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神と貴方と巡る綾
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しおりを挟む「嫌わない、ですか……?」
「ないない。徹さんなんてもっと酷いこと散々してんだぞ」
「……」
な? と徹さんを見るが、彼はあらぬ方向を見て素知らぬフリだ。
この人の変態プレイに比べれば、香で惑って平手打ちされたくらい、気にするほどのことじゃない。俺からも志摩宮を抱き締めて背中を撫でてやると、ゆっくりと志摩宮の身体から力が抜けた。
「ごめん、静汰」
「いいって。今この部屋に充満してるお香な、さっき言った通り素直になり過ぎちゃう感じだから。俺に嫌がられたと思ってカッとなったんだろ?」
「……ごめん……」
しょうがないしょうがない、と呪文のように繰り返して、志摩宮を安心させるようにその背を撫で続ける。ああ、可愛い。志摩宮は本当に可愛い。庇護欲が刺激されるって、こういうのを言うんだろうな。
しょげる志摩宮を慰めるのに夢中になっていたら、じっとりとした恨みがましい視線が向けられているのに気付いて顔が引き攣った。
「…………ほんと、お前は志摩宮には激甘だよな」
「ハハ……いやほら、なんか仔犬みたいで可愛いじゃん、志摩宮って」
「犬とヤんのかテメエは」
言ってから、しかし徹さんは目と唇を弧にして押し黙った。何を想像してるか分かってるからな、このド変態。
「志摩宮、落ち着いたんなら車の方に……」
「嫌です」
するならここじゃない方がいいだろう、と誘導しようとするのに、キッパリ拒否されて、え、と呆けた。その隙に、志摩宮にジャージをがばっと引き下ろされて、下半身が丸裸になって悲鳴を上げた。
「ひゃあっ、ちょ、志摩宮っ! け、蛍吾! 蛍吾居るからそっち!!」
「知ってます」
「やだやだやだっ、蛍吾の前とか死んでも無理!」
「大丈夫です、気持ち良くしてあげますから」
「おまっ……!」
絶対嫌だ、と暴れる俺を軽々組み敷いて、志摩宮が舌舐めずりして俺に顔を寄せてくる。
「ん……、う、ぅ」
合わせた唇の隙間から舌を吸われ、陰茎が輪にした指で擦られる。腰に熱が集まって堪らなく、それだけで脱力した俺を横の徹さんが低く笑った。
「チョロかわい」
「っスね」
うるさい、と文句を言いたくても、人質みたいに中心の肉を擦られていてそれだけで身体に力が入らない。甘い痺れと天辺を欲しがる腹の奥の欲望に煽られて、されるがままに喘ぐしかない。
「と……る、さん。止めろよ……」
「俺、あっち先に処理してくっから頼んだぞ。……それに、そっちの二人は興味あるみてぇだしな」
徹さんは立ち上がりざまにヤモリさんへ素早く紋を飛ばした。「ん?」と首を傾げたヤモリさんが、煙草を吸おうとして、数度瞬きしてから、ゆっくりと体を崩していった。ヤモリさんへ近寄った徹さんは彼の手から火のついたままの煙草を取り上げると、ひたひたと頬を叩いてからその体を横たえた。
どうやら、紋で強制的に寝かせてしまったらしい。
志摩宮と徹さんならともかく、それ以外に自分の痴態を見られるのはいい気分じゃない。残りの二人は、と蛍吾と洲月さんの方へ顔を向けると、べったりとくっついたままの彼らは俺と志摩宮を凝視していた。
「まっ……、うわ、やめろ蛍吾っ、そんな目で見んな! 志摩宮もマジでやめろよッ」
半裸で手コキされている姿を興味深げに見られ、半泣きで志摩宮をどつく。が、志摩宮は「いや」と小首を傾げて蛍吾たちへ話し掛けた。
「もしかしなくても、たぶんあんたら、やり方知らないんでしょ」
志摩宮の言葉に、二人が揃って顔を赤くする。耳まで赤くした成人男性二人に、いやいやまさか、と半笑いで俺が志摩宮を嗜めるのに、志摩宮は俺の身体をひょいと持ち上げて二人の方に俺の尻を向けた。
「ここに挿入れるんスよ」
がば、と両手で尻たぶを掴んで開かれて、声にならない悲鳴を上げた。
「~~っ!!!!!」
「いてて、痛い、静汰」
「──っ、う」
さすがに我慢ならん、とぶん殴ってやろうと暴れたのに、濡らされてもいない指を捻じ込まれて鋭い痛みに呻いた。ぐぐぐ、とそのまま押し挿れられて首を振る。
「し、志摩み、む、り」
「ヤり慣れてるこの人ですら無理やり突っ込むとこんな感じに痛がるんで、初心者は無理しない方がいいですよ。ローションとか無いでしょ?」
どうやら志摩宮は親切にも蛍吾たちに指南してやるつもりらしい。いや、俺をお手本みたいに扱わないでくれ。教材じゃねーんだぞ。
「こんなことになるなんて……想定してなくて……」
か細い声で応える洲月さんの返事に、志摩宮は頷いてから「代用出来ないこともないですけど」と殊更手荒く俺の陰茎を扱き出した。
「や……、し、ま」
「ケツ揺れてますよ」
蛍吾たちに見られるのは嫌な筈なのに、彼らにみっともなく尻の狭間を晒した格好で敏感な肉を擦られて、志摩宮に胸元に縋り付く。四つん這いで志摩宮に抱き着く俺は、蛍吾たちからはまるでせがんでいるみたいに見えるだろう。
