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タイザイ2
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(ところでアイテムボックスってどう言う仕組み?)
(時間を止めた別の仮想世界に繋げてるんだ)
(時間が止まってたら出し入れできなくない?)
(出し入れする瞬間だけ時間を動かすことで解決さ)
(じゃあ、微妙にだけど時間は進むのね?)
(残念ながら熱々の料理も熱々のままじゃいられないね……)
(逆に時間を進めたりはできないの?)
(全部進めるのはまずいでしょ?)
(それはそうね)
(一部だけ、例えばアイテムボックスの枠毎に時間の進み具合を変えられるようにすると、枠の数だけ仮想世界が必要になっちゃう)
(コストが莫大になるわね……)
(だから時間を止めてるもの一つだけにしたんだ)
「ナーシュさん、この依頼を請けては戴けませんか?」
ナーシュが冒険者ギルドに顔を出すと、受付嬢に依頼票を差し出された。
「とあるダンジョンに出掛けた冒険者が誰も帰って来ないのです。その原因を調べるのがこの依頼です」
「ふーん」
ナーシュは気のない相槌を返したが、取り留めてする事も無かった。
「いいよ。請ける」
「ありがとうございます」
ナーシュは手続きをしてフロインと共にダンジョンに向かう。
そしてダンジョン。チラホラと見掛ける魔物を倒しつつ奥に進む。
「冒険者が帰らぬ理由が判らぬのじゃ」
「だよなぁ」
罠も無く、農夫が鍬を振るうだけでも倒せそうな魔物しか出て来ないのだ。
疑問に思いながらも奥へ奥へと進むと、行き止まりになった場所に扉が在った。
慎重に扉を開け、中に入る。
「いらっしゃいませ~」
明るい声が響いた。しかし一方で異変が。
「入り口が消えたのじゃ!」
「何だって!?」
「入り口は入口専用となっております~」
二人の疑問に答えるようにまた明るい声が響いた。
「何だと!? ここから出せ!」
ナーシュは冒険者が帰らない原因はこれかと直感した。しかし。
「ふっふっふ。我はこのダンジョンの主にして七つのタイザイが一つ、マンガキッサだ。ここを出たくば、料金を支払って漫画を読むのだ。時間内なら何冊読んでも同じ料金だ」
「な、何と悪辣な……、いや、リーズナブルなのか?」
よく判らなくなるナーシュである。
「仕方がないのじゃ。依頼の達成のためにもダンジョンの主の言う通りにするのじゃ」
「そうだな……」
ナーシュは受付のゴーレムに料金を支払い、案内に従ってフロインと共に個室に入り、そこからまた書庫へと向かう。
「こ、これは……」
書庫は10万冊を優に超える蔵書を誇っていた。
そしてナーシュとフロインは漫画を適当に見繕って個室に戻った。
それからどのくらいの時間が過ぎただろうか。
「くっ、腹が減ったのじゃ。何か注文するのじゃ」
「そうだな」
漫画を読みながら何食目になるか判らない食事を注文するナーシュの姿がそこには在った。
(漫画って……)
(素晴らしいダンジョンだよね)
(……)
(時間を止めた別の仮想世界に繋げてるんだ)
(時間が止まってたら出し入れできなくない?)
(出し入れする瞬間だけ時間を動かすことで解決さ)
(じゃあ、微妙にだけど時間は進むのね?)
(残念ながら熱々の料理も熱々のままじゃいられないね……)
(逆に時間を進めたりはできないの?)
(全部進めるのはまずいでしょ?)
(それはそうね)
(一部だけ、例えばアイテムボックスの枠毎に時間の進み具合を変えられるようにすると、枠の数だけ仮想世界が必要になっちゃう)
(コストが莫大になるわね……)
(だから時間を止めてるもの一つだけにしたんだ)
「ナーシュさん、この依頼を請けては戴けませんか?」
ナーシュが冒険者ギルドに顔を出すと、受付嬢に依頼票を差し出された。
「とあるダンジョンに出掛けた冒険者が誰も帰って来ないのです。その原因を調べるのがこの依頼です」
「ふーん」
ナーシュは気のない相槌を返したが、取り留めてする事も無かった。
「いいよ。請ける」
「ありがとうございます」
ナーシュは手続きをしてフロインと共にダンジョンに向かう。
そしてダンジョン。チラホラと見掛ける魔物を倒しつつ奥に進む。
「冒険者が帰らぬ理由が判らぬのじゃ」
「だよなぁ」
罠も無く、農夫が鍬を振るうだけでも倒せそうな魔物しか出て来ないのだ。
疑問に思いながらも奥へ奥へと進むと、行き止まりになった場所に扉が在った。
慎重に扉を開け、中に入る。
「いらっしゃいませ~」
明るい声が響いた。しかし一方で異変が。
「入り口が消えたのじゃ!」
「何だって!?」
「入り口は入口専用となっております~」
二人の疑問に答えるようにまた明るい声が響いた。
「何だと!? ここから出せ!」
ナーシュは冒険者が帰らない原因はこれかと直感した。しかし。
「ふっふっふ。我はこのダンジョンの主にして七つのタイザイが一つ、マンガキッサだ。ここを出たくば、料金を支払って漫画を読むのだ。時間内なら何冊読んでも同じ料金だ」
「な、何と悪辣な……、いや、リーズナブルなのか?」
よく判らなくなるナーシュである。
「仕方がないのじゃ。依頼の達成のためにもダンジョンの主の言う通りにするのじゃ」
「そうだな……」
ナーシュは受付のゴーレムに料金を支払い、案内に従ってフロインと共に個室に入り、そこからまた書庫へと向かう。
「こ、これは……」
書庫は10万冊を優に超える蔵書を誇っていた。
そしてナーシュとフロインは漫画を適当に見繕って個室に戻った。
それからどのくらいの時間が過ぎただろうか。
「くっ、腹が減ったのじゃ。何か注文するのじゃ」
「そうだな」
漫画を読みながら何食目になるか判らない食事を注文するナーシュの姿がそこには在った。
(漫画って……)
(素晴らしいダンジョンだよね)
(……)
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