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第五話 魔王ベルゼブブ
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六月一日、その日、大天使ミカエルが僕のマンションにやってきて共同生活を送ることになった。
その日は人生で一番奇妙で楽しい日となった。
疲労困憊の僕はシャワーを浴びて、先に休ませてもらうことにした。
ミカちゃんはもう少し起きて、パソコンで現世のことを色々調べたいとのことだった。
シャワーを浴びてさっぱりした僕はベッドに潜り込む。
すぐに眠気が襲ってきて、僕は眠る。
リビングのソファーはベッドにもなるので今日は申し訳ないのだが、ミカちゃんにはそこで寝てもらおうと思う。また、ミカちゃん用のベッドを買わなくてはいけない。はあっ出費がかさむな。
でもこれも人類の存亡がかかっているので仕方がない。
それにミカちゃんみたいな絶世の美女のためなら少しぐらいの出費はへっちゃらだ。
どれぐらい眠っただろうか。
壁の時計を見ると午前二時になっていた。
ああ、あれだ。丑三つ時というやつか。
あれっ誰かいるぞ。
部屋は電気がついていない。
真っ暗だ。
しばらくすると暗闇に目が慣れてくる。
やはり誰かいる。
それはゆらゆらと揺れている。
その揺れる闇はだんだんと人の形になっていた。
僕は見た。
そこに立っていたのはゴシックロリータの装いの少女であった。
その人物はパチンと部屋の電気を点ける。
電気の光が眩しい。僕は何度も瞬きする。
「やあ、こんばんわ飯矢霧人君」
そのゴシックロリータの服を着た人物は僕の名前を呼んだ。
どうやら小柄な女性のようだ。いや、少女かもしれない。背が低く、おおよそ百五十センチぐらいだろう。ほっそりとしていて、全体的に肉付きは薄い。髪は黒く、ストレートだ。前髪が眉の上できれいにきりそろえられている。顔立ちはかなり整っていた。
「あ、あんたは?」
僕は訊いた。
どうしてこんな夜中にゴシックロリータの美少女が僕の部屋にいるんだ。
ゴシックロリータの少女はスカートの端を両手で持ち上げ、ぺこりと頭をさげる。
「お初におめにかかります。妾の名はベルゼブブ。魔界の魔王の一人じゃ」
かなりハスキーな声でそのゴシックロリータの美少女は名乗った。
悪魔ベルゼブブ、その名は知っている。
ゲームやアニメでよく敵モンスターとして出てくる悪魔だ。別名はたしかハエの王と言われていたはず。
「たしかに今の妾はハエの女王だ。じゃがな、もともとは豊穣の女神だったのじゃよ。それをきゃつらの手によって悪魔に落とし込められたのじゃ」
魔王ベルゼブブは言った。
すっと近づき、僕のベッドに腰掛ける。
白い手で僕の頬をさわる。
その手はすべすべとしているが、びっくりするほど冷たかった。
「突然人類の運命を担わされてお主も不憫よの」
魔王ベルゼブブは僕の顔をその手のひらで何度もなでる。
撫でられるたびに今まで感じたことのない快感が体中を駆け巡る。
「はあっはあっ……」
僕の体は勝手に喘ぎだしていた。
これはかなりの気持ちよさだ。自慰行為なんと馬鹿らしくなるぐらいの快感が撫でられる度に体を貫いていく。僕の口は勝手に開き、ベッドのマットによだれをだらだらと垂れ流していた。
かなり恥ずかしいがそれよりもこの快感に抗えない。僕は魔王ベルゼブブにされるがままであった。
「どうじゃここち良いじゃろう。もっと気持ちいいことをしてあげてもよいのじゃぞ」
魔王ベルゼブブはさらに僕に近づき、両腕を僕の首に巻きつけ、抱きついた。
ペロリと僕の耳たぶをなめた。
その瞬間、気絶しそうなほどの快感が僕の体を抜けていく。
「なあ、霧人君。人類の命運なんてどうでもいいじゃないの。妾と気持ちいいこともっとしようじゃないか。知っているか、魔族とのセックスは人のそれとは比べられないぐらいの快楽が得られるのじゃよ。それが魔王の妾ともなればそれはそれは格別なものになるじゃろうて」
魔王ベルゼブブは僕の手をとると自身の胸に導く。その胸の膨らみはほんのわずかなものだったが、えも言われぬ快感を僕に与える。
はあっこの人とセックスしたい。僕の童貞をもらってほしい。
僕は快楽をえることだけを考えるようになっていた。
「良いぞよ良いぞよ。妾と体を重ねよう。霧人君を妾の虜としてやろう。妾のものになるのじゃ。なあ、ソロモン王の末裔よ」
うふっんと妖艶な笑みを浮かべ、魔王ベルゼブブは僕をじっとみつめる。
「妾の魔眼にかかれば並の男はすぐに快楽の虜になる。良いのじゃ良いのじゃ。人は快楽に弱いものだからのう。さあ、お主の精をすべて搾り取ってやろう。かわりにこの世のものとは思えぬ快楽をあたえてやろう」
魔王ベルゼブブはふっと僕の耳の穴に息をふきかける。
だめだ、気持ち良すぎて意識をたもてない。
もう、この人のいいなりになろう。
だってこんなに気持ちいいことをしてくれるんだから。
さらにこれよりも気持ちいいことをしてくれると言っている。
どうせ、僕は彼女なんていない社畜童貞なんだ。こんなかわいい人とセックスできるなら、この人にしたがってもいいではないか。生きていたっていいことなんか何もなかったではないか。
その時、ふとミカちゃんの笑顔が頭をよぎった。
だめだ。
ここでこいつのいいなりになってはいけない。
僕はミカちゃんに人間の素晴らしさを証明しなくてはいけないんだ。
それに僕はミカちゃんともっと楽しいことをしたい。
はっ意識を取り戻したとき、魔王ベルゼブブはその端正な顔を僕に近づけていた。
キスしようとしていた。
だが、意識を取り戻しても体が言うことをきいてくれない。
バチンッと僕と魔王ベルゼブブの間に走る。それは電流に似た衝撃であった。
「ちっこしゃくな。聖刻をすでに刻んでいたか。もう少しでおとせそうだったのに残念じゃ。これ以上流石に魔王たる妾でも活動限界か。思ったよりも速く大天使ミカエルは結界を築いていたということか。さらばじゃ、我らが王よ」
そう言うと魔王ベルゼブブは闇となってどこともなく消えてしまった。
そのあとどたどたと慌ただしくミカちゃんが部屋に入ってきた。
「大丈夫、霧人君!!」
叫ぶようにミカちゃんは言い、僕に抱きついた。
その日は人生で一番奇妙で楽しい日となった。
疲労困憊の僕はシャワーを浴びて、先に休ませてもらうことにした。
ミカちゃんはもう少し起きて、パソコンで現世のことを色々調べたいとのことだった。
シャワーを浴びてさっぱりした僕はベッドに潜り込む。
すぐに眠気が襲ってきて、僕は眠る。
リビングのソファーはベッドにもなるので今日は申し訳ないのだが、ミカちゃんにはそこで寝てもらおうと思う。また、ミカちゃん用のベッドを買わなくてはいけない。はあっ出費がかさむな。
でもこれも人類の存亡がかかっているので仕方がない。
それにミカちゃんみたいな絶世の美女のためなら少しぐらいの出費はへっちゃらだ。
どれぐらい眠っただろうか。
壁の時計を見ると午前二時になっていた。
ああ、あれだ。丑三つ時というやつか。
あれっ誰かいるぞ。
部屋は電気がついていない。
真っ暗だ。
しばらくすると暗闇に目が慣れてくる。
やはり誰かいる。
それはゆらゆらと揺れている。
その揺れる闇はだんだんと人の形になっていた。
僕は見た。
そこに立っていたのはゴシックロリータの装いの少女であった。
その人物はパチンと部屋の電気を点ける。
電気の光が眩しい。僕は何度も瞬きする。
「やあ、こんばんわ飯矢霧人君」
そのゴシックロリータの服を着た人物は僕の名前を呼んだ。
どうやら小柄な女性のようだ。いや、少女かもしれない。背が低く、おおよそ百五十センチぐらいだろう。ほっそりとしていて、全体的に肉付きは薄い。髪は黒く、ストレートだ。前髪が眉の上できれいにきりそろえられている。顔立ちはかなり整っていた。
「あ、あんたは?」
僕は訊いた。
どうしてこんな夜中にゴシックロリータの美少女が僕の部屋にいるんだ。
ゴシックロリータの少女はスカートの端を両手で持ち上げ、ぺこりと頭をさげる。
「お初におめにかかります。妾の名はベルゼブブ。魔界の魔王の一人じゃ」
