69 / 83
最終章 誰よりも大きなおかえりなさいを貴女へ
それはこっちが聞きたいよ
しおりを挟む
見ると、パミュの頭の上に、もう一つの頭が重なっている。
パミュが目を上向ける。
パミュの頭にアゴを乗せていた女は、ニコニコ笑顔で返した。
怖いぐらいの笑顔とパミュの苦笑が、ダルマ落としの円柱のように、上下に並んでいる。
「セ、セレン……」
隠していた答案が見つかった時のような声音で、パミュが言った。
「やっほー、パミュ。随分と楽しそうね。こーんなにも可愛い格好までしちゃって!!」
「キャッ!!」
パミュがカーテンの中からピョンと飛び出した。着地した後、守るようにお尻を押さえているところから、多分尻でも撫でられたのだろうと思われる。
無礼にも、サザーランド第四王姫、パミュことハルモニカ=ロキフェラトゥのお尻を触った女が、姿を現す。
武に携わらせるにはもったいないぐらいの体躯。
しかし、武に携わっていなければ、このような体躯にはならなかっただろうと思わせる、黒タイツに包まれた長い足と、引き締まった体躯。
第四王姫親衛隊長、セイレーン。
「さてっと」
ポキポキと指を鳴らしながら、セイレーンがパミュに近づいていく。
「パミュ。これから何されるか、わかってる?」
コメカミに十字路を浮かべたニコニコ笑顔で、セイレーンが言った。
「え、えーと……」
視線をフラフラさせて迷った結果、パミュが片手を持ち上げた。
「おはようの挨拶……とか。いえーい」
「ふっ」
セイレーンが、額に指先を置いて、苦笑する。
そして……。
「何がいえーいよあんたは!! 出ていくなら出ていくって、あたしに声かけろって何度も何度も何度も言ってるでしょうがああ!! あんたにとったらすぐでも、こっちにしたらどれだけ時間かかると思ってんのよおおお!!」
「いたたたたた!! 痛い痛い痛い痛い!! それほんと痛いから~~!!」
パミュのコメカミに拳を置いて、グリグリする、一昔前に流行ったグリグリ攻撃を護衛対象にかますセイレーン。
膝を崩すパミュ。
ついで、セイレーンが俺たちに目を向けてきた。
マリオンが見鬼でセイレーンを見据えているが、まあ読み切れないだろうと思った。セイレーンは武の達人だが、最低限の魔術も習得している。
つまり、ロゼッタ程度の整纏(せいてん)は使える、ということだ。
ロゼッタは確かに一流の魔術師だが、マリオンの天才と同じで、あくまでもエルメルリアの中での話。
セイレーンの天賦は、エルメルリアだけでなく、世界を相手取っても十二分に通用する。
畑違いの魔術であっても、セイレーンを上回ることは、この街出身者の魔術師では誰もできまい。そしてそれが、俺達世界レベルで競える魔術師の、最低限だ。
まあ一言で言うなら、才能の格が、マリオンやロゼッタとは違うのだった。
マリオンの見鬼に気がつき、ニコリと笑うセイレーン。
腰に手を当て、身体を半分に折った。マリオンに顔を近寄せる。
「こんにちわ、マリオン」
「……どうも。コホコホ」
「体調悪いんだー。あたー。のど飴の一つでも持ってくればよかったかなー」
自分のお尻を触りながら、セイレーンが言った。セイレーンは腰に洒落た布を巻いていて、多分その下に、ポシェット的なものをつけているのだろう。
「いえ、喉は痛くないので」
「あ、そうなんだ。まあ可愛い声は健在だもんねー。うんうん。マリオンのだみ声は、あんまり聞きたくないかなー」
「……あの」
「あぁ、この手の腹の探り合いは、マリオンは嫌いだったかな。じゃあ単刀直入に聞くけど――マリオンは、どこまでこいつのこと知ってるの?」
見鬼を発動させながら、セイレーンが言った。
こいつ……。
十三歳相手に、俺の友人相手に、見鬼を使って尋問する。
殴ってもいいかもしれないなと、マジで思った。
それでフェミニストと戦争になろうが、野蛮人と石を投げられようが、マリオンのためなら一向に構わん、俺は。
「……どこまでって」
マリオンが答える。
戸惑っているようだった。
俺のコメカミがピクピクとひくつく。
いきなり殴りはしないまでも、さすがに何か言ってやろうと思った、その時。
マリオンの口が、声を発さず、ただ動く。
読唇術を極めている俺と、見鬼で見つめているセイレーンにとっては、その動きだけで十分だっただろう。
マリオン……。
「あ!! この声は! と思ったら、やっぱりー。お久しぶりねー、セイレーンさん」
場の空気には似つかわしくないが、今一番ほしかった声音が、横手のキッチンからやってきた。
見つめた先。
三角巾にエプロン姿のティアラナがいた。
手には皿を持ち、中には焼き立てのクッキーが詰め込まれている。
隣にはロゼッタもいて、ややゲッソリした顔をしていた。
こんな時にこう思うのも何だが、気持ちはわかる。
苦手な奴にとって、料理ってのは実に苦であり面倒な作業なのである。とにかく神経が磨り減る。
分量が超重要なお菓子作りなら尚更だろう。
じゃあ買えばいいじゃんという気持ちを禁じ得ないのが、料理下手の性というもなのである。
「お久しぶりねーじゃありませんよ、白亜様!! 何なんですか、これは!!」
バッと、チラシをティアラナに向けるセイレーン。
ティアラナは、目を丸くして、皿の中へと視線を移した。
「いやー焼いておいたら、待っている間にみんなが食べるかなと思って」
「そっちじゃありません!! このチラシの内容のことです!!」
目を三角にして、セイレーンが敬語でがなり立てる。
ティアラナが、そんなセイレーンを見て、クスクスと笑った。
「まあまあセイレーンさん。お久しぶりの挨拶に、はいどうぞ」
ティアラナが、怒るセイレーンの口に、クッキーを放り込む。
「そんなもので誤魔化されま……モグモグモグ」
「あ、いいなー。ティアラナさん!! あたしもあたしも!! あーん、あーん!!」
餌を待つ金魚のように、パミュが大口開けて催促する。
ティアラナは、クッキーを一口食べてから、それをパミュの口へと放り込んだ。
一口かじったのは、毒味のためである。
パミュはこう見えて、サザーランドの第四王姫なのである。
「モグモグモグ……キュピーン!! おいしーい!!」
ホッペタを支えながら、ワカメのようにユラユラ揺れるパミュ。
相変わらずいいリアクションをするやつだ。
それは性の境を超えてウケがいいようで、ティアラナは唇に手を当て、嬉しそうに笑った。
「美味しいのは認めますけど、それとこれとは話が別です、白亜様。このようなことをなさる時は、あたしに一報いただかなければ困ります。今だってあたしがその気なら、パミュは大変なことになっていたんですよ? わかっているんですか!?」」
「ほらー美味しいってセイレーンさんも言ってくれてるじゃないですかー。頑張ったかいがあったでしょ? ロゼッタさん」
「はぁまあそうかもしれませんけど――」
「あたしの話を聞いてくださいますかねぇ!!! 白亜様ー!!!」
ティアラナの耳を引っ張って、セイレーンが直接言葉を流し込む。
いっそ加害とさえ言っていい行為に、ティアラナが皿を持ち上げ、クラクラと震えた。
いかにも危うい皿を、ロゼッタが支えて、俺たちの前に置く。
俺はそれを、何とはなしにつかんで、口に入れた。
うん、うま――
「ん?」
視線を感じて、目を向けた。
ロゼッタだった。
目が合う。
すると、ロゼッタが、ワタワタと慌てた。
「いや、違うんですよ? その……味の方はどうだったかなって……?」
指と指を押し合いながら、ロゼッタが言った。
その顔は真っ赤だ。
いやまあ、気持ちはわかる。
料理が下手な奴にとって、人に飯を食わすというのは一大行事だからな。俺だったら絶対ごめんだぜ。
料理が得意なやつに言わせたら、レシピ通りに作って、味見もキチンとすればどうにかなるだろ(嘲笑)、ってな話なのだろうが、料理下手はズボラ以上に、味音痴だからな。味見したところで、他者の舌に合うかどうかはわからないものなのだ。
だからまぁ――
「いやまあ、美味かったけど……」
ホッとロゼッタが胸を撫でおろす。
安堵してるところ悪いんだけど、俺も、極度の味音痴なんだよなー、これがさ。菓子なんて、砂糖たらふくぶっ込んどいてくれていれば、それで満足するところがある。
他のやつがどう思っているかはちょっとわからんぞ。
他のやつにも意見を求めようと、チラリとマリオンを見つめる。
マリオンは、形がしっかりしたクッキーと、形が歪なクッキーを比べて、呆れ顔をしていた。
なるほどー、そっから入っちゃいますか、マリオンは。
相変わらず辛いな、お前は。
ちょっと笑ってしまう。
マリオンが、片方のクッキーを食べて、もう一方のクッキーも口に入れる。
咀嚼する度、マリオンの唇が動く。
俺はジッと、マリオンの唇の動きを眺めていた。桜色の唇に、お菓子のクズがついている。唇に何か塗っているのか、風邪を引いてるとは思えないほど、その唇はツヤツヤだった。
――当たり前だが、背伸びした子供の唇に、吸い込まれていたわけでは、断じてない。
ただ、思い出していたのだ。
先の、マリオンの、心の声を。
『そんなの……マリオンが聞きたいよ』
……か。
見鬼で心を覗いたわけじゃない。
俺は、唇の動きから、相手の言葉を読み切ってしまう癖があった。
今ほど見鬼が鋭くなかった時代、魔術師の呪を、先読みするためについた癖だ。
悪いな、マリオン。
前にも謝ったのにな。
またお前の心の声を、聞いちまったよ。
パミュが目を上向ける。
パミュの頭にアゴを乗せていた女は、ニコニコ笑顔で返した。
怖いぐらいの笑顔とパミュの苦笑が、ダルマ落としの円柱のように、上下に並んでいる。
