私は旅人

バルジリス

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燃え盛るは炎の世界

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 私は旅人。
 世界を歩くただの旅人。
 旅をした先で、であった人、見たもの、色んな事をメモしていく、ただの旅人。

 今日やってきたのは炎の世界。木の葉も、地面に生える草花も、全てが炎でできている世界。
 正直、とても……暑いです。水分補給がとても大事だと実感させられる世界ですね。
 川の水も燃え盛っています。流れているのは水ではなく油なんでしょうか。
 中々不思議で興味深い世界ではありますが、水筒の水が無くなったらおさらばしましょう。
 そんなことを考えていれば、着いたのは炎の集落。家が燃え盛っていますね。
 でも、火事ではないようです。普通に人の形をした炎が生活しているようですから。

「おうおう! 燃えていないなんて不思議な奴がいるな」

 そして、集落の門番のような人が声をかけてきました。
こんにちは。

「おお。こんにちは。燃えてない奴なんて初めてみたぜ」

 私もです。燃えている人を初めてみました。
 そう言うと、炎の人は愉快そうに笑って。

「はっはっは。不思議なこと言うな。燃えていないなんて、死んでいるも当然じゃないか」

 そうなんですか。私の常識では燃えたら死んでしまうのですが、世界と言うのは不思議ですね。

「ふぅん、変な奴だな。まあいい。変な奴を集落には入れられねぇが、どうだい?詰め所で茶でも飲むかい?」

 ここで、いつもなら頂きますとお茶を頂くのだが……
 燃えてる建物に入ったら死んでしまいます。なので丁寧にお断りさせていただきました。

 そして、集落を離れた私は、燃え盛る山へと向かいます。なぜかって?この世界を見渡してみたいからです。
 せっかく来た世界ですし、水筒の水が無くなる前に、世界を見渡そうと思ったのです。
 本来なら歩き回って見回りたのですが……私には、この世界は少々暑すぎますね。
 燃え盛る山は、火山の様に溶岩が流れているわけではないですが、恐ろしく熱いですね。暑いではなく。熱いです。
 水筒の水の心もとないですし、残念ですが。ここらへんでこの世界から離れましょうか……

 と思っていると、何と燃えていない人が倒れているではないですか。
 急いでその人を抱き起こし、水筒の水を含ませます。

 すると、その人……老人は目を開けました。

「あぁ……水か。なんとも久々に飲む気がする」

 こんにちは。あなたも世界の旅人なんですか?
 その問いには、老人は首を振る。

「いや、私はこの世界の、上の世界の住人だ」

 上の世界?聞きなれない言葉に首を傾げます。

「ああ、この世界には、上にもう一つ世界があるんだ。美食の世界がな」

 おお! 美食の世界ですか。と目を輝かせれば、老人はふふっと笑いました。

「この世界の熱は、上の世界の鉄板を温めたり、鍋を温めたりしている。
だが最近、火力が弱くなってきていてな……火力を上げるために、油の雨を降らせることになったのだ。
で、そのための装置を動かそうと来てみたのだが……いやはや、老人のやる仕事では無いな」

 そうですね、なぜあなたが?

「簡単なことだ。この仕事の担当者が風邪をひいて、その上司の私がやる羽目になったというだけだ。
さて、少し元気も出たし。装置はもう動かしてある。もうすぐ油の雨が降るだろう。
その前にこの世界を離れよう。君も一緒にくるかい?我々の世界に」

 ぜひ。

 こうして、私は美食の世界に向かいました。
 とてもおいしいものがたくさんあって、とても幸せな気分になりましたね。
 この世界の近くには。氷の世界もあるようなので、一度行ってみましょうか。

 私は旅人。
 次に訪れる世界は、どんな世界なのでしょうか。
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