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第七十三話 会話にすらならない
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兵士たちの数はざっと十名ほどだ。各々が剣や槍で武装している。彼らが皇帝の命令を受けて、僕たちを包囲する。
いったいなんだってんだ。
僕はこの皇帝ルキウスに会いに来た。彼と国と国とのどのように付き合うかを話し合いに来た。
それなのに彼ルキウスは僕を見るなり、兵士を差し向けてきた。
まったくもって理解不能だ。
ウィリアムが抗議のため、一歩前進する。
「モンフェラート侯、これはどういうことですか」
兵士を率いる長髪の男にウィリアムは叫ぶように言う。たしか皇帝との面会をとりもった貴族の名前がモンフェラートだった。
「これは陛下のご意思である。大人しく降伏しろ」
モンフェラートは長剣を抜き、その切っ先をウィリアムに向ける。
ウィリアムはそれを見て、後退りする。
サーシャがそんなウィリアムの腕に抱きつく。
聞く耳持たないということか。
「これが海を越えてやって来た者への貴国のやり方なのか」
僕はルキウスにそう告げる。
「アーサー貴様は女たちを無理矢理従わせているそうではないか。暴虐の限りをつくし、欲望のまま女たちを汚していると聞く。余はその様な悪魔を討つ正義を遂行するのだ」
まるでルキウスは舞台俳優のように声高に言う。
その目は恍惚としていた。
自分に酔っている。そんな印象だ。
こいつとは話し合いなど出来ない。
黒髪の背の高い女がルキウスの横に立ち、何やら耳打ちする。
それを聞き、ルキウスは大きく頷く。
「お前たち、余がその悪魔から解放してやろう。さあこちらに来るがいい」
ルキウスは僕の周囲にいるマーリンやアヤメ、アルたちにそう語りかける。
「貴方は馬鹿なのですか。これが異国からきた者へのもてなしなのですか。これでは平和的な話し合いなど出来ないではないですか」
マーリンが正論を言う。もちろんアルガルド語なので、その言葉は通じている。
マーリンの言葉を聞き、ルキウスは顔を真っ赤にして、怒りだす。
「モンフェラート、こやつらを殺せ!!」
皇帝ルキウスは右手を振り下ろす。
それを合図に兵士たちは襲いかかってくる。
「あっちいってよ!!」
クロネが風魔法で兵士たちを吹き飛ばす。
バタバタと彼らは倒れる。
「やはり奴らは悪魔の使徒なのだ。であえ、であえ!!」
この光景を見て、ルキウスは周囲に向かって叫ぶ。
控えていた兵士たちが数十人単位で集結する。
僕たちは瞬時に囲まれた。
アヤメやアル、クロネの力ならばここにいる兵士たちを全員倒すことができるだろう。
しかしそれは虐殺だ。
ルキウスの言動はどうあれ、ラーマ帝国の人間を必要以上に殺すのは得策ではない。
ここはエクスカリバーの能力を使い、戦艦ウロボロスに撤退しよう。
「みんな集まって。ここは一度撤退しよう」
僕の言葉のあと、すぐさま全員が集結する。
転移するには皆の身体がどこかでつながっている必要がある。クロネが背に抱きつき、右腕にマーリンがしがみつき、左腕にアルが抱きつく。さらにマーリンの手をアヤメが握る。背中のクロネにリオが抱きつく。
サーシャと手をつないだウィリアムがアルに抱きつく。
僕たちを囲む兵士たちが襲いかかる。
弓を持つものは矢を撃つ。
剣や槍を持つものは突撃してくる。
僕はエクスカリバーの転移能力を発動させる。
僕たちは光につつまれる。
目を開けていられないほどの眩しさだ。
この光のすぐ後、僕たちは戦艦ウロボロスに瞬間移動しているだろう。
「逃がすかっ!!」
弓をつがえたモンフェラートが矢を放つ。
どうやら彼は弓の名手のようだ。
矢は真っ直ぐに僕の顔めがけて飛来する。
「アーサー様!!」
サーシャが前に出て、その矢を剣でなぎ払う。
サーシャは僕たちから離れてしまった。もちろんウィリアムもだ。
僕たちを包む光は戦艦ウロボロスへと移動させた。
サーシャとウィリアムをあの帝都バルバロッサに置いてだ。
一瞬のことで身動きできなかった。
これは僕の落ち度だ。
みすみすサーシャたちをあの中に置いてけぼりにしてしまった。
サーシャたちを救出するために帝都に戻るべきか。
いや、それは駄目だ。
アヤメたちは強いがあまりにも多勢に無勢だ。
多くの犠牲をラーマ帝国に強いることはできるが、無駄死にする可能性が高い。
やはりここはアヴァロン王国に一度撤退するべきだろう。
皇帝ルキウスが兵を率いて、アヴァロン王国に攻め入る可能性も十分考えられる。
僕の考えを言うとアヤメたちは賛成してくれた。
「我が君、他の円卓の騎士たちに召集をかけましょう。これは国家の一大事です」
アルが僕に進言した。