かなりハスキーな声でそのゴシックロリータの美少女は名乗った。
悪魔ベルゼブブ、その名は知っている。
ゲームやアニメでよく敵モンスターとして出てくる悪魔だ。別名はたしかハエの王と言われていたはず。
「たしかに今の妾はハエの女王だ。じゃがな、もともとは豊穣の女神だったのじゃよ。それをきゃつらの手によって悪魔に落とし込められたのじゃ」
魔王ベルゼブブは言った。
すっと近づき、僕のベッドに腰掛ける。
白い手で僕の頬をさわる。
その手はすべすべとしているが、びっくりするほど冷たかった。
「突然人類の運命を担わされてお主も不憫よの」
魔王ベルゼブブは僕の顔をその手のひらで何度もなでる。
撫でられるたびに今まで感じたことのない快感が体中を駆け巡る。
「はあっはあっ……」
僕の体は勝手に喘ぎだしていた。
これはかなりの気持ちよさだ。自慰行為なんと馬鹿らしくなるぐらいの快感が撫でられる度に体を貫いていく。僕の口は勝手に開き、ベッドのマットによだれをだらだらと垂れ流していた。
かなり恥ずかしいがそれよりもこの快感に抗えない。僕は魔王ベルゼブブにされるがままであった。
「どうじゃここち良いじゃろう。もっと気持ちいいことをしてあげてもよいのじゃぞ」
魔王ベルゼブブはさらに僕に近づき、両腕を僕の首に巻きつけ、抱きついた。
ペロリと僕の耳たぶをなめた。
その瞬間、気絶しそうなほどの快感が僕の体を抜けていく。
「なあ、霧人君。人類の命運なんてどうでもいいじゃないの。妾と気持ちいいこともっとしようじゃないか。知っているか、魔族とのセックスは人のそれとは比べられないぐらいの快楽が得られるのじゃよ。それが魔王の妾ともなればそれはそれは格別なものになるじゃろうて」
魔王ベルゼブブは僕の手をとると自身の胸に導く。その胸の膨らみはほんのわずかなものだったが、えも言われぬ快感を僕に与える。
はあっこの人とセックスしたい。僕の童貞をもらってほしい。
僕は快楽をえることだけを考えるようになっていた。
「良いぞよ良いぞよ。妾と体を重ねよう。霧人君を妾の虜としてやろう。妾のものになるのじゃ。なあ、ソロモン王の末裔よ」
うふっんと妖艶な笑みを浮かべ、魔王ベルゼブブは僕をじっとみつめる。
「妾の魔眼にかかれば並の男はすぐに快楽の虜になる。良いのじゃ良いのじゃ。人は快楽に弱いものだからのう。さあ、お主の精をすべて搾り取ってやろう。かわりにこの世のものとは思えぬ快楽をあたえてやろう」
魔王ベルゼブブはふっと僕の耳の穴に息をふきかける。
だめだ、気持ち良すぎて意識をたもてない。
もう、この人のいいなりになろう。
だってこんなに気持ちいいことをしてくれるんだから。
さらにこれよりも気持ちいいことをしてくれると言っている。
どうせ、僕は彼女なんていない社畜童貞なんだ。こんなかわいい人とセックスできるなら、この人にしたがってもいいではないか。生きていたっていいことなんか何もなかったではないか。
その時、ふとミカちゃんの笑顔が頭をよぎった。
だめだ。
ここでこいつのいいなりになってはいけない。
僕はミカちゃんに人間の素晴らしさを証明しなくてはいけないんだ。
それに僕はミカちゃんともっと楽しいことをしたい。
はっ意識を取り戻したとき、魔王ベルゼブブはその端正な顔を僕に近づけていた。
キスしようとしていた。
だが、意識を取り戻しても体が言うことをきいてくれない。
バチンッと僕と魔王ベルゼブブの間に走る。それは電流に似た衝撃であった。
「ちっこしゃくな。聖刻をすでに刻んでいたか。もう少しでおとせそうだったのに残念じゃ。これ以上流石に魔王たる妾でも活動限界か。思ったよりも速く大天使ミカエルは結界を築いていたということか。さらばじゃ、我らが王よ」
そう言うと魔王ベルゼブブは闇となってどこともなく消えてしまった。
そのあとどたどたと慌ただしくミカちゃんが部屋に入ってきた。
「大丈夫、霧人君!!」
叫ぶようにミカちゃんは言い、僕に抱きついた。
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