数十秒で俺の肉の先から白濁が飛んで、それを掌で受け止めた志摩宮は窄まりの周辺と指をそれで濡らしてから、またゆっくりと指を挿入れてきた。
「ふ……ぅ、っん」
「この人はマジでアナル狂いの変態なんで指でもよがってますけど、普通の人はまず気持ち良くなりませんから。どうしても挿入までしたい、っていうならこうやって精液で代用出来ますけど、オススメはしませんよ」
一本入れば、二本目はその横から滑るように入ってくる。ぐちゅ、ぐちゅ、と抜き挿しされて粘ついた音が響き、内部を擦られて脳髄が痺れる。なんか酷いこと言われる気がするけど、今はどうでもいい。指、気持ちいい。もっと奥まで欲しい。
「ど……どうしましょうか」
「俺は……洲月さんがしたいなら……」
俺の背後で遠慮がちに蛍吾たちが話し合っているのが聞こえる。あ、指が三本になった。開かれる。俺の中に志摩宮の指が埋まって、敏感な部分を擦っていく。「あっ」と小さく鳴いて身震いして、肉の先から精を吐きながら痙攣した。びく、びく、と大きく震える俺の頭を撫でて、志摩宮が苦笑と共に溜め息を吐いた。
「後ろに蛍先輩たちが居るの、忘れてます?」
「んん……っ、だ、だって……、指、きもちぃ……」
「ほんと、スイッチ入るとエロさに際限ないですねアンタは」
俺に呆れたみたいなことを言うくせに、志摩宮は俺の中に指三本を根本までずっぽり捻じ込んだまま中を指の腹でトントン叩いてきている。感じるなっていう方が無理で、指をぎゅうぎゅうに締め付けながら耐え切れず高い声で鳴いた。
「しまみやぁ……、もっと……、もっと奥、叩いてぇ」
「指じゃこれが限界ですよ」
「おいアバズレ、中に欲しいのは俺だけじゃなかったんか」
「んっ」
バチ、と尻を叩かれたと思ったら、ヤモリさんの処理を終えた徹さんが戻ってきていた。にぎにぎと指が埋まるくらい強く尻たぶを揉まれて、痛いけれど期待に身震いして尻を振る。
「徹さ……、欲しい、はやく」
「……あっち、硬直したまま凝視してんだけど」
「奥、お願……っ、また、志摩宮の指で、イッちゃ……」
言うが早いか、また陰茎の先から白濁が流れた。あ、今日もう、三回目。久しぶりだから少し辛い。これ、挿入れてもらってからイけるだろうか。
奥歯を噛んで目眩に耐える俺の尻を撫でて、徹さんが後ろに回ってきた気配がした。カチャカチャと金属音がして、ベルトのバックルを外して股間を寛げたのだと知る。
志摩宮の指が抜かれていって、ぽっかりと開いたような気持ちのするソコが切なくて力を入れて締めると、「うわ……」と小さな蛍吾の声がした。引かれただろうか。だろうな、当然だ。頭の中の冷静な部分がそう断じて、しかし熱に浮かされた身体はそれでも尚火照って、背後に押し当てられた徹さんの肉の先端を飲み込んで悦んだ。
「喜んで見学しといて、うわー、は無ぇだろ」
俺の身体の強張りを悟ってフォローしてくれた徹さんの言葉に、蛍吾が慌てたように震えた声で言う。
「あ、いや……、他人の、っていうか自分のも見たこと無かったんだけど、尻の穴ってそんな形してたんだ……と思って……」
「あ、それ、俺も思った……。なんかもっと、アスタリスクみたいなのを想像してたというか……」
「ふはっ」
蛍吾の戸惑う声に、洲月さんのそれも重なる。それを聞いて、俺の頭上で徹さんと志摩宮が見つめ合ってから噴き出して笑い始めた。
「あ~……、そりゃ、確かに」
「初見で静汰のケツは、そりゃビビりますね」
なんだよそれ。そんなに変な形なのかと、不安になって志摩宮を見上げると、視線の先の緑の目は細く歪んで俺を映した。
「静汰のケツ穴はね、ヤリまくって緩んで、縦長に伸びちゃってんです」
楽しそうに告げられ、顔が引き攣る。え、なにそれ。初耳なんですけど。
自分のソコをわざわざ見ることも無いので知らなかったけれど、再三アンド長期間酷使され続けてきたのは事実で、変形してしまっていると言われて困惑した。それって大丈夫なんだろうか、と不安がる俺の後ろから、構わず腰を押し進めてきた徹さんが窄まりの縁を指でなぞって楽しそうな声で揶揄ってくる。
「チンポ挿入れる為の穴、って形してんだよなぁ。見る度ヨダレ出そーになるわ」
「舌入れてもイイ反応しますしね」
「おい、後ろは俺のだって約束じゃなかったのかよ」
「あんただってしゃぶらせてんだから文句は言いっこ無しでしょ」
また仲良く軽口の応酬を始めた二人に、ソコの変形で彼らの興が削がれる心配は無さそうだとそこだけはホッとした。
けれど、蛍吾に見られたのは……やっぱり、気まずい。
ううぅ、と唸る俺に志摩宮がキスしてきて、顔を掴んで蛍吾の方に向けさせられた。
「大丈夫です、静汰。二人ともフツーに興奮してます」
「え……」
「ち、ちがっ」
「いや、目の前でセックスしてて興奮するなって方が無理じゃっ」
慌てる二人の表情は、確かにドン引きのそれでは無さそうだ。それでもやっぱり気まずいのには違いない、と思っていたら、気を逸らす俺を咎めるみたいに、徹さんが奥を突いてきた。
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