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第4章 出会いと別れ
7.属性と種族とルール
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主に障害物だらけの上り坂にへばっていた俺の為だけに取った小休止を終え、「さぁ、行くか。」と腰を上げたが猫たちが川の方で何やらキャッキャッと騒いでいた。
「すっごーい! アンドレアと兄弟なのに、ピエトロとは全然違うのね。」
「ニャハハッ! 本来おいらたち水属性のネコ種は漁り族って言われているぐらいだからね。泳ぐのは得意なんだにゃ! でも小さい頃、川でした狩りの訓練中に溺れたピエトロは水が苦手になっちゃったらしくってさ…。それからは何に対しても怖がりになっちゃって……、だから兄弟の中で唯一狩りが苦手なんだよにゃっ。」
「うるさいにゃ~ぁ…。別に泳げなくったって生きていけるにゃ!」
川の中をスイスイと泳いで遊んでいたアンドレアはピエトロの弱点を洩らし、兄弟で口喧嘩をしていた。
「そうだったんだ~! それでお風呂も嫌がっていたんだね。俺はてっきり猫だから苦手ってだけなんだろうと思ってたよ。」
「まぁ、漁り族以外のネコ種はだいたい苦手だからにゃ~。風属性である私たち空駆り族も苦手ですが、あれは何と言ったか……呼び名は忘れましたが、火属性のネコ種程じゃありませんにゃ。あの者らは水に濡れると生死に係わりますからにゃ。」
「ティエルディオ?」
俺は全部一括りに同じ猫だと思っていたがどうやら違うらしく、アダムから初めての事実を知らされた。
「あれっ? 言ってませんでしたっけにゃ? 私とイブは風属性のネコ種で空駆り族、ピエトロやアンドレアの様な水属性のネコ種である漁り族とは全く違う生き物なのですにゃ。見た目がそっくりだからどの属性のでも見た目から全部『ネコ種』って言われていますけどにゃ。よく見れば尻尾の長さとか…、色々と属性ごとに特徴があるのにゃ。」
「へ~ぇ……。」
言われて改めて見比べてみると、アダムとイブは俺のよく知るイエネコそのままの容姿だが、ピエトロとアンドレアは前にテレビ番組で見た事のある“スナドリネコ”と同じ様な容姿で尻尾が短くて耳も小さく丸い顔をしていたので、同じ様に水の中で狩りをする猫だから似てるのかなと思った。
「私たち空駆り族は、4大属性のネコ種の中で一番足の速い事が自慢なんですにゃ。風を操ることができるので、魔力の多い者は空中を走ることもできるのにゃ。」
「アダムとイブもできるの?」
「私たちは見た目で分かる通り魔力が少ないので……。速く走ることまでは出来ますが、空中を走る事ができる程までは風を操ることができないのにゃ~。それもあって逃げれずにあの山に最後まで2人で居たのにゃん………。」
俺がワクワクしながらした質問にイブはしゅんとして耳を伏せ、俯いて答えたので俺はまたやってしまったのかとアワアワした。
「ご、ごめん…。そうとは知らずに聞いちゃって……。」
「その事で落ち込むのはもう止めようにゃ…。今はルカ様やパウロ様と共に、新しい道を私たちは歩いているのだからにゃ。」
俯いて落ち込んでいたイブに横からすり寄ってアダムは声を掛け、イブの体に頭をスリスリと擦り付けながら励ました。
「ゥミュー。そうだにゃ~。」
アダムのお陰で俺の失言から立ち直ったイブにホッと胸を撫で下ろし、少し離れた場所の川で遊んでいたリリアや他の猫たちを大きな声で呼んだ。
「よしっ! そろそろ行くぞ!」
俺の声に気が付いたリリアたちはこちらに駆け寄ってきた。
「お兄ちゃん、もう大丈夫? 歩けるの? 私も荷物持とうか?」
山道を歩きだして一人だけ早くに音を上げた俺をリリアは心配そうに色々聞いてきた。
「あぁ、待たせたな。ちょっと休ませてもらったからもう大丈夫だ。日暮れ前までには山を越えて今夜の野営できる場所を探さないといけないしな。」
「お兄ちゃんは山では頼りないみたいだから心配だにゃ~。ワタチがもう少し大きくなってたら背中に乗せて運んであげるのににゃ~。」
パウロはそう言って自分の背中をポンポンと叩いてみせた。
コウモリ猫はけっこう大きくなるとは聞いていたが、パウロの口から俺を乗せて走ると言われて将来がちょっとだけ楽しみになった。
「ハハハッ! パウロが大人になってそんな機会が来るのを楽しみにしてるよ。」
すっかりと体力も回復して元気になった俺に安心し、今度は猫たちに俺の歩調に合わせて少しペースを落としてもらって山越えを目指した。
山を越えてから今度はさっきまでと打って変わり、緩やかな下り坂だったので歩くのも楽になった。
「お兄ちゃん。そろそろ野営する場所を探した方が良いんじゃない? もう日も傾いてきたよ。」
「そうだな。こっち側には川もないし……、どこか開けた場所でもあったらそこで野営するかな。」
皆でキョロキョロと周りを見ながら暫く歩いていると、大きな岩が数個ちょうど良い具合に重なって屋根と壁を作っている場所を見付けた。
「おっ! ここ良いな。今夜はここで野営するか。」
俺は荷物を降ろしてテントを張り、皆で枯れ枝を集めて焚き火をした。
「今日は久々の魚だ!」
俺が小休止している間に、アンドレアは川で遊んでいるだけでなく今夜の夕飯になる大きな魚を1匹捕ってきてくれていた。
毎日自らが今日食べる分だけという野生の生き物と違い、他種族の生き物を囲い込んで家畜にしたりと、かなりの頻度で一度に大量に命を奪う人間には神様よりの天啓が絶対的に必要となっていたが、野生で生きる者にはそれは絶対のルールではない様だ。
「これはな、バラクーダって言うんだにゃ。あの川によく泳いでいる魚だが、すげーんまいんだにゃ~。」
アンドレアが自分で捕ってきた魚について涎を垂らしながら教えてくれた。
「すっごーい! アンドレアと兄弟なのに、ピエトロとは全然違うのね。」
「ニャハハッ! 本来おいらたち水属性のネコ種は漁り族って言われているぐらいだからね。泳ぐのは得意なんだにゃ! でも小さい頃、川でした狩りの訓練中に溺れたピエトロは水が苦手になっちゃったらしくってさ…。それからは何に対しても怖がりになっちゃって……、だから兄弟の中で唯一狩りが苦手なんだよにゃっ。」
「うるさいにゃ~ぁ…。別に泳げなくったって生きていけるにゃ!」
川の中をスイスイと泳いで遊んでいたアンドレアはピエトロの弱点を洩らし、兄弟で口喧嘩をしていた。
「そうだったんだ~! それでお風呂も嫌がっていたんだね。俺はてっきり猫だから苦手ってだけなんだろうと思ってたよ。」
「まぁ、漁り族以外のネコ種はだいたい苦手だからにゃ~。風属性である私たち空駆り族も苦手ですが、あれは何と言ったか……呼び名は忘れましたが、火属性のネコ種程じゃありませんにゃ。あの者らは水に濡れると生死に係わりますからにゃ。」
「ティエルディオ?」
俺は全部一括りに同じ猫だと思っていたがどうやら違うらしく、アダムから初めての事実を知らされた。
「あれっ? 言ってませんでしたっけにゃ? 私とイブは風属性のネコ種で空駆り族、ピエトロやアンドレアの様な水属性のネコ種である漁り族とは全く違う生き物なのですにゃ。見た目がそっくりだからどの属性のでも見た目から全部『ネコ種』って言われていますけどにゃ。よく見れば尻尾の長さとか…、色々と属性ごとに特徴があるのにゃ。」
「へ~ぇ……。」
