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女神のお使い
エピローグ
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ハシリを送り出した私は直ぐに小高い丘へと移動した。東が遠くまで見渡せる場所に座る。レクバの居る方角だ。尤も、これは気休めでしかない。ここからではクーロンスはおろか大陸中央にそびえる山脈も地平線の彼方なのだから。
冒険や旅をまたしたいと思うようになったのはいつだっただろう。
そう、あれはリドルが亡くなった時だ。あの日、目標の全てが失われた気がした私は旅の空に誘われたのだ。
子供達もそれぞれの道を歩み、あの人の絵本も既に描いていた。思い残すようなものももう無かった。
ハシリが持って来た贈り物を開けた時、箱の上にあの人の姿が浮かんだ。勿論幻だが、姿が見え、声も聞こえる。その姿は私だけに見えていた筈だ。他の贈り物を受けた人の様子からすると、それぞれにメッセージが添えられていたに違いないのだから。
あの人の姿はあの頃のままだった。それは羨ましくもあったが、悲しくもあった。きっとあの人は永遠の時を過ごすのだ。
そしてその時、私は選択肢を与えられた。
一つはハシリをそのまま放っておく事。だけどその選択はあり得なかった。どこか傷ついて見えるハシリはあの人を思い起こさせた。放ってなどおけなかった。
一つは老いた姿のままでハシリの面倒をみる事。これはガタが来始めていた身体に鞭打つ事になる。旅も無理だっただろう。
最後の一つは若返った姿でハシリの面倒をみる事だ。これは理に反する事なのでそのしわ寄せが来る。具体的には寿命が縮む。
そして私は若返るのを選んだ。それによって旅ができるからでもある。
レクバにその事を話した時は泣かれた。「行くな」と縋られた。だけど、既に決めてしまった後だった。
こんな私をこんなに愛するなんて、ほんとに馬鹿な人だ。
ハシリの面倒と旅の準備以外の時間はできる限り彼と共に過ごした。
そして別れの日、もう会えない事を彼の耳元で告げた。その後はもう振り返らなかった。振り返ってしまうと駆け戻ってしまいそうだったからだ。
ファラドナ、ルーメンミでは自らの罪の深さに慄いた。直接ではなくても、あの人を追い込む原因にきっと私も含まれる。
迷宮の攻略で失われたものは計り知れない。
そして、旅を始めて三ヶ月余り、若返ってから六ヶ月ほどが経った頃から身体に変調が現れた。身体が少しずつ粉のようになって崩壊していくのだ。乾燥させた薩摩揚げやチーカマを食べる事で少しだけ崩壊を抑えられたが、それも徐々に意味を為さなくなった。
そして限界を悟った時、ハシリに別れを告げた。
既に手足の感覚は無く、意識も朦朧としてきた。
レクバ……馬鹿な女でごめんね……。
冒険や旅をまたしたいと思うようになったのはいつだっただろう。
そう、あれはリドルが亡くなった時だ。あの日、目標の全てが失われた気がした私は旅の空に誘われたのだ。
子供達もそれぞれの道を歩み、あの人の絵本も既に描いていた。思い残すようなものももう無かった。
ハシリが持って来た贈り物を開けた時、箱の上にあの人の姿が浮かんだ。勿論幻だが、姿が見え、声も聞こえる。その姿は私だけに見えていた筈だ。他の贈り物を受けた人の様子からすると、それぞれにメッセージが添えられていたに違いないのだから。
あの人の姿はあの頃のままだった。それは羨ましくもあったが、悲しくもあった。きっとあの人は永遠の時を過ごすのだ。
そしてその時、私は選択肢を与えられた。
一つはハシリをそのまま放っておく事。だけどその選択はあり得なかった。どこか傷ついて見えるハシリはあの人を思い起こさせた。放ってなどおけなかった。
一つは老いた姿のままでハシリの面倒をみる事。これはガタが来始めていた身体に鞭打つ事になる。旅も無理だっただろう。
最後の一つは若返った姿でハシリの面倒をみる事だ。これは理に反する事なのでそのしわ寄せが来る。具体的には寿命が縮む。
そして私は若返るのを選んだ。それによって旅ができるからでもある。
レクバにその事を話した時は泣かれた。「行くな」と縋られた。だけど、既に決めてしまった後だった。
こんな私をこんなに愛するなんて、ほんとに馬鹿な人だ。
ハシリの面倒と旅の準備以外の時間はできる限り彼と共に過ごした。
そして別れの日、もう会えない事を彼の耳元で告げた。その後はもう振り返らなかった。振り返ってしまうと駆け戻ってしまいそうだったからだ。
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そして、旅を始めて三ヶ月余り、若返ってから六ヶ月ほどが経った頃から身体に変調が現れた。身体が少しずつ粉のようになって崩壊していくのだ。乾燥させた薩摩揚げやチーカマを食べる事で少しだけ崩壊を抑えられたが、それも徐々に意味を為さなくなった。
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レクバ……馬鹿な女でごめんね……。
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