神は絶対に手放さない

wannai

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神と貴方と巡る綾

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「う、ぁ……っ」
「誰とヤッてっか忘れてねぇか?」

 奥まで届くと、それだけで前から精を吐いた。びゅる、と押し出されるみたいに先端から溢れたそれが志摩宮のズボンを汚す。

「あ……、ご、め」

 志摩宮に縋り付く格好で後ろから徹さんに犯されて、律動に合わせて志摩宮の鎖骨あたりにぐ、ぐ、と額をぶつける。骨に当たるのは痛いだろうと顔を背けようとすると、志摩宮に顎を包まれて持ち上げられて唇を吸われた。

「ん、ふ、んん、む」

 ゆっくり唇を舐めてから入ってきた舌が、根本の方まで伸びてきて全てを舐めていく。舌の裏も上顎も、歯肉まで丁寧に舐めてまた舌を絡めて唾液を吸われる。じゅる、じゅる、とわざと隙間を開けた唇から音を聞かされて、ゾクゾクしたものが背筋を駆けて窄まりを締めた。
 その動きに苛立ったみたいに徹さんに荒っぽく奥を突かれて、呻きながらもっとと強請った。ぎゅうぎゅうに締め付けるとパンッと高い音を立てて尻を叩かれて、奥に挿入れたまま腰を掴んで揺すぶられた。

「あ、あああ、やぁ、それ、俺、それ、だめだって、知って」
「知ってっからやってんだろ」
「あぁあ、やぁっ……あー……っ、……やぁ、あぁぁ」

 奥の一番気持ちいいところに押し当てられたまま、徹さんの肉の形を覚え込ませるみたいな動きは、俺の頭をおかしくさせるには十分だ。馬鹿みたいに高い声を上げて泣き喚いて、それでも逃してもらえず一番深いところでイった。
 魚みたいに跳ねる俺の身体を押さえ付けて、徹さんが腰を押し付けたまま俺の中に出す。腹の中に温かいものが広がる感覚に、それだけでまた軽く肉の先から漏らした。
 でも、終わりじゃない。これだけで終わりだったら、俺はこんな淫乱にされたりしていない。
 後ろから背中に抱き付いてきた徹さんが俺の胸をまさぐってTシャツを持ち上げると、裾を俺の口に噛ませて今度は胸の突起を弄ってきた。爪の先で弾いてから、指の腹に撫で回されて力の入った窄まりの中で、徹さんの肉が大きさを取り戻していく。

「ん……ん、む……」

 くりくり、くりくり、と指先に突起を遊ばれて胸を揺らすと、正面から見つめてきていた志摩宮が不意に呟いた。

「……俺もしたい」

 何を? と視線を上げて、胸のことなら好きに弄れ、と上半身を反らして見せたのだけれど、志摩宮はゆっくりと首を横に振った。

「そこじゃなくて。俺も、静汰とセックスしたいなって」
「……お前、別に出来なくても満足してるって言ってなかった?」
「挿入れるのはそこまで好きでも無いんですけど、目の前で気持ち良さそうにしてたら羨ましくもなりますよ」

 俺だったらもっと奥まで挿入れられますし、と俺から背後の徹さんへ視線を移した志摩宮が、挑戦的に睨むのを感じて首を傾げた。
 ああ、俺に挿入れたいってより、『セックスしててズルい』っていう対抗心かな。確かに、志摩宮の方がデカいから徹さんよりずっと奥まで届く。そりゃもう怖いくらい奥まで入ってくるから、ヤッてた頃は毎回ぶっ壊されるんじゃないかと気が気じゃなかった。それでも気持ち良くなっちゃってたんだから、まあ、俺は根っから犯されるのが好きなんだと思う。否定する気も起きない。