「セ、セレン……」
隠していた答案が見つかった時のような声音で、パミュが言った。
「やっほー、パミュ。随分と楽しそうね。こーんなにも可愛い格好までしちゃって!!」
「キャッ!!」
パミュがカーテンの中からピョンと飛び出した。着地した後、守るようにお尻を押さえているところから、多分尻でも撫でられたのだろうと思われる。
無礼にも、サザーランド第四王姫、パミュことハルモニカ=ロキフェラトゥのお尻を触った女が、姿を現す。
武に携わらせるにはもったいないぐらいの体躯。
しかし、武に携わっていなければ、このような体躯にはならなかっただろうと思わせる、黒タイツに包まれた長い足と、引き締まった体躯。
第四王姫親衛隊長、セイレーン。
「さてっと」
ポキポキと指を鳴らしながら、セイレーンがパミュに近づいていく。
「パミュ。これから何されるか、わかってる?」
コメカミに十字路を浮かべたニコニコ笑顔で、セイレーンが言った。
「え、えーと……」
視線をフラフラさせて迷った結果、パミュが片手を持ち上げた。
「おはようの挨拶……とか。いえーい」
「ふっ」
セイレーンが、額に指先を置いて、苦笑する。
そして……。
「何がいえーいよあんたは!! 出ていくなら出ていくって、あたしに声かけろって何度も何度も何度も言ってるでしょうがああ!! あんたにとったらすぐでも、こっちにしたらどれだけ時間かかると思ってんのよおおお!!」
「いたたたたた!! 痛い痛い痛い痛い!! それほんと痛いから~~!!」
パミュのコメカミに拳を置いて、グリグリする、一昔前に流行ったグリグリ攻撃を護衛対象にかますセイレーン。
膝を崩すパミュ。
ついで、セイレーンが俺たちに目を向けてきた。
マリオンが見鬼でセイレーンを見据えているが、まあ読み切れないだろうと思った。セイレーンは武の達人だが、最低限の魔術も習得している。
つまり、ロゼッタ程度の整纏(せいてん)は使える、ということだ。
ロゼッタは確かに一流の魔術師だが、マリオンの天才と同じで、あくまでもエルメルリアの中での話。
セイレーンの天賦は、エルメルリアだけでなく、世界を相手取っても十二分に通用する。
畑違いの魔術であっても、セイレーンを上回ることは、この街出身者の魔術師では誰もできまい。そしてそれが、俺達世界レベルで競える魔術師の、最低限だ。
まあ一言で言うなら、才能の格が、マリオンやロゼッタとは違うのだった。
マリオンの見鬼に気がつき、ニコリと笑うセイレーン。
腰に手を当て、身体を半分に折った。マリオンに顔を近寄せる。
「こんにちわ、マリオン」
「……どうも。コホコホ」
「体調悪いんだー。あたー。のど飴の一つでも持ってくればよかったかなー」
自分のお尻を触りながら、セイレーンが言った。セイレーンは腰に洒落た布を巻いていて、多分その下に、ポシェット的なものをつけているのだろう。
「いえ、喉は痛くないので」
「あ、そうなんだ。まあ可愛い声は健在だもんねー。うんうん。マリオンのだみ声は、あんまり聞きたくないかなー」
「……あの」
「あぁ、この手の腹の探り合いは、マリオンは嫌いだったかな。じゃあ単刀直入に聞くけど――マリオンは、どこまでこいつのこと知ってるの?」
見鬼を発動させながら、セイレーンが言った。
こいつ……。
十三歳相手に、俺の友人相手に、見鬼を使って尋問する。
殴ってもいいかもしれないなと、マジで思った。
それでフェミニストと戦争になろうが、野蛮人と石を投げられようが、マリオンのためなら一向に構わん、俺は。
「……どこまでって」
マリオンが答える。
戸惑っているようだった。
俺のコメカミがピクピクとひくつく。
いきなり殴りはしないまでも、さすがに何か言ってやろうと思った、その時。
マリオンの口が、声を発さず、ただ動く。
読唇術を極めている俺と、見鬼で見つめているセイレーンにとっては、その動きだけで十分だっただろう。
マリオン……。
「あ!! この声は! と思ったら、やっぱりー。お久しぶりねー、セイレーンさん」
場の空気には似つかわしくないが、今一番ほしかった声音が、横手のキッチンからやってきた。
見つめた先。
三角巾にエプロン姿のティアラナがいた。
手には皿を持ち、中には焼き立てのクッキーが詰め込まれている。
隣にはロゼッタもいて、ややゲッソリした顔をしていた。
こんな時にこう思うのも何だが、気持ちはわかる。
苦手な奴にとって、料理ってのは実に苦であり面倒な作業なのである。とにかく神経が磨り減る。
分量が超重要なお菓子作りなら尚更だろう。
じゃあ買えばいいじゃんという気持ちを禁じ得ないのが、料理下手の性というもなのである。
「お久しぶりねーじゃありませんよ、白亜様!! 何なんですか、これは!!」
バッと、チラシをティアラナに向けるセイレーン。
ティアラナは、目を丸くして、皿の中へと視線を移した。
「いやー焼いておいたら、待っている間にみんなが食べるかなと思って」
「そっちじゃありません!! このチラシの内容のことです!!」
目を三角にして、セイレーンが敬語でがなり立てる。
ティアラナが、そんなセイレーンを見て、クスクスと笑った。
「まあまあセイレーンさん。お久しぶりの挨拶に、はいどうぞ」
ティアラナが、怒るセイレーンの口に、クッキーを放り込む。
「そんなもので誤魔化されま……モグモグモグ」
「あ、いいなー。ティアラナさん!! あたしもあたしも!! あーん、あーん!!」
餌を待つ金魚のように、パミュが大口開けて催促する。
ティアラナは、クッキーを一口食べてから、それをパミュの口へと放り込んだ。
一口かじったのは、毒味のためである。
パミュはこう見えて、サザーランドの第四王姫なのである。
「モグモグモグ……キュピーン!! おいしーい!!」
ホッペタを支えながら、ワカメのようにユラユラ揺れるパミュ。
相変わらずいいリアクションをするやつだ。
それは性の境を超えてウケがいいようで、ティアラナは唇に手を当て、嬉しそうに笑った。
「美味しいのは認めますけど、それとこれとは話が別です、白亜様。このようなことをなさる時は、あたしに一報いただかなければ困ります。今だってあたしがその気なら、パミュは大変なことになっていたんですよ? わかっているんですか!?」」
「ほらー美味しいってセイレーンさんも言ってくれてるじゃないですかー。頑張ったかいがあったでしょ? ロゼッタさん」
「はぁまあそうかもしれませんけど――」
「あたしの話を聞いてくださいますかねぇ!!! 白亜様ー!!!」
ティアラナの耳を引っ張って、セイレーンが直接言葉を流し込む。
いっそ加害とさえ言っていい行為に、ティアラナが皿を持ち上げ、クラクラと震えた。
いかにも危うい皿を、ロゼッタが支えて、俺たちの前に置く。
俺はそれを、何とはなしにつかんで、口に入れた。
うん、うま――
「ん?」
視線を感じて、目を向けた。
ロゼッタだった。
目が合う。
すると、ロゼッタが、ワタワタと慌てた。
「いや、違うんですよ? その……味の方はどうだったかなって……?」
指と指を押し合いながら、ロゼッタが言った。
その顔は真っ赤だ。
いやまあ、気持ちはわかる。
料理が下手な奴にとって、人に飯を食わすというのは一大行事だからな。俺だったら絶対ごめんだぜ。
料理が得意なやつに言わせたら、レシピ通りに作って、味見もキチンとすればどうにかなるだろ(嘲笑)、ってな話なのだろうが、料理下手はズボラ以上に、味音痴だからな。味見したところで、他者の舌に合うかどうかはわからないものなのだ。
だからまぁ――
「いやまあ、美味かったけど……」
ホッとロゼッタが胸を撫でおろす。
安堵してるところ悪いんだけど、俺も、極度の味音痴なんだよなー、これがさ。菓子なんて、砂糖たらふくぶっ込んどいてくれていれば、それで満足するところがある。
他のやつがどう思っているかはちょっとわからんぞ。
他のやつにも意見を求めようと、チラリとマリオンを見つめる。
マリオンは、形がしっかりしたクッキーと、形が歪なクッキーを比べて、呆れ顔をしていた。
なるほどー、そっから入っちゃいますか、マリオンは。
相変わらず辛いな、お前は。
ちょっと笑ってしまう。
マリオンが、片方のクッキーを食べて、もう一方のクッキーも口に入れる。
咀嚼する度、マリオンの唇が動く。
俺はジッと、マリオンの唇の動きを眺めていた。桜色の唇に、お菓子のクズがついている。唇に何か塗っているのか、風邪を引いてるとは思えないほど、その唇はツヤツヤだった。
――当たり前だが、背伸びした子供の唇に、吸い込まれていたわけでは、断じてない。
ただ、思い出していたのだ。
先の、マリオンの、心の声を。
『そんなの……マリオンが聞きたいよ』
……か。
見鬼で心を覗いたわけじゃない。
俺は、唇の動きから、相手の言葉を読み切ってしまう癖があった。
今ほど見鬼が鋭くなかった時代、魔術師の呪を、先読みするためについた癖だ。
悪いな、マリオン。
前にも謝ったのにな。
またお前の心の声を、聞いちまったよ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
チート魔力はお金のために使うもの~守銭奴転移を果たした俺にはチートな仲間が集まるらしい~
桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。
交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。
そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。
その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。
だが、それが不幸の始まりだった。
世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。
彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。
さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。
金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。
面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。
本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。
※小説家になろう・カクヨムでも更新中
※表紙:あニキさん
※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ
※月、水、金、更新予定!
勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました
まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。
その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。
理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。
……笑えない。
人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。
だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!?
気づけば――
記憶喪失の魔王の娘
迫害された獣人一家
古代魔法を使うエルフの美少女
天然ドジな女神
理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ
などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕!
ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに……
魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。
「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」
これは、追放された“地味なおっさん”が、
異種族たちとスローライフしながら、
世界を救ってしまう(予定)のお話である。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
『異世界に転移した限界OL、なぜか周囲が勝手に盛り上がってます』
宵森みなと
ファンタジー
ブラック気味な職場で“お局扱い”に耐えながら働いていた29歳のOL、芹澤まどか。ある日、仕事帰りに道を歩いていると突然霧に包まれ、気がつけば鬱蒼とした森の中——。そこはまさかの異世界!?日本に戻るつもりは一切なし。心機一転、静かに生きていくはずだったのに、なぜか事件とトラブルが次々舞い込む!?
『25歳独身、マイホームのクローゼットが異世界に繋がってた件』 ──†黒翼の夜叉†、異世界で伝説(レジェンド)になる!
風来坊
ファンタジー
25歳で夢のマイホームを手に入れた男・九条カケル。
185cmのモデル体型に彫刻のような顔立ち。街で振り返られるほどの美貌の持ち主――だがその正体は、重度のゲーム&コスプレオタク!
ある日、自宅のクローゼットを開けた瞬間、突如現れた異世界へのゲートに吸い込まれてしまう。
そこで彼は、伝説の職業《深淵の支配者(アビスロード)》として召喚され、
チートスキル「†黒翼召喚†」や「アビスコード」、
さらにはなぜか「女子からの好感度+999」まで付与されて――
「厨二病、発症したまま異世界転生とかマジで罰ゲームかよ!!」
オタク知識と美貌を武器に、異世界と現代を股にかけ、ハーレムと戦乱に巻き込まれながら、
†黒翼の夜叉†は“本物の伝説”になっていく!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる