地味子ちゃんと恋がしたい―そんなに可愛いなんて気付かなかった!

登夢

文字の大きさ
15 / 27

15.地味子ちゃんが夕食を作ってくれた!

しおりを挟む
3日間も絶食していた割には普通に歩ける。昨日は退院に備えて1日中リハビリのためにフロアーを歩きまわった。やはり点滴で栄養補給されていたからだろうか、特段に疲れも感じない。

ただ、今日1日は休養しよう。コンビニで昼食用に卵サンドとポタージュスープ、ポカリ、ロールケーキなど、お腹に優しそうなものを購入して帰った。

マンションに着くと、郵便受けには新聞と郵便物が溜まっている。すぐに部屋着に着替えて洗濯を始める。今日は晴れて天気が良いので洗濯物も乾くだろう。地味子ちゃんが来て料理を作ってくれると言っていたので、部屋の片づけと掃除をする。木曜日の夜に帰ってきたときのままだった。

ひととおり、掃除が済むともうお昼なので、買ってきたサンドイッチなどを食べる。あの晩はいろいろ飲んで、料理もあまり噛まずに食べていたように思う。やっと回復した腸に負担のかからないようによく噛んで食べよう。

その後、ベッドでひと眠り。久しぶりの自分のベッドはやはり快適だ。少し大きめのセミダブルのベッドだ。

すっかり寝込んでしまった。目が覚めるともう5時を過ぎていた。ソファーに座って溜まっていたビデオをチェックする。あたりはもう暗くなっている。

チャイムが鳴るとカメラにいつもの姿の地味子ちゃんが映っている。ドアロックを解除して、部屋の入り口で待って、チャイムが鳴ると同時にドアを開けた。

「わざわざ、夕食を作りに来てくれてありがとう」

「どういたしまして。いつものお礼です」

「入って、中は荷物を取りに来てくれたので分かっていると思うけど」

「お邪魔します」

「会社の帰りで疲れているのに、一休みしてからでいいよ」

「いいえ、先輩、お腹が空いているでしょう。すぐに作ります。私も食べますから」

「無理しないでいいよ」

「この前に来た時に、冷蔵庫の中を見ておきました。お米、調味料などはそろっていますから材料を買ってきました。すぐに出来ますから」

「何を作ってもらえるのかな?」

「簡単ですが、お腹に負担がかからないように、鰆の西京焼き、湯豆腐、ナメコとハンペンのお澄ましを作ります。ご飯を炊くのに時間がかかりますが、炊けたらすぐに食べられるようにします」

地味子ちゃんは意外に手際よく料理を作ってゆく。前もって調べていたかのように、食器を出して準備している。ご飯が炊けたころ、料理はすべて出来上がっていた。二人は料理の並んだテーブルに向き合って座った。

「簡単に作ったので十分ではありませんが召し上がって下さい」

「ありがとう。いただきます」

久しぶりの食事らしい食事だ。しばらく無言で食べる。

「味付けどうですか?」

「味付けはいい、とってもおいしい。新婚の奥さんってこんな感じなのかな?」

「こんな感じって?」

「心配そうに味付けを聞く」

「せっかく作ったのだから聞くのは当然だと思いますが」

「気にしてくれて嬉しいと思ったから」

地味子ちゃんは何を思ったのか顔が真っ赤になった。結構可愛いところがある。

病院食でお腹が空いていたからか、いや地味子ちゃんの料理がおいしかったから、すぐに食べ終わった。

「ご馳走様、ありがとう」

「残さずに食べてもらえてよかったです」

「とってもおいしかった」

「後片付けをしたら帰ります。明日も仕事がありますから」

「ありがとう。仕事で疲れているところにすまなかったね。僕も明日から出勤する」

地味子ちゃんは後片付けを済ませるとすぐに帰って行った。ありがとう。地味子ちゃんといるととっても心が休まる。今日はもっといてほしかった!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

春燈に咲く

naomikoryo
恋愛
【♪♪♪ 本編完結です!! 応援・投票よろしくお願いします(^^)】 春の名をもらいながら、寒さを知って育った。 江戸の外れ、貧しい百姓家の次女・うららは、十三の春に奉公へ出される。 向かった先は老舗呉服屋「蓬莱屋」。 そこで出会ったのは、何かとちょっかいをかけてくる、 街の悪ガキのような跡取り息子・慶次郎だった―― 反発しながらも心に灯る、淡く、熱く、切ない想い。 そして十五の春、女として、嫁として、うららの人生は大きく動き出す。 身分の差、家柄の壁、嫉妬と陰謀、 愛されることと、信じること―― それでも「私は、あの人の隣に立ちたい」。 不器用な男と、ひたむきな少女が織りなす、 時代小説として風情あふれる王道“和風身分差ラブロマンス”。 春の灯の下で咲く、たったひとつの恋の物語を、どうぞ。