「なぁ、徹さん。ものは相談なんだけど」
「駄目だ」

 少し考えてから徹さんに話し掛けたけれど、即座に却下された。まだ何も言ってないのに。

「いや、後ろの処女は徹さんにあげたじゃん? だから、童貞は志摩宮にあげてもいい? って聞こうと思ったんだけど」
「……は?」
「童貞?」

 前後で俺を挟む二人がビタリと動きを止めて、数秒誰も何も言わなかった。見物しているらしい蛍吾たちも無言で、誰のものだか分からない呼吸の音だけが複数聞こえる。
 先に沈黙を破ったのは志摩宮だった。「ハァ!?」と素っ頓狂な大声をあげて、俺の両肩を掴んでブンブン勢いよく首を振る。

「どっ……、は!? あんたが俺を抱こうってんですか!?」
「だって後ろ入れんのは却下されんだもん。だったらお前が入れられる方になればいいじゃん」
「いやいやいや、無いです、無いですって。は? なんでそんな発想になるんです? っていうか、俺に挿入れたいんですか?」
「別に無理じゃないだろ。勃ってんだから」
「うっわ、ダメだ静汰の価値観マジで全然分かんない。染井川、あんたからも何か言って下さい」
「……い、いいんじゃね……」
「笑い堪えてんじゃねぇよ!」

 あー、やっぱこの二人仲良い。言い合う二人の声を聞きながら自分で肉茎を擦って、指に出した精液を纏わせて志摩宮の股間をつついた。

「志摩宮、ズボン脱いで」
「……っ」

 指乾いちゃうから早く、と志摩宮を見つめると、彼は目を見開いて口をパクパク開閉させて、それでも言葉が出てこないみたいに助けを求めて俺の後ろへ視線を移す。が、背後の徹さんは俺に挿入れたまま萎えそうになる肉を腰を揺らして勃起させて、含み笑いで。

「せいぜい優しくしてもらえや」
「……あんたら、ほんとにおかしい……」

 ぶつぶつ言いつつも、俺に視線を戻した志摩宮はぐっと唇を噛んでからもぞもぞとズボンを脱ぎ出した。
 志摩宮が素直に従うのを見て、蛍吾が「マジかよ……」と呟くのが聞こえる。

「あ、そっか。蛍吾、志摩宮も処女だから、参考にする?」
「バッ……」

 ふざけんな、と珍しく志摩宮が本気でキレて俺の腹を蹴った。うぐ、と呻いて腹を摩る。さすがに今のは言い過ぎたか。

「最初から指入れたら痛ぇだろうから、まず舐めてやれ。俺もしてやっただろ?」

 後ろから俺に覆い被さっていた徹さんが、耳元で愉しげに囁く。ぞわぞわして肩を竦めた俺の前で、志摩宮が胡乱げな目つきで四つん這いになってこちらに尻を向けてきた。
 煤竹色の身体は、俺より少し細身で骨張っている。脂肪の少ない太腿に触れると、ハリのある肌の下に硬い筋肉の感触があった。

「志摩宮、割と鍛えてる?」
「誰かさんは目を離すとすぐどっか行くんで、追い掛けるだけでも体力つくんですよ」
「そりゃご苦労さん」

 志摩宮とも何度もエッチした筈だけれど、そういえばこうして彼の後孔をじっくり見るのは初めてだ。いや、普通はじっくり見るところでもないだろうから当たり前だろうけど。
 皺が寄って窄まった志摩宮のソコは想像通りの形で、驚かれるような形に変形してしまっている自分の場所が少し不安になる。一年とはいかなくても、少し回数を減らしてみるべきだろうか。今まさに後ろに挿入したまま考えることではないかもしれないけれど。
 いきなりそこを舐めるのも情緒が無いかと、そっと太腿にキスすると、ビク、と大きく志摩宮の体が跳ねた。

