イフライン・レコード ファンタジー地球に転移した俺は恩寵(ギフト)というぶっ壊れ能力で成り上がっていく!

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プロローグ

002「ステータス」

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——お昼休み

 俺は学食で買ったいつもの『あん&バターロールパン』と『コーヒー牛乳』を買って屋上に行く。

 俺のお昼休みのルーティンは『鍵が閉まっている屋上で昼食を摂る』だ。

 屋上の鍵は前にたまたま拾ってそれを使っている。

 最初、学校はドアノブ自体を交換すると思っていたので鍵を拾ったとはいえ期待はしていなかったが、学校はどうやら『合鍵』を作り直しただけだったので拾った鍵をそのまま使うことができた。以降、お昼休みの屋上は俺の『おひとり様貸切』となった。

 ていうか、この話はあくまで『元いた地球』の話ではあったが、この『別世界線の地球』でもなぜか『屋上の鍵の話』はつながっていた・・・・・・・。実に不思議なことではあるが、俺にとってマイナスはないので、それはそれとして「ラッキー」と受け止めた。自分にプラスになる分はオールオッケーだ。

 ちなみに、じゃあクラスメートはどうだったかというと⋯⋯⋯⋯⋯⋯元々、人と関わらない学校生活を送っていた俺にとって、以前の地球のクラスメートなど誰一人知る者はいなかったので、この世界のクラスメートと比べることなどできないし、そもそも俺にはその必要はなかった。

 まー、つまり『ぼっち職人』だった⋯⋯それだけの話だ。



「ごちそうさまでした」

 屋上にある3つのベンチのうち、街並みと山が見渡せる『通称プレミアベンチ(俺、命名)』に腰を下ろした俺は、買ってきたパンを食べコーヒー牛乳を一気に喉に流し「ふぅ」と一息つく。

 そして、これまでのことをノートを広げて整理してみた。

——————————————————

【今、わかっていること】
・『イフライン・レコード』というゲームと思っていたポップアップ広告。そこにあった『参加(転移)する』というボタンを押したら『並行世界線イフライン』という『自分の知っている地球とは異なる地球』に転移した
・自分の知るテクノロジーでは絶対にあり得ないこの『転移』というものを行ったのは『自称神様ロキ』らしい
・この世界は『並行世界線イフライン』という『別世界線の地球』で『ファンタジー要素の入った別の地球』らしい
・この世界に転移されたのは自分を入れて全員で『五人』。その五人が選ばれた理由は『ファンタジー要素のある世界を強く望んだ』ということらしい
・脳内に響く『自称神様ロキ』の説明は『会話』ではなく『一方的な説明』である
・自称神様ロキから『恩寵ギフト』というものを貰ったらしい
・『恩寵ギフト』の使い方は自分で学ぶ必要がある

——————————————————

「⋯⋯まず、この世界は『俺の知っている地球とは異なる地球』でダンジョンとか魔法といった『ファンタジー要素』があるということ。以前の地球から俺を含めた『五人』が転移しているということ。あとは『恩寵ギフト』というものを自称神様ロキから貰ったということ⋯⋯⋯⋯あ、『恩寵ギフト』」

 そこで、俺は自称神様ロキがくれた『恩寵ギフト』のことを思い出す。

 ということで、この『恩寵ギフト』を調べてみることにした。⋯⋯⋯⋯が、

「どうやって?」

 結局、お昼休みの時間内では『恩寵ギフト』の調べ方がわからなかったので、続きは家でやることにした。



 学校から帰ると、すぐさま部屋に飛び込み『恩寵ギフト』についてネットで調べる。

 ちなみに、この世界でもネットは使えるし、電子インフラやデバイス、またはそれらを生産・販売する企業も俺がいた地球と同じ企業名でちゃんと存在していた。どういう理屈かはわからんがまあ便利なので良しとする。

 さて、そんな便利なネットを駆使し、『恩寵ギフト』について情報を探してみたが、

「何、一つヒットしない⋯⋯か」

 いくつかのパターンで検索をかけるも『恩寵ギフト』の情報は出てこなかった。

 ぶっちゃけ、ネットで調べればすぐに見つかり『恩寵ギフト』を確認できると思っていた俺は、どうやっても見つからなかったショックで一気にやる気を無くした。

「はぁぁぁぁぁ~~~⋯⋯」

 俺は大きく長いため息をついて、ベッドにゴロンと横たわる。

「⋯⋯てっきりネットですぐに見つかると思っていたんだが」

 俺は『ぼっち職人48の職人技』の一つ⋯⋯『ひとりぶつぶつ』を炸裂。

「『恩寵ギフト』か。ラノベ展開・・・・・で考えれば『特別なスキル』だと思うんだが、でもネットには情報ないし、どうすりゃ確認でき⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯ん? ラノベ展開・・・・・?」

 待てよ?

 そうか。ここは『ファンタジー要素のある世界』じゃないか。ということは、

「『ラノベ展開』として考えてみればいいんじゃないか? となれば、スキルだの何だの確認する方法といえば⋯⋯⋯⋯」

 俺はほぼ確信・・してその言葉をはっきりと口にした。

「ステータス、オープン!」


 ブン!


 目の前にゲームでよく見た『ステータス画面』が現れた。

——————————————————

名前:新屋敷ソラ

レベル:1

魔法:なし
スキル:なし
恩寵ギフト自動最適化オートコンプリート

——————————————————

「ん? 恩寵ギフトは『スキル』とは違うのか⋯⋯」

 ステータスを見ると、恩寵ギフトは『スキル』とは別項目・・・となっている。

恩寵ギフト自動最適化オートコンプリート』⋯⋯⋯⋯何だ、これ?」

 名前から見るに『自動で最適化する』ってことだが『最適化』とは?

 とりあえずググってみた。

——————————————————

『最適化』
「あれやこれやと整理したり調整したりして良い感じにすること」

——————————————————

 なるほど。『良い感じ』にするということか⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯いや、何を?

『最適化』の意味はわかった。しかも、名前は『自動最適化オートコンプリート』だから、たぶん『自動』で『最適化』をしてくれるのだろうが、そもそも『何を』自動で最適化してくれるのだろう?

 いろいろ考えてみたり、ググってみたが特に『これだ!』という答えは見つからなかった。

「とりあえず、今日はステータス画面を開くことができた、これだけでも良しとしよう。恩寵ギフトに関しては、これからじっくり調べればいい」

 俺はとりあえず『恩寵ギフト』の件は一旦置いといて、このファンタジー要素が加わった世界のことや、ダンジョン、探索者シーカー探索者集団シーカー・クラン、魔法、魔物といった耳慣れないファンタジーワードについて調べることにした。

「まずは、この世界のことを知らないと⋯⋯」
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