言われて改めて見比べてみると、アダムとイブは俺のよく知るイエネコそのままの容姿だが、ピエトロとアンドレアは前にテレビ番組で見た事のある“スナドリネコ”と同じ様な容姿で尻尾が短くて耳も小さく丸い顔をしていたので、同じ様に水の中で狩りをする猫だから似てるのかなと思った。
「私たち空駆り族は、4大属性のネコ種の中で一番足の速い事が自慢なんですにゃ。風を操ることができるので、魔力の多い者は空中を走ることもできるのにゃ。」
「アダムとイブもできるの?」
「私たちは見た目で分かる通り魔力が少ないので……。速く走ることまでは出来ますが、空中を走る事ができる程までは風を操ることができないのにゃ~。それもあって逃げれずにあの山に最後まで2人で居たのにゃん………。」
俺がワクワクしながらした質問にイブはしゅんとして耳を伏せ、俯いて答えたので俺はまたやってしまったのかとアワアワした。
「ご、ごめん…。そうとは知らずに聞いちゃって……。」
「その事で落ち込むのはもう止めようにゃ…。今はルカ様やパウロ様と共に、新しい道を私たちは歩いているのだからにゃ。」
俯いて落ち込んでいたイブに横からすり寄ってアダムは声を掛け、イブの体に頭をスリスリと擦り付けながら励ました。
「ゥミュー。そうだにゃ~。」
アダムのお陰で俺の失言から立ち直ったイブにホッと胸を撫で下ろし、少し離れた場所の川で遊んでいたリリアや他の猫たちを大きな声で呼んだ。
「よしっ! そろそろ行くぞ!」
俺の声に気が付いたリリアたちはこちらに駆け寄ってきた。
「お兄ちゃん、もう大丈夫? 歩けるの? 私も荷物持とうか?」
山道を歩きだして一人だけ早くに音を上げた俺をリリアは心配そうに色々聞いてきた。
「あぁ、待たせたな。ちょっと休ませてもらったからもう大丈夫だ。日暮れ前までには山を越えて今夜の野営できる場所を探さないといけないしな。」
「お兄ちゃんは山では頼りないみたいだから心配だにゃ~。ワタチがもう少し大きくなってたら背中に乗せて運んであげるのににゃ~。」
パウロはそう言って自分の背中をポンポンと叩いてみせた。
コウモリ猫はけっこう大きくなるとは聞いていたが、パウロの口から俺を乗せて走ると言われて将来がちょっとだけ楽しみになった。
「ハハハッ! パウロが大人になってそんな機会が来るのを楽しみにしてるよ。」
すっかりと体力も回復して元気になった俺に安心し、今度は猫たちに俺の歩調に合わせて少しペースを落としてもらって山越えを目指した。
山を越えてから今度はさっきまでと打って変わり、緩やかな下り坂だったので歩くのも楽になった。
「お兄ちゃん。そろそろ野営する場所を探した方が良いんじゃない? もう日も傾いてきたよ。」
「そうだな。こっち側には川もないし……、どこか開けた場所でもあったらそこで野営するかな。」
皆でキョロキョロと周りを見ながら暫く歩いていると、大きな岩が数個ちょうど良い具合に重なって屋根と壁を作っている場所を見付けた。
「おっ! ここ良いな。今夜はここで野営するか。」
俺は荷物を降ろしてテントを張り、皆で枯れ枝を集めて焚き火をした。
「今日は久々の魚だ!」
俺が小休止している間に、アンドレアは川で遊んでいるだけでなく今夜の夕飯になる大きな魚を1匹捕ってきてくれていた。
毎日自らが今日食べる分だけという野生の生き物と違い、他種族の生き物を囲い込んで家畜にしたりと、かなりの頻度で一度に大量に命を奪う人間には神様よりの天啓が絶対的に必要となっていたが、野生で生きる者にはそれは絶対のルールではない様だ。
「これはな、バラクーダって言うんだにゃ。あの川によく泳いでいる魚だが、すげーんまいんだにゃ~。」
アンドレアが自分で捕ってきた魚について涎を垂らしながら教えてくれた。
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