39 / 72
三八 チーズ求めていざ西へ
しおりを挟む
新居の準備として、いの一番に必要なのはベッドだ。前の家に住んでいた時に後から知ったことだが、大抵の人は藁にシーツを掛けてベッドにしているらしい。布団なんて高価なものは、そもそも買わないのである。
そんな訳で、農家へと藁を買いに来ている。
温暖な土地であるため、二期目の稲穂が青々としている農地が多い。そんな中にも、一期作や二毛作なのか、丁度脱穀を終えたばかりの藁が畑に幾つも積み上がっている農地も有った。
藁自体は安い。一〇〇〇円を支払い、人の背丈ほどに積み上げられた藁の山一つ分までなら好きなだけ持って行って良いと言う。かなり大雑把だ。一山全部ならば二〇〇キログラム程度は有るだろうと思われるが、ベッド一つ分にはこの半分で良さそうな気がする。
一旦ベッドの形に並べて量を確認したら、直径一〇センチメートルほどの束を作っていく。一通り束にし終わったら、長い二本の紐で全ての束を繋ぐ。それをロールケーキのように巻けば、転がして動かすことも可能だ。機械化されていて一度に大きな束を作れるのならこんな手間は要らないが、手作業だとどうしても余分な手間が掛かってしまう。小さい束を作るのに八割方の時間を使ってしまった。
「あんた、それを一度に運ぶつもりなのかい?」
「はい。こう見えて、結構力持ちなんですよ」
呆れたように言う農場主に、あたしは左手を右肩に当て、右腕で力瘤を作る仕草をした。力瘤なんて全然できないんだけどね。
「いやいや、力が有りそうには見えないから」
「でもほんとは、そんなに力は要らないんですよ。ほら、こんな具合に」
そう言って、あたしは捲いた藁束を転がして見せる。
「やってみますか?」
「勿論だ」
農場主が藁束を転がし、「ほお」と感心したような声を洩らした。
「思ったより、しっかり転がるものなんだな」
「時間が掛かってますから」
「確かにな」
朝から訪れていたのに、既に午後。荷車を使った方が遙かに早いのだからこんな事をするのはあたしだけだろう。
「それでは、これで失礼します」
「おう」
コロコロと藁束を転がし、街道とは反対の森へと向かう。街道には馬糞が落ちているので、その上を転がす気にはなれない。転がす気になれないからと人目に付く道で抱え上げるのも考えものだ。だから人目に付かない森を抜けていく。畦道にも少し馬糞が落ちているが、街道ほどではない。この程度なら道を確かめつつ転がすのも許容範囲である。
農地と森の間の草地に入ると、藁束を抱え上げてスタコラサッサと走る。森を抜けて下町の西に出た所で一旦藁束を地面に置き、魔法で熱を加えて殺虫と殺菌をした後、また転がして家へと戻る。
ベッドは作り付けになっている。きっと作り付けだから残っているのであって、そうでなければ誰かが持ち去っていただろうと思われる。何故なら、どの空き家にも家財道具が全く無かったのである。空き家に勝手に住んで良い、と言うだけのことはあるのだ。
ベッドも昨日の内に丸洗い済みなので、直ぐに藁を敷き詰める。藁束の一番外側には転がしたことで土埃が付いているため、水洗いして乾かすのも忘れない。
藁を敷き終わり、シーツを掛ければ完成なのだが、シーツは今から買ってこなきゃいけないのだった。
城壁内に入るには、市民、冒険者ギルド、商業ギルドのいずれかの登録証が有れば無料だが、無ければ通行税として一〇〇〇円を徴収される。これが地味に痛い。しかし、唯一無料で登録できる冒険者ギルドには登録したくないので今は我慢だ。
寝具店でシーツと毛布を買い、町外れの木工所でテーブルと椅子とブナの板を数枚買って紐で括って背負って帰る。何気に、道行く人にジロジロと見られた。そりゃまあ、大きな荷物を背負っていれば目立つだろう。できれば目立ちたくはなかったが、今回ばかりは仕方がない。
自宅に帰ったら、テーブルと椅子を設置し、シーツをベッドに掛ける。
ベッドに寝てみるとごわごわする。シーツ一枚だけだと結構気になるものである。試しに毛布を敷いた上に寝てみると、ごわごわが軽減されて問題なく眠れそうだ。また今度、毛布とシーツを追加で買いに行かねばなるまい。布団代を節約するつもりだったのに、やっぱり高価な毛布をもう一枚買ってしまっては、大した節約にならない。がっかりだ。
それでも今晩の寝心地を少しでも改善しようと、あーでもない、こーでもない、とやっている内に、一日が終わってしまった。
◆
新居生活二日目は西へと走る。チーズの調達に行くのである。
西に走って行くと、北西に見えていた森はかなり南の方まで張り出していた。街道はその森を南に迂回している。しかしあたしは当然のように森を突っ切る。その方が人目に付かなくて良い。
森に入って直ぐの場所には魔物が殆ど居ない。しかし、少し奥に入れば魔物が跋扈している。跋扈していると言っても、ヘルツグに程近い山の中に居た魔獣のようなことはない。獣が魔物に変わった魔獣の他、生粋の魔物も多いが、全て小型のものばかりだ。
