【R18】淫夢王 サキュバスを統べる者

白鷺雨月

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第二十六話 過去は変えたくないのか

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 面接室を出た三国ヶ丘妃名子みくにがおかひなこを僕は追いかける。
  追いついた僕は左隣を歩く。
 「悔しくないのか」
  僕は妃名子に訊く。
  妃名子は僕を見上げる。
  妃名子は背が低い。
 150センチメートルもない。
 自然と上目遣いになる。
 こんなふうに見られて、嫌がる男はいないだろう。庇護欲を掻き立てる。 
「あっあなたは……」
  僕の存在に気づいた妃名子は口を大きく開ける。
  その姿が学生服からあのコンビニ店員の制服に変わる。
 ブレザーの制服にチェックのスカートは可愛かったのにな。
 少し残念。 
 髪色も重い黒髪からピンクのツインテールに変化する。
 二十歳の三国ヶ丘妃名子になる。
 「僕は夢野修作っていうんだ」 
 僕は簡単に自己紹介する。 
「夢野修作さん……」
  妃名子はオウム返しする。 
「君、悔しくないのか?」
  妃名子は歩みを止め、僕の顔をその大きな瞳で見つめる。 
 三国ヶ丘妃名子、君は悔しくないのか。
  君をこんなに追い詰めたあいつらはきっとこのことさえ忘れて人生を謳歌している。
 ひるがえって君はあのいじめが原因で人に恐怖を感じているんじゃないか。
 もしかしてあのいじめが原因で学校をやめたのではないのか。 
「もしかしてこのあと、学校を辞めたのかい?」
  僕は妃名子に尋ねる。 
「うん……」 
 妃名子は涙目でそううなづく。
  やはりそうか。 退学にまで追い込まれたのか。 「三国ヶ丘妃名子、君は悔しくないのか?」
  もう一度僕は妃名子に訊く。 
「くやしいよ……」
  ポロポロと妃名子は泣き、僕に抱きついた。
  僕は妃名子の小さな身体を抱く。
 胸は平でお尻も肉付きが悪いのに、やっぱり女の子だ。
 その身体は温かくて柔らかい
 。爽やかな柑橘系の果物のような匂いがする。 
 「そう。なら目が覚めてその悔しさがまだ残っていたら現実世界で会おう。今日の夜、七時に神宮町駅の大時計の前で待っているよ」
  僕が言った直後、妃名子の身体がうっすらと消えていく。
 彼女が覚醒しようとしているのだ。
  涙目の妃名子はわかったわと答えて消えていく。

  夜七時に僕は約束通り神宮町駅の中央口を出た所にある金色の大時計前にいた。
  この大時計はいわゆるランドマークである。
 繁華街である神宮町に行く人々の待ち合わせに良く使われる。 
 まるで計ったかのように三国ヶ丘妃名子は七時ちょうどにあらわれた。 
「やっぱりあれって夢じゃなかったんだ」 
 妃名子は言った。
  この日の妃名子は派手なライブTシャツにショートパンツという装いだった。
 誰だよライブTシャツはださいっていったのは。この子めちゃくちゃかわいいじゃないか。
 髪型はいつものツインテール。
 これも高得点だ。
 これはますます三国ヶ丘妃名子をロリ枠に加えたくなる。 
「ああっそうだよ。あれは夢であり、現実だよ」
  僕は妃名子に言う。
 お腹空いてないかと尋ねると妃名子は晩ご飯はまだ食べていないと答えた。 
 どうやらバイトを終えてそのまま来たらしい。
  ということで僕たちは駅近くの中華屋さんに入る。 ここは三国志という店名でオーナー兼料理長は台湾出身の女性である。
 安くてボリュームがあり、なおかつ本格的な台湾料理が楽しめる。
  僕たちは四人がけのテーブル席に案内された。 
 僕と妃名子は向かい合って座る。
「何か食べたい?」
  僕は妃名子に訊く。 
「青椒肉絲と焼き小籠包が食べたい」 
 メニューを見つめ、妃名子は答える。 
「いいね。僕は天津飯とレバニラ炒め、それと餃子を頼もうかな」 
「あの夢野さん、シェアしませんか?」 
「僕はそのつもりだよ」 
「じゃあこの春巻きも頼んでいいですか?」
 「うん、いいね」
  僕はチャイナドレスのおばさん店員を呼び、オーダーする。 
 ほどなくして料理がテーブルに並べられる。
  僕たちは小皿に料理をとりわけ、それらを食べる。この焼き小籠包の熱い肉汁のスープはたまらない。
  妃名子もハフハフと揚げたての春巻きを食べる。 「こうやって誰かとご飯を食べるの久しぶりです」 
 妃名子はレバニラ炒めを食べる。
 ここのは濃い味付けで美味いんだよな。 
 ご飯は誰かと食べるとまた格別の美味しさだよね。 気ままなひとり飯もいいけど、こうやってかわいい女の子とご飯を食べるのは格別だよね。
  そのことを教えてくれたのは元鬼上司で最初のサキュバスである一ノ瀬美華だ。
  世話好きの美華はいつも僕のために栄養バランスのとれた料理をつくってくれる。 
「そ、それでその夢の話しなんですが……」 
 箸を置き、妃名子はコップの水を飲む。
 「そう妃名子、君は復讐をしたくないか?」
  僕は妃名子の大きな瞳を見つめる。
  妃名子は頰をあからめた。
 これもスキル魅了の効果だろうか。 
「でも復讐は何も生まないっていうか……」
  妃名子は目を泳がす。 
「そんなことはない。復讐は少なくとも君の心を解放する。妃名子、君が今なお苦しんでいるのにあいつらは人生を楽しんでいるかも知れない。きっと君のことなんか忘れて、自分の人生を楽しんでるだろうよ」
  僕はそう言い、好物の天津飯をかきこむ。
 「あいつらがひどい目にあうのを見たい」 
 ぐっと拳を握りしめ、妃名子は僕の目を見る。
  僕は微笑む。
 妃名子の目は 復讐に燃える良い目になっている。 
 そうか、僕と一緒にあいつらに地獄を見せてやろう。 
「そうか。なら条件がある」
  僕が言うと妃名子はごくりと生唾を飲み込む。
  そこでぽんっと乾いた音をたて、僕の隣に梨々花があらわれた。 
 妃名子はわかりやすいほど驚愕の表情を浮かべている。
 ちょっとその光景は面白い。 
「私と契約してサキュバスになってよ」 
 にひひっと綺麗な顔に下品な笑みを梨々花は浮かべる。
 割り箸を割り、梨々花は美味い美味いと青椒肉絲を食べだした。
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感想 1

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みんなの感想(1件)

水護風火・(投稿は暫し休んでます)

この作品は…私の記憶が間違っていなければ某サイトのエッセイに書かれていた設定…!

2024.09.03 白鷺雨月

感想ありがとうございます。そうです!!
まずノクターンに連載して、次にアルファポリスに転載しました。一応R18としましたが表現はマイルドにしようと思います。

解除

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