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第86話 悪の下っ端おじさんと世間体
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「ちょっとおじさん! 春香さんと同居してるってどういうことですか!!」
「......。」
平日の夕方。
仕事を終え、まだ日が出ている頃合いの出来事だ。帰宅した中年タイツは、家の中に女子中学生が四人居ることに唖然としていた。
一人は王上 春香。訳あって同居することになってので、合鍵を渡しているから、家に居るのは別におかしなことではない。
問題は別のところ。他三人の女子中学生だ。
メンツは咲良、真海、姫奈子の三人である。
まさか敵対関係にある魔法少女に、プライベートを侵害されるとは思ってもいなかったのだ。
おまけにあちらには“事案”という武器がある。中年、どうやったら冤罪に持ち込めるか、密かに思考を巡らせた。
「お、おい、なんでお前らが俺の家に居るんだよ......」
「なんか興味あったし」
「意外と普通ね。もっと良い所に住んでいると思ったわ」
うるさいよ。そう言いたい中年であった。
中年の家はマンションの一室で、ただの1LDK。一人暮らしには十分すぎる広さを誇っているので、家主としてはなんら不満は無いのだ。
春香が中年タイツに対し、申し訳無さそうに言う。
「も、申し訳ありませんわ、おじ様」
「なんで魔法少女を家に上げてたの」
「その、どうしてもおじ様を問い質したいと仰って......」
「......。」
中年タイツ、いつかはバレると思っていたが、まさか春香が転校して初日にこうなるとは思ってもいなかった。
中年だって本当は断りたかった。
なんで女子中学生と同居しないといけないんだって嘆いた。
嘆いたが、社長の命令には逆らえなかった。
咲良がそんな中年タイツに問い質す。
「で、どういうことですか?! 春香さんは親戚でもないんですよね?!」
「い、いや、そうだけど......。ワースト......じゃなくて、社長にはデカい借りがあってだなぁ......」
「女子中学生ですよ?! おじさんがこの世で一番警戒している生物!」
などと、必死に忠告してくる咲良も女子中学生。
姫奈子がジュースを片手に中年タイツに問う。
「にしても、社長に逆らえないってすごいね。説教タイツの方がワーストキングより怪位は上なんでしょ?」
「前も言ったが、あんま怪位は関係無いんだよ、うちは」
「ふーん?」
中年タイツは春香を尻目に言う。
「春香には何度も言ってるが、中年と二人暮らしなんかしても良いこと無いんだし、早く家に帰った方がいいぞ」
「おじ様ったら、またその話ですの......。何度も言いますが、私は本気ですわ」
「俺は飯作らないし、最低限の家事しかやらないから、お嬢様からしたら生活しづらいだろ?」
「そちらの件につきましても何度も言いますが、問題ありませんわ。今後は住まわせていただいている私が家事をしますわ」
「家事できないだろ」
「これから覚えますわ」
とまぁ、このように鋼の意志でこの家に留まろうとするため、中年は対処に困っていた。
もうここまで来たら、自分が間違いを犯さなければ問題は起きない気がした。
無論、その“間違い”とは男女が共に生活する中で故に起こり得る沙汰を指す。社長の娘に手を出すなんて処刑待った無しだ。
真海が思っていたことを春香に聞く。
「今の時期に転校してきても、高校はどうするのよ? 私たち来年で卒業よ?」
「もちろん、皆様と同じ高校に進学しますわ!」
「ほ、本当に怪人としてどうなのって言いたくなるくらい魔法少女のファンだね」
「待って! それって高校もおじさんの家から通うってこと?!」
咲良、どうしても春香が中年の家で暮らしていることに納得できず、来年の話もしてしまう。
ちなみに咲良たちが目指している高校はこの近所の高校だ。偏差値は普通。マンモス校というほど生徒数が多いわけでもない、ただの普通の高校である。
春香が顎に手を当てて、少し考える素振りを見せてから答えた。
「それもありですわね」
「いや無しだよ」
中年、速攻で反対する。
「おいおい。いつまでうちに居るつもりだよ。高校生になってもとか、さすがに面倒見きれないぞ」
「ですが一人暮らしはお母様たちに反対されてますし......」
「知るか。お嬢様なんだから、親が駄目なら使用人でも護衛でも付けてもらうよう頼めばいいだろ」
「それは既にここでお世話になる前に打診してますわ。結果はご覧の通りですわ」
「......。」
ここまで言われては、頭痛を覚えてしまうというもの。
そんな中年の思いを他所に、春香も反撃に出る。
「そこまでしてこちらの家に私を住ませたくないのは......何か見られては困る物があるということですわね?」
「え゛」
中年、間の抜けた声を漏らす。
が、魔法少女はこの話題に食らいついてしまった。
「お、おおおおじさん、何隠し持っているんですか?!」
「ははーん、説教タイツも男だね~」
「は、破廉恥ね」
咲良たちも年頃の女の子。そういう話に興味が無いと言えば嘘になる。魔法少女だから清くあるとか、そんなのあり得ないのだ。
三人とも興味津々といった様子で中年タイツに迫る。
「お、お前らなぁ、俺がそんな物持ってるわけ――」
「どこに隠してるんですか?!」
「ベッドの下なんて定番よね」
「よし、探すか」
「人の話を聞け!」
これは善と悪の壮絶な戦いを記す物語。
時として、悪党の家に魔法少女たちが乗り込むことを記す物語でもあった。
「ちなみにベッドの下は既に調査済みですわ。残念なことにありませんでしたわ」
「つまらな」
「まぁ、今どき紙なんて買わないものね」