生粋の魔物には、ゴーレムのようなものや、幽霊のようなものが居る。足の多い蜘蛛のようなものや、巨大なナナフシみたいなものは、生粋なのか、蜘蛛やナナフシが魔物化したのかは判らないが、生理的な嫌悪感だけは凄まじい。
そんな小型のものさえ森の縁の近くに居なかったのは、これらの魔物が森の中でしか生きられないことを示しているのだろう。
獣が魔物化するように昆虫が魔物化しても、魔獣と違って「魔虫」とは呼ばれない。これは、興味の強さの違いだ。主に食料としてのそれである。
魔獣の場合、元が食用になる獣であれば、同様に食用になる。魔物化で巨大になれば、肉の量も多くなってお得なのだ。
しかし昆虫の方は殆ど食されることが無い。一部、食用にされる昆虫も有るが、けして多くはないのである。
森は鬱蒼としていて、そのままでは走り難い。蔓や蔦が絡みついてくる。そのため、前方に風の刃混じりの竜巻を飛ばし、切り開きながら進む。
ファラドナから三〇キロメートルほど進んだ所で前方に人影が見えた。咄嗟に木陰へと身を隠して様子を覗う。
見ていると、人影は向かって左から右に歩いている。時折何かを剣で切るような仕草をしていることから、虫や魔物に絡まれているのだろうことが判る。
だけどそれは、仕草を見ていなくても予想はできてしまった。何故なら、足を止めたために、今あたしが虫や魔物に思いっきり凄まれているのだ。
気持ち悪い。
そう、中には見るだけで気持ち悪いものが居る。払いたいのに払いたくない。そんな矛盾に満ちてしまう。排除はしたいが排除するには触らねばならない。だけど触りたくないのだ。こうなることが判ってたら足を止めたりはしなかった。同じ過ちは繰り返すまい。あたしは心に誓った。
人影が見えなくなるのを待って、あたしは人影が有った所に移動する。そこに有ったのは、ぎりぎり馬車が通れるだろう幅の道だった。
その道を見て、この付近に迷宮が有ると言う話を思い出したが、今はそれよりあたしに凄んでいる虫や魔物の始末が先である。
まずは、四方から風を吹かせて吹き飛ばしてみる。だけど吹き飛ばせたのは半分程度だ。背中は見えないので吹き飛ばせてるかどうかさえ判らない。これではいけない。
水を使ったらびしょ濡れになって宜しくない。雷は使ったことが無く、ずだ袋の中身の携帯電話にも悪影響しそうだから、何処かで練習してからじゃないと危険だ。この世界で携帯電話が有っても仕方がないのだが、そこはそれ、やっぱり捨てるには惜しい。後、燃やすのは論外だから、他に出来ることは一つだけになる。
ずだ袋を降ろす。当然のようにずだ袋には紐を結び、その紐の端を手に握っている。そして、魔法で周囲の温度を上げる。セルフサウナである。汗が噴き出す。それでも我慢して温度を上げると、ポタポタと張り付いていた魔物が落ち始めた。
もう我慢の限界、と言うところまで粘った後、魔法を止めてそっと背中に手を回してみる。
「ほうぅぅ」
安堵の溜め息が漏れた。背中に何かが張り付いている様子は無い。身体を見回してみても何も張り付いていない。一安心である。
しかし、直ぐに別のことに気付いて力が抜けた。汗で服がびしょびしょだ。結局、一旦道を逸れて水で汗を洗い流し、温風乾燥で服を乾かした。
最初から水を被っていた方が、暑い思いをしなくて済んで良かったのかも知れない。
街道に出てしまったので、それに沿って北上する。次のチーズの買い出しでは北に迂回することになるため、何処まで北に行けば良いのかを確認する必要があるのだ。
それは意外に近かった。ほんの二キロメートル程で人工物の壁が有ったのである。
壁は高さ一メートル程で、その直ぐ外には壕も作られている。規模からすれば、小動物避けと思われる。
街道が通る部分には壁も壕も無い。その傍に監視小屋が有り、監視員らしき人が座っていたが、通行人の監視はしていない様子で常に外を警戒している。
壁の中に入って暫く進むと、壁から二キロメートル程の所に建物が見えてきた。あれがルーメンミの町並みなのだろう。先の壁から既にルーメンミなのかと判断に迷うが、壁からここまでの間は森が切り開かれているだけで農耕が行われている様子も無い。ここはまだ町の外と見た方が良さそうである。
更に町に近付くと、また低い壁と壕が有り、その中は農地になっている。その農地は狭く、小さい町であるものの、とても住民全ての食を賄えるようには見えなかった。
町に入るのに検問などは無く、誰でも自由に出入りできる。通行税が無いのを不思議に思ったが、町を一回りすると納得がいった。この町の北には迷宮の入り口が有り、それと同時に行き止まりとなっている。町の出入り口はさっき通った南にしか無く、通り抜けができない。勿論、壁を乗り越えれば北側に出ることもできるが、その先に待っているのは鬱蒼とした森だけだ。