「志摩宮、えっと……怖い?」
「これからケツに突っ込まれるって時に、なんも抵抗無い方がおかしいです」

 尻を撫でると、憮然とした声音が返ってきて、怖いわけじゃないんだな、と苦笑した。
 ちゅ、ちゅ、と何度か尻たぶにキスをしてから、太腿を撫でながら窄まりをぺろりと舐めた。皺に唾液を染み込ませるみたいに少しずつ舌先でつついて緩ませていく。表面を舐めていると舌の先で窄まりがゆっくり開閉するのが感じられて、開いたタイミングで舌を入れて中に唾液を送り込んだ。
 志摩宮は声をあげず、しかし撫でる太腿は僅かに震えている。それがどんな感情によるものなのか、出来れば痛みや恐怖では無いといいな、と思いながら根気よくそこを舐め続ける。

「ケツ穴舐めて興奮してんじゃねぇよ」
「んっ」

 緩める行為に夢中になっていたら、俺の中に挿入れっぱなしだった徹さんが俺の前の肉を指で弾いた。先走りを垂らす鈴口に指先を捻じ込まれて、痛みに呻きながらも後ろに力を入れてしまって軽くイきそうになった。寸前で根本を握った徹さんが、「もうそろそろいいだろ」と焦れたみたいに首の後ろを噛んでくる。

「指入れて広げて、さっさと挿入れろ。動きてぇ」
「待てって、ちゃんと緩めないと志摩宮が痛い」
「……もう、大丈夫です。恥ずかしくて死にそうなんで」

 急かす徹さんを叱りつけたけれど、志摩宮がそう言うので渋々尻から顔を離した。
 自分の腕に顔を押し付けて尻だけ高く上げた格好の志摩宮を後ろから見下ろすと、なんだか胸の奥がざわざわした。
 身体を起こすと背後の徹さんがぴたりと身を寄せてきて、俺の手を掴んで舐めると勝手に志摩宮の中へ埋めていく。

「……っ」

 志摩宮が身を硬くして、それに呼応するように窄まりが入ってきた指をきゅうっと締め付けてきた。途端、ゾクゾクゾク、と背筋を走ったものが、俺を微笑ませる。

「志摩宮、かわいい」

 すごく可愛い。
 ぐぐぐ、と指を捻じ込むと、志摩宮が小さく「痛……」と言ったみたいだけれど、上から涎を垂らしてぐちぐちと指を抜き挿しした。窄まりの中は柔らかくて、俺の指の入り口にされたところだけがキツく締め付けている。奥の方は抵抗なくぬるついて温かく、ここに挿入れたらきっとすごく気持ちいい。

「ごめん志摩宮、俺、もう挿入れたい」
「は……、あの」

 指を抜いて腰を両手で掴むと、戸惑ったような声で志摩宮がこちらを振り向こうとしてきた。安心させるように優しく腰を撫でて、窄まりの上に俺の勃起した肉茎を充てがった。

「ゆっくりするから」

 先端を押し付けると、俺の唾液で十分潤ったソコはゆっくりと開いて徐々に俺を飲み込んでいく。ゆっくりと、ゆっくりと、真っ赤に腫れた俺の肉が志摩宮の中に埋まっていく。キツく締まったそこが呼吸に合わせて緩んだり締まったりするのがたまらない。
 ああ、俺、志摩宮にチンポ突っ込んでる。
 ゾクゾクしたものの正体はコレだろうか。下にされて挿入れられるがまま犯されてきた俺が、志摩宮にそれを強いている。それが気持ちいいんだろうか。
 慣れない感覚の正体が掴みたくて根本まで入れるまでかなり時間が掛かった。

「痛くない?」
「ない……です……」

 荒い呼吸の合間に答えてくれた志摩宮の声はか細く、不安になって彼の前の陰茎に触れて確かめてみようと前屈みになったら、勢いよく後ろから突かれた。

「う、ぁっ」
「もういいだろ」
「ひ……ッ」

 志摩宮の中へ根本まで入れたまま、後ろから徹さんが後ろから激しく抽挿してきて一気に上り詰めた。びゅ、と出たはずの俺の精液が、志摩宮の中を濡らす。出した途端に志摩宮がぎゅっと締め付けてきて、それでまた勃起してしまった。

「あ……、やめ、徹さ」
「どうせお前の腰振りなんざ、そいつは期待しちゃいねぇよ。大人しくイきまくってたっぷり中出ししてやれ」

 耳元で低い声にボソボソ呟かれて、それにすら感じてしまう。
 後ろから犯される勢いで志摩宮の中を抉って、脳みそが蕩けていきそうだ。後ろも前も、どっちも気持ちいい。腰を振っているのか、振らされているのかすら分からない。イく度に志摩宮の中に吐精して、回数を増す毎に中がぐずぐずと濡れてさらに気持ち良くなっていく。

「はー……っ、あー……っ……」

 何度出したか分からない。目の前に霞が掛かって、それでもまだ俺の中の精が尽きない。
 にゅる、と俺の後ろから抜けていった感覚がして、背中から徹さんの体温が離れていく。それが寂しくて後ろを振り返ろうとすると、俺の肩に手を置いた徹さんが大きく溜め息を吐いた。

「……?」
「不思議そうにしてんじゃねぇよ、本っ当に底無しだなテメエは」

 目の前ちゃんと見ろ、と言われてやっと、視界が戻ってきたような気分になった。
 ふと見下ろした先、俺の陰茎を咥え込んだままの志摩宮の窄まりからは中に溜め込めなくなった白濁が溢れ出していた。

「え……、えっ? うわ、ご、ごめんっ」

 ぐったりしている志摩宮から慌てて抜くとごぽ、と音がして更に溢れ出した。えっろ、と反応してしまった股間を見て、徹さんが「お前いい加減にしろよ」と呆れた声を出す。
 大丈夫か、とゆっくり志摩宮の身体を横たえて顔色を窺うと、彼は視界の定まっていない目でニコリと笑った。

「……最高です……」
「へ? ……えっと、志摩宮も後ろ好きだった感じ?」
「いえ、それは全然」

 俺のでも気持ち良くなってくれたのか、と思ったら、即座に否定されてしまった。首を傾げる俺に、志摩宮は自分の腹を撫でてまたふわふわと緩んだ笑みを浮かべる。

「腹ん中、静汰の出したやつでいっぱいで……。気持ちいいかって聞かれたらそれほどって感じですけど、俺の中で静汰がイきまくるの、めちゃくちゃ良かったです」

 今度またして下さいね、と目元を赤く染めた志摩宮に言われて、苦笑しつつ頷いた。そっか、気持ち良かったのは俺だけか。でもまぁ、満足しているみたいだからいいとしよう。
 さすがに連続で何回もし過ぎて目眩がした。へたり込んだ畳に目をやると三人分の精液で酷い有様で、膝も擦り切れて血が滲んでいた。気が付かないくらい没頭していたのか、と今更痛み出す。
 蛍吾と洲月さんはどうしているだろう、と思い出したように彼らの居た方に目をやるが、いつのまにか居なくなっていた。俺の目線の動きで何を言いたいか悟った徹さんが、無言で閉まった襖を指差した。……どうやら、彼らは人前で始められるほど豪胆では無かったようだ。耳を澄まさなくとも、隣の部屋からも荒い息遣いと畳の軋む音が聞こえてきた。

「さて……、じゃあ、どうにかして片付けないとな」

 畳は後で交換代金を払おう、と諦めて、とりあえず身支度を整える術を考えようと胡座をかいた俺の隣で、徹さんが志摩宮の腹を撫でたので眉間に皺が寄った。

「おい、小児性愛の変態」
「違ぇ」
「志摩宮にまで手ぇ出す気かよ」
「だから違うっつってんだろ」

 だったらその手は何だ、と俺が睨むのに、触られている当の志摩宮は嫌がりもせず──むしろ、勝ち誇ったように徹さんに向かって笑みを見せていた。

「……?」

 どういう状況なんだろう。
 不審がる俺に、徹さんはしばらくじっと黙って志摩宮の腹を凝視してから、顔を上げて口を開いた。

「お前、俺は抱けるか」
「は?」
「どっちだ」

 徹さんを抱く?
 思いきり首を捻って、言葉の意味を理解するまで数秒掛かってしまった。

「え……、徹さんに挿入れるってこと?」

 冗談だろ、と顔を引き攣らせると、徹さんが目線を落として「まぁ、だよな」と呟いた。
 途端、またあのゾクゾクした感覚が走る。これ、なんだろう。
 車に積んでるタオル取ってくる、と立ち上がろうとした徹さんの手首を咄嗟に掴んで、でも何と言ったらいいか言葉が出てこず迷った。

