わっ!」


 スイッチを切り忘れていたライトの光に反射してギラリと眩しいそれに、俺は思わず細めた目を背けた。
 慌ててライトのスイッチを切ってもう一度を再確認する。


「コイン? それと……手紙?」


 何のことやら分からなかった。
 どこの国の物とも知れぬ紋章が描かれた金貨が数枚、そしてどこの国の言葉かも分からぬ文字が書かれた紙切れがそこにヒラリと落ちていたのだ。
 俺は手に取ってよく見ようと、恐る恐るもその紙切れを拾い上げる。
 すると紙切れは俺の手からジワジワと何かを吸い上げていく様に端から色が変わっていき、薄緑色だった紙は青っぽい白い紙へと変化した。


「うぇっ!」


 気味の悪さから反射的に思わず俺は放り投げてしまったが――。


「ん? 日本語? えっ? なんで??」


 紙の色が変化したのと同時に、あの謎の言語で書かれた文章が俺の読める文字へと変わっていたのだった。
 そこで俺は机に置いたままにしていたピンセットを手に取り、何が書かれているのかを読む為に床に放り投げた紙切れを再び拾う。
 あんな不思議なことを見た後では、なんだか直では触りたくなかったんだ。


「異界の創造神クリエイターよ、素晴らしき賜りものに感謝いたします。これを使って魔族との戦に勝てと言うのですね。ですがまだまだの出来で少し不安が……。次回作に期待しております! 今回の満足度――57点」


 ――57点? ……は?
 意味が分からないが、心血を注いで作り上げた俺のプラモデルにどこの誰だか知らないがケチをつけてきたというのだけは解り、それに腹が立った。


「俺の最高傑作を勝手に持っていったクセに! 何をぬかしやがる!」
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