町に有るのは、宿屋、鍛冶屋、防具屋、雑貨屋、食料品店と言ったもの。迷宮と、その迷宮に挑む冒険者達に必要な店と、その店を営む人達の生活を支える店だけが有る感じだ。無駄を極端に省いたように見える。
食料品店を覗いてみると、この町の畑で採れたのだろう野菜以外、物価がファラドナの倍から三倍だった。きっと、宿泊代なども同様に高いのだろう。
人通りは少ない。冒険者の殆どは迷宮に籠もることになるので、ある意味で当然である。
町の確認はできた。用の無い町だと判ったので、あたしは早々にこの町から立ち去ることにした。
一旦ルーメンミの南に出て、暫く進んだ所から森に分け入って西へと進む。五〇キロメートルほど走った所で森が途切れて草原に変わった。更に一〇キロメートルほど走ると街道に行き当たった。ここからは街道沿いに走っていく。
街道を走っていると行き交う人の目に付いてしまい、変なものを見るような目で見られてしまった。街道を走る人なんてそうそう居ないのだから致し方ない。
街道に出た辺りから放牧されている多くの牛を見るようになった。畜産がかなり盛んなようだ。ここにこんなに牛が居るのに、ファラドナでは肉が売られていない。流通の食生活への影響は計り知れない。
街道を一〇キロメートルほど走ると町に辿り着いた。ここが、チーズ屋の店主の言っていた一番近い町だろう。
三〇〇〇人規模の町であるが、通行税はしっかり一〇〇〇円だ。地味に痛い。
町に入ると、目立つ場所に商業ギルドが有ったので入ってみることにした。
「ギルドへの登録料は幾らでしょうか?」
「登録をご希望ですか? 登録料は、店舗であれば一〇〇万ゴールドで、行商であれば一〇万ゴールドです」
ファラドナと同じ料金だ。小さい町なのに高い!
「登録証は、ここラジアンガの他、ここから西に有るステラジアンガ、北西に有るシーベルトム、北に有るジーメンスラで有効です」
続きが有った!
四つの町で有効なのであれば悪くない。今後、何度となく足を運ぶことを考えると、行商で登録していた方がお得だ。
「では、行商で登録したいのですが」
「はい。それでは、この用紙に必要事項をお書きください」
受付嬢はそう言って用紙を出してきた。
用紙には名前の他、販売品目の欄が有るのだが、チーズを仕入れるだけなので書きようが無い。
「チーズを仕入れに来るだけなので、販売品目の欄は空欄で良いですか?」
「できれば仕入れだけでなく、何かを売っていただきたいのですが、何か持ち込める商品はございませんか?」
「持ち込めるとすると塩くらいなのですが、塩って売っても大丈夫ですか?」
「塩ですか!? それは、是非、お願いします!」
「う……」
受付嬢が突然身を乗り出してきたので、若干引いた。
そんなあたしの様子を見て気付いたのか、受付嬢は「こほん」と咳払いして神妙な顔付きになった。
「失礼いたしました」
「塩が必要なのですか?」
「はい。ここラジアンガと付近の三つの町の特産品はチーズで、その製造に塩が欠かせません。ところが、近くに塩の産地が無く、入手が不安定になりがちなのです。そのため、少量であっても塩を持ってきてくださる行商人の方はこの町にとって貴重な存在です」
「ファラドナはそう遠いとも言えないので、ファラドナから仕入れれば良いのではありませんか?」
受付嬢が渋い顔になった。
「そうしたいのは山々なのですが、ファラドナとの交易は荒野の街道を通ることになります。しかし、その荒野には塩蟲と呼ばれる強力な魔物が巣くっていて塩を運べないのです」
「塩蟲ですか? それはどんな魔物なのでしょう?」
「塩蟲はその身体に塩を蓄積する性質があり、その身体の大半が塩で出来ている不思議な魔物です。普段は土の中に潜んでいて、いつ出てくるか判りません。そして、塩に誘引される性質も有るため、塩を運んでいると土の中から突然飛び出してきて襲ってくるのです。地上でも馬よりも速く移動する魔物ですから、塩を持っていると逃げることが叶いません」
「討伐すれば良いのでは?」
受付嬢はかくんと首を傾げた。
「それが、数が多いのです。その上、大きな個体ともなると、討伐するためにはランク3冒険者のパーティか、ランク2冒険者の力が必要です。とてもその費用は賄いきれません」
「そこまで強いんですか!?」
「はい。それに、討伐すると塩が残されるのですが、それがまた別の塩蟲を誘引して収拾が付きません。過去に、塩蟲から塩を採取することも試みられたようですが、失敗した記録が残されています」
ふと、チーズ屋の店主のことを思い出した。
「だけど、ファラドナとの間で交易している人も居ますよね?」
「はい。交易品に塩が含まれなかったり、量が少なければ、塩蟲に襲われる危険は少ないのです。チーズには多くの塩を含みますので大量には運べませんが、少量なら大丈夫です」
「少量じゃ、割高になりますね」
