魔☆かるちゃ～魔王はこたつで茶をすする～

１８０３．憶えてない

　探索者達は身振り手振りも交えて一生懸命呼び掛けるが、２人が理解する様子が見られない。

「もしかして全くこっちの言葉を憶えてないのか？」
「まさかそんなのがあり得るのか？」

　比加礼太と真夜維人がベースの町で活動し始めて数ヶ月は経っている。
　これで言葉が全く判らないと言うのもおかしな話だ。
　だが思い当たるものが無い訳でもない。
　探索者達は比加礼太達に呼び止めた詫びを言って別れ、話し合う。

「そう言や、やつら冒険者ギルドの受付嬢とは話してたよな？」
「言われてみれば……。なら受付嬢は異世界の言葉を話せるってことか？」
「だよな。だったら受付嬢に言葉を教えて貰ったらいいんじゃないか？」
「……試してみよう」

　探索者達は冒険者ギルドに行って受付嬢に訴えた。

「なあ、異世界の言葉が話せるなら俺らに教えてくれないか？」

　受付嬢は答えなかった。