『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』

鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、 仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。 厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議―― 最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。 だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、 結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。 そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、 次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。 同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。 数々の試練が二人を襲うが―― 蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、 結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。 そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、 秘書と社長の関係を静かに越えていく。 「これからの人生も、そばで支えてほしい。」 それは、彼が初めて見せた弱さであり、 結衣だけに向けた真剣な想いだった。 秘書として。 一人の女性として。 結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。 仕事も恋も全力で駆け抜ける、 “冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。

看病しに行ったら、当主の“眠り”になってしまった

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全36話⭐︎ 倒れた当主を看病する役目を振られた使用人リィナは、彼の部屋へ通うことになる。 栄養、灯り、静かな時間、話し相手――“眠れる夜”を整えていく。そして、回復していく当主アレクシス。けれど彼は、ある夜そっと手を握り返し、低い声で囁く。 「責任、取って?」 噂が燃える屋敷で、ふたりが守るのは“枠(ルール)”。 手だけ、時間だけ、理由にしない――鍵はリィナが握ったまま。 けれど、守ろうとするほど情は育ち、合図の灯りはいつしか「帰る」ではなく「眠る」へ変わっていく。 看病から始まった優しい夜は、静かな執着に捕まっていく。 それでも、捕獲の鍵は彼ではなく――彼女の手にある。

出逢いがしらに恋をして 〜一目惚れした超イケメンが今日から上司になりました〜

泉南佳那
恋愛
高橋ひよりは25歳の会社員。 ある朝、遅刻寸前で乗った会社のエレベーターで見知らぬ男性とふたりになる。 モデルと見まごうほど超美形のその人は、その日、本社から移動してきた ひよりの上司だった。 彼、宮沢ジュリアーノは29歳。日伊ハーフの気鋭のプロジェクト・マネージャー。 彼に一目惚れしたひよりだが、彼には本社重役の娘で会社で一番の美人、鈴木亜矢美の花婿候補との噂が……

俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜

ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。 そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、 理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。 しかも理樹には婚約者がいたのである。 全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。 二人は結婚出来るのであろうか。

子持ち愛妻家の極悪上司にアタックしてもいいですか?天国の奥様には申し訳ないですが

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
胸がきゅんと、甘い音を立てる。 相手は、妻子持ちだというのに。 入社して配属一日目。 直属の上司で教育係だって紹介された人は、酷く人相の悪い人でした。 中高大と女子校育ちで男性慣れしてない私にとって、それだけでも恐怖なのに。 彼はちかよんなオーラバリバリで、仕事の質問すらする隙がない。 それでもどうにか仕事をこなしていたがとうとう、大きなミスを犯してしまう。 「俺が、悪いのか」 人のせいにするのかと叱責されるのかと思った。 けれど。 「俺の顔と、理由があって避け気味なせいだよな、すまん」 あやまってくれた彼に、胸がきゅんと甘い音を立てる。 相手は、妻子持ちなのに。 星谷桐子 22歳 システム開発会社営業事務 中高大女子校育ちで、ちょっぴり男性が苦手 自分の非はちゃんと認める子 頑張り屋さん × 京塚大介 32歳 システム開発会社営業事務 主任 ツンツンあたまで目つき悪い 態度もでかくて人に恐怖を与えがち 5歳の娘にデレデレな愛妻家 いまでも亡くなった妻を愛している 私は京塚主任を、好きになってもいいのかな……?

先輩、お久しぶりです

吉生伊織
恋愛
若宮千春 大手不動産会社 秘書課 × 藤井昂良 大手不動産会社 経営企画本部 『陵介とデキてたんなら俺も邪魔してたよな。 もうこれからは誘わないし、誘ってこないでくれ』 大学生の時に起きたちょっとした誤解で、先輩への片想いはあっけなく終わってしまった。 誤解を解きたくて探し回っていたが見つけられず、そのまま音信不通に。 もう会うことは叶わないと思っていた数年後、社会人になってから偶然再会。 ――それも同じ会社で働いていた!? 音信不通になるほど嫌われていたはずなのに、徐々に距離が縮む二人。 打ち解けあっていくうちに、先輩は徐々に甘くなっていき……

処理中です...