「はい。そのため、ファラドナとの交易はかなり少なくなっています。そして、大量の塩を仕入れるには東の森を北に大きく迂回するような経路を辿ることになります。当然費用が嵩みますので、普通であれば高価になります。そこで価格を抑えるために当ギルドが塩を仕入れ、ほぼ実費のみで販売しているのですが、十分とは言えません。それに、その影響で旅商人の方は塩が採算に合わないとして、あまり塩を扱ってくださらないのです」
「経路が同じなら、値段も同じになりますからね」
「その通りです」
「塩の価格は上げないのですか?」
「そうすると、チーズの値段に跳ね返ってしまいます」
「それは、悩ましいですね」
「はい。そのため、塩であれば少量でも歓迎いたします」
「でも、塩の販売は国で規制されていたりしませんか?」
「そう言うことはありません。もしや貴女は他国からの移住者でいらっしゃいますか?」
「はい。そんな感じです」
「ここガベトラーでは塩の販売に規制は有りませんのでご安心ください」
「判りました」
そんな訳で、販売品目には「塩」と書いた。薩摩揚げをこの町で売るつもりは無いのだ。
一〇万円を支払い、魔力を登録して登録証を貰うと、市場へと急いだ。
ラジアンガの市場で売られているチーズは、殆どが白カビチーズだった。日本のスーパーで売られているプロセスチーズ並みの値段だから常食も可能だろう。
しかし、トロッとしている白カビチーズはチーカマには使えないので、自分で食べる分だけを購入した。
ラジアンガを出て、次に北のジーメンスラに行く。
ジーメンスラの市場では、チェダーチーズやパヴェ・コレジアン、パルミジャーノ・レッジャーノなどに相当する、硬質のチーズが殆どだった。チーカマに入れるには良いので、比較的柔らかめのもの二種類を多めに仕入れた。
次のシーベルトムでは、酸で凝固させたチーズが並んでいた。これは、フレッシュチーズの類なため、乾燥させたもの以外は日持ちがしない。今日食べる分だけ少量を買う。
最後のステラジアンガでは、青カビチーズが主だった。残念ながらあたしは苦手だ。それでも一応、味見程度に購入した。
四つの町は、皆ほぼ同じ大きさである。本来なら一つの町にするところを、チーズの特性に合わせて分散させている感じだ。商業ギルドが共通なのもそのためだろう。ただ、ギルドの金融機能については登録した町でしか利用できないと言う難点は有る。
帰りは南の荒野を通ってみた。そこそこ多くのチーズを持っていたが、塩蟲には遭遇しなかった。
最大の問題は、幾つかの街道を横切らなければならなかったことだ。人通りは少ないが、街道が有る以上、いつ人目に触れてもおかしくない。爆走中に見られてしまえば、また変な噂が立ってしまう。それだけは避けねばなるまい。
そんな訳で、仕入は主にジーメンスラで行うことになるため、ルーメンミの北を通るのが最適との結論に至った。
そんな訳で、農家へと藁を買いに来ている。
温暖な土地であるため、二期目の稲穂が青々としている農地が多い。そんな中にも、一期作や二毛作なのか、丁度脱穀を終えたばかりの藁が畑に幾つも積み上がっている農地も有った。
藁自体は安い。一〇〇〇円を支払い、人の背丈ほどに積み上げられた藁の山一つ分までなら好きなだけ持って行って良いと言う。かなり大雑把だ。一山全部ならば二〇〇キログラム程度は有るだろうと思われるが、ベッド一つ分にはこの半分で良さそうな気がする。
一旦ベッドの形に並べて量を確認したら、直径一〇センチメートルほどの束を作っていく。一通り束にし終わったら、長い二本の紐で全ての束を繋ぐ。それをロールケーキのように巻けば、転がして動かすことも可能だ。機械化されていて一度に大きな束を作れるのならこんな手間は要らないが、手作業だとどうしても余分な手間が掛かってしまう。小さい束を作るのに八割方の時間を使ってしまった。
「あんた、それを一度に運ぶつもりなのかい?」
「はい。こう見えて、結構力持ちなんですよ」
呆れたように言う農場主に、あたしは左手を右肩に当て、右腕で力瘤を作る仕草をした。力瘤なんて全然できないんだけどね。
「いやいや、力が有りそうには見えないから」
「でもほんとは、そんなに力は要らないんですよ。ほら、こんな具合に」
そう言って、あたしは捲いた藁束を転がして見せる。
「やってみますか?」
「勿論だ」
農場主が藁束を転がし、「ほお」と感心したような声を洩らした。
「思ったより、しっかり転がるものなんだな」
「時間が掛かってますから」
「確かにな」
朝から訪れていたのに、既に午後。荷車を使った方が遙かに早いのだからこんな事をするのはあたしだけだろう。
「それでは、これで失礼します」
「おう」
コロコロと藁束を転がし、街道とは反対の森へと向かう。街道には馬糞が落ちているので、その上を転がす気にはなれない。転がす気になれないからと人目に付く道で抱え上げるのも考えものだ。だから人目に付かない森を抜けていく。畦道にも少し馬糞が落ちているが、街道ほどではない。この程度なら道を確かめつつ転がすのも許容範囲である。
