転生したらチートでした

ユナネコ

文字の大きさ
35 / 75
シャクラマ学園・冒険者編

肩こった

しおりを挟む
 

「凄い!こんなに速く走れるなんて!」
 【身体強化】をかけるだけでこんなに速くなれるなんて!
  
「ガァァァッ!」
 低い鳴き声。
 とても威圧感のある鳴き声が響いた。

 辺りを見回すと、その声の持ち主はすぐそこにいた。
 狼のような姿。
 しかし、狼の二、三倍はあるような巨体。
 その瞳は飢えに満ちていて、鋭い牙の生えた大きな口はまるで私を喰らおうとしているようだった。
 私は急いで後ろに飛び退く。
 ――ズドォォォン!
 私がついさっきまでいた場所は、大きなクレーターができていた。

 やばい。やばいやばいやばいやばい!!!

 威力が異常だ。
 こいつがきっと精霊の天敵、サーチスなんだろう。

「グ、ガァァァ!」
 また、サーチスが大きな口を開けて私に飛びかかった。
 私は横に跳ぶ。
 またクレーターが出来上がる。
「威力は強いけど、攻撃は単純。」
 私はそう呟いてサーチスの攻撃を避け続ける。
 だが、サーチスが攻撃するたびにクレーターができ、足場が崩れる。
「【氷龍】!」
 私は手のひらをサーチスの方につきだす。
 私が唱えると、手のひらに魔方陣が現れて、そこから氷で造られた龍が勢いよくサーチスに向かって飛んでいく。 
 ――ザシュッ

 氷龍がサーチスの体を半分に切り裂いた。
 恐らく、尾や爪などで切り裂いたのだろう。
 血が私の頬に飛び散る・・・・と思っていたのだが、氷龍の攻撃で同時に切り口が氷で固まったらしく、ゴトン、と音を立てて崩れ落ちた。
 
「ふぅ....。」
 疲れた。
 こんなに体を動かしたのはいつぶりだろうか。
 身体中が軋むように痛い。
「さて、これどうしようかな。」
 私はそう呟いてサーチスの死体に近寄った。
 血の匂いは全くしない。
 氷で固めたせいだろうか?
 
「あ!リア!い、た・・・・。」
 お兄ちゃんが木の後ろから出てきた。
 そして、サーチスの死体に視線を移すと顔を強ばらせて固まった。
「あ、これ?サーチスだよ。出くわしたから倒したんだ。」
 私は笑顔でお兄ちゃんに言った。

 結構簡単だったよ、とは言えなかった。

「【収納】」
 私がサーチスの死体に手のひらを向けると、ブラックホールのような小さい穴が空間に現れた。
 その穴にサーチスの死体は静かに吸い込まれていった。
「待たせてるだろうし、戻ろうよ。」
 お兄ちゃんは唖然としながらもゆっくりと元来た方へと足を踏み出した。
 私もそれに続く。


 肩こった。
 誰か揉んでくれないかな。


私は頭の中でそんなことを考えていたりもした。
しおりを挟む
感想 67

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

悪役令嬢の父は売られた喧嘩は徹底的に買うことにした

まるまる⭐️
ファンタジー
【第5回ファンタジーカップにおきまして痛快大逆転賞を頂戴いたしました。応援頂き、本当にありがとうございました】「アルテミス! 其方の様な性根の腐った女はこの私に相応しくない!! よって其方との婚約は、今、この場を持って破棄する!!」 王立学園の卒業生達を祝うための祝賀パーティー。娘の晴れ姿を1目見ようと久しぶりに王都に赴いたワシは、公衆の面前で王太子に婚約破棄される愛する娘の姿を見て愕然とした。 大事な娘を守ろうと飛び出したワシは、王太子と対峙するうちに、この婚約破棄の裏に隠れた黒幕の存在に気が付く。 おのれ。ワシの可愛いアルテミスちゃんの今までの血の滲む様な努力を台無しにしおって……。 ワシの怒りに火がついた。 ところが反撃しようとその黒幕を探るうち、その奥には陰謀と更なる黒幕の存在が……。 乗り掛かった船。ここでやめては男が廃る。売られた喧嘩は徹底的に買おうではないか!! ※※ ファンタジーカップ、折角のお祭りです。遅ればせながら参加してみます。

乙女ゲームの悪役令嬢、ですか

碧井 汐桜香
ファンタジー
王子様って、本当に平民のヒロインに惚れるのだろうか?

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

処理中です...