彼女の意見はもっともだ。
僕はベアトリクスに命じて戦艦ウロボロスを王都キャメロットに向けて出発させた。
事態は風雲急を告げていた。
いったいなんだってんだ。
僕はこの皇帝ルキウスに会いに来た。彼と国と国とのどのように付き合うかを話し合いに来た。
それなのに彼ルキウスは僕を見るなり、兵士を差し向けてきた。
まったくもって理解不能だ。
ウィリアムが抗議のため、一歩前進する。
「モンフェラート侯、これはどういうことですか」
兵士を率いる長髪の男にウィリアムは叫ぶように言う。たしか皇帝との面会をとりもった貴族の名前がモンフェラートだった。
「これは陛下のご意思である。大人しく降伏しろ」
モンフェラートは長剣を抜き、その切っ先をウィリアムに向ける。
ウィリアムはそれを見て、後退りする。
サーシャがそんなウィリアムの腕に抱きつく。
聞く耳持たないということか。
「これが海を越えてやって来た者への貴国のやり方なのか」
僕はルキウスにそう告げる。
「アーサー貴様は女たちを無理矢理従わせているそうではないか。暴虐の限りをつくし、欲望のまま女たちを汚していると聞く。余はその様な悪魔を討つ正義を遂行するのだ」
まるでルキウスは舞台俳優のように声高に言う。
その目は恍惚としていた。
自分に酔っている。そんな印象だ。
こいつとは話し合いなど出来ない。
黒髪の背の高い女がルキウスの横に立ち、何やら耳打ちする。
それを聞き、ルキウスは大きく頷く。
「お前たち、余がその悪魔から解放してやろう。さあこちらに来るがいい」
ルキウスは僕の周囲にいるマーリンやアヤメ、アルたちにそう語りかける。
「貴方は馬鹿なのですか。これが異国からきた者へのもてなしなのですか。これでは平和的な話し合いなど出来ないではないですか」
マーリンが正論を言う。もちろんアルガルド語なので、その言葉は通じている。
マーリンの言葉を聞き、ルキウスは顔を真っ赤にして、怒りだす。
「モンフェラート、こやつらを殺せ!!」
皇帝ルキウスは右手を振り下ろす。
それを合図に兵士たちは襲いかかってくる。
「あっちいってよ!!」
クロネが風魔法で兵士たちを吹き飛ばす。
バタバタと彼らは倒れる。
「やはり奴らは悪魔の使徒なのだ。であえ、であえ!!」
この光景を見て、ルキウスは周囲に向かって叫ぶ。
控えていた兵士たちが数十人単位で集結する。
僕たちは瞬時に囲まれた。
アヤメやアル、クロネの力ならばここにいる兵士たちを全員倒すことができるだろう。
しかしそれは虐殺だ。
ルキウスの言動はどうあれ、ラーマ帝国の人間を必要以上に殺すのは得策ではない。
ここはエクスカリバーの能力を使い、戦艦ウロボロスに撤退しよう。
「みんな集まって。ここは一度撤退しよう」
僕の言葉のあと、すぐさま全員が集結する。
転移するには皆の身体がどこかでつながっている必要がある。クロネが背に抱きつき、右腕にマーリンがしがみつき、左腕にアルが抱きつく。さらにマーリンの手をアヤメが握る。背中のクロネにリオが抱きつく。
サーシャと手をつないだウィリアムがアルに抱きつく。
僕たちを囲む兵士たちが襲いかかる。
弓を持つものは矢を撃つ。
剣や槍を持つものは突撃してくる。
僕はエクスカリバーの転移能力を発動させる。
僕たちは光につつまれる。
目を開けていられないほどの眩しさだ。
この光のすぐ後、僕たちは戦艦ウロボロスに瞬間移動しているだろう。
「逃がすかっ!!」
弓をつがえたモンフェラートが矢を放つ。
どうやら彼は弓の名手のようだ。
矢は真っ直ぐに僕の顔めがけて飛来する。
「アーサー様!!」
サーシャが前に出て、その矢を剣でなぎ払う。
サーシャは僕たちから離れてしまった。もちろんウィリアムもだ。
僕たちを包む光は戦艦ウロボロスへと移動させた。
サーシャとウィリアムをあの帝都バルバロッサに置いてだ。
一瞬のことで身動きできなかった。
これは僕の落ち度だ。
みすみすサーシャたちをあの中に置いてけぼりにしてしまった。
サーシャたちを救出するために帝都に戻るべきか。
いや、それは駄目だ。
アヤメたちは強いがあまりにも多勢に無勢だ。
多くの犠牲をラーマ帝国に強いることはできるが、無駄死にする可能性が高い。
やはりここはアヴァロン王国に一度撤退するべきだろう。
皇帝ルキウスが兵を率いて、アヴァロン王国に攻め入る可能性も十分考えられる。
僕の考えを言うとアヤメたちは賛成してくれた。
「我が君、他の円卓の騎士たちに召集をかけましょう。これは国家の一大事です」
アルが僕に進言した。
彼女の意見はもっともだ。
僕はベアトリクスに命じて戦艦ウロボロスを王都キャメロットに向けて出発させた。
事態は風雲急を告げていた。
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