農地と森の間の草地に入ると、藁束を抱え上げてスタコラサッサと走る。森を抜けて下町の西に出た所で一旦藁束を地面に置き、魔法で熱を加えて殺虫と殺菌をした後、また転がして家へと戻る。
ベッドは作り付けになっている。きっと作り付けだから残っているのであって、そうでなければ誰かが持ち去っていただろうと思われる。何故なら、どの空き家にも家財道具が全く無かったのである。空き家に勝手に住んで良い、と言うだけのことはあるのだ。
ベッドも昨日の内に丸洗い済みなので、直ぐに藁を敷き詰める。藁束の一番外側には転がしたことで土埃が付いているため、水洗いして乾かすのも忘れない。
藁を敷き終わり、シーツを掛ければ完成なのだが、シーツは今から買ってこなきゃいけないのだった。
城壁内に入るには、市民、冒険者ギルド、商業ギルドのいずれかの登録証が有れば無料だが、無ければ通行税として一〇〇〇円を徴収される。これが地味に痛い。しかし、唯一無料で登録できる冒険者ギルドには登録したくないので今は我慢だ。
寝具店でシーツと毛布を買い、町外れの木工所でテーブルと椅子とブナの板を数枚買って紐で括って背負って帰る。何気に、道行く人にジロジロと見られた。そりゃまあ、大きな荷物を背負っていれば目立つだろう。できれば目立ちたくはなかったが、今回ばかりは仕方がない。
自宅に帰ったら、テーブルと椅子を設置し、シーツをベッドに掛ける。
ベッドに寝てみるとごわごわする。シーツ一枚だけだと結構気になるものである。試しに毛布を敷いた上に寝てみると、ごわごわが軽減されて問題なく眠れそうだ。また今度、毛布とシーツを追加で買いに行かねばなるまい。布団代を節約するつもりだったのに、やっぱり高価な毛布をもう一枚買ってしまっては、大した節約にならない。がっかりだ。
それでも今晩の寝心地を少しでも改善しようと、あーでもない、こーでもない、とやっている内に、一日が終わってしまった。
◆
新居生活二日目は西へと走る。チーズの調達に行くのである。
西に走って行くと、北西に見えていた森はかなり南の方まで張り出していた。街道はその森を南に迂回している。しかしあたしは当然のように森を突っ切る。その方が人目に付かなくて良い。
森に入って直ぐの場所には魔物が殆ど居ない。しかし、少し奥に入れば魔物が跋扈している。跋扈していると言っても、ヘルツグに程近い山の中に居た魔獣のようなことはない。獣が魔物に変わった魔獣の他、生粋の魔物も多いが、全て小型のものばかりだ。
生粋の魔物には、ゴーレムのようなものや、幽霊のようなものが居る。足の多い蜘蛛のようなものや、巨大なナナフシみたいなものは、生粋なのか、蜘蛛やナナフシが魔物化したのかは判らないが、生理的な嫌悪感だけは凄まじい。
そんな小型のものさえ森の縁の近くに居なかったのは、これらの魔物が森の中でしか生きられないことを示しているのだろう。
獣が魔物化するように昆虫が魔物化しても、魔獣と違って「魔虫」とは呼ばれない。これは、興味の強さの違いだ。主に食料としてのそれである。
魔獣の場合、元が食用になる獣であれば、同様に食用になる。魔物化で巨大になれば、肉の量も多くなってお得なのだ。
しかし昆虫の方は殆ど食されることが無い。一部、食用にされる昆虫も有るが、けして多くはないのである。
森は鬱蒼としていて、そのままでは走り難い。蔓や蔦が絡みついてくる。そのため、前方に風の刃混じりの竜巻を飛ばし、切り開きながら進む。
ファラドナから三〇キロメートルほど進んだ所で前方に人影が見えた。咄嗟に木陰へと身を隠して様子を覗う。
見ていると、人影は向かって左から右に歩いている。時折何かを剣で切るような仕草をしていることから、虫や魔物に絡まれているのだろうことが判る。
だけどそれは、仕草を見ていなくても予想はできてしまった。何故なら、足を止めたために、今あたしが虫や魔物に思いっきり凄まれているのだ。
気持ち悪い。
そう、中には見るだけで気持ち悪いものが居る。払いたいのに払いたくない。そんな矛盾に満ちてしまう。排除はしたいが排除するには触らねばならない。だけど触りたくないのだ。こうなることが判ってたら足を止めたりはしなかった。同じ過ちは繰り返すまい。あたしは心に誓った。
人影が見えなくなるのを待って、あたしは人影が有った所に移動する。そこに有ったのは、ぎりぎり馬車が通れるだろう幅の道だった。
その道を見て、この付近に迷宮が有ると言う話を思い出したが、今はそれよりあたしに凄んでいる虫や魔物の始末が先である。
まずは、四方から風を吹かせて吹き飛ばしてみる。だけど吹き飛ばせたのは半分程度だ。背中は見えないので吹き飛ばせてるかどうかさえ判らない。これではいけない。
水を使ったらびしょ濡れになって宜しくない。雷は使ったことが無く、ずだ袋の中身の携帯電話にも悪影響しそうだから、何処かで練習してからじゃないと危険だ。この世界で携帯電話が有っても仕方がないのだが、そこはそれ、やっぱり捨てるには惜しい。後、燃やすのは論外だから、他に出来ることは一つだけになる。
ずだ袋を降ろす。当然のようにずだ袋には紐を結び、その紐の端を手に握っている。そして、魔法で周囲の温度を上げる。セルフサウナである。汗が噴き出す。それでも我慢して温度を上げると、ポタポタと張り付いていた魔物が落ち始めた。
もう我慢の限界、と言うところまで粘った後、魔法を止めてそっと背中に手を回してみる。
「ほうぅぅ」
安堵の溜め息が漏れた。背中に何かが張り付いている様子は無い。身体を見回してみても何も張り付いていない。一安心である。
しかし、直ぐに別のことに気付いて力が抜けた。汗で服がびしょびしょだ。結局、一旦道を逸れて水で汗を洗い流し、温風乾燥で服を乾かした。
最初から水を被っていた方が、暑い思いをしなくて済んで良かったのかも知れない。
街道に出てしまったので、それに沿って北上する。次のチーズの買い出しでは北に迂回することになるため、何処まで北に行けば良いのかを確認する必要があるのだ。
それは意外に近かった。ほんの二キロメートル程で人工物の壁が有ったのである。
壁は高さ一メートル程で、その直ぐ外には壕も作られている。規模からすれば、小動物避けと思われる。
街道が通る部分には壁も壕も無い。その傍に監視小屋が有り、監視員らしき人が座っていたが、通行人の監視はしていない様子で常に外を警戒している。
壁の中に入って暫く進むと、壁から二キロメートル程の所に建物が見えてきた。あれがルーメンミの町並みなのだろう。先の壁から既にルーメンミなのかと判断に迷うが、壁からここまでの間は森が切り開かれているだけで農耕が行われている様子も無い。ここはまだ町の外と見た方が良さそうである。
更に町に近付くと、また低い壁と壕が有り、その中は農地になっている。その農地は狭く、小さい町であるものの、とても住民全ての食を賄えるようには見えなかった。
町に入るのに検問などは無く、誰でも自由に出入りできる。通行税が無いのを不思議に思ったが、町を一回りすると納得がいった。この町の北には迷宮の入り口が有り、それと同時に行き止まりとなっている。町の出入り口はさっき通った南にしか無く、通り抜けができない。勿論、壁を乗り越えれば北側に出ることもできるが、その先に待っているのは鬱蒼とした森だけだ。
町に有るのは、宿屋、鍛冶屋、防具屋、雑貨屋、食料品店と言ったもの。迷宮と、その迷宮に挑む冒険者達に必要な店と、その店を営む人達の生活を支える店だけが有る感じだ。無駄を極端に省いたように見える。
食料品店を覗いてみると、この町の畑で採れたのだろう野菜以外、物価がファラドナの倍から三倍だった。きっと、宿泊代なども同様に高いのだろう。
人通りは少ない。冒険者の殆どは迷宮に籠もることになるので、ある意味で当然である。
町の確認はできた。用の無い町だと判ったので、あたしは早々にこの町から立ち去ることにした。
一旦ルーメンミの南に出て、暫く進んだ所から森に分け入って西へと進む。五〇キロメートルほど走った所で森が途切れて草原に変わった。更に一〇キロメートルほど走ると街道に行き当たった。ここからは街道沿いに走っていく。
街道を走っていると行き交う人の目に付いてしまい、変なものを見るような目で見られてしまった。街道を走る人なんてそうそう居ないのだから致し方ない。
街道に出た辺りから放牧されている多くの牛を見るようになった。畜産がかなり盛んなようだ。ここにこんなに牛が居るのに、ファラドナでは肉が売られていない。流通の食生活への影響は計り知れない。
街道を一〇キロメートルほど走ると町に辿り着いた。ここが、チーズ屋の店主の言っていた一番近い町だろう。
三〇〇〇人規模の町であるが、通行税はしっかり一〇〇〇円だ。地味に痛い。
町に入ると、目立つ場所に商業ギルドが有ったので入ってみることにした。
「ギルドへの登録料は幾らでしょうか?」
「登録をご希望ですか? 登録料は、店舗であれば一〇〇万ゴールドで、行商であれば一〇万ゴールドです」
ファラドナと同じ料金だ。小さい町なのに高い!
「登録証は、ここラジアンガの他、ここから西に有るステラジアンガ、北西に有るシーベルトム、北に有るジーメンスラで有効です」
続きが有った!
四つの町で有効なのであれば悪くない。今後、何度となく足を運ぶことを考えると、行商で登録していた方がお得だ。
「では、行商で登録したいのですが」
「はい。それでは、この用紙に必要事項をお書きください」
受付嬢はそう言って用紙を出してきた。
用紙には名前の他、販売品目の欄が有るのだが、チーズを仕入れるだけなので書きようが無い。
「チーズを仕入れに来るだけなので、販売品目の欄は空欄で良いですか?」
