17 / 52
【第一章 ハズレモノ胎動編】
017「白い龍」
しおりを挟む——???階層とある部屋(現在)/瑛二
「こ、ここは⋯⋯どこだ⋯⋯?」
目を覚ますと、そこは天井の高い石造りの部屋だった。
周囲には松明というより、むしろ『地球の街灯』に近い明るさを発する光が壁にいくつもかけられていた。どうやら、人工的に作られたものっぽい。
それだけならまだよかった。
いや、自分の状況がまったくわかっていない俺が「それだけならよかった」というのもおかしな話だが、でも、そんな言葉が出てしまうほど、その部屋には⋯⋯⋯⋯一際大きな存在感を放つモノが目の前にいた。
「し、白い⋯⋯龍⋯⋯?」
目の前のソレは、この部屋の高い天井に頭がつきそうになるほど大きな、そして、神々しいほどに白く輝く一匹の⋯⋯⋯⋯『白い龍』だった。
<⋯⋯目覚めたようじゃな>
「っ?! しゃ、しゃべ⋯⋯」
<悠久の時を越え、遂に『ハズレモノ』がこの世界に顕現したか>
「え⋯⋯?」
********************
——???階層とある部屋(三日前)/白い龍
ワシは待つ。
今日も待ち、明日も待ち、その次の日も、その次の次の日も⋯⋯。
ワシは待った。
昨日も、一昨日も、その前の日も、その前の前の日も、十年前も、百年前も、千年前も⋯⋯。
千二百年前⋯⋯からこうしてワシはずっと待っておった。
そして、その日は来た。
遂に現れたのじゃ⋯⋯⋯⋯『ハズレモノ』が。
その者は上から降ってきた。
『まばゆい光』に包まれながら。
ゆっくりと、ゆっくりと。
********************
——3階層から???階層へ(三日前)/瑛二
俺は、吉村に崖から放り投げられ、その身を落とされた。
ああ⋯⋯死ぬんだな、俺。
あたりは真っ暗で何も見えない。どっちが上で下かすらわからないくらいに。
だから、なのだろう。
最初は下に落ちていく⋯⋯重力に引っ張られて下へ下へと吸い込まれるように落ちていく感覚だった。
でも、今はそんな落ちる感覚は無くなり、何なら体が浮いているような⋯⋯⋯⋯そんな感じがした。
それと、薄っすらだが俺の体の周囲がぼんやりと光っているように見える。
ああ⋯⋯遂に意識が朦朧として⋯⋯もしや、これが『走馬灯』というものか?
でも、それにしてはおかしい。普通、『走馬灯』ってこれまでの人生が頭の中に浮かぶとか、そんなだったと思う。でも、今は、そんなのはなく、ただただ『体がぼんやり光って浮いている感覚』⋯⋯⋯⋯それだけだった。
もしかして、俺はすでに死んでしまっているのだろうか?
ま、いっか。
何でもいいや。
どうせ、あんな崖から落ちたんだ。助かることはまずない。
俺は間違いなく死ぬ。
あ~⋯⋯疲れたな~。
あ~⋯⋯瞼重いや~。
そうして、俺はゆっくりと瞼を閉じた。
********************
——???階層(三日前)/白い龍
三日前、ワシは実に百年ぶりかに『常世の聖域』から出た。
使命を受けて千二百年の間で五度目の外出じゃ。
部屋から出て、ワシはこのダンジョンの3階層とつながっている大きな縦穴⋯⋯⋯⋯ワシはこれを『口』と呼んでいるが、その『口』の真下へとやってきた。
この日は何やら胸騒ぎがした。⋯⋯いや、胸騒ぎというより『予感』に近いか。
そうして『口』に着き、上を見上げた。すると、
<むっ?! なんじゃ、あの光は?>
上から、ゆっくりと強烈な輝きを放つ『光』が降りてきた。
よく見ると、その光は人間⋯⋯いや『少年』を包み込むように輝いていた。まるで、この少年を『あらゆるものから守るかのように』⋯⋯そんな強い意志を感じさせる光じゃった。
その優しく力強い光に包まれた『少年』は、やがて私の目の前にゆっくりと降りてくると止まった。
その時じゃった——突如、ワシの頭の中で『使命』が何度も何度も響き渡った。
<<お前の使命は『ハズレモノ』を待つこと>>
<<お前の使命は『ハズレモノ』を待つこと>>
<<お前の使命は『ハズレモノ』を待つこと>>
⋯⋯
⋯⋯
それと同時に、確信に満ちた言葉もまた響き渡る。
<<『ハズレモノ』が顕現した>>
<<『ハズレモノ』が顕現した>>
<<『ハズレモノ』が顕現した>>
⋯⋯
⋯⋯
そして最後に、顕現した『ハズレモノ』に対するワシの『使命』が一際大きく響き渡った。
<<<『ハズレモノ』にきっかけを与え、共に歩め>>>
<<<『ハズレモノ』にきっかけを与え、共に歩め>>>
<<<『ハズレモノ』にきっかけを与え、共に歩め>>>
⋯⋯
⋯⋯
そうして、『ハズレモノ』を回収したワシは『常世の聖域』へと戻った。
40
あなたにおすすめの小説
最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~
華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』
たったこの一言から、すべてが始まった。
ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。
そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。
それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。
ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。
スキルとは祝福か、呪いか……
ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!!
主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。
ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。
ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。
しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。
一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。
途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。
その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。
そして、世界存亡の危機。
全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した……
※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~
さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。
キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。
弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。
偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。
二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。
現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。
はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!
チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記
ノン・タロー
ファンタジー
ごく普通の女子高生である「武久 佳奈」は、通学途中に突然異世界へと飛ばされてしまう。
これは何の特殊な能力もチートなスキルも持たない、ただごく普通の女子高生が、自力で会得した魔法やスキルを駆使し、元の世界へと帰る方法を探すべく見ず知らずの異世界で様々な人々や、様々な仲間たちとの出会いと別れを繰り返し、成長していく記録である……。
設定
この世界は人間、エルフ、妖怪、獣人、ドワーフ、魔物等が共存する世界となっています。
その為か男性だけでなく、女性も性に対する抵抗がわりと低くなっております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる