異世界ハズレモノ英雄譚〜無能ステータスと言われた俺が、ざまぁ見せつけながらのし上がっていくってよ!〜

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【第一章 ハズレモノ胎動編】

025【幕間】「クラスメートはかく語りき」

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——吾妻翔太の場合

 俺の名は吾妻翔太。

 よくわからないが、俺は今、日本とは違う世界にいる。そこで『救世主』として生きることになった。何が何だかわからんが、日本に戻ることはできないらしいので今の現実を受け止めなければならなかった。

 そこには、柊木、小山田⋯⋯あとユーミンと委員長、オタクの吉村、そして⋯⋯⋯⋯瑛二がいた。そして、瑛二だけは救世主としての能力がないと言われていた。

 俺は瑛二に「情けねー」という言葉をかけた。だが、今はその言葉を後悔している。

「瑛二が⋯⋯死ぬなんて⋯⋯」

 俺は瑛二とは小学校から一緒だった。

 あいつは覚えていないと思うが、小1の頃、俺は瑛二に助けられたことがあった。その頃の俺は体が同級生の中でかなり小さかったから、よくいじめられていたんだ。

 そんなとき、あいつがいじめられている俺の前に立って庇った。結果的には、あいつも俺もボコボコにされたが、俺はあいつを『ヒーロー』のように感じた。

 その後、俺は瑛二とすぐに仲良くなり一緒につるんでいたが、小2の途中から俺の体が急激に成長し、周りの奴らよりもだいぶ体格がよくなった頃、小1の時に、いじめていた奴らがちょっかいを出してきた。

 しかし、俺はそいつらを一人でボコボコにした。そんなことがあってしばらくすると、俺は『ガキ大将』になり、周りにはいつも舎弟のような奴らが集まるようになっていた。

 それからの俺は、学校ではチヤホヤされていたので毎日が楽しくて仕方なかった。

 ただ、一つだけ変わったことがあった。それは瑛二が俺から離れていったのだ。

 俺は本当は瑛二と仲良くしたかったから何度も誘ったが、あいつはずっと断った。そんなあいつの態度に「何で俺の言うこと聞かねーんだよ!」と腹が立った。

 そんなとき、周囲の奴が「瑛二は強い奴にヘコヘコする奴だ」と言うのを聞いた俺は「だったら無理矢理、あいつを仲間にすればいいか」と安直に考え、そうして瑛二を強引に仲間にした。

 最初、少しは『瑛二への申し訳なさ』もあったが、次第にそれは『麻痺』していき、気づけば俺は瑛二を『自分の言うことを聞くオモチャ』として扱うようになっていた。

 そんな関係が高校まで続いたある日——学校で地震に襲われ、現在に至る。


********************


「瑛二が死んだ」

 その知らせを聞いた時、俺は最初、理解ができなかったが、しばらくするとそれが事実だと知った時、激しい後悔と自己嫌悪に襲われた。

 俺がこれまで瑛二にしたことがフラッシュバックする。本当は瑛二のことを親友として仲良くなりたかったのに、結果的にいじめるようなことをし続けた自分のクズさ加減を『瑛二が死んだ』ことによって気づかされた。

「俺は⋯⋯俺は⋯⋯なんてことを⋯⋯」

 そして、それ以上に俺は『瑛二が死んだ事実』に、もう二度と瑛二に謝ることができないという現実を実感させられ⋯⋯⋯⋯激しく後悔した。

「う、嘘⋯⋯だろ? 瑛二が⋯⋯もう⋯⋯この世にいないだなんて⋯⋯」

 瑛二の訃報を柊木が『王宮の間』で、シャルロット女王に報告していた。

 柊木は「瑛二が自分達を出し抜いて吉村を脅し、単独行動をした結果、魔物に襲われ死んだ」というような話をしていた。

 確かに瑛二が一人、能力が低かった上、レベルも全然上がっていなかったことを悔しがっていたことは知っていた。しかし、それが結果的にあんな行動に出るとは思ってもいなかった。

 そして同時に「あいつがそこまで追い込まれていたなんて知らなかった。気づきもしなかった⋯⋯」と俺は自分の鈍感さや情けなさに激しく落ち込んだ。

 その後、柊木は「瑛二の分まで救世主の使命を果たす」と言って周囲の奴らから賞賛されていたが、俺はもう、この世界も、救世主も⋯⋯⋯⋯正直どうでもよくなっていた。

 瑛二にこれまで酷いことをした後悔と、そんな瑛二への懺悔ができない今となっては、もう何もかもがどうでもよかったんだ。

 その後、部屋に戻った俺はその日から特訓に参加するなく⋯⋯⋯⋯ずっと部屋に閉じこもった。

 これまで瑛二にしたことへの自己嫌悪と、もう二度と瑛二に会えないという現実。

 俺は、せめてもの『償い』として、瑛二の後を追って死のうと決意した。


********************


——古河美咲の場合

 私の名は古河美咲。

 全くもって理解ができないが、結果的に日本とは違う『異世界』に私たちは呼び出された。

 映画のような話だが現実であることを段々と理解していき、やっと今では「これが私の現実なんだ」と受け入れた。

 そんな矢先に『事件』が起きた。日下部瑛二が魔物に殺されたのだ。

 しかも話では、日下部が無理矢理に吉村稔を脅して、単独行動をした結果、魔物に殺されたという。

 正直、まったく信じられなかった。

 日下部は中学から一緒だが、あいつはそんな誰かを脅すといったことをできる奴ではない。

 確かに、特訓をしても全然強くならないことに焦っていたのは知っていたが、だからと言って、そこまで無茶をするほど追い込まれてはいなかったと思う。

 それに、そもそも日下部はあれだけ能力が低かったのだ⋯⋯⋯⋯吉村を脅したところで、本気を出せば吉村が日下部の脅しをつっぱねたりするのは簡単だったはず。なのに、吉村がそのまま日下部の脅しに屈するなど普通に考えてもあり得ない。

 その時、私はある話・・・を思い出す。それは柊木が『日下部をシカトしよう』と言っていたときの話だ。

 あの時、柊木は「日下部の為だ」と言っていたが、私はその話と『日下部の死』につながり・・・・を感じた。ただ、そうなると、

「柊木が殺した⋯⋯とでも言うのか?」

 そう考えた時、それはそれであり得ないとも思った。

 確かに、柊木が日下部にイラついていたのはわかるが、それだけで人を⋯⋯⋯⋯同級生を殺せるものだろうか? それはさすがに『飛躍しすぎだ』と思い、私はその可能性をすぐに引っ込める。

 だが、『王宮の間』で柊木がシャルロット女王へ報告した内容を聞いて、私の中で『飛躍と思った疑惑』が再び浮上する。柊木の言葉にとても『うさんくささ』を感じたからだ。

 証拠はないし、日下部を殺す動機も微妙ではあるが、しかし、あの『王宮の間』での柊木の言葉や涙が演技にしか見えなかったのだ・・・・・・・・・・・・・

 その時、柊木が『王宮の間』で周囲から賞賛される中、涙を流し、悲しい顔をする中で一瞬、『下卑た笑み』を浮かべたのを私は見逃さなかった。

 そして、確信した。

——柊木、もしくはその仲間が日下部を殺したのだと。


********************


——嶋由美(ユーミン)の場合

 私の名は嶋由美。

 柊木君のいるクラス担任をしている。

 私は柊木君と何人かの生徒たちと一緒に『異世界』へと召喚された。

 最初、「もしかして、ゲームの世界に転生した?」と期待したが、そうではなく普通の『異世界』への転生だったので、少しガッカリした。

 しかし、その後『異世界の救世主』と言われ、特別な力を持つと言われ、ステータスを開くと、私は『聖女』という称号だった。

 すると、周囲の異世界人がざわついた。どうやら『聖女』は大当たり・・・だったらしい。

 私はすぐに「そうか。私は聖女としてこの世界でヒロイン役なんだ・・・・・・・・」とすぐに理解した。さらに、嬉しいことになんと柊木君の称号は『勇者』で、私と同じ大当たり・・・・だった。

 私は理解した。

 これは運命だと。

 この世界は私と柊木君のためにある世界・・・・・・・・・・・・・だとっ!!!!

 そこで私は決意する。

「これから私は柊木君の側で、彼のヒロイン・・・・として身を捧げる⋯⋯」と。

 その後、強くなるための特訓が開始されたのだが、それから二週間が経ち、ダンジョンでの実践訓練の初日に事件・・は起きた。なんと日下部君が魔物に殺されたのだ。

 私はショックだった。

 というのも、柊木君の話によると「日下部君が吉村君を無理矢理脅して、レベル上げを行うために単独行動した結果、命を落とした」と聞いたからだ。

 私は日下部君がそこまで異世界を舐めていたことにショックだった。もっとちゃんと話をした方がよかったのかもしれない。

 柊木君なんて、能力の低い日下部君のために『早めに救世主を目指すことを諦めさせたほうがいい』と、やりたくもない『シカト作戦』をするくらい、身を削って日下部君を心配していたというのに⋯⋯。そんな柊木君の思いを、まさか日下部君が踏みにじる・・・・・行為に及ぶなんて⋯⋯。

 ああ、柊木君が泣いている⋯⋯。

 自分が日下部君の命を救えなかったことにショックを受けているんだわ、きっと。

 ああ、でも、シャルロット様の手を取るのはちょっとやりすぎ・・・・じゃないかな?

 シャルロット様も少しは遠慮して、すぐに柊木君の手を振り払うくらいすればいいのに⋯⋯。

 柊木君が落ち込んで弱くなっているに、柊木君の手を握ってくる・・・・・・・・・・・なんて⋯⋯⋯⋯シャルロット様、職権濫用じゃないかしら?

 今回は大目・・に見るけど、今後、柊木君にさらに近づくようなことがあったらヒロイン・・・・が誰なのかはっきりとわからせる必要があるかもね。

 とにかく、日下部君が死んだのは残念だけど、でもそれは、彼の無謀でワガママ・・・・・・・な行動によるものだから、この結果は自業自得みたいなものだから、だから⋯⋯⋯⋯柊木君が責任を感じることは1ミリ・・・もないのよ。

 だから、柊木君⋯⋯もう悲しまないで。
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