「できれば仕入れだけでなく、何かを売っていただきたいのですが、何か持ち込める商品はございませんか?」
「持ち込めるとすると塩くらいなのですが、塩って売っても大丈夫ですか?」
「塩ですか!? それは、是非、お願いします!」
「う……」
受付嬢が突然身を乗り出してきたので、若干引いた。
そんなあたしの様子を見て気付いたのか、受付嬢は「こほん」と咳払いして神妙な顔付きになった。
「失礼いたしました」
「塩が必要なのですか?」
「はい。ここラジアンガと付近の三つの町の特産品はチーズで、その製造に塩が欠かせません。ところが、近くに塩の産地が無く、入手が不安定になりがちなのです。そのため、少量であっても塩を持ってきてくださる行商人の方はこの町にとって貴重な存在です」
「ファラドナはそう遠いとも言えないので、ファラドナから仕入れれば良いのではありませんか?」
受付嬢が渋い顔になった。
「そうしたいのは山々なのですが、ファラドナとの交易は荒野の街道を通ることになります。しかし、その荒野には塩蟲と呼ばれる強力な魔物が巣くっていて塩を運べないのです」
「塩蟲ですか? それはどんな魔物なのでしょう?」
「塩蟲はその身体に塩を蓄積する性質があり、その身体の大半が塩で出来ている不思議な魔物です。普段は土の中に潜んでいて、いつ出てくるか判りません。そして、塩に誘引される性質も有るため、塩を運んでいると土の中から突然飛び出してきて襲ってくるのです。地上でも馬よりも速く移動する魔物ですから、塩を持っていると逃げることが叶いません」
「討伐すれば良いのでは?」
受付嬢はかくんと首を傾げた。
「それが、数が多いのです。その上、大きな個体ともなると、討伐するためにはランク3冒険者のパーティか、ランク2冒険者の力が必要です。とてもその費用は賄いきれません」
「そこまで強いんですか!?」
「はい。それに、討伐すると塩が残されるのですが、それがまた別の塩蟲を誘引して収拾が付きません。過去に、塩蟲から塩を採取することも試みられたようですが、失敗した記録が残されています」
ふと、チーズ屋の店主のことを思い出した。
「だけど、ファラドナとの間で交易している人も居ますよね?」
「はい。交易品に塩が含まれなかったり、量が少なければ、塩蟲に襲われる危険は少ないのです。チーズには多くの塩を含みますので大量には運べませんが、少量なら大丈夫です」
「少量じゃ、割高になりますね」
「はい。そのため、ファラドナとの交易はかなり少なくなっています。そして、大量の塩を仕入れるには東の森を北に大きく迂回するような経路を辿ることになります。当然費用が嵩みますので、普通であれば高価になります。そこで価格を抑えるために当ギルドが塩を仕入れ、ほぼ実費のみで販売しているのですが、十分とは言えません。それに、その影響で旅商人の方は塩が採算に合わないとして、あまり塩を扱ってくださらないのです」
「経路が同じなら、値段も同じになりますからね」
「その通りです」
「塩の価格は上げないのですか?」
「そうすると、チーズの値段に跳ね返ってしまいます」
「それは、悩ましいですね」
「はい。そのため、塩であれば少量でも歓迎いたします」
「でも、塩の販売は国で規制されていたりしませんか?」
「そう言うことはありません。もしや貴女は他国からの移住者でいらっしゃいますか?」
「はい。そんな感じです」
「ここガベトラーでは塩の販売に規制は有りませんのでご安心ください」
「判りました」
そんな訳で、販売品目には「塩」と書いた。薩摩揚げをこの町で売るつもりは無いのだ。
一〇万円を支払い、魔力を登録して登録証を貰うと、市場へと急いだ。
ラジアンガの市場で売られているチーズは、殆どが白カビチーズだった。日本のスーパーで売られているプロセスチーズ並みの値段だから常食も可能だろう。
しかし、トロッとしている白カビチーズはチーカマには使えないので、自分で食べる分だけを購入した。
ラジアンガを出て、次に北のジーメンスラに行く。
ジーメンスラの市場では、チェダーチーズやパヴェ・コレジアン、パルミジャーノ・レッジャーノなどに相当する、硬質のチーズが殆どだった。チーカマに入れるには良いので、比較的柔らかめのもの二種類を多めに仕入れた。
次のシーベルトムでは、酸で凝固させたチーズが並んでいた。これは、フレッシュチーズの類なため、乾燥させたもの以外は日持ちがしない。今日食べる分だけ少量を買う。
最後のステラジアンガでは、青カビチーズが主だった。残念ながらあたしは苦手だ。それでも一応、味見程度に購入した。
四つの町は、皆ほぼ同じ大きさである。本来なら一つの町にするところを、チーズの特性に合わせて分散させている感じだ。商業ギルドが共通なのもそのためだろう。ただ、ギルドの金融機能については登録した町でしか利用できないと言う難点は有る。
帰りは南の荒野を通ってみた。そこそこ多くのチーズを持っていたが、塩蟲には遭遇しなかった。