「おじさんってどんなタイプの女性が好みなんですか?」
「頼むからもう出てってくれ......」
続く。
「......。」
平日の夕方。
仕事を終え、まだ日が出ている頃合いの出来事だ。帰宅した中年タイツは、家の中に女子中学生が四人居ることに唖然としていた。
一人は王上 春香。訳あって同居することになってので、合鍵を渡しているから、家に居るのは別におかしなことではない。
問題は別のところ。他三人の女子中学生だ。
メンツは咲良、真海、姫奈子の三人である。
まさか敵対関係にある魔法少女に、プライベートを侵害されるとは思ってもいなかったのだ。
おまけにあちらには“事案”という武器がある。中年、どうやったら冤罪に持ち込めるか、密かに思考を巡らせた。
「お、おい、なんでお前らが俺の家に居るんだよ......」
「なんか興味あったし」
「意外と普通ね。もっと良い所に住んでいると思ったわ」
うるさいよ。そう言いたい中年であった。
中年の家はマンションの一室で、ただの1LDK。一人暮らしには十分すぎる広さを誇っているので、家主としてはなんら不満は無いのだ。
春香が中年タイツに対し、申し訳無さそうに言う。
「も、申し訳ありませんわ、おじ様」
「なんで魔法少女を家に上げてたの」
「その、どうしてもおじ様を問い質したいと仰って......」
「......。」
中年タイツ、いつかはバレると思っていたが、まさか春香が転校して初日にこうなるとは思ってもいなかった。
中年だって本当は断りたかった。
なんで女子中学生と同居しないといけないんだって嘆いた。
嘆いたが、社長の命令には逆らえなかった。
咲良がそんな中年タイツに問い質す。
「で、どういうことですか?! 春香さんは親戚でもないんですよね?!」
「い、いや、そうだけど......。ワースト......じゃなくて、社長にはデカい借りがあってだなぁ......」
「女子中学生ですよ?! おじさんがこの世で一番警戒している生物!」
などと、必死に忠告してくる咲良も女子中学生。
姫奈子がジュースを片手に中年タイツに問う。
「にしても、社長に逆らえないってすごいね。説教タイツの方がワーストキングより怪位は上なんでしょ?」
「前も言ったが、あんま怪位は関係無いんだよ、うちは」
「ふーん?」
中年タイツは春香を尻目に言う。
「春香には何度も言ってるが、中年と二人暮らしなんかしても良いこと無いんだし、早く家に帰った方がいいぞ」
「おじ様ったら、またその話ですの......。何度も言いますが、私は本気ですわ」
「俺は飯作らないし、最低限の家事しかやらないから、お嬢様からしたら生活しづらいだろ?」
「そちらの件につきましても何度も言いますが、問題ありませんわ。今後は住まわせていただいている私が家事をしますわ」
「家事できないだろ」
「これから覚えますわ」
とまぁ、このように鋼の意志でこの家に留まろうとするため、中年は対処に困っていた。
もうここまで来たら、自分が間違いを犯さなければ問題は起きない気がした。
無論、その“間違い”とは男女が共に生活する中で故に起こり得る沙汰を指す。社長の娘に手を出すなんて処刑待った無しだ。
真海が思っていたことを春香に聞く。
「今の時期に転校してきても、高校はどうするのよ? 私たち来年で卒業よ?」
「もちろん、皆様と同じ高校に進学しますわ!」
「ほ、本当に怪人としてどうなのって言いたくなるくらい魔法少女のファンだね」
「待って! それって高校もおじさんの家から通うってこと?!」
咲良、どうしても春香が中年の家で暮らしていることに納得できず、来年の話もしてしまう。
ちなみに咲良たちが目指している高校はこの近所の高校だ。偏差値は普通。マンモス校というほど生徒数が多いわけでもない、ただの普通の高校である。
春香が顎に手を当てて、少し考える素振りを見せてから答えた。
「それもありですわね」
「いや無しだよ」
中年、速攻で反対する。
「おいおい。いつまでうちに居るつもりだよ。高校生になってもとか、さすがに面倒見きれないぞ」
「ですが一人暮らしはお母様たちに反対されてますし......」
「知るか。お嬢様なんだから、親が駄目なら使用人でも護衛でも付けてもらうよう頼めばいいだろ」
「それは既にここでお世話になる前に打診してますわ。結果はご覧の通りですわ」
「......。」
ここまで言われては、頭痛を覚えてしまうというもの。
そんな中年の思いを他所に、春香も反撃に出る。
「そこまでしてこちらの家に私を住ませたくないのは......何か見られては困る物があるということですわね?」
「え゛」
中年、間の抜けた声を漏らす。
が、魔法少女はこの話題に食らいついてしまった。
「お、おおおおじさん、何隠し持っているんですか?!」
「ははーん、説教タイツも男だね~」
「は、破廉恥ね」
咲良たちも年頃の女の子。そういう話に興味が無いと言えば嘘になる。魔法少女だから清くあるとか、そんなのあり得ないのだ。
三人とも興味津々といった様子で中年タイツに迫る。
「お、お前らなぁ、俺がそんな物持ってるわけ――」
「どこに隠してるんですか?!」
「ベッドの下なんて定番よね」
「よし、探すか」
「人の話を聞け!」
これは善と悪の壮絶な戦いを記す物語。
時として、悪党の家に魔法少女たちが乗り込むことを記す物語でもあった。
「ちなみにベッドの下は既に調査済みですわ。残念なことにありませんでしたわ」
「つまらな」
「まぁ、今どき紙なんて買わないものね」
「おじさんってどんなタイプの女性が好みなんですか?」
「頼むからもう出てってくれ......」
続く。
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