150 / 627
150 周囲の警戒
しおりを挟む
しかし今、『傘』については後回し。ルキアスはどうやってゴブリンやコボルトの接近を察知するかに頭を捻る。
(目視……は無理か……)
『鏡』を大きくしてみたり数を増やしてみたりしたものの、目で見て周囲全てを把握しようとしたのに無理があった。人が注視できるのは殆ど点だ。ザネクと折半していても警戒する範囲は広く、とても全ては見られない。時間的にもそう。集中し続けるのは不可能だ。抜こうとしなくても気が抜ける時間がどうしても生まれる。
それをはっきり理解したのはゴブリンに木の棒で叩かれた時だった。
「ねえ、ザネクはどうやって取りこぼさないように周囲の警戒をしてるの?」
「そりゃあ、怪しい場所を重点的にチェックする感じだな」
「怪しい場所?」
「ほら、隠れられそうな茂みとか」
「あ、やっぱりそうだよね……」
ルキアスが見ているのもそんな場所だ。ザネクと異なるのは見えないから見ている意味合いが強いくらいか。
「他には?」
「他なぁ? 魔物の痕跡を探すくらいだな。ほら、あんなヤツ」
ザネクは草叢の一つを指差した。
しかしその指の延長線を辿っても、ルキアスには痕跡と判るものが見付からなかった。
「……判らない」
「草でトンネルっぽくなってる場所が有るだろ?」
ルキアスは目を凝らした。すると僅かに草と草の隙間が他より少し広い場所を見付けた。
「もしかして隙間がちょっとだけ広い所?」
「その通り。魔物も動物と一緒で同じ道を通るからな」
人間もだろ? とザネクは笑う。
「なるほど。だけどそれを見極めるのは、今のぼくにはちょっと難しいよ」
時間を掛ければ判らないこともない程度では、歩く最中に見極めるのはほぼ不可能だ。そのため今はザネクのやり方を心に留めるだけで真似はできないと判断せざるを得なかった。
ルキアスがそれを正直に話すと、ザネクは「そりゃそうだ」と笑う。ザネクだって練習して憶えたのだ。ルキアスがちょこっと見ただけで見極められるなど期待していない。逆にルキアスができるようなら自身の立つ瀬の無いところである。
(目視……は無理か……)
『鏡』を大きくしてみたり数を増やしてみたりしたものの、目で見て周囲全てを把握しようとしたのに無理があった。人が注視できるのは殆ど点だ。ザネクと折半していても警戒する範囲は広く、とても全ては見られない。時間的にもそう。集中し続けるのは不可能だ。抜こうとしなくても気が抜ける時間がどうしても生まれる。
それをはっきり理解したのはゴブリンに木の棒で叩かれた時だった。
「ねえ、ザネクはどうやって取りこぼさないように周囲の警戒をしてるの?」
「そりゃあ、怪しい場所を重点的にチェックする感じだな」
「怪しい場所?」
「ほら、隠れられそうな茂みとか」
「あ、やっぱりそうだよね……」
ルキアスが見ているのもそんな場所だ。ザネクと異なるのは見えないから見ている意味合いが強いくらいか。
「他には?」
「他なぁ? 魔物の痕跡を探すくらいだな。ほら、あんなヤツ」
ザネクは草叢の一つを指差した。
しかしその指の延長線を辿っても、ルキアスには痕跡と判るものが見付からなかった。
「……判らない」
「草でトンネルっぽくなってる場所が有るだろ?」
ルキアスは目を凝らした。すると僅かに草と草の隙間が他より少し広い場所を見付けた。
「もしかして隙間がちょっとだけ広い所?」
「その通り。魔物も動物と一緒で同じ道を通るからな」
人間もだろ? とザネクは笑う。
「なるほど。だけどそれを見極めるのは、今のぼくにはちょっと難しいよ」
時間を掛ければ判らないこともない程度では、歩く最中に見極めるのはほぼ不可能だ。そのため今はザネクのやり方を心に留めるだけで真似はできないと判断せざるを得なかった。
ルキアスがそれを正直に話すと、ザネクは「そりゃそうだ」と笑う。ザネクだって練習して憶えたのだ。ルキアスがちょこっと見ただけで見極められるなど期待していない。逆にルキアスができるようなら自身の立つ瀬の無いところである。
59
あなたにおすすめの小説
異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~
夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。
雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。
女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。
異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。
調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。
そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。
※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。
※サブタイトル追加しました。
オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~
鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。
そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。
そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。
「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」
オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く!
ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。
いざ……はじまり、はじまり……。
※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。
転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位
転生者のブルーノは絶大な力を持っていたが、その力を隠してダンジョンの荷役として暮らしていた。だが、教会の力で勇者を騙る卑怯下劣な連中に、レットドラゴンから逃げるための生贄として、ボス部屋に放置された。腐敗した教会と冒険者ギルドが結託て偽の勇者パーティーを作り、ぼろ儲けしているのだ。ブルーノは誰が何をしていても気にしないし、自分で狩った美味しいドラゴンを食べて暮らせればよかったのだが、殺されたブルーノの為に教会や冒険者ギルドのマスターを敵対した受付嬢が殺されるのを見過ごせなくて・・・・・・
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
最強の赤ん坊! 異世界に来てしまったので帰ります!
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
病弱な僕は病院で息を引き取った
お母さんに親孝行もできずに死んでしまった僕はそれが無念でたまらなかった
そんな僕は運がよかったのか、異世界に転生した
魔法の世界なら元の世界に戻ることが出来るはず、僕は絶対に地球に帰る
荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~
一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。
しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。
流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。
その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。
右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。
この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。
数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。
元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。
根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね?
そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。
色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。
……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる