魔☆かるちゃ～魔王はこたつで茶をすする～

８１８．システムメッセージ

　第三階層の分譲農地でゴーレムキャベツの収穫時期を迎えた。
　その男は生まれたゴーレムを見た途端に恋をした。
　顔を赤らめ、頭を掻いたり手をモジモジと揉んで肩を竦めたりと忙しない。

「あ、あの、君の名前は？」

　ゴーレムは何も答えない。名前など無いのだ。

「名前……、あっ！　無いんだっけ？」

　再度尋ねようとして男は気付いた。そして名前を考える。

「サリア……、そうだ、君は今日からサリアだ」

　だがゴーレムは何も答えない。

「サリア？」

　男は何も反応しないゴーレムを訝しげに見た。
　この時ダンジョン最奥で男の様子を観察していた魔王は呟いた。

　システムメッセージが必要だったか。

　オリエや剣士らと違って第３階層では魔王の説明も受けられないのだ。代わりの手段が必要だ。
　魔王は急遽ゴーレムにその機能を盛り込んだ。

「個体名サリア、登録完了シマシタ」

　酷く平坦な声でゴーレムは言った。