最大の問題は、幾つかの街道を横切らなければならなかったことだ。人通りは少ないが、街道が有る以上、いつ人目に触れてもおかしくない。爆走中に見られてしまえば、また変な噂が立ってしまう。それだけは避けねばなるまい。
そんな訳で、仕入は主にジーメンスラで行うことになるため、ルーメンミの北を通るのが最適との結論に至った。
0
あなたにおすすめの小説
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました
黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。
彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。
戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。
現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと!
「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」
ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。
絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。
伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進!
迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る!
これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー!
美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。
人生、逆転できないことなんて何もない!
キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~
サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。
ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。
木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。
そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。
もう一度言う。
手違いだったのだ。もしくは事故。
出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた!
そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて――
※本作は他サイトでも掲載しています
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
異世界へ行って帰って来た
バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。
そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。
死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。
命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。
自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
異世界もふもふ食堂〜僕と爺ちゃんと魔法使い仔カピバラの味噌スローライフ〜
山いい奈
ファンタジー
味噌蔵の跡継ぎで修行中の相葉壱。
息抜きに動物園に行った時、仔カピバラに噛まれ、気付けば見知らぬ場所にいた。
壱を連れて来た仔カピバラに付いて行くと、着いた先は食堂で、そこには10年前に行方不明になった祖父、茂造がいた。
茂造は言う。「ここはいわゆる異世界なのじゃ」と。
そして、「この食堂を継いで欲しいんじゃ」と。
明かされる村の成り立ち。そして村人たちの公然の秘め事。
しかし壱は徐々にそれに慣れ親しんで行く。
仔カピバラのサユリのチート魔法に助けられながら、味噌などの和食などを作る壱。
そして一癖も二癖もある食堂の従業員やコンシャリド村の人たちが繰り広げる、騒がしくもスローな日々のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる