魔☆かるちゃ～魔王はこたつで茶をすする～

１４３５．なるように

　斯くも最奥の住人は第３階層に暮らす一般人から見れば特別な存在となっていた。

「ねぇ、これってヤバくない？」

　モトバと魔法使いの様子を魔王と一緒にテレビで観ていたオリエは言った。
　オリエの経験則では画面に映る住民達は暴走直前だ。
　あんな正気を疑う目付きをした者からは襲われた記憶しか無い。
　無論オリエ自身は全て擦り抜けて事無きを得ているので精神的苦痛以外の被害は無い。
　ただそれも徐々に増えたことで慣れる猶予があったからではないかと考えている。
　しかしモトバや魔法使いはいきなり群衆に囲まれようとしている。
　同じように回避できるかは疑問だ。
　ところが魔王はやきもきするオリエにとぼけた口調で言う。

「なるようになるだろう。ほら、あれ」

　画面の向こう、モトバと魔法使いはむしろ群衆を挑発するような仕草をし、程近くに居た若い男に歩み寄る。

「ねぇ、あなた。最近わたくし達を巡って喧嘩が起きてるそうではありませんか。それについて何か事情をご存じ？」

　だが目が血走っている男の耳には質問が届いてなかった。