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380~383 呪い
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【380.あたしよ】
新しい肉体を自らまさぐり倒している間に夕食の時間となり、魔法使いは居間に向かう。部屋を出た時、ちょうどヒーラーも部屋を出たところだった。
「セヒイラ」
呼ばれて振り向いたヒーラーは目を剥き、後退った。仲間しか居ない筈の場所に見知らぬ女が全裸で立っていればびっくりもする。
「だ、誰!?」
「あたしよ。マホ」
「え!? マホ!?」
ヒーラーは両手で両頬を押し潰すようにする。確かに声は魔法使いのものだ。
「でもその身体!? でもどうして裸!? え!? えっ!? ええっ!?」
「箱庭の交換品でこの身体を手に入れたのよ。どう? イヤらしいでしょ?」
魔法使いはヒーラーに近付いて、ヒーラーの手を取って自らの胸に押し付ける。
「イ、イヤらしい……」
ヒーラーはあまりに動転して、焦点の定まらない目で無意識に魔法使いのおっぱいを揉みしだいた。
【381.呪いが】
されどヒーラーはハッと我に返り、魔法使いから距離を取る。
「ふふふふふ、服を着てください!」
「着れないのよ」
「どどどどど、どうして!?」
「服が着れない呪いが掛かってるの」
「ええええええっ!? そんな呪いがあるものですか!?」
「あるのだから仕方ないじゃない。それに呪いが無くても、あたしの手許に有る服にこの身体は入らないわ」
「ぐ……、た、確かに……」
ヒーラーが見ても魔法使いの肉体は明らかに今までよりボリュームがある。着てもぴっちぴちを通り過ぎるだろう。
「ちょちょちょ、ちょっと待っていてください!」
ヒーラーはあたふた自分の部屋に戻って下着と服を持ち出して、魔法使いに突き付けた。
「わたしのなら入ると思います!」
ヒーラーの服のサイズは魔法使いより大きいのだ。
【382.霧のように】
ヒーラーのあまりなまでの真剣な眼差しに、魔法使いはその顔を立てて言われた通りに下着に脚を通す。悩ましげに身体をくねらせながら両脚に通して引き上げる。
しかし穿いた途端、下着が霧のように解けて消えた。
「ええっ!? そんな筈は! じゃあ、これを着てください!」
差し出したのはスウェット。最近のヒーラーの愛用の部屋着だ。オリエが着ぐるみパジャマを愛用しているのと同じく、着心地優先で、仲間からダサいと言われたりする。
魔法使いは何も言わずに袖を通した。
しかしまたも霧のように解けて消える。
慌てて部屋に取って返したヒーラーはシーツを引っ掴んでまた戻る。
「せめてこれを身体に巻いてください!」
魔法使いはまた何も言わずにシーツを身体に巻き付ける。
しかしこれもまた霧のように解けて消えた。
「何てこと!」
ヒーラーは悲壮な顔をして両手で両頬を押し潰すようにした。
その一方で魔法使いは自らの首を抱くようにして恍惚とした表情を浮かべる。
「ああ……、何て呪いなのかしら……」
【383.解呪】
「か、解呪しましょう!」
呪いとは付与型の攻撃魔法だ。中でも持続的な攻撃をする魔法を指す。
ヒーラーはその呪いを解く解呪魔法を魔法使いに向けて唱える。
そしてまた下着を用意した。
「さあ、穿いてみてください!」
更に扇情的に身体をくねらせながら下着に脚を通す魔法使い。
果たして今度もまた下着は霧のように解けて消えた。
「そんな!」
ヒーラーは項垂れた。力不足を感じた。
しかし真実は違う。呪いなんて掛かってないのだ。魔王が呪いの演出で魔法使いが着たものを毎度分解しているだけだから。無い呪いが解ける筈もないのである。
そんな事情をヒーラーは勿論知らない。
そんなヒーラーに魔法使いは顔を寄せ、ねっとりした口調で言う。
「ね? 解ったでしょう?」
ヒーラーは口をへの字に曲げた。
新しい肉体を自らまさぐり倒している間に夕食の時間となり、魔法使いは居間に向かう。部屋を出た時、ちょうどヒーラーも部屋を出たところだった。
「セヒイラ」
呼ばれて振り向いたヒーラーは目を剥き、後退った。仲間しか居ない筈の場所に見知らぬ女が全裸で立っていればびっくりもする。
「だ、誰!?」
「あたしよ。マホ」
「え!? マホ!?」
ヒーラーは両手で両頬を押し潰すようにする。確かに声は魔法使いのものだ。
「でもその身体!? でもどうして裸!? え!? えっ!? ええっ!?」
「箱庭の交換品でこの身体を手に入れたのよ。どう? イヤらしいでしょ?」
魔法使いはヒーラーに近付いて、ヒーラーの手を取って自らの胸に押し付ける。
「イ、イヤらしい……」
ヒーラーはあまりに動転して、焦点の定まらない目で無意識に魔法使いのおっぱいを揉みしだいた。
【381.呪いが】
されどヒーラーはハッと我に返り、魔法使いから距離を取る。
「ふふふふふ、服を着てください!」
「着れないのよ」
「どどどどど、どうして!?」
「服が着れない呪いが掛かってるの」
「ええええええっ!? そんな呪いがあるものですか!?」
「あるのだから仕方ないじゃない。それに呪いが無くても、あたしの手許に有る服にこの身体は入らないわ」
「ぐ……、た、確かに……」
ヒーラーが見ても魔法使いの肉体は明らかに今までよりボリュームがある。着てもぴっちぴちを通り過ぎるだろう。
「ちょちょちょ、ちょっと待っていてください!」
ヒーラーはあたふた自分の部屋に戻って下着と服を持ち出して、魔法使いに突き付けた。
「わたしのなら入ると思います!」
ヒーラーの服のサイズは魔法使いより大きいのだ。
【382.霧のように】
ヒーラーのあまりなまでの真剣な眼差しに、魔法使いはその顔を立てて言われた通りに下着に脚を通す。悩ましげに身体をくねらせながら両脚に通して引き上げる。
しかし穿いた途端、下着が霧のように解けて消えた。
「ええっ!? そんな筈は! じゃあ、これを着てください!」
差し出したのはスウェット。最近のヒーラーの愛用の部屋着だ。オリエが着ぐるみパジャマを愛用しているのと同じく、着心地優先で、仲間からダサいと言われたりする。
魔法使いは何も言わずに袖を通した。
しかしまたも霧のように解けて消える。
慌てて部屋に取って返したヒーラーはシーツを引っ掴んでまた戻る。
「せめてこれを身体に巻いてください!」
魔法使いはまた何も言わずにシーツを身体に巻き付ける。
しかしこれもまた霧のように解けて消えた。
「何てこと!」
ヒーラーは悲壮な顔をして両手で両頬を押し潰すようにした。
その一方で魔法使いは自らの首を抱くようにして恍惚とした表情を浮かべる。
「ああ……、何て呪いなのかしら……」
【383.解呪】
「か、解呪しましょう!」
呪いとは付与型の攻撃魔法だ。中でも持続的な攻撃をする魔法を指す。
ヒーラーはその呪いを解く解呪魔法を魔法使いに向けて唱える。
そしてまた下着を用意した。
「さあ、穿いてみてください!」
更に扇情的に身体をくねらせながら下着に脚を通す魔法使い。
果たして今度もまた下着は霧のように解けて消えた。
「そんな!」
ヒーラーは項垂れた。力不足を感じた。
しかし真実は違う。呪いなんて掛かってないのだ。魔王が呪いの演出で魔法使いが着たものを毎度分解しているだけだから。無い呪いが解ける筈もないのである。
そんな事情をヒーラーは勿論知らない。
そんなヒーラーに魔法使いは顔を寄せ、ねっとりした口調で言う。
「ね? 解ったでしょう?」
ヒーラーは口をへの字に曲げた。
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