「馬鹿、本気にするんじゃねぇ。冗談だ」

 俺の手の甲を撫でた徹さんが指を剥がそうとしてきて、目を伏せたまま笑う顔にぎゅっと強く握り込んで彼を見つめた。

「出来るよ。する?」
「……」

 ゆるゆると上がって見返してきた双眸が、不安そうに揺れる。しかし、すぐに逸らされて、また首を横に振った。

「冗談だっつぅの」

 嘘だ。それくらい分かる。
 スン、と部屋の匂いを嗅ぐと香の匂いがだいぶ薄れてきたのを感じた。火元はヤモリさんを眠らせた時に徹さんが消したのだろう。

「徹さん。俺、徹さんのことも可愛いと思ってるよ?」

 まあ、頻度としては極低だけど。志摩宮の素直な可愛さとは別のベクトルで、可愛い、と感じることはある。
 今もそうだ。不安そうにする表情はゾクゾクする。……あ、そうか、これ、徹さんを可愛いって感じる時と同じ感覚だ。ずっとずっと上の方で見下ろしてくる徹さんが、俺の手の中に落ちてくるような──俺に乱されるのを望んでいると気付いた時の、恍惚感。
 顔を寄せて、キスをする。志摩宮の後孔を緩めた舌を徹さんは抵抗することなく受け入れて、俺が彼を畳に引き倒しても黙ったままだった。
 皺だらけになってしまったスラックスと下着を脚から抜いて脱がせて、足を持ち上げて開かせようとすると初めて身体に力が入って制止の声が掛かる。

「こ、この体勢はねぇだろ」
「なんで?」
「……萎えられたら、さすがの俺でも傷付くんだよ。せめて後ろからにしろ」

 そうすりゃ萎えても見えねぇから誤魔化せんだろ、と股間を足の裏で擦られて、小さく喘ぐ。馬鹿だな、そんな心配要らないのに。
 俺の下で畳に転がる徹さんは、俺より身長がでかくて、体格が良くて、そしてどこを触っても硬い。脚にも腹にも毛が生えているし、チラッとみた感じ狭間の方にも生えている。けど、だからなんだ。徹さんの身体に興奮するなって方が無理だ。

「徹さんのココも、舐めてあげようか?」

 無理やり両脚を開かせてその間に腰を捻じ込んで、窄まりを指で撫でた。表面を撫でただけで、ソコがしっかり硬く閉じているのが分かる。
 これ、無理やり挿入れたら泣くかなぁ。
 痛い痛い、と俺に縋りついて泣く徹さんを想像して、ふふ、と笑みが浮かぶ。どうやら俺はSっ気もあったみたいだ。あれ、これ徹さんの趣味が伝染ったな、たぶん。
 徹さんから見えるように狭間に涎を垂らすと、ビク、と一度身震いしてから怖々と俺を見つめている。

「……萎えられんのが怖いなら、さっさと挿入れれば良いんスよ」

 横になって休んでいた志摩宮がむく、と起き上がったと思ったら、俺の後ろに寄り添ってきた。両手で徹さんの膝裏を持って大きく開かせて、後ろから腰で俺の尻を押してくる。

「なっ、テメエ志摩宮、何を」
「静汰、あれ使って下さい。あの、怪我治すやつ」
「え? 怪我……治癒の紋?」
「それ。使い続けてて下さいね」

 どういう意味だろう、と戸惑いながらも素直に従って治癒の紋を描いたら、片手で俺の肉茎を掴んで徹さんの窄まりに当てて後ろから無理やり押してきた。

「イッ……!」
「ちょ、志摩宮!」

 眼下で早速徹さんの窄まりが切れて、ぷつ、と小さく赤い血が点のように交わった部分に滲むのを見て慌てて紋を飛ばす。
 おかげですぐに治ったようだけれど、徹さんの顔は苦悶の表情で歪み、額に汗が滲んでいる。

