魔☆かるちゃ～魔王はこたつで茶をすする～

１２２９．早く

　女将は「裸のお付き合い」と言ってしまった後で気が付いた。
　温泉でなら健全なニュアンスになるが、客室なら情事を思わせる。
　自ら「裸のお付き合い」と言った手前、オリエに情事を迫られれば断れない。
　だからオリエの笑顔が不気味に映る。
　無論そんな未来は妄想だ。
　オリエは美味しそうに料理を頬張り、興味深そうに料理の説明に耳を傾ける。
　むしろ女将の方こそオリエに迫られるのを待ち構えるあまり、胸が高鳴り身体のあちこちが敏感に反応し始める有り様だ。

「ああ、早く……」
「あ、ごめん。食べるの遅かった？」
「い!?　いいえいいえ、申し訳ございません。少し考え事を……。ごゆっくりお召し上がりください」

　女将は口から漏れた内心をオリエに聞き咎められて慌てて頭を下げる。
　その胸の先端は痛いほどに膨らんでいた。