黒猫を助けたら、貞操逆転男女比1対100万の世界に行けました。女の子といちゃラブしてたらスキルもゲットして英雄王になります。

白鷺雨月

文字の大きさ
50 / 75

第四十九話 敵を知り己を知る

しおりを挟む
ジョアンナからの陳情を受け、僕はそれを女王ギネビアに認めてもらうためにキャメロットの王宮に出向いた。
アルタイルとロムを伴い僕は王宮内の廊下を歩いていた。
クロネはピーターと共に狩りにでかけている。
「晩御飯はまかせてよ、お兄ちゃん」
そう言い、オリオンに乗り、かけていった。

時刻はもうすぐ正午になろうとしている。
王都キャメロットには時計台がいくつかあり、この王宮からもそれが見ることができた。

「まあ人獣だわ」
「王宮に臭いがつかないかしら」
「掃除が大変だわ」
それは小声であったが、聞き耳スキルのある僕は聞き逃さない。
聞き逃すことができたらよかったのにと僕は思う。
アルタイルなどは褐色の肌を赤くし、剣の柄に手をかけようとしていた。
アルタイルが怒ってくれたおかげで逆に冷静になれた。
僕はそっとアルタイルの手に自分の手を重ねる。
王宮内でさすがに刃傷沙汰はまずい。
浅野内匠頭じゃあないんだから。
ロムもアルタイルも僕と一緒ならこの王宮内の行動は許されている。騎士待遇を受けているといって言いだろう。
大切な仲間を馬鹿にされて、許せないが、さてこの場をどうしようか。
手をこまねいていたらアルタイルが再度暴発しかねない。
アルタイルは情が深いんだよね。
そこが良いところでもあるんだけど。

「我が友を侮辱するとはわたくしを侮辱することだ。さらにアーサー公は我が国の宰相であらせられる。君らを不敬の罪に問うこともできる」
聞き知った声がする。
それはアヤメ・ランスロットの声であった。
当たり前だけど近衛騎士団団長のアヤメは王宮に常駐している。

アヤメのぞっとするほど冷たい声に侍女たちは分かりやすいほど震え上がっていた。

「この事は聞かなかったことにします。陰でなんと言おうとかまいませんが、せめて目の前では言わないでください」
ここで侍女たちに罪を問うても仕方ない。
それに王宮内での揉め事はごめんこうむりたい。

「は、はい…… 申し訳ございません」
頭を下げて、侍女たちは立ち去った。

「ありがとうございます、アヤメさん」
僕はアヤメに礼をいう。

「なに、当然のことをしたまでだ。女王陛下が一緒に昼食をとろうとおっしゃっている。それとアーサー公、わたくしのことはアヤメでいい」
にこりと綺麗な笑みを浮かべて、アヤメは言った。
美人は笑顔に限るな。

「じゃあ僕のことはアーサーでいいよ」
僕も笑顔で答えた。

「そうだな、アーサー。うん、そうだな。さあ陛下がお待ちだ」
アヤメは頷きながら言った。
僕たちはアヤメの後に続き、大広間に入る。
そこには円卓が置かれていた。

ギネビアは手探りで立ち上がる。
僕はギネビアの手をそっと握る。
「ありがとう、アーサー。さあ皆様、おかけください」
そう言い、ギネビアは着席をうながす。
これは彼女の最大限の心使いだろう。
人獣のロムも元盗賊のアルタイルも女王と席を同じにして良い。
この席では身分は関係なく、友として歓迎する。僕はこの円卓をそのような意味として受け取った。

ギネビアはにこりと微笑む。
どうやらあっているようだ

円卓には次々と料理が並べられる。蕎麦のガレットにポーチドエッグ、サラダ、ボイルしたソーセージ、じゃがいものフライなどだ。
「さあお召し上がりください」
ギネビアは言う。

それでは遠慮なくということで僕たちは料理に舌鼓をうつ。

「それでアーサーの上奏文はランスロットに読んでもらいました。わらわもそれで良いと思います」
ギネビアは言った。

「我が君、ガレットがついていますわ」
アルタイルが僕の頬のガレットのくずをとり、ぱくりと食べる。
ギネビアの眉がピクリと動いたような気がした。
それを見て、アヤメは苦笑する。
ロムはうまいうまいと食欲を優先させている。

「しかし、これで教会との溝はさらにふかまりますわね」
アヤメは優雅にサラダを口に運ぶ。
所作一つ一つが絵になる。

「望むところよ」
ロムが巨乳を張り上げる。
ロムはやる気まんまんのようだ。

「何よりも民衆の暮らしが優先です」
僕は言う。
教会の厳しい規則を守って貧しく生きるより、規則をやぶって豊かに生きる方がいい。

「あのクロムエルという女はどうなったのですか?」
ロムがじゃがいものフライをパクパクと口に放り込む。

「彼女は行方不明よ。一応手配書は国中にまわしているわ」
アヤメが答えた。

「おそらく教会がその身柄をかくまっているのでしょうね」
アルタイルが推測する。
その推測は全員同意見であった。

「アーサー、聖杯教会の実質兵力はご存知か?」
アヤメが僕に尋ねる。
僕は首を左右にふる。

「これは表向きの発表であるが鋼鉄騎士団が三千騎、聖歌騎士団が千騎、真珠騎士団が同じく千騎ということです」
表向きということはそれ以上はあってもそれ以下はないということか。
いや、実質よりも多く見せかけているということも考えられる。
断定はできないけどその数字を信じるなら、教会の兵力は約五千と見ていいだろう。

「おおよそ五千人か……」
ボソリとアルタイルが言う。

ざっとだけど僕は自軍の兵力を計算してみる。
まず最大の兵力を持つのはリリィの白鳥騎士団が千騎、シーアの鉄鎖騎士団が五百騎、ユリコの太陽騎士団が三百騎、ヒメノ姉さんの幻影騎士団が二百騎、アヤメの金剛騎士団が同じく二百騎である。
合計すると二千二百騎か。
さらに直轄の聖獣騎士団は二十騎ほど。
聖杯教会の表向きの兵力の半分もない。
現実的にみて、直接の戦争はできるだけ避けた方がいいだろう。

「直接の戦争は避けたいですね」
僕は思ったことを言う。

「そうですね」
ギネビアは食後のミルクティーを飲んでいる。
僕にはオレンジジュースを侍女がいれてくれた。

「そこでだ、我らの武名を国中に知らしめるためにも武術大会を開こうと思います」
アヤメ・ランスロットはそう提案した。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

美醜逆転世界の学園に戻ったおっさんは気付かない

仙道
ファンタジー
柴田宏(しばたひろし)は学生時代から不細工といじめられ、ニートになった。 トラックにはねられ転移した先は美醜が逆転した現実世界。 しかも体は学生に戻っていたため、仕方なく学校に行くことに。 先輩、同級生、後輩でハーレムを作ってしまう。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

処理中です...