「おい!」
「ちょっと待って下さい。俺はちゃんとゴム付けたい派なんで」

 やめさせようと振り返った先で、志摩宮がどこから出したのか自分の勃起した陰茎にスキンを被せていた。

「いやお前、後ろには挿入れないって」
「はい。静汰には挿入れません。けど、ちょっとこう、俺はまだイけてないんで……お借りしますね」

 よいしょ、と言うが早いか、志摩宮が俺の肉の下に寄せて、後ろから徹さんの中に入ってきた。

「う……!」

 メリメリ、という音が聞こえたような気さえする。おそらくは初物だろう徹さんの後孔に、俺のと志摩宮の、二本の陰茎が捻じ込まれている。治癒の紋を使い続けているおかげでなんとか切れずに済んでいるだけで、痛みは相当なものだろう。徹さんの目には涙が浮かび、ハッハッと荒い呼吸で俺と志摩宮を睨む余裕も無く身体を緩める事に精一杯のようだ。
 それを見下ろして、また背筋に甘い痺れが抜ける。
 ぐぐ、と血が通って大きくなった肉に、徹さんが咎めるように涙目で俺を見上げてくると堪らず生唾を飲んだ。

「し……、志摩宮、お前、天才」
「はい?」
「うわ、うわ。徹さん、超可愛い。ねぇ徹さん、初めてで二本挿入れられて、どんな気分? すごい痛い? 痛いよね? だけど切れてもすぐ治っちゃうから、このまま犯されちゃうんだよ。このまま俺と志摩宮で徹さんの中掻き回して、いっぱい中出しするよ。嬉しい?」

 ぐぐぐぐ、と無理やり根本まで押し入れると、徹さんの目尻から涙がぼろりと溢れた。それを唇で吸って、頬に口付けて徹さんを嘲笑(わら)った。
 徹さんはキツく瞼を閉じて押し黙って、何も返事してくれない。けれど、その股間はしっかりと勃起している。

「徹さん、好きだよ」
「……っ」

 腰を押し付けるのに合わせて言うと、徹さんの窄まりが締まる。無意識かな。あー、徹さんも志摩宮も、俺を抱いてる時こんな気分だったのかな。すごい可愛い。全部可愛く見える。俺の下で無抵抗に暴かれて、息するだけになってる。最高。

「う……、ぁ」

 俺の後ろから挿入れてる志摩宮が物足りないみたいに強めに腰をぶち当ててきて、勢いで更に奥を抉られた徹さんが小さく呻いたのを、俺は聞き逃さなかった。

「ちょっと、徹さん。今、志摩宮ので感じたの?」
「……」
「ダメだろそれは。それは浮気じゃん。ダメだよ、俺ので気持ち良くなってくれなきゃ」

 志摩宮ので悦くなるなんて許さない、と乱暴に腰を揺らすと徹さんは自分の腕で顔を覆ってイヤイヤするみたいに首を振った。

「なに? 俺のじゃ無理だってこと?」
「ち、が……っ」
「じゃあ俺のでイッて。志摩宮のチンポに犯されてイッたらもう徹さんとエッチしないからな」
「ふざけ、待っ……、静、汰……」

 徹さんの声に甘いものが混じっていて、それを聞いて俺のどころか志摩宮のまで大きくなっている。裏筋に当たる志摩宮の肉が硬さを増して、一層キツくなる。ああこれ、俺のより歪みそうだな、徹さんの。繋がった部分を見下ろしながら口元がニヤついて止まらない。
 ぐちゃぐちゃと乱暴に動いても、徹さんはむしろ興奮しているみたいで目元を朱に染めて唇を噛んでいる。

「徹さん、イくよ、中に出すよ」
「ん……」

 徹さんの腰に爪を立てながら無様なくらい腰を振って、一番奥まで挿入れて精を吐いた。びゅ、びゅ、と何回目かも分からないのに勢いよく出た、と思ったら、徹さんの陰茎の先からも白濁が飛んで彼の腹に垂れた。

「ぇ……」
「初めてでトコロテンって。ほんとアンタら変態ですよね」

 背後から志摩宮が呆れたような声で言って、それでハッと正気に返った。
 マジか。徹さん、ちゃんと俺のでイッてくれたんだ。嬉しい嬉しい、とキスしまくったら、頭を掴んで拒否された。

「なんだよ徹さん」
「……うるせぇ」
「恥ずかしがんなって。悦くないより良いじゃん、俺もっと出せるよ? もっかいする?」

 さすがにちょっと回復に時間掛かりそう、と萎えたままの肉が抜けないように奥まで押し付けたままに徹さんに抱き付いたら、志摩宮が俺ごと掴んで腰を振り出して、徹さんの口から呻きが漏れた。

「志摩、み……っ、テメ、やめ……」
「もうちょっとなんで、我慢して下さい」

 あ、あ、と聞いたことの無い甘ったるい低い声が徹さんの喉から漏れて、嫉妬心が湧くのと同時に興奮してしまって中心に血が集まってくる。裏筋を志摩宮の肉に擦らせたまま、俺は徹さんの悦くなる所を探して深いところで腰を揺らした。

「やめ、も……せい、静汰っ、お前、腰、止め」
「ん、これ、徹さんも好き? 俺もさっきされたけど、ココやばいよね。頭おかしくなりそうなほど気持ちいいよね」

 どうやら俺と同じところで徹さんも気持ち良くなってくれるらしいと気付いて、俺がいつもされるみたいに彼を責めた。根本まで挿入れたまま先端で悦くなるところをゴリゴリ擦ると、徹さんが喉を反らしてビクビクと震えてまた吐精した。

「……んっ」

 志摩宮が達して、先に中から抜いていく。だいぶ緩くなった穴を埋めるみたいにまた中で出して、目が虚ろになったまま痙攣する徹さんを抱き締めてまだ続行する。

「殺しちゃ駄目ですよ、静汰」
「ん~……努力する~……」

 後ろの快感がよほど強烈だったのか、徹さんはされるがままで何度もイッていた。前から出なくなっても、後ろが痙攣するから分かりやすい。最終的に俺がヘバる前に徹さんが気絶してしまったので、残念に思いながらも肉を抜いた。とろとろ、と孔から白濁が溢れ出して、指で押し戻してやりたい衝動に駆られたけれど我慢した。

「終わりました?」

 堂々と風呂を借りてきたらしい志摩宮は俺にタオルを渡しながら意識を失ってそのまま寝ている徹さんを見て「ご愁傷様」と呟いた。

「え、何がゴシューショーサマ?」
「静汰、気持ちいいこと覚えたらしばらくヤるでしょ」
「もっちろーん。あ、でも俺も挿入れてもらうの好きだから、交互くらいがいいなぁ」

 へへへー、と笑ったら、志摩宮はにっこり笑って「じゃあ俺はしばらく遠慮します」と言った。
 志摩宮から受け取ったタオルで徹さんの身体を最低限拭いて、畳の方も拭く。寝ている徹さんの後始末をするのは初めてで、そういえば昔は逆だったよなぁ、と懐かしく思った。
 風呂に入れたいけれど、この人を俺一人で持ち上げるのは無理だ。志摩宮を視線で窺うと、肩を竦めて拒否されてしまった。
 それでも、風呂も入らず布団も無いところで寝かせておく訳にはいかない。揺り起こした徹さんはこれまでにないくらいの超絶不機嫌で、それから三日くらいまともに口をきいてくれなかった。

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